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伏屋
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ふせや
ふりがな文庫
“
伏屋
(
ふせや
)” の例文
ひた土に
筵
(
むしろ
)
しきて、つねに机すゑおくちひさき
伏屋
(
ふせや
)
のうちに、竹
生
(
お
)
いでて長うのびたりけるをそのままにしおきて
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
鯱
(
しやち
)
と
鯨
(
くぢら
)
の
中
(
なか
)
へ、
芝海老
(
しばえび
)
の
如
(
ごと
)
く、
呑
(
の
)
まれぬばかりに
割込
(
わりこ
)
んで、
一
(
ひと
)
つ
吻
(
ほつ
)
と
呼吸
(
いき
)
をついて、
橋場
(
はしば
)
、
今戸
(
いまど
)
の
朝煙
(
あさけむり
)
、
賤
(
しづ
)
ヶ
伏屋
(
ふせや
)
の
夕霞
(
ゆふがすみ
)
、と
煙
(
けむ
)
を
眺
(
なが
)
めて、ほつねんと
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
の
)
む。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これなどは明らかに
賤
(
しず
)
が
伏屋
(
ふせや
)
の最も凡庸なる者の生活であって、和歌にはすでに見離され、俳諧はなおその客観の情趣を、取り上げてあわれと
詠
(
なが
)
めているのであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あの
日
(
ひ
)
の
出
(
い
)
づる
邊
(
へん
)
、
我
(
わが
)
故國
(
ここく
)
では
今頃
(
いまごろ
)
は
定
(
さだ
)
めて、
都大路
(
みやこおほぢ
)
の
繁華
(
はんくわ
)
なる
處
(
ところ
)
より、
深山
(
みやま
)
の
奧
(
をく
)
の
杣
(
そま
)
の
伏屋
(
ふせや
)
に
到
(
いた
)
るまで、
家々
(
いへ/\
)
戸々
(
こゝ
)
に
日
(
ひ
)
の
丸
(
まる
)
の
國旗
(
こくき
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、
御國
(
みくに
)
の
榮
(
さかえ
)
を
祝
(
いわ
)
つて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
道路をはさむ畑に薄夜の
靄気
(
あいき
)
がこめて、はるかの
伏屋
(
ふせや
)
に
夕餉
(
ゆうげ
)
のけむりが白く長くたなびくばかり——法恩寺橋のたもとに、宿なし犬が一匹、淡い宵月の面を望んで吠え立てていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
殺風景だと思っていたコンクリートの倉庫も見慣れると
賤
(
しず
)
が
伏屋
(
ふせや
)
とはまたちがった詩趣や俳味も見いだされる。昭和模様のコーヒー茶わんでも慣れればおもしろくなるかもしれない。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
死んでも
憾
(
うら
)
みはない。
賤
(
しず
)
が
伏屋
(
ふせや
)
でいたずらに、百年千年生きたとて何となろう。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
口の減らない
爺
(
じじい
)
めが、何を
痴事
(
たわごと
)
吐
(
ぬ
)
かしおる! 我が
日本
(
ひのもと
)
は神国じゃ。神の
御末
(
みすえ
)
は連綿と竹の
園生
(
そのう
)
に生い立ち
在
(
おわ
)
す。
海人
(
あま
)
が潮汲む浦の
苫屋
(
とまや
)
、
賤
(
しず
)
が
薪
(
まき
)
切る山の
伏屋
(
ふせや
)
、みなこれ
大君
(
おおぎみ
)
の物ならぬはない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
都大路
(
みやこおほぢ
)
に世の榮華を
嘗
(
な
)
め
盡
(
つく
)
すも、
賤
(
しづ
)
が
伏屋
(
ふせや
)
に
畦
(
あぜ
)
の
落穗
(
おちぼ
)
を
拾
(
ひろ
)
ふも、暮らすは同じ五十年の夢の朝夕。
妻子珍寶及王位
(
さいしちんぱうおよびわうゐ
)
、
命終
(
いのちをは
)
る時に隨ふものはなく、
野邊
(
のべ
)
より
那方
(
あなた
)
の友とては、
結脈
(
けちみやく
)
一つに
珠數
(
じゆず
)
