トップ
>
食物
>
くいもの
ふりがな文庫
“
食物
(
くいもの
)” の例文
家の
惣菜
(
そうざい
)
なら不味くても好いが、
余所
(
よそ
)
へ喰べに行くのは
贅沢
(
ぜいたく
)
だから
選択
(
えりごの
)
みをするのが当然であるというのが緑雨の
食物
(
くいもの
)
哲学であった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
仕方がない、何でもよいから
食物
(
くいもの
)
のある所まであるこうと決心をしてそろりそろりと池を
左
(
ひだ
)
りに廻り始めた。どうも非常に苦しい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「トム、トム……。」と、二三度呼んだが、犬は
食物
(
くいもの
)
に気を
奪
(
と
)
られて、主人の声を
聞付
(
ききつ
)
けぬらしい。市郎は
舌打
(
したうち
)
しながら
引返
(
ひっかえ
)
して来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
棚曝
(
たなざら
)
しになった聖賢の伝記、読み捨てられた物語、獄中の日誌、世に忘れられた詩歌もあれば、酒と女と
食物
(
くいもの
)
との手引草もある。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だから人情は人の
食物
(
くいもの
)
だ。米や肉が人に必要物なる如く親子や
男女
(
なんにょ
)
や朋友の情は人の心の食物だ。これは
比喩
(
ひゆ
)
でなく事実である。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
お町は熊に助けられて山深く逃げ延びましたが、身を寄せる処は勿論、
食物
(
くいもの
)
もございませんから、進退いよ/\
谷
(
きわ
)
まりました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……里まで出づれば
食物
(
くいもの
)
もあらんに、それさへ四足疲れはてて、今は
怎麼
(
いか
)
にともすべきやうなし。ああいひ甲斐なき事
哉
(
かな
)
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
食物
(
くいもの
)
がある。私も何だかここにいると幸福のような気がする。第一ここでは、あの意地の悪い眼を感じなくともよい。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
それで住民は何を
食物
(
くいもの
)
にしているかというと、栃の実を食べている。栃の実を取って一種の製法で水に
洒
(
さら
)
して
灰汁
(
あく
)
を抜き餅に作って食用にしている。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
B
莫迦
(
ばか
)
なことを言え。女の事なんか近頃もうちっとも僕の目にうつらなくなった。女より
食物
(
くいもの
)
だね。好きな物を食ってさえいれあ僕には不平はない。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
食物
(
くいもの
)
と云えば小鳥や
果実
(
このみ
)
、
飲料
(
のみもの
)
と云えば谷川の水、そうして冬季餌のない時は寂しい村の人家を襲い、鶏や穀物や野菜などを巧みに盗んで来たりした。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
反対側の
食物
(
くいもの
)
屋台とすれすれにまで、ふくれているので、そこの道は、人一人、やっと通れる程の隙間しかない。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
七蔵本性をあらわして不足なき身に長半をあらそえば段々悪徒の
食物
(
くいもの
)
となりて
痩
(
や
)
せる身代の
行末
(
ゆくすえ
)
を
気遣
(
きづか
)
い、女房うるさく
異見
(
いけん
)
すれば、何の女の知らぬ事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
土地が
辺鄙
(
へんぴ
)
で
食物
(
くいもの
)
こそだが、おめしものや何か、
縮緬
(
ちりめん
)
がお不断着で、秋のはじめに新しいコオトが出来ました。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「三輪の言うことも道理だ。村岡の申分も
有理
(
もっとも
)
だ。しかし
食物
(
くいもの
)
のことなんかで喧嘩をするのは止せよ、若い者」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
甚三 お
母
(
かあ
)
、木津の藤兵衛の家じゃもう
食物
(
くいもの
)
が尽きたけに、来年の籾種にまで、手を付けたというぞ。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この頃、かれが持ってくる小銭や
食物
(
くいもの
)
は、何に依って得てくるかを、自分も知っていたのではないか。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
名古屋人には、おつな
食物
(
くいもの
)
よりも、やすい食物が気に入るのだ。まさか、屋台店で、食べ物を値切る人間もないけれど、値切りかねないのが、名古屋人の腹なのである。
名古屋スケッチ
