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あっぱれ
ふりがな文庫
“
天晴
(
あっぱれ
)” の例文
天晴
(
あっぱれ
)
天下の物知り顔をしているようで今日から見れば
可笑
(
おか
)
しいかもしれないが、彼のこの心懸けは決して悪いことではないのである。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
おまけにこの先生ときては、
天晴
(
あっぱれ
)
悟りをひらいて当代の大聖人と仰がれるようになってから、夢に天女と
契
(
ちぎ
)
りをむすんで、夢精した。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
大声嘈々
驟雨
(
ゆうだち
)
の井を
倒
(
さかさ
)
にするごとく、小声切々
時雨
(
しぐれ
)
の落葉を打つがごとく、とうとう一の小河を成して現存すとは、
天晴
(
あっぱれ
)
な吹きぶりじゃ。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いや、その間だけは恋の無常さえ忘れていると申してもよい。じゃによって予が眼からは
恋慕三昧
(
れんぼざんまい
)
に日を送った
業平
(
なりひら
)
こそ、
天晴
(
あっぱれ
)
知識じゃ。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「聞く度に珍らしければ
郭公
(
ほととぎす
)
いつも初音の心地こそすれ」と申す古歌に
本
(
もと
)
づき、銘を初音とつけたり、かほどの品を求め帰り候事
天晴
(
あっぱれ
)
なり
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
怜悧
(
りこう
)
だな。何、
天晴
(
あっぱれ
)
御会釈。いかさま、御姓名を承りますに、こなたから先へ氏素姓を申上げぬという作法はありませなんだ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
覚悟
極
(
き
)
むればなかなかに、
些
(
ちっと
)
も騒がぬ狐が本性。
天晴
(
あっぱれ
)
なりと
称
(
たた
)
へつつ、黄金丸は牙を
反
(
そ
)
らし、やがて咽喉をぞ噬み切りける。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
聞いてる以上は、一生にたった一度でいいから、八五郎は
天晴
(
あっぱれ
)
だ——と言われてみてえ、それには何か、心掛けのようなものがありゃしませんか
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それも自分の家へ飼って置いては発見される怖れがあるから、人の近寄らない殺生谷の裸岩に隠して置き、必要に応じて使ったところは
天晴
(
あっぱれ
)
だ。
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暗夜とは云っても黄浦河の上で堂々と汽船を奪った手並みは敵ながら
天晴
(
あっぱれ
)
のものだったよ。しかも手段が支那式で滑稽味を帯びていて面白かった
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
予が講義を聴かれて「
天晴
(
あっぱれ
)
慧しき子かな、これまで巡廻せし学校生徒のうちに比べる者なし」と校長に語られたりと。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
それを、正義だの、青年の仲間だのと言って、僕たちを言いくるめて、いい加減に踊らせたのだから
天晴
(
あっぱれ
)
れな
伎倆
(
ぎりょう
)
だ。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
天晴
(
あっぱれ
)
仕出かした。今日の一番功ありてこそ誠にわが孫じゃぞ。御身の武勇
唐
(
もろこし
)
の
樊噲
(
はんかい
)
にも
右
(
みぎ
)
わ
勝
(
まさ
)
りに見ゆるぞ。まことに日本樊噲とは御身のことじゃ」
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「御親類の若い御嬢さんでもあると、こんな時には御相手にいいですがね」と云いながら
不調法
(
ぶちょうほう
)
なる余にしては
天晴
(
あっぱれ
)
な出来だと自分で感心して見せた。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これを実際にやってのけたのだから、日本の鉄道の人たちは
天晴
(
あっぱれ
)
なものだった。踏切や町かどの交通整理を引受けて、働いた青年団員も、実に偉かった。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かれの勇名は乃木大将の耳にもはいって、敵ながらも
天晴
(
あっぱれ
)
とあって将軍から感状をはじめ色々の物を贈られたのを、彼はいまだに大切に保存しているという。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
『
天晴
(
あっぱれ
)
の手並だ!』とクイックシルヴァは叫びました。『急いでその首を魔法の袋の中へ入れるんだ。』
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
大きな不覚にちがいないが、かくまで鮮やかに受けた不覚に対しては、戦国武者のあいだでは、敵ながら
天晴
(
あっぱれ
)
なものとして、一時の歓呼を惜しまなかったのみか
