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打擲
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ちょうちゃく
ふりがな文庫
“
打擲
(
ちょうちゃく
)” の例文
と同時のように、ぴしりぴしりとお白州から、あば敬がさっそくお手のものの拷問を始めたらしく、打ち
打擲
(
ちょうちゃく
)
の音が聞こえるのです。
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今日、浜御殿の広場で、父に
打擲
(
ちょうちゃく
)
された上、勘当とまで、極端な叱りをうけた又十郎は、お駒の家で、
自暴自棄
(
じぼうじき
)
な酒をあおっていた。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
、女房の手より奪い取ろうものと、あるいは押し強く尋ねましたり、時には
打擲
(
ちょうちゃく
)
いたしましたり、嚇したりいたしますのでございます
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この少年の
傲慢
(
ごうまん
)
無礼を、
打擲
(
ちょうちゃく
)
してしまおうと決意した。そうと決意すれば、私もかなりに兇悪酷冷の男になり得るつもりであった。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
叔母の
肩
(
かた
)
をば
揉
(
も
)
んでいる
中
(
うち
)
、夜も
大分
(
だいぶ
)
に
更
(
ふ
)
けて来たので、源三がつい
浮
(
うか
)
りとして
居睡
(
いねむ
)
ると、さあ恐ろしい
煙管
(
きせる
)
の
打擲
(
ちょうちゃく
)
を受けさせられた。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
ところが、数分の後に、角助は、源十の
打擲
(
ちょうちゃく
)
の下に、急におとなしくなった。「六ゾロの源」はもう無我夢中である。狂気に近かった。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
食堂の主婦の姉の子だが、主婦なる女人が天下に稀なお天気屋で、朝は娘を甘やかし、夜は娘を
打擲
(
ちょうちゃく
)
するめまぐるしい変転ぶり。
探偵の巻
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
家庭に於ては夫婦喧嘩をなし、一杯機嫌で
打擲
(
ちょうちゃく
)
をなして
憚
(
はばか
)
らず、
而
(
しか
)
してその子弟を聖人たらしめよとは矛盾の甚しきものである。
教育の最大目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
家や田畑は、弟に取られるしな、食物もろくろく食わせらんし、なんぞ口答えすると、弟三人がよってたかって
殴
(
ぶ
)
ち
打擲
(
ちょうちゃく
)
するんじゃもの。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
○
原田麗子
(
はらだれいこ
)
——湯本の恋人、湯本の恐ろしき
打擲
(
ちょうちゃく
)
に甘んじ、寧ろそれを喜んでいるかに見える猟奇娘、二十三歳の大柄な豊満娘。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
太郎も倉子が酔たる時は折々機嫌を取損ね
打擲
(
ちょうちゃく
)
せらるゝ事もありと云えば
二人
(
ににん
)
はそろ/\零落の谷底に堕落し行く途中なりとぞ。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
何か悪いこと、余計なこと、いたずらに類することをすると、たいへんな勢いで怒り、火箸や長
煙管
(
きせる
)
で彼を
打擲
(
ちょうちゃく
)
し、
折檻
(
せっかん
)
した。
記憶
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
これは無論に又蔵の仕損じであった。かれ等はともかくも武士の子である。理非も
糺
(
ただ
)
さずにみだりに人を
打擲
(
ちょうちゃく
)
するとは何事だといきまいた。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わしにとってはそんな打ち
打擲
(
ちょうちゃく
)
なんか、痛いどころかうれしいくらいだ……だって、そうでもしなけりゃ、わし自身やりきれんのだからな。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
母はびしょ濡れになった着物をぬがすと、すごい剣幕で、裸の私を
打擲
(
ちょうちゃく
)
した。私の幼い頃、大人からよく聞かされた歌に、こんなのがある。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
その上、おきみ! 貴様の見張りようが悪かったと言って、おきみをうち
打擲
(
ちょうちゃく
)
なさるんです。いくらご主人でもあれじゃなんぼなんでも——
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
僕は眼でもって、マスミの頬を
打擲
(
ちょうちゃく
)
した。眼でもって、微かに白い歯を覗かせた可愛いい薔薇色の唇を抓りあげた。それでも物足りなかった。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
