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拘
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かかわ
ふりがな文庫
“
拘
(
かかわ
)” の例文
又そこに住んでいる人々も昔の様に多数の人々が住んでいるに
拘
(
かかわ
)
らず、十人の中
僅
(
わずか
)
に二、三人しか見出す事が出来ない有様であって
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
いろいろ不都合なことがあるにも
拘
(
かかわ
)
らず、小栗桂三郎は自殺して果てたと、警察も世間も信じ切って
了
(
しま
)
うのも無理のないことでした。
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
太子の摂政時代は内外ともに多事であったが、それにも
拘
(
かかわ
)
らず鷹揚に深い瞑想は、この野辺のあたりにもなされていたのであろうか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
谷から吹き上げる風は冷く
且
(
かつ
)
強いにも
拘
(
かかわ
)
らず、絶頂は不思議に風が当らない許りか、風呂場へ這入った時のように生温くさえ感じた。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それにも
拘
(
かかわ
)
らずこの統制法が、いまだに議会を通過しないという事実の裏には、商人団の中央機関の必死の破壊運動があるのだった。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
そのとき彼はなぜか声が出なかったそうである。大声で叫んで人々を集めればよろしかったのにも
拘
(
かかわ
)
らず、なぜか無言のままだった。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お松は喜びと感謝とで、米友を拝みたいくらいにしているのに
拘
(
かかわ
)
らず、米友の面には、やはり前からの曇りが取り払われていません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
品物をポケットへ
攫
(
さら
)
い込むが早く玄関へ急いだ。流石の策士も奇襲を食って慌てたのだった。寒中にも
拘
(
かかわ
)
らず、額に汗をかいていた。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そして智識慾も、探求心も相当激しいにも
拘
(
かかわ
)
らず、今まで余り開拓されず、無教養のままに打ち捨てられていたのに智子は驚いた。
明暗
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それにも
拘
(
かかわ
)
らず私は現代のロシアの気狂い染みた歴史家の記録が純粋な女性の愛情まで資本家に身売りしていることが分るのであった。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
何も急ぐことはないにも
拘
(
かかわ
)
らず、宇治は何故か追われるように歩を進めた。原隊では無論宇治が逃げつつあることをまだ知る訳がない。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
人間の影さえ見えないけれど、それにも
拘
(
かかわ
)
らず思いなしでもあろうか、その谷の中には無数の人がこもっているような気勢がする。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
余は真宗の家に生れ、余の母は真宗の信者であるに
拘
(
かかわ
)
らず、余自身は真宗の信者でもなければ、また真宗について多く知るものでもない。
愚禿親鸞
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
聯隊の経理室から出た俸給以外に紙幣が兵卒の手に這入る道がないことが明瞭であるにも
拘
(
かかわ
)
らず、弱点を持っている自分の上に
穴
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
製産地直接取引ノ為メ日本ニ輸出
卸値
(
おろしね
)
ト同様多少ニ
拘
(
かかわ
)
ラズ勉強
仕
(
つかまつ
)
リ御便宜ノ為メ事務所トシテ日ノ出家ニ実物
取揃申居
(
とりそろえもうしおり
)
候
間
(
あいだ
)
御買上
被下度
(
くだされたく
)
候
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
二人共
出鱈目
(
でたらめ
)
を云う様な男とも見えぬが、それにも
拘
(
かかわ
)
らず、彼等の陳述は、この事件を益々不可解にする様な性質のものだったのである。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
塀の外の広い世間を敵と見ていたにも
拘
(
かかわ
)
らず、いったん気を許した彼に対しては、子供の心を持って接して来るように思われた。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
彼
(
かれ
)
はかくも
神経質
(
しんけいしつ
)
で、その
議論
(
ぎろん
)
は
過激
(
かげき
)
であったが、
町
(
まち
)
の
人々
(
ひとびと
)
はそれにも
拘
(
かかわ
)
らず
彼
(
かれ
)
を
愛
(
あい
)
して、ワアニア、と
愛嬌
(
あいきょう
)
を
以
(
もっ
)
て
呼
(
よ
)
んでいた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼の
唇
(
くちびる
)
の辺には、
凄
(
すさま
)
じい程の冷たい表情が浮んでいた。が、それにも
拘
(
かかわ
)
らず、声と動作とは、恋に狂うた男に
適
(
ふさわ
)
しい熱情を、持っている。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかしそれの来るときにはあらゆるものにも
拘
(
かかわ
)
らず来るのである。「これから瞑想しよう」などということはおよそ愚にも附かぬことだ。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
それにも
拘
(
かかわ
)
らず霧原警部はこの二人が今回の事件に関係して居るように思えてならなかった。まず第一に平岡の袖の血である。
呪われの家
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この御歌は、豊かで緊密な調べを持っており、感情が
濃
(
こま
)
やかに動いているにも
拘
(
かかわ
)
らず、そういう主観の言葉というものが無い。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
にも
拘
(
かかわ
)
らず、先頃からそこの門は、表にも裏にも、物の具着けた兵が十人くらいずつ立っている。あたりの閑寂に似もやらぬ
厳
(
いかめ
)
しさである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暑い折柄であるにも
拘
(
かかわ
)
らず、きちんと紋服を着けて先代の写真を祭り、その前で祖母譲りの方式に
依
(
よ
)
って
盃事
(
さかずきごと
)
を厳重にしたが
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それと気が付いたときにはあッとくず折れそうであったに
拘
(
かかわ
)
らず、それでもふみ耐えて、手近かな
垂木
(
たるき
)
をわし
掴
(
づか
)
みにすることが出来たのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そして、誰も他の人は見ていないに
