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力瘤
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ちからこぶ
ふりがな文庫
“
力瘤
(
ちからこぶ
)” の例文
「お前はまた、何んの引つ掛りで、お糸坊とやらに
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れるんだ。向柳原から神樂坂ぢや、唯の知合ひにしては遠過ぎやしないか」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうかと言って、ここからでは弥次も飛ばせず、退屈まぎれに事のなりゆきを遠目に眺め渡して、むだな
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れるばかりです。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
うん、田口
卯吉
(
うきち
)
というのだ。あれなんぞが友達だったのだ。旧思想の破壊というような事に、恐ろしく
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れていたのだな。
里芋の芽と不動の目
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
徴兵の一件などにも
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて尽力されたことなどが、彼に取っては面白く思わなかったのも人間としては無理ならぬことと思われます。
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
警官は
力瘤
(
ちからこぶ
)
が
脱
(
ぬ
)
けて、向うへ行ってしまいました。私はそのお医者さまの手をとらんばかりにして、兄の倒れている二階の室へ案内しました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「免職に成ッて
懐淋
(
ふところざみ
)
しいから、今頃帰るに食事をもせずに来た」ト思われるも残念と、つまらぬ所に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて、文三はトある牛店へ立寄ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
憐れな運命の持主に
満腔
(
まんこう
)
の同情を寄せると同時に、そんな人々が正義の力によって救われて行く筋道を、自分の事のように
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて読み続けた。
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二葉亭の文学というは満身に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて
大上段
(
おおじょうだん
)
に振りかぶる真剣勝負であって、
矢声
(
やごえ
)
ばかりを
壮
(
さか
)
んにする
小手先
(
こてさき
)
剣術の見せ物試合でなかったから
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
荒町にある村社
諏訪
(
すわ
)
分社の
禰宜
(
ねぎ
)
松下千里はもとより、この祭りを盛んにすることにかけては
神坂
(
みさか
)
村小学校の訓導小倉啓助が大いに
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人生のずれたところへ
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて、わきめもふらない女の哀れな憎々しさ。それが、この自分にあるのだろうか。
風知草
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ハイカラ的
丸髷
(
まるまげ
)
の亡者が
徘徊
(
はいかい
)
するとの噂が町内に広がり、物好きの男が第一番に正体を見あらわしてやらんと、しようもないところに
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れ、一夜
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「お前え、それから岸野がワザワザ小樽から出てきて、とッても青訓や青年団さ
力瘤
(
ちからこぶ
)
ば入れてるッて知らねべ。」
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
もっとも俺は、下品な育ちだから、
放
(
ほ
)
って置かれても、実を結ぶのさ。軽蔑し給うな。これでも奥さんのお気に入りなんだからね。この実は、俺の
力瘤
(
ちからこぶ
)
さ。
失敗園
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
やがて二の腕へ
力瘤
(
ちからこぶ
)
が急に出来上がると、水を含んだ手拭は、岡のように肉づいた背中をぎちぎち
磨
(
こす
)
り始める。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
色々入り込んだ訳もあろうがさりとては
強面
(
つれなき
)
御頼
(
おたの
)
み、縛った
奴
(
やつ
)
を
打
(
ぶ
)
てとでも
云
(
い
)
うのならば
痩腕
(
やせうで
)
に豆
計
(
ばかり
)
の
力瘤
(
ちからこぶ
)
も出しましょうが、いとしゅうていとしゅうて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しばらくの間、それを、
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れた両腕の先に握っていた——多くの眼が輝いていた。人々の口が息づまるように開いていた。——彼は薪を膝にあてた。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
引見んと思ひ
是
(
これ
)
は
不調法仕
(
ぶてうはふつかま
)
つりましたと云ながら持て
座敷
(
ざしき
)
へ上んとするに少しも
持上
(
もちあが
)
らずウン/\と云て
力瘤
(