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手負の物語はだれ
易
(
やす
)
きものなるをだれさせぬ腕前
天晴
(
あっぱれ
)
にて「結んだ縄もしやらほどけ」あたりの名文句を例のどすのきく調子にて
上手
(
じょうず
)
に云ひ廻し、充分に泣かせたり。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
そうするとよしその計を看破られても元々だし、敵が軽々に信じて終えば、吸取紙の字から推断されるだろう所の本当の場所を知られずにすむ。敵ながら
天晴
(
あっぱれ
)
の方法じゃないか
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
と悟るに付けて斯様な草深い田舎に身柄と云い器量と云い
天晴
(
あっぱれ
)
立派な主人が埋められかかったのを思うと、
凄然
(
せいぜん
)
惻然
(
そくぜん
)
として家勝も悲壮の感に打たれない訳には行かなかったろう。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
天晴
(
あっぱれ
)
東洋の舞台の
大立物
(
おおだてもの
)
を任ずる水滸伝的豪傑が寄って
集
(
たか
)
って天下を論じ、提調先生
昂然
(
こうぜん
)
として自ら蕭何を以て処るという得意の壇場が髣髴としてこの文字の表に現われておる。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
小主水の花魁は
天晴
(
あっぱれ
)
男まさりの働きがある女だから、万に一つも遣り損じはあるまいが、何をいうにも大勢の人の目を
掠
(
かす
)
めて
脱
(
ぬ
)
け出させるのだから旨く行ってくれゝば
宜
(
い
)
いがと
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
うむうむ。そうあろうとも……イヤ。
天晴
(
あっぱれ
)
で御座ったぞ平馬殿。あの時に、どう処置を
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
口角には
泡
(
あわ
)
を立て、軍服のボタンは取れ、一方の肩章は敵の近衛騎兵の剣に打たれて半ば切れ、大鷲の記章は弾丸にへこみ、全身血にまみれ、泥にまみれ、
天晴
(
あっぱれ
)
な武者振りをもって
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
……(得意げな調子で)ね、いかがです、口幅ったいことを言うようですが、なんたる
回
(
めぐ
)
り合せでしょう、とにかくね。……こうなるともう、
天晴
(
あっぱれ
)
と言いたいくらいですよ! (退場)
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
悪足掻
(
わるあがき
)
もまた一段で、
襦袢
(
じゅばん
)
がシャツになれば
唐人髷
(
とうじんわげ
)
も束髪に化け、ハンケチで
咽喉
(
のど
)
を
緊
(
し
)
め、
鬱陶
(
うっとう
)
しいを
耐
(
こら
)
えて眼鏡を掛け、
独
(
ひとり
)
よがりの人笑わせ、
天晴
(
あっぱれ
)
一個のキャッキャとなり済ました。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
幕臣また諸藩士中の
佐幕党
(
さばくとう
)
は氏を
総督
(
そうとく
)
としてこれに
随従
(
ずいじゅう
)
し、すべてその命令に従て
進退
(
しんたい
)
を共にし、北海の水戦、箱館の
籠城
(
ろうじょう
)
、その決死苦戦の
忠勇
(
ちゅうゆう
)
は
天晴
(
あっぱれ
)
の
振舞
(
ふるまい
)
にして、
日本魂
(
やまとだましい
)
の風教上より論じて
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
姉えさんがおっ母さんに対して尽している処を見ますと、その形跡から見れば、
天晴
(
あっぱれ
)
孝子です。よめにも行かないで、一身を犠牲にしておっ母さんを大切にしています。そこでその思想はどうです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
天晴
(
あっぱれ
)
なる手練、そなたというものを見つけたのは嬉しい。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次には
天晴
(
あっぱれ
)
の勇士であって、しかも優美に、おとなしい
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「ヤ。
天晴
(
あっぱれ
)
である。淳八郎も嘆くでないぞ。チョーセイは神業である。その方の不覚ではない。世にも稀代な神業があるもの哉」
落語・教祖列伝:02 兆青流開祖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
読んで独り自ら評価して居る。ただこの評価は思想を同じゅうして居ないものの評価で、
天晴
(
あっぱれ
)
批評と称して打出して
言挙
(
ことあげ
)
すべきものでないばかりだ。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お
連合
(
つれあい
)
の今の後室が、忘れずに、大事にかけてござらっしゃる、お
心懸
(
こころがけ
)
も
天晴
(
あっぱれ
)
なり、来歴づきでお宝物にされた鏡はまた錦の袋入。こいつも
可
(
い
)
いわい。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「聞かないでも分かるのか。まるで
