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不吉
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ふきつ
ふりがな文庫
“
不吉
(
ふきつ
)” の例文
此の婚礼に就いて在所の者が、先住の
例
(
ためし
)
を引いて
不吉
(
ふきつ
)
な噂を立てるので、
豪気
(
がうき
)
な
新住
(
しんじう
)
は
境内
(
けいだい
)
の暗い
竹籔
(
たけやぶ
)
を
切払
(
きりはら
)
つて桑畑に
為
(
し
)
て
了
(
しま
)
つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
そうして、同時にまた、そう云う怖れを抱くことが、既に発狂の予告のような、
不吉
(
ふきつ
)
な不安にさえ、襲われた。「発狂したらどうする。」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
葬送曲だの墓参だのと
不吉
(
ふきつ
)
なものばかり並べて、放送局も今夜はなんという智慧のないプログラムを作ったのだろう。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
黒
(
くろ
)
い
鳥
(
とり
)
という
言葉
(
ことば
)
は、なにか
不吉
(
ふきつ
)
なことのように、みんなの
耳
(
みみ
)
に
聞
(
き
)
かれたのです。けれど、だれも
心
(
こころ
)
から、ほんとうに
信
(
しん
)
ずるものはありませんでした。
あほう鳥の鳴く日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あゝ、
不吉
(
ふきつ
)
の
上
(
うへ
)
にも
不吉
(
ふきつ
)
。
賓人
(
まれびと
)
よ、
私
(
わたくし
)
の
心
(
こゝろ
)
の
千分
(
せんぶん
)
の
一
(
いち
)
でもお
察
(
さつ
)
しになつたら、どうか
奧樣
(
おくさま
)
と
日出雄樣
(
ひでをさま
)
を
助
(
たす
)
けると
思
(
おも
)
つて、
今夜
(
こんや
)
の
御出帆
(
ごしゆつぱん
)
をお
延
(
の
)
べ
下
(
くだ
)
さい。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
「これでしばらくお目にもかかれぬのだ。
袂
(
たもと
)
を分つと申しては
不吉
(
ふきつ
)
めくが当分はまずお別れ……。陣中何もないが」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、ものすごい音や、
恐
(
おそ
)
ろしいさけび声や、ぞっとするような笑い声や、
不吉
(
ふきつ
)
な鳴き声にみちみちています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
若い者達がシャクの話に聞き
惚
(
ほ
)
れて仕事を
怠
(
おこた
)
るのを見て、部落の長老連が
苦
(
にが
)
い顔をした。彼等の一人が言った。シャクのような男が出たのは
不吉
(
ふきつ
)
の
兆
(
きざし
)
である。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「
不吉
(
ふきつ
)
なことをいうようだが、
浜村屋
(
はまむらや
)
さんはひょっとすると、あのままいけなくなるかも
知
(
し
)
れないからの」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「
今度
(
こんだ
)
は
己
(
おれ
)
の
番
(
ばん
)
かも
知
(
し
)
れない」と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があつた。
御米
(
およね
)
はそれを
冗談
(
じようだん
)
とも
聞
(
き
)
き、
又
(
また
)
本氣
(
ほんき
)
とも
聞
(
き
)
いた。
稀
(
まれ
)
には
隱
(
かく
)
れた
未來
(
みらい
)
を
故意
(
こい
)
に
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
す
不吉
(
ふきつ
)
な
言葉
(
ことば
)
とも
解釋
(
かいしやく
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
近頃日光の
御山
(
おやま
)
が
頻
(
しきり
)
に荒出して、
何処
(
どこ
)
やらの天領では
蛍
(
ほたる
)
や
蛙
(
かわず
)
の
合戦
(
かっせん
)
に
不吉
(
ふきつ
)
の
兆
(
しるし
)
が見えたとやら。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのとき
大僧正
(
だいそうじょう
)
は、王さまに
不吉
(
ふきつ
)
なことばをささやきました。けれどもそれは王さまの心の中へまでははいりませんでした。結婚の式はぶじにあげられることになりました。
野のはくちょう
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
奈良街道
(
ならかいどう
)
からでは、途中でいざりやめくらに会うし、
大阪口
(
おおさかぐち
)
から行っても、やはりめくらやいざりに会うので、どちらとも旅立ちには
不吉
(
ふきつ
)
である、
脇道
(
わきみち
)
の
紀井街道
(
きいかいどう
)
をとおって行けば
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
はなはだ例が
不吉
(
ふきつ
)
であるが、精神病院にいってみると、やさしい女の乱暴するのを
止
(
と
)
めるために大男が五人もかかることを見ると、いかに女の
筋肉
(
きんにく
)
に力の
潜
(
ひそ
)
んでいるかに驚かされる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
えたいの知れない
不吉
(
ふきつ
)
な塊が私の心を始終壓へつけてゐた。焦燥と云はうか、嫌惡と云はうか——酒を飮んだあとに
宿醉
(