ちからこぶ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大いに晴れがましく世間へ喧伝させたいという——門下の者としては当然な
力瘤
(
ちからこぶ
)
も入れる気になって、試合場所の蓮台寺野からそう遠くないこの原にかたまり
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうですか。それは
好
(
よ
)
い事を聞きました。そんな怪物には何年にも、出合った事がありませんから、話を聞いたばかりでも、
力瘤
(
ちからこぶ
)
の動くような気がします。」
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小宮君は初めから安達君に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れていましたから、人の好意を無にするのかって、憤ってしまいました
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのような非人情的な運動に、他人の感触を害してまで
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れられる必要が何処にあるでしょうか。
婦人指導者への抗議
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
つまらなく見当ちがいな方面に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れるために、不自然な線ができて、識者から認められないというような結果を招く実例は、習書家に見る常態であります。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
彼は若い時、東京に出たときに労働をやった時の名残りに、残っている二の腕の
力瘤
(
ちからこぶ
)
を思わず
撫
(
な
)
でた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と
力瘤
(
ちからこぶ
)
を叩けば、得三は
夥度
(
あまたたび
)
頭
(
こうべ
)
を振り、「うんや、汝には対手が過ぎるわ。
敏捷
(
すばしこ
)
い事ア狐の様で、どうして喰える代物じゃねえ。しかし
隙
(
すき
)
があったら
殺害
(
やッつけ
)
ッちまえ。」
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こっちには松山の伯父さんもいられるし、これもうんと
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れているように
吹聴
(
ふいちょう
)
したでしょう
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
国民兵などと
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れるけれども、必ずしも兵営生活をするものが国民兵という訳ではない。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ズッと出て太い手をついて
斯
(
こ
)
う拳を握り詰めますると、
力瘤
(
ちからこぶ
)
というのが腕一ぱいに満ちます、
見物
(
けんぶつ
)
は今角力と剣術遣との喧嘩が有るというので近村の者まで喧嘩を見に参る
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何も結構な家に生れて
世過
(
よす
)
ぎに不自由のない娘をそれほどに教え込まずとも
鈍根
(
どんこん
)
の者をこそ一人前に仕立ててやろうと
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れているのに、何という心得違いをいうぞといった
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そうして各自の部落を代表して、あたればその村が神の
思召
(
おぼしめ
)
しにかない、一年中の仕合せを取るとしていたのだから、周囲の人たちも今日の声援団以上に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れたのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今初まったでもないが困った始末、ただ感心なのはあの男と、永年の勤労が位を進め、お名前を
聞
(
きく
)
さえが堅くるしい同郷出身の何がし殿が、縁も無いに
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて
褒
(
ほめ
)
そやしたは
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
わけはいずれあとでわかるが、左膳の大事であってみれば、おれも、いや、お前こそは——はっははは、まんざら
力瘤
(
ちからこぶ
)
のはいらぬというわけはあるまいな。その気でぬからず頼む。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼等は論理というものに
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れる。すなわち理法によって他の承諾を強要する。民族的反感からは信用したくない人でも、論理の前には屈伏しなければならない事を知っているから。
アインシュタイン
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
柱にすがっている一人の女の、両方の肩は
力瘤
(
ちからこぶ
)
のため、
肉腫
(
にくしゅ
)
のようにふくれあがっている。柱に巻きついている一人の女の、弓形をなしたふくら
脛
(
はぎ
)
は、ところどころから血を流している。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小林勇氏が大変
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れてくれて、私の前の雪の記事の中から適当なものを取り出してくれたり、それから色々な雪の
旧
(
ふる
)
い文献とか新しい雪国生活の記録とかを持ち出してくれたりしたので
