“伝播:でんぱ” の例文
“伝播:でんぱ”を含む作品の著者(上位)作品数
寺田寅彦20
柳田国男4
ロマン・ロラン3
森鴎外3
柳宗悦2
“伝播:でんぱ”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 社会 > 社会福祉20.0%
芸術・美術 > 工芸 > 工芸16.7%
文学 > フランス文学 > 小説 物語11.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
温健にして𤍠烈なこれ等の新運動は今や非常な速度で日本の到るところの青年女子の間に伝播でんぱしてります。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
並んだ歯の一本がむしばみ腐蝕ふしょくしはじめるとだんだんに隣の歯へ腐蝕が伝播でんぱして行くのを恐れるのであろう。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そこには最新の出来事を知っていて、それを伝播でんぱさせる新聞記者が大勢来るから、うわさ評判の源にいるようなものである。
ともかくも気温や風の特異な垂直分布による音響の異常いじょう伝播でんぱと関係のある怪異であろうと想像される。
化け物の進化 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
後者は器具の関係から学校に限られていたが、前者は当然校外にまでも伝播でんぱして行くべき性質のものであった。
野球時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
——と同時に、それはまた、私のかたわらに居る夫人のその絵に対する鋭い感受性が私の心にまで伝播でんぱしてくるためのようにも思われた。
(新字新仮名) / 堀辰雄(著)
共通な言葉によって知識が交換され伝播でんぱされそれが多数の共有財産となる。そうして学問の資料が蓄積される。
言語と道具 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかしその伝播でんぱの実状なり、また子どもの新しい遊戯を迎える態度なり、習癖なりは、今日まだ決して明らかになっているわけでもない。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
地上における視野からお前の姿が見失われても、私のこの文字は少くとも地上の何処かに伝播でんぱされるであろう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
大道蓄音機が文化の福音を片田舎に広めた事は疑いもないが、同時にあの耳にはさむ管の端が耳の病気を伝播でんぱさせはしなかったかと心配する。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それから、団結的思想の力強い熱狂と戦争の息吹いぶきとを、民衆のうちに伝播でんぱしてる精神的伝染病に、自分も感染してるのが感ぜられた。
南宋の禅は驚くべき迅速をもって伝播でんぱし、これとともに宋の茶の儀式および茶の理想も広まって行った。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
水素に少し空気がまじったり、逆に空気中に水素が少量混入した時に、爆発がどのような形をとって伝播でんぱするかを見ようというのであった。
 光の伝播でんぱは実用上ほとんど瞬時的であるが、音の速度は常温では毎秒三百四十メートル程度である。
耳と目 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
半蔵の周囲には、驚くばかり急激な勢いで、平田派の学問が伊那地方の人たちの間に伝播でんぱし初めた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
つまり文明九年を期して、中央の政争が地方に波及伝播でんぱし地方の大争乱を捲き起したのである。
応仁の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
後にはエーテルと称する仮想物質の弾性波と考えられ、マクスウェルに到ってはこれをエーテル中の電磁的ひずみの波状伝播でんぱと考えられるに到った。
物質とエネルギー (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
諸大将の兵馬はたちまち徐州へむかった。——早くもこのことは伝播でんぱして徐州へ伝わってゆく。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奇妙にポチを呪咀じゅそし、ある夜、私の寝巻に犬ののみ伝播でんぱされてあることを発見するに及んで、ついにそれまで堪えに堪えてきた怒りが爆発し
ところが光線伝播でんぱは直線的であるので二つの目が同時に対象に向かっていなければならない。
耳と目 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
いわゆる徐福伝説の伝播でんぱと成長とには、少なくとも底に目に見えぬ力があって、暗々裡あんあんりに日本諸島の開発に、寄与していたことは考えられる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その伝播でんぱは微妙で、絶えずき起り絶えず揺れ動く一つのまぼろしを見るようである。
交尾 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
音が空間を描き出すのは、音の伝播でんぱが空間的であって光のごとく直線的でないためである。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
これがヴァレンティーヌ夫人、ド・ヴァレーズ伯爵、ド・サヴィニャク伯爵へと伝播でんぱする。
それと同時にまた古来の詩人によって養われ造り上げられて来た日本固有の自然観を広く一般民衆の間に伝播でんぱするという効果を生じたであろうと想像される。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かくて真理は甲から乙へ、乙から丙へと、次第次第に四方に伝播でんぱし、やがて高山の頂巓ちょうてんから、世界に向って呼びかけねばならぬ時代も到着する。
