今度こんだ)” の例文
「そんぢや、今度こんだ澤山しつかりえびやな、ろくんもしねえで、おこられちやつまんねえな」土瓶どびんにしたばあさんはわらひながらいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やすさんは、まだかへらないんでせうかね。貴方あなた今度こんだ日曜にちえうぐらゐ番町ばんちやうまでつて御覽ごらんなさらなくつて」と注意ちゆういしたことがあるが、宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだあまり急で駄目だったども、こんな時あれだな、皆で相談ば纏めて置いてよ、お願いせばよかったな。」
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
今度こんだのようにまる/\一月休みの、来月だって稼げるか稼げねえか分らねえ汐境しおざかいに立って釣どころの沙汰じゃァねえ。——人情はそうしたもんだ。——なァ小倉?
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
楽しみにしてお出でなさるとこだから、今度こんだ御免にお成りだとお聞きなすったらさぞマア落胆がっかりなさる事だろうが、年をッて御苦労なさるのを見ると真個ほんとにおいたわしいようだ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その上に、今度こんだあ、恐れながら、御願い申上げ奉ります牛の骨、馬の骨と来らあ。
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
花「悪い奴じゃ、こんな村境むらざかいの処へ出やアがって追剥おいはぎをしやアがって悪い奴じゃ、今度こんだ此辺こゝらアうろ/\しやアがると打殺ぶちころすぞ、いやうしろれか居やアがるな、此奴こいつ組付くみついて居やアがったか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうだ諸君こうやって出そうとすれば、何個いくつでも出せる。しかしそう玉子ばかり出してもつまらないから、今度こんだは一つ生きたとりを出そう」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
八十錢はちくわんづゝもつちやおめえ、をんなぢやたえしたもんだがな、今度こんだ自分じぶんんちまあなんて、んねえこつたなあ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ヒョッとして明日あしたにも召喚状が……イヤ……来ない、召喚状なんぞが来てたまるものか、よし来たからと言ッて今度こんだ此方こっちから辞してしまう、誰が何と言おうトかまわない、断然辞してしまう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今度こんだどんな手踊りがあるんだらう?」お文は鏡から眼を外さずに云つた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
正「今度こんだわっしの番だ、此ん畜生め親父を殺しやアがって此ん畜生め」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「まだ御這入にならないなら、今度こんだ是非その京都の先生を御案内なさい。私もまた一さんに連れて行って貰うつもりですから」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだこさあ、捕縛つかまつちや一杯いつぺえらあんだんべ」畑同士はたけどうし痛快つうくわいかんじつゝ口々くち/″\ういふことをいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「アアアア今度こんだこそは厄介やっかい払いかと思ッたらまた背負しょい込みか」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
変人へんじんなんだから、今までもよくこんな事があったには有ったんだが、変人だけにすぐなおったもんだがね。不思議だよ今度こんだは」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「兄さんはそれでもよく思い切って旅に出かけましたね。僕はことによると今度こんだもまた延ばすかも知れないと思ってたんだが」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そら今度こんだこさ雪子ゆきこかちだ」とつて愉快ゆくわいさうに綺麗きれいあらはした。子供こどもひざそばにはしろだのあかだのあゐだのゝ硝子玉がらすだま澤山たくさんあつた。主人しゆじん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そら今度こんだこそ雪子の勝だ」と云って愉快そうに綺麗きれいな歯をあらわした。子供のひざそばには白だの赤だのあいだのの硝子玉ガラスだまがたくさんあった。主人は
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
是公ぜこうから馬鹿と云われたってこわくも何ともないから黙っていた。すると是公が笑いながら、どうだ今度こんだいっしょに連れてってやろうかと云い出した。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「しかし今度こんだは何時もより重いんですって。ことによるとずかしいかも知れないから、健三に見舞に行くようにそういってくれっておっしゃいました」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだどこかでちょっと見て見ないか」と勧めた事もあった。自分は始めこそなま返事ばかりしていたが、しまいは本気にその女に会おうと思い出した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「真事、そんなにキッドが買いたければね、今度こんだうちへ来た時、小母おばさんに買ってお貰い。小父おじさんは貧乏だからもっと安いもので今日は負けといてくれ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのくせいまだ大した所へ連れて行ってくれたためしがない。「今度こんだいっしょに連れてってやろうか」もおおかたそのかくだろうと思ってただうんと答えておいた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「安さんは、まだ帰らないんでしょうかね。あなた今度こんだの日曜ぐらいに番町まで行って御覧なさらなくって」
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに節廻ふしまはしがあれで中々なか/\込み入つてゐるんで、うしてもうま不可いかん。今度こんだ一つるから聞いて呉れ玉へ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「お前はあんな人にと云うがね、あれでも今度こんだ遠い朝鮮へ行くんだからね。可哀想かわいそうだよ。それにもう約束してしまったんだから、どうする訳にも行かないんだ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「へええ、今度こんだこっちの大発明だ。ハハハハ。きらいなものを、なんでまた持って来たんだ。重いだろうに」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだおればんかもれない」とことがあつた。御米およねはそれを冗談じようだんともき、また本氣ほんきともいた。まれにはかくれた未來みらい故意こい不吉ふきつ言葉ことばとも解釋かいしやくした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだはおれの番かも知れない」と云う事があった。御米はそれを冗談じょうだんとも聞き、また本気とも聞いた。まれには隠れた未来を故意に呼び出す不吉な言葉とも解釈した。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ありがたい事に味噌汁みそしるがついていたんで、こいつを南京米の上から、ざっと掛けて、ざくざくとき込んだんで、今度こんだは壁土の味をわけないで済んだ。すると婆さんが
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「誰もここに持ってるって云やしないわ。ただちょうだいって云うのよ。今度こんだでいいから」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだこそく考えていらっしゃいよ」と注意した。代助は返事もせずに門を出た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだこそ能く考へて入らつしやいよ」と注意した。代助は返事もせずにもんた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御前おまへは平生からわからない男だつた。夫でも、いつかわかる時機がるだらうと思つて今日こんにち交際つきあつてゐた。然し今度こんだと云ふ今度こんだは、全くわからない人間だと、おれもあきらめて仕舞つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御前は平生からく分らない男だった。それでも、いつか分る時機が来るだろうと思って今日まで交際つきあっていた。然し今度こんだと云う今度は、全く分らない人間だと、おれもあきらめてしまった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだの旅行だって、かねてから卒業したら母に京大阪と宮島を見物させてやりたいと思っていたのだから、昔の僕ならともをする気で留守るすを叔父さんにでも頼みに出かけて来るところなんですが
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
壁に掛けてある広袖ひろそでを、めりやすの上から着て、尻の先に三尺帯をぐるりと回しながら、やっぱり無言のまま、二人してずしりずしりと降りて行った。するとまた上がって来た。今度こんだのも濡れている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだは死ぬ死ぬっていいながら、平気で生きているじゃないか」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだは少し危険あぶないようだから、誰かに頼んでくれないか」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「さあ行こう。今度こんだおくれないようにいて来な」
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだの試験の結果はまだ分らないの」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんだ何か買つて
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)