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
二、三年前までは、どんな事件にぶつかっても、なに
糞
(
くそ
)
という競争心があって
力瘤
(
ちからこぶ
)
が入ったし、自分から難しい仕事に当たってみたいという気もあったが、この節ではそんな元気も起こらない。
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
お文さんは二度までも語尾にこの国独特の
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れた。
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
左団次
贔屓
(
ひいき
)
の
力瘤
(
ちからこぶ
)
は大変だった。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「八、何んだか知らねエが、ひどく心得てゐるぢやないか。それほど
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れるならお前が
埒
(
らち
)
をあけてやつたらよからう」
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お祭だ! お祭の一種に相違ないという観念が頭へ来たものですから、米友も思わず
力瘤
(
ちからこぶ
)
を解いていると、駄馬に附添の番頭は心得たもので
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
木乃伊
(
ミイラ
)
の爺さん一杯機嫌らしく、片肌を脱いで二の腕を曲げて見せると、真四角い
木賃宿
(
きちんやど
)
の木枕みたいな
力瘤
(
ちからこぶ
)
が出来た。指で
触
(
さわ
)
ってみると鉄と同じ位に固い。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
世界大戦は済んだとは云え、何処か知らで大なり小なりの
力瘤
(
ちからこぶ
)
を出したり青筋を立てたり、鉄砲を向けたり
堡塁
(
ほるい
)
を造ったり、造艦所をがたつかせたりしている。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
襷
(
たすき
)
鉢巻
(
はちまき
)
に
股立
(
ももだち
)
取って、満身に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れつつ
起上
(
たちあが
)
って、右からも左からも打込む
隙
(
すき
)
がない身構えをしてから、
曳
(
えい
)
やッと
気合
(
きあい
)
を掛けて打込む命掛けの勝負であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ヤッサモッサ
捏返
(
こねかえ
)
している所へ
生憎
(
あやにく
)
な来客、しかも
名打
(
なうて
)
の
長尻
(
ながっちり
)
で、アノ
只今
(
ただいま
)
から団子坂へ参ろうと存じて、という言葉にまで
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて見ても、まや薬ほども
利
(
き
)
かず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「さあ、やられた!」と身を
悶
(
もだ
)
えて騒げば、車中いずれも同感の色を動かして、
力瘤
(
ちからこぶ
)
を握るものあり、
地蹈韛
(
じだたら
)
を踏むもあり、奴を
叱
(
しっ
)
してしきりに
喇叭
(
らっぱ
)
を吹かしむるもあり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一層
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れることにはなったが、庸三と取り組んでの恋愛事件がひどく世間の感情を害していた最中でもあったので、情熱的な彼女の作品も大向うから声はかからなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
毎晩なので、露八は疲れたし、本業の方も打っちゃらかしではあるが、健吉の窮状と、頼むと云われた一言で、
大童
(
おおわらわ
)
になって、この撃剣見世物試合の小屋へ、
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貞之助なども、今迄は大概
埒外
(
らちがい
)
に立っていて、お役目に引っ張り出される程度であったのに、今度はひどく
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて
斡旋
(
あっせん
)
をしたし、それに、雪子も今迄とは違ったところがあった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こんな調子は、旧時代の
地方
(
じかた
)
御役所にはなかったことだ。ことに尾州藩から来た木曾谷の新しい支配者が宿駅助郷の一致に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れていることは、何よりもまず半蔵をうなずかせる。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
横田
嘲笑
(
あざわら
)
いて、それは
力瘤
(
ちからこぶ
)
の入れどころが相違せり、一国一城を取るか
遣
(
や
)
るかと申す場合ならば、
飽
(
あ
)
くまで伊達家に
楯
(
たて
)
をつくがよろしからん、高が四畳半の
炉
(
ろ
)
にくべらるる木の切れならずや
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ドイツでは一八九九年以来高層気象観測所を公設し、ことにカイゼル自身がこの方に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れて奨励した。カイゼルの
胸裡
(
きょうり
)
にはその時既に空中襲英の問題が明らかに画かれていたと称せられている。
戦争と気象学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
力
常用漢字
小1
部首:⼒
2画
瘤
漢検1級
部首:⽧
15画
“力”で始まる語句
力
力業
力強
力量
力者
力士
力味
力餅
力任
力足