言葉は散漫微弱なる資料には相違ないが、その伝播でんぱと保存が無意識であるだけに、偶然に或いは過去の変遷を、跡づけしめるものをもっているかも知れない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そのあとにはこのギリシア文化を世界に伝播でんぱする時代、すなわちヘレニスト的時代が続き、次いでこの文化の教育の下に新しいローマの文化が形成されてくる。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
但し、吾が国海禁いまだ除かれず、この事もしあるいは伝播でんぱせば、則ち生らただに追捕せらるるのみならず、刎斬ふんざん立ちどころに到るは疑いなきなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
しかし崖にった電柱の処で崩壊の伝播でんぱが喰い止められているように見える。
静岡地震被害見学記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そうだとすれば、これだけの強勢な伝播でんぱと感染の能力を享有する七五の定数にはやはりそうなるだけの内在的理由があると考えるよりほかに道はないであろうと思われる。
俳句の精神 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それは地震の波が地殻を伝播でんぱする時に、陸地を通る時と海底を通る時とでその速度に少しの相違がある、そういう事実を説明すべき一つの理論の糸口のようなものであった。
断片(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
個人の一挙一動は寒天のような濃厚な媒質を透して伝播でんぱするのである。
田園雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかし今日でも文化の輸入伝播でんぱに付いて来る種々な害毒がかなり激烈で、しかもそれを防ぐ事ができないのであるから、耳の病気ぐらいはやむを得ない事であったかもしれない。
蓄音機 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのうち噂は清武一郷に伝播でんぱして、誰一人怪訝せぬものはなかった。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それが必ずしも特殊の伝播でんぱでないことは、羽後うご由利ゆり郡の海岸でもサシボコ、それからなお東北一帯のサシドリがあって、むしろ分布は他のいずれよりも弘いのである。
竜池は我名のかくの如くに伝播でんぱせらるるを忌まなかった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
宮廷におかせられては、御代みよ御代の尊い御方に、近侍した舎人とねりたちが、その御宇ぎょう御宇の聖蹟を伝え、その御代御代の御威力を現実に示す信仰を、諸方に伝播でんぱした。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
勤勉な正直な苦しめる群集の間に伝播でんぱしていったのである。
じょうしんの諸州にも伝播でんぱ
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
午後と、午前の境界にもかかわらず、ラジオが、倫敦から放送される歌謡を伝播でんぱしていたのを疾風のなかで私はみ下した。ココア色の女の皮膚に雷紋の入墨をしたような夜更けであった。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
赤旗は流行感冒のように、到るところに伝播でんぱしていた。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
一方からそれが起るとたちまちに四方に伝播でんぱする。
いずれにしても、そうした悪意の名称がたちまち世間に伝播でんぱして、今日に至るまでも取消されないのを見ても、かの活歴なるものが世間一般から好感を以て迎えられなかったことが想像される。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
だれいうとなくこの声が非常な力をもって伝播でんぱした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
労働総組合の虚勢家らが風説の伝播でんぱに手伝っていた。
さてこの奇談が阿部邸の奥表おくおもて伝播でんぱして見ると、上役うわやくはこれをて置かれぬ事と認めた。そこでいよいよ君侯にもうして禄をうばうということになってしまった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ただしこのいわゆる文化伝播でんぱには条件があった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
が、その欝屈うっくつ伝播でんぱし、爆発する。
愛のごとく (新字新仮名) / 山川方夫(著)
それから騒ぎは検察本部へ波及し、それからにぎやかにラジオ、テレビジョン、新聞の報道へ伝播でんぱし、それから満都の人々へこの愕くべき誘拐事件が知れわたり、騒ぎが拡大して行ったのである。
「逢坂の関の清水にかげ見えて今や引くらむ望月の駒」(拾遺・貫之つらゆき)、「春ふかみ神なび川に影見えてうつろひにけり山吹の花」(金葉集)等の如くに、その歌調なり内容なりが伝播でんぱしている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
その伝播でんぱが早ければ早いほど磨滅も早い。
「理由欠乏の原理」あるいは「無知の原理」からすれば、これらの伝播でんぱの前面は完全なる円形をなすはずであるが、実際の現象を注意して見ていると、円形になるほうがむしろ不思議なようにも思われて来る。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さて石蒜即ち彼岸花の球根が英国に伝播でんぱし栽培されてすこぶる珍重がられた事については、別にあの博聞強記を以て鳴らした南方みなかた翁に記述の一文があってその由来をつまびらかにしている。