向うは二男の
勢
(
いきおい
)
なれば喧嘩は
負
(
まけ
)
となったのみならず、弓の折にて
打擲
(
ちょうちゃく
)
され、額に残る此の
疵
(
きず
)
も其の時打たれた疵でございます
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「やがては、ゆるりと
磔柱
(
はりき
)
にかって、休まるる
体
(
からだ
)
じゃなど
悪口
(
あっこう
)
し、あまつさえ手をあげて、
打擲
(
ちょうちゃく
)
さえしたものでござる。」
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼女はその種の多くの女らと同じく、日々一定量の
愛撫
(
あいぶ
)
を与え、また一定量の
打擲
(
ちょうちゃく
)
と
罵詈
(
ばげん
)
とをなさねば納まらなかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それ故公も時に道阿弥の存在を
呪
(
のろ
)
い、しば/\彼を
面罵
(
めんば
)
し、
打擲
(
ちょうちゃく
)
し、寧ろ斬り捨てるに
如
(
し
)
かずと決心して、白刃を擬したことも一再ではないらしい。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
平人の身としてこれを殺しこれを
打擲
(
ちょうちゃく
)
すべからざるはもちろん、指一本を賊の身に加うることをも許さず、ただ政府に告げて政府の裁判を待つのみ。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
工匠らの出現によって
肝
(
きも
)
を消す皇子、喜び勇む姫、あるいは工匠らを血の流るるまで
打擲
(
ちょうちゃく
)
して山に隠るる皇子などの姿は、決して涙なき滑稽でない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
亭主
(
ていしゅ
)
は上さんに公然と眼の前で、彼女を情婦にしていた。彼女は肺病だった。死んでしまった。フランソアーズは
打擲
(
ちょうちゃく
)
や汚行のなかに育っていった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼を見棄てて行ったのは、狼狽のあまりか、それとも彼の悪口や
打擲
(
ちょうちゃく
)
に意趣返しをするためか、私にはわからない。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
その
後
(
のち
)
他の獣
們
(
ら
)
の
風聞
(
うわさ
)
を聞けば、彼の黄金丸はその
夕
(
ゆうべ
)
、
太
(
いた
)
く
人間
(
ひと
)
に
打擲
(
ちょうちゃく
)
されて、そがために前足
痿
(
な
)
えしといふに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
一日例のごとく
聞
(
きこ
)
し召し過ぎ、例の
打擲
(
ちょうちゃく
)
がうるさいから
檻
(
おり
)
の戸を開けて六脚の豕を出してその跡に治まり返る。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
女中や下男が義夫に同情して、義夫をかばうようにしますと、それがまた却って妻の怒りを買い、後には、大した理由もなく義夫を
打擲
(
ちょうちゃく
)
するようになりました。
安死術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
しかし子供の不従順に対しては厳格であった。「子供を
打擲
(
ちょうちゃく
)
するのはいやなものだ、あと一日気持が悪い」
レーリー卿(Lord Rayleigh)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
阪井が柳を
打擲
(
ちょうちゃく
)
して負傷させたということはすぐ全校にひびきわたった。上級の同情は
一
(
いつ
)
に柳に集まった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ちょうど利三郎は、尾州の用材を牛につけて、
清水谷下
(
しみずだにした
)
というところにかかった時であったという。三人の雲助がそこへ現われて、竹の
杖
(
つえ
)
で利三郎を
打擲
(
ちょうちゃく
)
した。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
打擲
(
ちょうちゃく
)
という字は
折檻
(
せっかん
)
とか
虐待
(
ぎゃくたい
)
とかいう字と並べて見ると、
忌
(
いま
)
わしい残酷な響を持っている。嫂は今の女だから兄の行為を全くこの意味に解しているかも知れない。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私がどんなに道理を申し上げても足りなくお思いになるのでしたなら、私を
打擲
(
ちょうちゃく
)
でも何でもしてください。あの女王様の心は私よりも高い身分の方にあったのです。
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この日ごろの
打擲
(
ちょうちゃく
)
に引きむしられた頭髪がちらばって、部屋じゅうに燃える眼に見えぬ
執炎業火
(
しゅうえんごうか
)
。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そやけど、美津さん、
怨
(
うら
)
みにばかり、思いやすな。何百人か人目の前で、
打擲
(
ちょうちゃく
