)” の例文
乳離れの赤児あかごにちょうどいい菓子は僕が今拵えてげるよ。お徳や、例の軽焼餅を持っておいでな。大原君、この軽焼餅は別製だぜ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「叔父さん、風邪かぜを引くといけませんよ——シャツでもげましょう」と言って、正太は豊世の方を見て、「股引ももひきも出して進げな」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
其顏そのかほ不審いぶかしげにあふぎて、姉樣人形ねえさまにんぎやうくださるか、げまするとわづかにうなづ令孃ひめ甚之助じんのすけうれしくたちあがつて、つたつた。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「これに三十円あります。まあこれだけげておきますから、うち処置かたをつけて、一日も早く東京へおいでなさいな」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老人はよろこんで、「それでい、それで可い。では、私が、お前の家まで送ツて行ツてげやう。だが、お前は、大分疲れてゐるやうだ。私が背負おぶツて行ツてげる。」
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
心持でいと仰しゃッたから、私の上げたい心持は三文で、モウ五文とはげられん心持で、それゆえに多分のことは出来んと前々からお掛合申したところ、心持で宜いと仰しゃったから出したが
「僕もげよう、要るなら取つとき給へ。」
「どれ、種ちゃんは叔母さんの方へいらっしゃい」と豊世は種夫に手招きして見せて、「豊世叔母さんが好くしてげましょうネ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
竹や、和女おまえも料理法を習うからには略式ばかりで物足りない、念のために本式のブランライスプデンを教えてげましょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
婦人は照子の答えざるを見て、伯爵夫人を婆様よばわり、これもまた異数なり。「おや、返事をしないね。耳がうといのか、この襯衣しゃつを買ってげよう。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
覺悟かくご次第しだい斷念あきらめもつくべし、いま此文これげて、あきらかのおこたいてたまはれ、次第しだいにて若樣わかさまにもおわかれにるべければと虚實きよじつをまぜて、子心こごヽろあはれとくやうたのみければ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しの「いでげて下せえよ」
それを御願いして、では買ってげるから一銭だけ自分で出して行くようになどと言われると、子供心に嬉しかったと書いてよこした。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
小山「ウム借りてげよう。しかしまだ生れないではないか、生まれないどころかまだ婚礼も済まないのに小供の衣服きものも手廻しが早過ぎるね」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
御覧な、誰も世話をしないから、この暑いのに綿の入った衣服きものを着ておいでだよ。私をもとのようにしておくれだったら、甘味おいし御膳ごぜんげようし、衣服も着換えさせますよ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「菊ちゃん、お出し」と言って、お種は妹娘いもうとの分だけ湯に溶かして、「どれ、着物おべべがババく成ると不可いけないから、伯母さんが養ってげる」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一家の妻君となった人は良人おっとが山へ遠足に行くとか川へ釣魚つりにでも往く時は手製のサンドウィッチを拵えてげるし
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これまで幾度謝罪をしてげましても、お前様の料簡が直らないから、もうもう何と謂つたつて御肯入おきゝいれなさらない、わたしが謂つたつて所詮しよせん駄目です、あゝ、余りひどうございますよ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「お雪さん、そんな田舎臭い束髪を……どれ、貸して見さっせ……私は豊世のを見て来たで、一つ東京風に結ってみてげるに」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
胡麻ごまとか胡桃くるみとか南京豆とか大豆とかいうものは沢山の脂肪分を持っています。貴嬢あなたに先日書いてげた日用食品の分析表〔春の巻の付録〕を御覧なさい。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
どうせ横紙破りの祝言だ。媒灼なこうども何も要った物ではない。どれ、藤をげますから。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「こいつは自分で飲むつもりだったが、まあそっちへげる。下手へたな薬なぞよりはかえってこの方が好い。毎日すこしずつお上り」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
中川は別にとがめず「そうかね、それならば焼いてげるがいい。しかしこのパンは昨日きのう製したのだよ、古いから焼かずに出したが新らしければ勿論もちろん焼いてげるさ」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
交際社会のクインとまで謂わるる貴女あなた、今醜聞を新聞に出されては、とても日本においでなさることは出来まいと思って、私がほんの寸志、これをげますから、外国へおげなさい。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何時までも置いてげたいとは思うんですけれど、家内はあの通り身体からだも弱し、御世話が届きかねると思いますからね——」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この外に御飯を一旦煮て裏漉にしてライスケーキも出来ればライスソフレーも出来るし色々のお料理が沢山あるけれども今はせわしいから今度また暇の時に教えてげよう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「戻ってまた教えてげよう。お前がおいででちょうど可い。誰も居ないから留守しておくれ。わたしはね、この御薬を持って裏のお婆様ばあさんの処へちょいと行って来る。」「あいあい。」とうなずけば
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中根夫婦が今、「これをげます」と言ったように、泉太や繁に旅の土産を分つのに比べたら、何という相違だろうと思った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いよいよ大原君がお代さんと婚礼したら大原君の身をあわれに思いあくまでも和女がお代さんを良夫人に仕立ててげて大原君の幸福を増さしめるように心掛けなければならん。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
私も大方、姉上にげたその事であろうと思った。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お福は畠の間から姉の方を見て、「今ね——一寸ちょっと裏へ出て見たら、あんまり好くってるもんだから。すこし取って行ってげようと思って」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
柿田かきたさん、なんでもかんでも貴方あなた被入いらつしつて頂くやうに、私が行つて院長さんに御願ひして来てげる——左様さう言つて、引受けて来たんですよ。」
死の床 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「姉さんにも一つげましょう」と榊は女中へ盃を差した。「どうです、僕等はこれで何商売と見えます?」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「何か私共でも節ちやんに祝つてげたいが……要りさうな物を左様さう言つて下さいな……紋附の羽織にでもしませうか、それともこれからのことですから単衣ひとへのやうな物が可いか。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「泣かなくても、げますよ」と家内は叱るように言った。「お煎餅せんべですよ」
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「さ温順おとなしくお昼寝なさい。姉さんが一緒にねんねしてげますからネ。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「お涼さん、あのお預りしたものを岸本さんにげたらいでしょう」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
真実ほんとう獅子ししや手長と成ったら、どうしてもおくれますネ。そのうちに一つ塾の先生方を御呼び申したい……何がなくとも皆さんに集って頂いて、これで一杯げられるようだといんですけれど……」
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あのがくなかには『奉納ほうなふ』といふ文字もじと、それをげたひとうまれたとしなぞがいてあるのにがつきましたか。とうさんのおうちうらまつつてあるお稻荷いなりさまのやしろにも、あの繪馬ゑまがいくつもかゝつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「長ちやん、好いものをがしてげませうか。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「清さん、お客さまにげて下さいな」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「これ、水でもげナ」
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)