報酬はうしう)” の例文
しか労力らうりよく仕払しはらふべき、報酬はうしうりやう莫大ばくだいなるにくるしんで、生命いのちにもへて最惜いとをし恋人こひびとかりうばふて、交換かうくわんすべき条件でうけんつる人質ひとじちたに相違さうゐない。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘次かんじ異常いじやう勞働らうどうによつて報酬はうしうようとする一ぱうに一せんいへど容易よういふところげんじまいとのみ心懸こゝろがけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
安値あんちよく報酬はうしう學科がくくわ教授けうじゆするとか、筆耕ひつかうをするとかと、奔走ほんそうをしたが、れでもふやはずのはかなき境涯きやうがい
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
目下弁護事務にてすこぶる有望の事件を担当し居り、この事件にして成就じやうじゆせば、数万すまん報酬はうしうを得んこと容易なれば、其上そのうへにてすべて花々しく処断すべし、何卒なにとぞ暫しの苦悶を忍びて
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
そのかは宗助そうすけ自分じぶん家屋敷いへやしき賣却方ばいきやくかたつい一切いつさいこと叔父をぢ一任いちにんして仕舞しまつた。はやふと、急場きふば金策きんさくたいする報酬はうしうとして土地とち家屋かをく提供ていきようしたやうなものである。叔父をぢ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
療治れうぢ報酬はうしう藥箱くすりばこ進物しんもつといふのは、すこへんだが、本道ほんだうのほかに外療げれう巧者かうしや玄竹げんちくは、わかもの怪我けが十針とはりほどもつて、いとからんだ血腥ちなまぐさいものを、自分じぶんくちるといふやうな苦勞くらうまでして
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
稻草いなぐさもつ空地くうちうづめることが一にちでもすみやかなればそれだけ餘計よけい報酬はうしう晩秋ばんしう收穫しうくわくおいあたへるからとをしへて自然しぜん百姓ひやくしやう體力たいりよくおよかき活動くわつどうせしめる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
勳章くんしやうだとか、養老金やうらうきんだとかふものは、徳義上とくぎじやう資格しかくや、才能さいのうなどに報酬はうしうされるのではなく、一ぱん勤務つとめ其物そのものたいして報酬はうしうされるのでる。しからばなん自分計じぶんばか報酬はうしうをされぬのでらう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
如何いかんとなれば、乘客等じようかくらしかころしてじんさむとせし、この大聖人だいせいじんとく宏大くわうだいなる、てん報酬はうしうとしてかれ水難すゐなんあたふべき理由いはれのあらざるをだんじ、かゝ聖僧せいそうともにあるものは、この結縁けちえんりて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
百姓等ひやくしやうらいそがしくわらたわらんでこめれてはる以來いらい報酬はうしう目前もくぜんんでよろこぶのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)