“飢饉:ききん” の例文
“飢饉:ききん”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治12
野村胡堂3
柳田国男3
島崎藤村2
井上円了2
“飢饉:ききん”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 心理学 > 超心理学・心霊研究13.6%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 民間信仰・迷信[俗信]8.0%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗史・民俗誌・民族誌5.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
秋になっても全くその通〔七字不明〕くりの木さえ、ただ青いいがばかり、〔八字不明〕飢饉ききんになってしまいました。
この県は戦争中の取立と近年にない飢饉ききんとで、見た通りにわとりき声一つしなくなっているとも云った。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此頃はもう四年前から引き続いての飢饉ききんで、やれ盗人ぬすびと、やれ行倒ゆきだふれと、夜中やちゆうも用事がえない。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その不景気の中で東北や北海道の飢饉ききんを知り、ひとり一せんずつの寄付金きふきんを学校へもっていった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「私はこの地方の飢饉ききんを助けに来たものだ。さあなんでも食べなさい。」二人はしばらくあきれていましたら、
グスコーブドリの伝記 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
このごろ、宴会の卓や朝飯の膳に向っても、ふと、中共の飢饉ききんと聞くニュースが胸につかえてきてならない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洛中洛外に激しい飢饉ききんなどがあって、親兄弟に離れ、可愛い妻子を失うた者は世をはかなんで自殺した。
身投げ救助業 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
または反対に、大変なかのよかった夫婦が飢饉ききんのときに、平生の愛を忘れて、妻の食うべきかゆを夫が奪って食うと云う事を小説にかく。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「幕末には二年も続いてひどい飢饉ききんがあったんだぜ。六月にあわせを着るという冷気でね。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その年の冬は永く続いて寒さとみは、野の作り物を遅らせ、夏の初めには飢饉ききんのきざしさえ見え、雨は月と月にまたがっても降らなかった。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
飢饉ききん、天変地災などが、代々にわたってあった程であることは、人、誰もいわず、誰も思わない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むろん灌漑水かんがいすいが不足して飢饉ききんがおこる。舟行が駄目になるから交通は杜絶する。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
どうして天明てんめい七年の飢饉ききんのおりに江戸に起こった打ちこわしどころの話ではない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ネネムはその顔をじっと見ました。それこそはあの飢饉ききんの年マミミをさらった黒い男でした。
折ふし、承平二年から三年にかけては、全国的な大飢饉ききんが、日本の緯度を、見舞っていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、彼らの良心よりも、飢饉ききんの影響が否応いやおうなく、戦争をやめさせたのだ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ペルシア国ゼルセスのギリシア征伐、ペロポネソス戦争、カエサルおよびポンペイウスの内乱、エルサレムの落城、アッティラの攻入のときに大飢饉ききん、大疫病あり。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
加うるに浅間岳の大噴火、諸国大風雨、大飢饉ききんを以てし、庶民生をやすんぜず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
加うるに天平四年から六年にかけては諸国が飢饉ききんに襲われ、百姓の労苦甚しく、その上地震も屡々しばしば起きて寺社家屋の倒壊したことが続紀しょっきにみられる。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
キーシュのお父さんは立派な狩人かりゅうどで、村が飢饉ききんで困った年に、村人たちのために食物にする肉を取って来ようとして獣とたたかい、とうとう命を落したのです。
負けない少年 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
「今年はあの地方の飢饉ききんとやらで、いやはや散々な悪首尾でござりました」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「以前の城門街あたりに、みすぼらしい茅屋あばらやが、数百戸あるようです。——それも連年の飢饉ききん疫病えきびょうのために、辛くも暮している民ばかりのようです」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らは、まるで飢饉ききん地方の住民のように、飛びついて、食べた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
年により馬追鳥さとにきて啼くことあるは飢饉ききんの前兆なり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奈良といえばすぐさびた青丹あおに伽藍がらんと、鹿の目が連想され、あの平和な旧都だけは、戦乱も飢饉ききんもない無風帯のように考えられているが、事実は、なかなかそうでない。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水災、風災、火災、疫病、飢饉ききん等、その種類はなはだ多し。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「天明七年以来の飢饉ききんでも襲って来るんじゃないか。」
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
飢饉ききんのときに、ちちの出なくなったおかあさんの乳首ちくびを、くわえたまま死んだ子もいるし、ぎっしりつまった三等車とうしゃの人いきれの中で、のどがつまって死んだ子もいる。