いつの時代にか南洋またはシナからいろいろな農法が伝わり、一方ではまた肉食を忌む仏教の伝播でんぱとともに菜食が発達し、いつとなく米穀が主食物となったのではないかというのはだれにも想像されることである。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
妙なことがあるもの、変な話しだ、と昨日目撃したことを隣人に語っていると、もう江戸市中全体にその暴挙が伝播でんぱして、其所そこにも此所ここにも「貧窮人騒ぎ」というものが頻々ひんぴんと起っている。
それで火災を軽減するには、一方では人間の過失を軽減する統制方法を講究し実施すると同時に、また一方では火災伝播でんぱに関する基礎的な科学的研究を遂行し、その結果を実地に応用して消火の方法を研究することが必要である。
函館の大火について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかし「下手もの」なる言葉は俗語だし、語音の調子が面白いせいか、この言葉は忽ち伝播でんぱし「下手もの好き」とか、「下手趣味」とかいう表現まで生れ、ついには公に「下手もの展」などを開く骨董商こっとうしょうが現れ始めた。
そして、カトリック教会がその僧侶そうりょの軍隊や修道会を備えて、ひそかに国民の血管中にはいり込んで病毒を伝播でんぱさせ、反対者のあらゆる活力を絶滅さしてるのと同じく、反カトリックのこの教会の方でも、秘密結社員らを備えていて
顫動せんどうし、波動し、光を力となし思想を原素となし、伝播でんぱして分割を許さず、「我」という幾何学的一点を除いてはすべてを溶解し、すべてを原子的心霊に引き戻し、すべてを神のうちに開花させ、最も高きものより最も低きものに至るまで
しかしこのできるはずのことがなかなか容易にできないのは多くの場合に群集が周章狼狽しゅうしょうろうばいするためであって、その周章狼狽しゅうしょうろうばい畢竟ひっきょう火災の伝播でんぱに関する科学的知識の欠乏から来るのであろう。
火事教育 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
例えば塵埃に光波が当った時に、光電効果のような作用電子が放散され、それが高層空気の電離を起す事、それが無線電信の伝播でんぱに重大な関係を持ち得る事、あるいは塵が空中の渦動かどうによって運搬されるメカニズムやその他色々の問題が残っている。
塵埃と光 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
火の伝播でんぱがいかに迅速であるとしても、発火と同時に全館に警鈴が鳴り渡りかねてから手ぐすね引いている火災係が各自の部署につき、良好な有力な拡声機によって安全なる避難路が指示され、群集は落ち着き払ってその号令に耳をすまして静かに行動を起こし
火事教育 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
(略)元禄にもあらず天明にもあらず文化にもあらず固より天保てんぽうの俗調にもあらざる明治の特色は次第に現れ来るを見る(略)しかもこの特色は或る一部に起りて漸次ぜんじに各地方に伝播でんぱせんとする者この種の句を『新俳句』に求むるも多く得がたかるべし。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
このように、新聞はその記事の威力によって世界の現象自身を類型化すると同時に、その類型の幻像を天下にき広げ、あたかも世界じゅうがその類型で満ち満ちているかのごとき錯覚を起こさせ、そうすることによって、さらにその類型の伝播でんぱをますます助長するのである。
ジャーナリズム雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
殊に昔、支那や朝鮮の種族が、日本へ移住した数はすくなからぬので、既に僧行基が奈良のある寺で説教を試みた時、髪に豚の脂の匂いのする女が来て聴聞ちょうもんしたという話がある位、従ってそれらの部落で膳椀ぜんわんの代りに木の葉を用いたのが、伝播でんぱしたとも考えられぬ事はない。
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
一体、薩摩は当時のいわゆる南蛮人がはやくから渡来した地方であるから、煙草の如きも比較的早くよりこの地方に伝播でんぱして、喫煙の風は余程広く行われ、その弊害も少なくはなかったものと見えて、かの文之和尚の「南浦文集」の中にも、風俗の頽敗と喫煙の風とに関した次の如き詩を載せている。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
同時にソビエットが、日本人の総意がそれを欲していないことを事実のうえで知っていながら、少数の日本人を激励、またはそれに指令することによって、自国の全体主義(それが仮りにどんなによいものであったとしても)の拡大と伝播でんぱを押しつけようとする動きのすべてに、私は反対せざるをえない。
抵抗のよりどころ (新字新仮名) / 三好十郎(著)
長い管の中へ、水素と酸素とを適当な割合に混合したものを入れておく、そうしてその管の一端に近いところで、小さな電気の火花を瓦斯ガスの中で飛ばせる、するとその火花のところで始まった燃焼が、次へ次へと伝播でんぱして行く、伝播の速度が急激に増加し、遂にいわゆる爆発の波となって、驚くべき速度で進行して行く。
流言蜚語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
というのは「もと仏教はインドの国から起ってチベットへ伝播でんぱされたものである。しかるに今はかえってインドでは仏教が跡を絶ってしもうてその影すらも見ることが出来ない。これ実に仏陀及び祖師に対し我々が黙視もくしするにしのびないことである。どうかインドの国へ仏教をきたいものである」という考えを持って居られた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)