北海ほっかい)” の例文
「クリムスビーというと、北海ほっかいそそぐハンバー河口かこうを入って、すぐ南側にある小さい町です。河口は、なかなかいい港になっています」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この北海ほっかいうえばかりでも、いくひきの子供こどもをなくしたあざらしがいるかしれない。しかし、おまえは、子供こどもにやさしいから一ばいかなしんでいるのだ。
月とあざらし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのオナガガモを見ろよ!」と、きりの中からさけぶ声が聞こえます。「北海ほっかいのほうへぎゃくもどりしているじゃないか!」
と、策を議して、北海ほっかい山東省さんとうしょう・寿光県)に急使を派し、孔子二十世の孫で泰山の都尉とい孔宙こうちゅうの子孔融こうゆうに援けを頼んだ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれはその壮時そうじにおいて加賀かが銭屋内閣ぜにやないかくが海軍の雄将ゆうしょうとして、北海ほっかいの全権を掌握しょうあくしたりし磁石じしゃく又五郎またごろうなりけり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さっそく北海ほっかいの上に使いが飛び、蘇武は単于のていにつれ出された。李陵りりょうの心はさすがに動揺した。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
北海ほっかい梅雨つゆの港にかゝり船
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
わたしたちにも故郷こきょうがあります。それは、とお北海ほっかいなかしまです。そこには、どんなにりんごのがたくさんあることか。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし諸君が、北海ほっかいの地図をひき、ユトランド諸島のあたりを子細しさいに検討するなら、そこに或る暗示を得るだろう。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
数年後、今一度李陵は北海ほっかいのほとりの丸木小舎ごやたずねた。そのとき途中で雲中うんちゅうの北方をまも衛兵えいへいらに会い、彼らの口から、近ごろ漢の辺境では太守たいしゅ以下吏民りみんが皆白服をつけていることを聞いた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
まだ幼年ようねんかれは、このおとをはるかのあら北海ほっかいをいく、汽船きせんふえともきました。いえからそとして、ひと往来おうらいっていると、かぜが、かれみみもとへ
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜の北海ほっかいの、あの冷いしおひたっていたのであるから、まことに御念の入ったことであった——という訳は、わがロイヤル・オーク号は、昨夜、スカパフロー港の底に沈んでしまったのである。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まだ所々に雪の残っている川岸を進むこと数日、ようやく北海ほっかいあおい水が森と野との向こうに見え出したころ、この地方の住民なる丁霊族ていれいぞくの案内人は李陵の一行を一軒の哀れな丸太小舎ごやへと導いた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そして、ひろ野原のはら横切よこぎり、あるときは、やまいただきえて、ついに、なつのはじめのころには、はるかに、あおい、あおい、北海ほっかいえる地方ちほうたっしたのでした。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なにが、そんなにつまらない。」と、ほしがいいました。そのおおきなほしは、北海ほっかいそらおうさまだったのです。
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たちは、りんごのはなからいた、北海ほっかいなかにあるうつくしいしまかって、大旅行だいりょこうくわだてることを決議けつぎしたのでした。そして、そのことをはなかってはなしました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かい種類しゅるいのいたってすくない北海ほっかいには、こんなかいがらは、めずらしいものかしれないけれど、なみおだやかなみなみ海岸かいがんには、もっときれいなかいがらがすくなくなかったのでした。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、猟師りょうしたちが、いくそうかの小舟こぶねっておきていきました。さお北海ほっかい水色みずいろは、ちょうどあいながしたように、つめたくて、うつくしかったのであります。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただ北海ほっかいなみおとこえるだけのひろさにかぎっていました。そして、ほかのより、水気みずけがあって、あまかったけれど、また、なんとなく、そのあじには、あわかなしみがありました。
そんなときに、とおくゆく、ふねのほばしらのいただきに、あかはたのなびくのをて、わたしは、どんなにかなしく、なつかしくおもったでしょう。わたしは、いまあなたの姿すがたて、北海ほっかいこいしくなりました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
北海ほっかいなつ夕暮ゆうぐれの景色けしきなどをおもして、いろいろ空想くうそうしたにすぎなかった。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そののことであります。このまちから火事かじて、おりしもつのった海風かいふうにあおられて、一軒けんのこらずきはらわれてしまいました。いまでも北海ほっかい地平線ちへいせんにはおりおりくろはたえます。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あなたがこのさびしい野原のはらに、こうしてひとりでたよりなくいていられるのは、あのはたが、荒々あらあらしい、北海ほっかいなみあいだにひらめくのとおなじだとかんがえられるのです。あなたは、さびしくはありませんか。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、永久えいきゅう白鳥はくちょうは、北海ほっかいおうとなったのであります。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)