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「己も
遣
(
や
)
るよ」とは云ったが、男はやはり動かずにいて、飲物にも、
食物
(
くいもの
)
にも手を触れない。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
林檎は又この時以来、彼には
食物
(
くいもの
)
にも変り出した。従って彼は林檎を見る度に、モオゼの十戒を思い出したり、油の絵具の調合を考えたり、胃袋の鳴るのを感じたりしていた。
三つのなぜ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
貧乏
(
びんぼう
)
な
百姓家
(
ひゃくしょうや
)
に住んでいるニワトリたちは、「ここは『
穀物
(
こくもつ
)
なし』っていうんだ。」と、さけびますし、もっともっと貧乏な百姓家のニワトリは、「ここは『
食物
(
くいもの
)
なし、食物なし』さ。」
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
「わたしはまた、お前さんが預かって
食物
(
くいもの
)
にしやしないかと、それが心配だ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こんなことがたびたびあるのでその後はもう近づいて来ない。三太太の話では、烏や鵲はちょっと
食物
(
くいもの
)
を横取りするくらいだから一向差支えありませんが、憎らしいのは、あの大きな黒猫ですよ。
兎と猫
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
何しろ船長は支那人を二十人ばかり雇いこんだが、
其奴
(
そいつ
)
等は馬鹿に忠実で、よく働いて、僅かな給料と半人前の
食物
(
くいもの
)
を充てがわれ、軍艦同様な
八釜
(
やかま
)
しい規則にも、不平一つ云わずに服従しているんだ。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「今日は
食物
(
くいもの
)
どころじゃねえ。もっと大事なことがあるんだ。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
だが、兄弟、俺は人間の
食物
(
くいもの
)
がほしくってたまんねえのさ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
市民の
食物
(
くいもの
)
の不気味さがあります。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
二人は鯉に祟られたというのである。なにかの
食物
(
くいもの
)
にあたったのであろうと物識り顔に説明する者もあったが、世間一般は承知しなかった。
鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
幾度
(
いくたび
)
饑
(
う
)
え、幾度殺されそうにしたか解らないこの
死
(
し
)
に
損
(
そこな
)
いの畜生にも、人が来て頭を
撫
(
な
)
でて、
加
(
おまけ
)
に、
食物
(
くいもの
)
までも
宛行
(
あてが
)
われるような日が来た。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
長「酌は
美女
(
たぼ
)
、
食物
(
くいもの
)
は器で、
宜
(
い
)
い器でないと肴が旨く喰えんが、酌はお前のような美しい顔を見ながら飲むと酒が旨いなア」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
恩師の食道楽に感化された乎、
将
(
は
)
た
天禀
(
てんぴん
)
の食癖であった乎、二葉亭は食通ではなかったが
食物
(
くいもの
)
の
穿議
(
せんぎ
)
がかなり
厳
(
やか
)
ましかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
あなたのように高等教育を受けて世の中へ出たての人はとかく雷獣
輩
(
はい
)
が
食物
(
くいもの
)
にしたがるものですから、その
辺
(
へん
)
はよく御注意なさらないといけません。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聞えて来るのは
食物
(
くいもの
)
に
倦
(
う
)
いた猛獣の恐ろしい吠え声と太陽を
掠
(
かす
)
めて舞っている巨大な沙漠鷲の啼き声だけです。
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
食物
(
くいもの
)
も
代物
(
しろもの
)
も、新しい買物じゃ。縁起でもない事の。罪人を上積みにしてどうしべい、これこれでござる。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一日某新聞社員と名刺に肩書のある男尋ね来り、室に入りて挨拶するや
否
(
いな
)
、早速、先生の御高説をちと伺いたし、と新聞屋の悪い癖で
無暗
(
むやみ
)
に「人を
食物
(
くいもの
)
にする」会話を仕出す。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
二人
限
(
ぎ
)
りで三千円ばかりの資本ではじめたというのですが、この頃なんぞ兄の方は金廻りがよくて、競馬などに行ってるという話……
食物
(
くいもの
)
商売は確かにうまく行きさえすればいいんですよ。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