一聯のみ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
数ならぬ
伏屋
(
ふせや
)
におふる身のうさにあるにもあらず消ゆる帚木
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「まあ、ようこそ。こんな
伏屋
(
ふせや
)
へ
勿体
(
もったい
)
ない」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天離
(
あまさか
)
る
鄙
(
ひな
)
の
伏屋
(
ふせや
)
も、
百敷
(
もゝしき
)
の
大宮内
(
おほみやうち
)
も
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
道ばたの雪の
伏屋
(
ふせや
)
の鬼やらひ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
よそに聴く安き
伏屋
(
ふせや
)
よ
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
降
(
ふ
)
り
暮
(
くら
)
す
昨日
(
きのふ
)
今日
(
けふ
)
、
千騎
(
せんき
)
の
雨
(
あめ
)
は
襲
(
おそ
)
ふが
如
(
ごと
)
く、
伏屋
(
ふせや
)
も、
館
(
たち
)
も、
籠
(
こも
)
れる
砦
(
とりで
)
、
圍
(
かこ
)
まるゝ
城
(
しろ
)
に
似
(
に
)
たり。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夕貌
(
ゆうがお
)
の花しらじらと咲めぐる
賤
(
しず
)
が
伏屋
(
ふせや
)
に馬洗ひをり
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
天
(
あま
)
離
(
さか
)
る
鄙
(
ひな
)
の
伏屋
(
ふせや
)
も、
百敷
(
ももしき
)
の
大宮内
(
おほみやうち
)
も
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
雛
(
ひな
)
無
(
な
)
くて雛の餅
搗
(
つ
)
く
伏屋
(
ふせや
)
かな
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
水戸黄門が竜神の
白頭
(
しろがしら
)
、
床几
(
しょうぎ
)
にかかり、
奸賊
(
かんぞく
)
紋太夫を抜打に切って棄てる場所に……
伏屋
(
ふせや
)
の建具の見えたのは、どうやら
寂
(
さ
)
びた貸席か、出来合の倶楽部などを仮に使った興行らしい。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蓆
(
むしろ
)
垂れ雪の
伏屋
(
ふせや
)
といふ姿
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
水
(
みづ
)
を……
水
(
みづ
)
をと
唯
(
たゞ
)
云
(
い
)
つたのに、
山蔭
(
やまかげ
)
に
怪
(
あや
)
しき
伏屋
(
ふせや
)
の
茶店
(
ちやみせ
)
の、
若
(
わか
)
き
女房
(
にようばう
)
は、
優
(
やさ
)
しく
砂糖
(
さたう
)
を
入
(
い
)
れて
硝子盃
(
コツプ
)
を
與
(
あた
)
へた。
藥師
(
やくし
)
の
化身
(
けしん
)
の
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
ふ。
人
(
ひと
)
の
情
(
なさけ
)
は、
時
(
とき
)
に、あはれなる
旅人
(
たびびと
)
に
惠
(
めぐ
)
まるゝ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
伏屋
(
ふせや
)
が
門
(
かど
)
の
卯
(
う
)
の花も、幽霊の
鎧
(
よろい
)
らしく、背戸の井戸の山吹も、
美女
(
たおやめ
)
の名の
可懐
(
なつかし
)
い。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両側の
伏屋
(
ふせや
)
の、ああ、どの軒にも怪しいお札の
狗
(
いぬ
)
が……
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“伏屋”の解説
伏屋(ふしや)は、愛知県名古屋市中川区の町名。現行行政地名は富田町大字伏屋および伏屋一丁目から伏屋五丁目。住居表示未実施。
(出典:Wikipedia)
伏
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“伏屋”で始まる語句
伏屋貝
伏屋里