)
されて、
熟
(
じっ
)
と
堪
(
こら
)
えていやはったも、辛抱しとげて、
貴女
(
あんた
)
と一所に、添遂げたいばかりなんえ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道場へいってみると、門人たちは
居堪
(
いたたま
)
らなかったとみえて誰もいず、師の市郎左衛門が
俯伏
(
うつぶ
)
せにうずくまっている武田平之助の
背
(
せな
)
へ、竹刀でぴしぴしと烈しい
打擲
(
ちょうちゃく
)
をくれていた。
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
良人を
凌圧
(
りょうあつ
)
したり、妻を虐待したり、我子を
打擲
(
ちょうちゃく
)
したりする男女は、如何に民主主義を口にしても、その実質は各人に固有する「平等の権利」を解しない専制主義者、官僚主義者
婦人も参政権を要求す
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
浮きつ沈みつしていた
件
(
くだん
)
の若ざむらい二人は、それでも命からがら起き上り、向うの岸へのたりついて、
這
(
は
)
い上り、水びたしになり、
打擲
(
ちょうちゃく
)
に痛むからだで、びっこを引き引き向うの道へ
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここは時代中の世話場にて、「布引滝」九郎助住家の
俤
(
おもかげ
)
あり。入江長兵衛が光俊を討たんため
贋狐憑
(
にせきつねつき
)
となりて入込み、光俊が武士をやめむといひて菖蒲の方の
打擲
(
ちょうちゃく
)
に逢ふなど
在来
(
ありきたり
)
の筋なり。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
しゅろはこの
打擲
(
ちょうちゃく
)
にたえかねて、葉をわなわなとふるわせるのでありました。おお、もしも彼女に声があったなら、どんなに物すごい
忿怒
(
ふんぬ
)
の叫びを、園長は耳にしたことでありましょうか。
アッタレーア・プリンケプス
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
打ち
打擲
(
ちょうちゃく
)
はまだしもの事、
或
(
ある
)
時などは、
白魚
(
しらお
)
の様な細指を引きさいて、赤い血が流れて痛いので
妻
(
かない
)
が泣くのを見て、カラカラと笑っていると云った様な実に
狂気
(
きちがい
)
じみた冷酷の処置であった。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
ミチも、そんな世界へ行こうとは考えて居なかったが、勇の、若い猛獣の不機嫌さを思わせる、兇暴な
荒
(
すさ
)
み方は
堪
(
た
)
えられず、彼の
打擲
(
ちょうちゃく
)
に唇を噛みしめながらも、金を得る
方途
(
ほうと
)
を考え続けた。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
道徳上何の悪意もなき者を
打擲
(
ちょうちゃく
)
するに至りてはその害、悪事を看過するよりもなほ甚だしからんか。これら不理の懲戒を受けたる者、残忍酷薄の人たらずんば必ず
猜疑褊狭
(
さいぎへんきょう
)
の人たるべきなり。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
と、怒りの形相物凄く、金剛杖をおっ取って、散々に
打擲
(
ちょうちゃく
)
する。関守の富樫は、義経主従と看破してはいるものの弁慶の誠忠に密かに涙し、疑い晴れた、いざお通りめされと一同を通してやる。
ながうた勧進帳:(稽古屋殺人事件)
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
毒虫を必死になりて
打擲
(
ちょうちゃく
)
す
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
お前を
打擲
(
ちょうちゃく
)
すると
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
御法度にも拘らず重ね/\不届きな次第といふので下知して暇乞の連中を
打擲
(
ちょうちゃく
)
させたが、打たれると却つて悦ぶ始末で手がつけられない。
島原一揆異聞
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
お静への
打擲
(
ちょうちゃく
)
折檻
(
せっかん
)
はむろんのことににらんだとおりで、今までも近所かいわいに評判なほどでしたが、ことに浪人者の不審なる
入水
(
じゅすい
)
以後は
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
怒った時には、
縄切
(
なわきれ
)
を振りまわしてエルサレムの宮の商人たちを
打擲
(
ちょうちゃく
)
したほどの人である。決して、色白の、やさ男ではない。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
余の話の声など立てて妨ぐればこそ、感涙を流して謹み聞けるものを
打擲
(
ちょうちゃく
)
するは、と人々も苦りきって、座もしらけて
其儘
(
そのまま
)
になって
終
(
しま
)
った。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
擲
漢検1級
部首:⼿
18画
“打”で始まる語句
打
打棄
打捨
打殺
打倒
打明
打付
打笑
打遣
打毀