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べつじん
ふりがな文庫
“
別人
(
べつじん
)” の例文
広子はうっかりこう言った
後
(
のち
)
、たちまち
軽率
(
けいそつ
)
を後悔した。けれども辰子はその時にはもう
別人
(
べつじん
)
かと思うくらい、顔中に喜びを
漲
(
みなぎ
)
らせていた。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
承まはりしに馬喰町人殺は
別人
(
べつじん
)
なる由全く彦兵衞の
所業
(
しよげふ
)
に非ず然るを家主八右衞門
熟々
(
よく/\
)
糺
(
たゞし
)
も仕つらず御所刑と致候段
殘念
(
ざんねん
)
に
存
(
ぞんじ
)
小腕
(
こうで
)
ながらも敵討を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
伯爵はいつもの伯爵とは
別人
(
べつじん
)
のように、ごうまんな態度でいいはなった。そしてまた望遠鏡をとりあげて、洞窟のまん中あたりをさがしにかかるのだった。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いち早くも、梅雪の前をはしりぬけて、れいの——伊那丸がおしこめられてある
鎖駕籠
(
くさりかご
)
の屋根へ、ヒラリととびあがって八ぽうをにらみまわした者は、
別人
(
べつじん
)
ならぬ
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが
丁度
(
ちやうど
)
玄竹
(
げんちく
)
に
取
(
と
)
つて
幸
(
さいは
)
ひなことには、
多田院別當
(
ただのゐんべつたう
)
英堂和尚
(
えいだうをしやう
)
が
病氣
(
びやうき
)
になつて、
開帳中
(
かいちやうちう
)
のことだから、
早
(
はや
)
く
本復
(
ほんぷく
)
させないと
困
(
こま
)
るといふので、
玄竹
(
げんちく
)
のところへ
見舞
(
みまひ
)
を
求
(
もと
)
むる
別人
(
べつじん
)
が
來
(
き
)
た。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
靨
(
えくぼ
)
を
見
(
み
)
せないのはまだしも、まるで
別人
(
べつじん
)
のようにせかせかと、
先
(
さき
)
を
急
(
いそ
)
いでの
素気
(
すげ
)
ない
素振
(
そぶり
)
に、一
同
(
どう
)
も
流石
(
さすが
)
におせんの
前
(
まえ
)
へ、
大手
(
おおで
)
をひろげる
勇気
(
ゆうき
)
もないらしく、ただ
口
(
くち
)
だけを
達者
(
たっしゃ
)
に
動
(
うご
)
かして
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼等
(
かれら
)
の
間
(
あひだ
)
には
異分子
(
いぶんし
)
を
交
(
まじ
)
へて
居
(
を
)
らぬ。
彼等
(
かれら
)
は
時
(
とき
)
によつては
怖
(
おそ
)
れて
控目
(
ひかへめ
)
にしつゝ
身體
(
からだ
)
が
萎縮
(
すく
)
んだやうに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
る
程
(
ほど
)
物
(
もの
)
に
臆
(
おく
)
する
習慣
(
しふくわん
)
がある。
然
(
しか
)
し
恁
(
か
)
うして
儕輩
(
さいはい
)
のみが
聚
(
あつ
)
まれば
殆
(
ほと
)
んど
別人
(
べつじん
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
種畜場以来
(
しゅちくじょういらい
)
この人を知ってる人の話を聞くと、
糟谷
(
かすや
)
の
奥
(
おく
)
さんは、種畜場にいた
時分
(
じぶん
)
とはほとんど
別人
(
べつじん
)
のようにおもざしが
変
(
か
)
わってしまった、
以前
(
いぜん
)
はあんなさびしい人ではなかったというている。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
室内
(
なか
)
からは、
別人
(
べつじん
)
のように町人町人した、若松屋惣七の声がしている。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その
人
(
ひと
)
は、
気
(
き
)
むずかしく、
家庭
(
かてい
)
では、なにか
気
(
き
)
にいらぬことでもあれば、
罪
(
つみ
)
のない
細君
(
さいくん
)
をしかり、
子供
(
こども
)
をなぐったりしたのに、
出社
(
しゅっしゃ
)
して、
上役
(
うわやく
)
の
前
(
まえ
)
では、まったく
別人
(
べつじん
)
のごとく、
頭
(
あたま
)
をぺこぺこして
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
驚き何者の
所爲
(
しわざ
)
なるかと見返へれば是
則
(
すなは
)
ち
別人
(
べつじん
)
ならず彼の
飯焚
(
めしたき
)
の宅兵衞なれば吾助は大いに怒り
汝
(
おのれ
)
如何なれば掛る
振舞
(
ふるまひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
僕
(
ぼく
)
は又滝田
君
(
くん
)
の
病中
(
びょうちゅう
)
にも一
度
(
ど
)
しか
見舞
(
みま
)
うことが出来なかった。滝田
君
(
くん
)
は
昔
(
むかし
)
夏目先生が「金太郎」とあだ名した滝田
君
(
くん
)
とは
別人
(
べつじん
)
かと
思
(
おも
)
うほど
憔悴
(
しょうすい
)
していた。
滝田哲太郎君
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
潜水艦から離れた艦上機の操縦席についていたのは、
別人
(
べつじん
)
ならぬ
花川戸
(
はなかわど
)
の
鼻緒問屋
(
はなおどんや
)
の二番息子の
直二
(
なおじ
)
であった。前に戦死と
認知
(
にんち
)
されて、死亡通知の発せられた
幽霊人
(
ゆうれいじん
)
だった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが、とつぜん、
雲
(
くも
)
が
切
(
き
)
れて、
青
(
あお
)
い
空
(
そら
)
がのぞき、
黄金色
(
おうごんいろ
)
の
矢
(
や
)
のような、
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
がさすと、さっきまでのゆううつが、どこかあとかたもなく
消
(
き
)
えてしまって、
心
(
こころ
)
までが
別人
(
べつじん
)
のごとく
変
(
か
)
わるのでした。
世の中のために
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
酒中
(
しゅちゅう
)
別人
(
べつじん
)
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頼んで片付んと
獨
(
ひとり
)
思案の其折から入來る兩人は
別人
(
べつじん
)
ならず日頃
入魂
(
じゆこん
)
の後家のお定に彼の
早乘
(
はやのり
)
の三次成れば長庵
忽地
(
たちまち
)
笑
(
ゑみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ダリアの救いを求めた帆村は、
最早
(
もはや
)
、先刻、
射的
(
しゃてき
)
で遊んだ帆村とは
別人
(
べつじん
)
のようであった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私
(
わたくし
)
は
昂然
(
かうぜん
)
と
頭
(
あたま
)
を
擧
(
あ
)
げて、まるで
別人
(
べつじん
)
を
見
(
み
)
るやうにあの
小娘
(
こむすめ
)
を
注視
(
ちゆうし
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
まったく
別人
(
べつじん
)
のようでありましたので
雪の降った日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“別人”の意味
《名詞》
別人(べつじん)
別の人。その人とは異なる人。同一ではない人物。
(出典:Wiktionary)
別
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“別”で始まる語句
別
別嬪
別離
別荘
別墅
別棟
別段
別懇
別々
別府