ふつかよひ
)
があるやうに、酒を毎日飮んでゐると宿醉に相當した時期がやつて來る。
檸檬
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「死んでも? はて、何を
不吉
(
ふきつ
)
なことを! 死なばともにだ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
昔
(
むかし
)
から、
人魚
(
にんぎょ
)
は、
不吉
(
ふきつ
)
なものとしてある。いまのうちに、
手
(
て
)
もとから
離
(
はな
)
さないと、きっと
悪
(
わる
)
いことがある。」と、まことしやかに
申
(
もう
)
したのであります。
赤いろうそくと人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一本歯の抜けたような松山の
空席
(
くうせき
)
が、帆村の眼に或る
厭
(
いや
)
な気持をよびおこさしめた。それは
不吉
(
ふきつ
)
な風景である。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それが、翌日になると、また
不吉
(
ふきつ
)
な前兆が、加わった。——十五日には、いつも越中守自身、
麻上下
(
あさがみしも
)
に着換えてから、八幡大菩薩に、
神酒
(
みき
)
を備えるのが慣例になっている。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
賓人
(
まれびと
)
よ、
笑
(
わら
)
ひ
事
(
ごと
)
ではありませぬ、
魔
(
ま
)
の
日
(
ひ
)
魔
(
ま
)
の
刻
(
こく
)
といふのは、
一年中
(
いちねんちゆう
)
でも
一番
(
いちばん
)
に
不吉
(
ふきつ
)
な
時
(
とき
)
なのです、
他
(
ほか
)
の
日
(
ひ
)
の
澤山
(
たくさん
)
あるのに、
此
(
この
)
日
(
ひ
)
、
此
(
この
)
刻限
(
こくげん
)
に
御出帆
(
ごしゆつぱん
)
になるといふのは
何
(
な
)
んの
因果
(
いんぐわ
)
でせう
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
四白というのは、
鹿毛
(
かげ
)
、
栗毛
(
くりげ
)
をとわず、馬の四つ脚の
蹄
(
ひづめ
)
から脛に、そろって、白い毛なみを持っている特徴をいうのである。ごくまれにしかないが、あれば、
不吉
(
ふきつ
)
だと、むかしからいわれている。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さかさ屏風……
不吉
(
ふきつ
)
ッ!
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この救援隊の十台のロケット艇がエフ十四号飛行場を出発するとき、地上では
不吉
(
ふきつ
)
な
流言
(
りゅうげん
)
がおこなわれたが、それがとうとうほんものになったようでもある。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
このご
結婚
(
けっこん
)
は、
赤
(
あか
)
と
黒
(
くろ
)
との
結婚
(
けっこん
)
です。
赤
(
あか
)
が、
黒
(
くろ
)
に
見込
(
みこ
)
まれている。お
姫
(
ひめ
)
さま、あなたは、
皇子
(
おうじ
)
に
生
(
い
)
き
血
(
ち
)
を
吸
(
す
)
われることとなります。この
結婚
(
けっこん
)
は
不吉
(
ふきつ
)
でございます。
赤い姫と黒い皇子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そう云う事は、林右衛門の代から、まだ一度も聞いた事がない。しかも今日は、初めて修理が登城をした日である。——宇左衛門は、
不吉
(
ふきつ
)
な予感に襲われながら、
慌
(
あわただ
)
しく佐渡守の屋敷へ参候した。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「やあ、
民蔵
(
たみぞう
)
、
汝
(
なんじ
)
はなにをもって、さような
不吉
(
ふきつ
)
をもうすのじゃ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから、
赤
(
あか
)
いろうそくは、
不吉
(
ふきつ
)
ということになりました。ろうそく
屋
(
や
)
の
年
(
とし
)
より
夫婦
(
ふうふ
)
は、
神
(
かみ
)
さまの
罰
(
ばち
)
が
当
(
あ
)
たったのだといって、それぎり、ろうそく
屋
(
や
)
をやめてしまいました。
赤いろうそくと人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
黒いリボンは、お葬式のときにだけつかう
不吉
(
ふきつ
)
なものだった。その不吉な黒リボンが花輪にむすびつけてあるのだから、佐伯船長以下一同がいやな顔をしたのも無理ではない。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「まッ、
不吉
(
ふきつ
)
な!」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところが、例の
不吉
(
ふきつ
)
な
定刻
(
ていこく
)
にわざわざ合わせるようにして、この第三十九号室へ入ってきたというところから考えると、いよいよこの中の誰かが、死の国へ送りこまれるらしい。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いわつばめは、
不吉
(
ふきつ
)
な
予感
(
よかん
)
がしたように、いきいきとした
顔
(
かお
)
をくもらしました。
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
不吉
(
ふきつ
)
な
予感
(
よかん
)
……
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
吉
常用漢字
中学
部首:⼝
6画
“不吉”で始まる語句
不吉数
不吉感
不吉怖鳥
不吉な十三