拘
(
かかわ
)
らず、彼は、まるで白昼大通りで丸裸にされて侮辱を受けているような侮辱を感じた。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
にも
拘
(
かかわ
)
らず、それは半之助を、かつて経験したことのない、罪に似た感覚のおどろきと、恐怖にちかい魅惑とで押し包んだ。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
以前はそのお祭りをしていたかと思うにも
拘
(
かかわ
)
らず、ここの氏子は紀州の熊野へ参ってはならぬということになっていました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
愚劣な小説ほど浅薄な
根柢
(
こんてい
)
から取捨選択され一のことに十の紙数を
費
(
ついや
)
すに
拘
(
かかわ
)
らず、なお一の核心を言い得ないものである。
意慾的創作文章の形式と方法
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
美の日本的源泉として日本芸術の
根蔕
(
こんたい
)
に厳存していて今後ますます生成発展せしむべき諸性質を考えているのであるが、以上の事実にも
拘
(
かかわ
)
らず
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
これだけ、手を尽した猛運動にも
拘
(
かかわ
)
らず、ふたをあけてみると、それは、成親の
思惑
(
おもわく
)
をはるかに通り越したものであった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
また近頃デモクラシーの声が各所に
囂々
(
ごうごう
)
として唱えられ、また僕自身も小さいながらもこれを旗印としているに
拘
(
かかわ
)
らず
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それが四月の末であったに
拘
(
かかわ
)
らず、わたしには、日を経るにつれてそのおもいでの、なぜか秋のいろに寂しく染められて行くものがあるのである。
春深く
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
私はビラの入る入らないに
拘
(
かかわ
)
らず、みんなが会社のことを色々としゃべり合っている事についてはその大小を問わず、何時でも積極的に口を入れ
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
第七十六条 法律規則命令又ハ
何等
(
なんら
)
ノ名称ヲ
用
(
もち
)
ヰタルニ
拘
(
かかわ
)
ラス
此
(
こ
)
ノ憲法ニ
矛盾
(
むじゅん
)
セサル現行ノ法令ハ
総
(
すべ
)
テ
遵由
(
じゅんゆう
)
ノ効力ヲ
有
(
ゆう
)
ス
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
昌允 それは惜しい惜しくないに
拘
(
かかわ
)
らず、今の場合須貝さんに、この家を出て行って呉れというのは少し無法でしょう。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
しかし枳園は平生
細節
(
さいせつ
)
に
拘
(
かかわ
)
らぬ人なので、諸方面に対して、世にいう不義理が重なっていた。中にも一、二件の筆紙に
上
(
のぼ
)
すべからざるものもある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
手を着けてはならないと井上氏が宣告して置いたにも
拘
(
かかわ
)
らず、
俳優
(
やくしゃ
)
や座付作者たちから種々の訂正を命ぜられた。我々もよんどころなく承諾した。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ヘ、ヘ、ヘ」とまた思出して
冷笑
(
あざわら
)
ッた……が、ふと心附いてみれば、今はそんな、つまらぬ、くだらぬ、
薬袋
(
やくたい
)
も無い事に
拘
(
かかわ
)
ッている時ではない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それにも
拘
(
かかわ
)
らず、美しい皿に盛ったカレーライスは、これを喜んで食べ、新聞紙に載せられたカレーライスは見るだに悪寒を覚えて
眉
(
まゆ
)
をひそめるのは
料理と食器
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
しかもこれは成功不成功に
拘
(
かかわ
)
らずで、おまけに男女双方から取るのだから一会見やらせると十円になるわけである。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
周さんは、藤野先生をはじめ、そのような皆の懸命の努力にも
拘
(
かかわ
)
らず、やはり、まもなく私たちから去って行った。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼は多くの陰謀を
作
(
な
)
したるに
拘
(
かかわ
)
らず、正義の目的を達せんがために
作
(
な
)
したるの陰謀にして、殆んど胸中、人に対して言うべからざるのものなかりしなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼女は三十初代の婦人であるにも
拘
(
かかわ
)
らず、胃が弱く、その上悪い血が彼女自身の顔に薄赤い斑点を描いていた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
而もあれほど、「口まめ」であったに
拘
(
かかわ
)
らず、其が「何やらゆかし」の程度に止って、説明を遂げるまでに、批評家職能を伸べないうちに亡くなって行った。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
だがそれにも
拘
(
かかわ
)
らず、また患者の異常な食慾にも拘らず、彼は日に日に
瘠
(
や
)
せ衰えて、助手が
日毎
(
ひごと
)
に記入するフントの数はだんだん少なくなって行くのだった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
これは、趙が近眼であるにも
拘
(
かかわ
)
らず眼鏡を掛けていないという事実に
因
(
よ
)
ることが多いもののようだった。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
口寡
(
くちすくな
)
で、深切で、さらりと物に
拘
(
かかわ
)
らず、それで柔和で、品が打上り、と見ると貴公子の風采あり、
疾病
(
やまい
)
に心細い患者はそれだけでも懐しいのに、謂うがごとき人品。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
翌日は本田の一家が出発する日だったにも
拘
(
かかわ
)
らず、次郎は、平気で学校に行った。みんなも、いっそその方がよかろうというので、強いて休ませようともしなかった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
謙一は、いそがしい軍務のかたわらにも
拘
(
かかわ
)
らず、日夜、秘境の研究をつづけていたが、上川将軍の
尽力
(
じんりょく
)
で、いよいよそれを決行することになった——というわけだった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
拘
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拘”を含む語句
拘泥
拘引
不拘
拘々
拘留
拘束
拘攣
拘禁
拘薩羅
拘置所
拘置
拘縛
拘睒弥
拘留所
拘留孫仏
拘留場
拘束力
拘捉
拘引状
拘尸那
...