わらび根餅ねもちくずの粉の類は、今でも飢饉ききんの際にはこしらえて食うだけで、かつて一般の常食の資料には編入せられたことがなく、かえって各地の名物として改良せられている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「次官はこう答えたね、土川くん、日本はね、きみ、いま大変な時代に当面しているんだよ、詳しいことは機密だからいえないが、日本はまもなく鉄飢饉ききんにみまわれる、きみのアイディアはだめだね」
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もとより洪水こうずゐ飢饉ききんと日を同じうして論ずべきにあらねど、良心は不断の主権者にあらず、四肢しし必ずしも吾意思の欲する所に従はず、一朝の変俄然がぜんとして己霊の光輝を失して
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(世の中は、生きてゆく。えてゆく、進んでゆく。粗衣粗食の御節約も結構だが、絶対に、消極策というものは、どんな飢饉ききんの地でも適合しない。つまりこの世の中というものの本質に適合しない)
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
いえ、ロシヤの飢饉ききんの話ではありません。
教訓談 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
翌一八六七年、フィンランド飢饉ききん救済の慈善音楽会に、初めて自作の「下女の舞踏」を指揮し、全く狼狽ろうばいして失態を演じたが、楽団が曲をよく知っていたので、さいわいにも大過なきを得た。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
もしこれが明暦めいれきの大火事や天明てんめい飢饉ききんのような凶年ばっかり続いた日にゃ、いくら贅沢ぜいたくがいたしたくてもまさかに盆栽や歌俳諧はいかいで日を送るわけにも行きますまい。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
朝廷の力が衰微して、それさえも計画し難い期間はつづいたのだが、なお大衆はこれを予想し、荒れ狂う飢饉ききん疾疫しつえきのさなかにおいて、そういう呪法じゅほうに近い善政を待ち焦れていたのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
諸国ではおそろしい飢饉ききんの噂がある。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「このぶんで行くと、ことしも合戦、来年も合戦、未来無限、戦はむまい。わしは予言する。この夏ごろは、大疫病だいやくびょう流行はやる。秋は飢饉ききんとなろう。さあおまえ方、どうして生きる」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして家に帰って、文学三昧ぶんがくざんまいに戻ってみたが、すでに終戦後の作家飢饉ききんで、多くの流行作家が世に出た後では、私は、いわゆる、バスにのりおくれた形で、持込みの原稿もなかなか売れなかった。
野狐 (新字新仮名) / 田中英光(著)
また、越中の魚津は蜃気楼の名所にて、毎年四、五月ごろに現出するそうだが、古来、はまぐりが気を吹き出すのであるなどの迷信あれども、別に災難が起こるとか、飢饉ききんの前兆などと申すものもなく、無事平穏である。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
いかに世並よなみが悪いといっても、凶作飢饉ききんというでもないのですから、大の男がざるや風呂敷を持って三升の米を貰う行列に加わるわけにもいかず、女子供に限ったのは、まことに当然の制限でもあったのでした。
そのうちに英国公使パアクスのような人があって、明治二年の東北および九州地方の飢饉ききんの例を引き、これを救うためにも鉄道敷設の急務であることをのべたところから、政府もその勧告に力を得て鉄道起業の議を決したのであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「やっと目がさめたな。まだお前は飢饉ききんのつもりかい。起きておれに手伝わないか。」見るとそれは茶いろなきのこしゃっぽをかぶって外套がいとうにすぐシャツを着た男で、何か針金でこさえたものをぶらぶら持っているのでした。
グスコーブドリの伝記 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
飢饉ききん、不正利得、困窮から来る売淫ばいいん、罷工から来る悲惨、絞首台、剣、戦争、および事変の森林中におけるあらゆる臨時の追剥おいはぎ、それらももはや恐るるに及ばないだろう、否もはや事変すらもないとさえ言い得るだろう。
兵糧丸や避穀丸というものは、荒唐無稽こうとうむけいなもののように思うのは大間違いで、昔は軍陣、忍術者の食糧として必要だったばかりでなく、避穀法として、凶作飢饉ききんに備えるために、各藩こぞって学者に研究さしたものでした。
泉通りにある御用所の長屋をもらい、三十になっても独身で、雇三一やといさんぴんの気楽な境界に安着しているようだったが、天保七年の飢饉ききんのさなかに、烏丸中納言のおん息女、知嘉姫さまという﨟たき方を手に入れ、あお女房にして長屋におさめた。
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
疫病えきびょう飢饉ききん、盗賊の横行、民は飢えつかれている。みなこれ戦乱のせいだ。しかるに、そのうえにも、戦乱の張本人足利殿へびて、味噌すり坊主の夢窓が、禅家の権力をひろげんとし、かつは自己宣伝のため、一大寺を造営せんなどとは、言語道断だ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、自分の根城ねじろだった兗州えんしゅうを失地し、その上、いなご飢饉ききんやくにも遭いなどして、ぜひなく汝南じょなん潁川えいせん方面まで遠征して地方の草賊を相手に、いわゆる横行おうこうをやって苦境をしのいでいたが、その由、長安の都へ聞えると、朝廷から、
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、わしは物産問屋のはしくれ、米が主なあきないではないけれど、商人は、ひともわれも同じこと、大がねを儲けるには、時には、思い切ったばくちを張らねばならぬ——折も折、関東一帯の大不作、これが三年もつづけば、飢饉ききんも来ようかといわれている昨日今日、ここらで、一つ度胸をきめねばと、手一ぱい
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「いや、そうでない。世間は、こうしたものじゃよ。もっとも、世の中にも、いろいろな推移はある。徳川様ご入府時代の世の中、寛永尚武しょうぶの世の中、元禄の淫逸いんいつ、田沼の作った悪政と賄賂わいろの世の中、また、文化文政の全盛も世の中なら、天保てんぽう飢饉ききんも、ある間の世の中じゃった」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妻や子をなくした男の話、夫をなくした妻やその子供の話、遠くの島へ流された父を、はるばるとたづねて行く子供の話、飢饉ききんや火事や疫病で一度に大勢の人が死んでいつた話、何となく生きてゐるのが寂しくなつて、他国へあてもなく旅してゆく人の話など……かういふ気の毒な話に、栄蔵はとりわけ心をひかれる。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)