巫女
(
いちこ
)
だね。——御前がそう
頬杖
(
ほおづえ
)
を突いて針箱へ
靠
(
も
)
たれているところは天下の絶景だよ。妹ながら
天晴
(
あっぱれ
)
な姿勢だハハハハ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誠に
天晴
(
あっぱれ
)
な大和男児の姿である。この美しい姿を眺めながら妙な夢のような事を考えてみるのであった。
札幌まで
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今日より
奢侈
(
しゃし
)
を禁じ海防のために尽くすであろう。それに致しても江戸から長崎、長い道程を大鵬を追い、ついに正体を確かめたところのそちの根気は
天晴
(
あっぱれ
)
のものじゃ。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三十七羽すぐりてこれを
庭籠
(
にわこ
)
に入れさせ、
天晴
(
あっぱれ
)
、この鶏に
勝
(
まさ
)
りしはあらじと自慢の夕より、憎からぬ人の尋ねたまい、いつよりはしめやかに床の内の首尾気遣いしたまい
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
敵ながら
天晴
(
あっぱれ
)
なことをいった。
流石
(
さすが
)
は首領として名ある人物だけのことはあった。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この奇利を
易々
(
やすやす
)
と
攫
(
つか
)
んだ椿岳の奇才は
天晴
(
あっぱれ
)
伊藤八兵衛の弟たるに恥じなかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
行儀学問も追々覚えさして
天晴
(
あっぱれ
)
の
婿
(
むこ
)
取り、
初孫
(
ういまご
)
の顔でも見たら夢の
中
(
うち
)
にそなたの母に
逢
(
あ
)
っても
云訳
(
いいわけ
)
があると今からもう
嬉
(
うれし
)
くてならぬ、それにしても髪とりあげさせ、
衣裳
(
いしょう
)
着かゆさすれば
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かような
手段
(
てだて
)
をとりましたのも、何とかして、御主君の
御
(
み
)
こころを慰め、ふたつには、武将の御最期として、すでに
天晴
(
あっぱれ
)
なお覚悟を示されながら、
可惜
(
あたら
)
、浅井長政は血迷うて亡びたなどと
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誠に
何
(
ど
)
うも、それだから娘より
私
(
わし
)
が惚れたのだ、お前の志は
天晴
(
あっぱれ
)
なものだ、其の様な奴は
突放
(
つきッぱな
)
しで
宜
(
い
)
いよ、腹は切らんでも宜いよ、
私
(
わたし
)
が
何
(
ど
)
のようにもお頭に
届
(
とゞけ
)
を出して置くよ、それから何うした
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『どうかそうしてくれ、わが
天晴
(
あっぱれ
)
の若者、』と王様も言いました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
彼は半ば口のうちで言った、「
天晴
(
あっぱれ
)
!」
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「それは、
天晴
(
あっぱれ
)
のお心付きじゃ」
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
希代
(
きたい
)
の名木なれば「聞く度に珍らしければ
郭公
(
ほととぎす
)
いつも
初音
(
はつね
)
の
心地
(
ここち
)
こそすれ」と申す古歌に
本
(
もと
)
づき、銘を初音とつけたり、かほどの品を求め帰り候事
天晴
(
あっぱれ
)
なり
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
天晴
(
あっぱれ
)
夕雲の
紅
(
くれない
)
に彩られつと見えたのは、塀に
溢
(
あふ
)
るるむらもみじ、垣根を
繞
(
めぐ
)
る
小流
(
こながれ
)
にも
金襴
(
きんらん
)
颯と
漲
(
みなぎ
)
ったので。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主人はしばらくしてグード・モーニング流にこの難解な
言句
(
ごんく
)
を呑み込んだと見えて「なかなか意味深長だ。何でもよほど哲理を研究した人に違ない。
天晴
(
あっぱれ
)
な見識だ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
敵ながら
天晴
(
あっぱれ
)
と言いたい穏当な名答。ところが先生みるみる
悄気
(
しょげ
)
かえった。とうてい我々に理解のつきかねる深刻さをもって断頭台の人の如く顔色を改めたそうである。
天才になりそこなった男の話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
“天晴”の意味
《名詞》
天晴(テンセイ)
空が晴れわたること。天青。
《形容動詞・感動詞》
天晴(あっぱれ)
「あっぱれ」の漢字表記。
(出典:Wiktionary)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
晴
常用漢字
小2
部首:⽇
12画
“天晴”で始まる語句
天晴々々
天晴天晴
天晴武者振