保吉
(
やすきち
)
はやむを得ず
風中
(
ふうちゅう
)
や
如丹
(
じょたん
)
と、
食物
(
くいもの
)
の事などを話し合った。しかし話ははずまなかった。この
肥
(
ふと
)
った客の出現以来、我々三人の心もちに、妙な狂いの出来た事は、どうにも仕方のない事実だった。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから余り
選
(
え
)
り嫌いをせずに、飲物と
食物
(
くいもの
)
とを
註文
(
ちゅうもん
)
した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
私は
食物
(
くいもの
)
には割合に
無頓着
(
むとんちゃく
)
であって、何処でも腹が空けばその近所の飲食店で間に合わして置く方であるが、二葉亭はなかなか
爾
(
そ
)
う行かなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
養子と経済を別々にしながら一所の
家
(
うち
)
に住んでいた姉夫婦は、自分たちの
搗
(
つ
)
いた
餅
(
もち
)
だの、自分たちの買った砂糖だのという特別な
食物
(
くいもの
)
を
有
(
も
)
っていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、おせん時代のことを知っているものは、主人思いの婆さんより外に無かった。婆さんは長く奉公して、主人が
食物
(
くいもの
)
の
嗜好
(
しこう
)
までも好く知っていた。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だが死んだ親父の
位牌
(
いへい
)
に対しても済まねえから、
家
(
うち
)
の
閾
(
しきい
)
を
跨
(
また
)
がせることは出来ねえ義理だから、裏の
明店
(
あきだな
)
へ入れて置き、
食物
(
くいもの
)
だけは
日々
(
にち/\
)
送ってくれべい
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「トム、トム……。」と、少しく声を
暴
(
あら
)
くして呼ぶと、犬は初めて心付いたらしく、
食物
(
くいもの
)
を捨てて駈け出そうとしたが、早くも
背後
(
うしろ
)
からお葉に抱かれて
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私はまた私で、何です、なまじ
薄髯
(
うすひげ
)
の生えた意気地のない
兄哥
(
あにい
)
がついているから起って、相応にどうにか
遣繰
(
やりく
)
って
行
(
ゆ
)
かれるだろう、と思うから、
食物
(
くいもの
)
の足りぬ阿母を、世間でも黙って見ている。
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
百本ばかりある大根が、冬中のおもな
食物
(
くいもの
)
じゃけになあ。
義民甚兵衛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「おおおお今日も大雪で山には
食物
(
くいもの
)
がないと見える」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その上に二葉亭は、ドチラかというと浪費家であって、
衣服
(
きもの
)
や道具には
無頓着
(
むとんちゃく
)
であったが
食物
(
くいもの
)
にはかなりな
贅沢
(
ぜいたく
)
をした。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
宗蔵と三吉との
年齢
(
とし
)
の
相違
(
ちがい
)
は、三吉と正太との相違であった。この兄弟の生涯は、
喧嘩
(
けんか
)
と、
食物
(
くいもの
)
の奪合と、山の中の荒い
遊戯
(
あそび
)
とで始まったようなもので。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
食物
(
くいもの
)
ア江戸口で、お
前
(
めえ
)
塩の甘たっけえのを、江戸では斯う云う
旨
(
うめ
)
え
物
(
もん
)
喰って居るからって、
食物
(
くいもな
)
ア大変
八釜
(
やかま
)
しい、
鰹節
(
かつぶし
)
などを山の様に掻いて、
煮汁
(
にしる
)
を取って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
はて、何処へ行ったかと見廻すと、犬は
彼
(
か
)
の柳屋の前に
止
(
とま
)
って、お葉から何か
食物
(
くいもの
)
を貰っているらしい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“食物”の意味
《名詞》
食 物(しょくもつ / じきもつ / くいもの)
食べる物。食べ物。
(出典:Wiktionary)
“食物(
食品
)”の解説
食品(しょくひん)またはフード(en: food)とは、人が食べるために直接使用できる、食用可能な状態のもの。人間が日常的に食物として摂取するものの総称である。食物(しょくもつ)、食料品(しょくりょうひん)とも呼ばれる。
(出典:Wikipedia)
食
常用漢字
小2
部首:⾷
9画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“食物”で始まる語句
食物屋
食物売
食物本草
食物丈
食物店
食物通
食物彙纂
食物調理
食物原料調査