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荒浪
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あらなみ
ふりがな文庫
“
荒浪
(
あらなみ
)” の例文
というわたしをこの人はまだこどものように見てなにかと覚束ながる。
互
(
たがい
)
に眼を
瞠目
(
みは
)
って、よくぞこのうき世の
荒浪
(
あらなみ
)
に
堪
(
た
)
うるよと思う。
愛よ愛
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
陸を行けば、じき隣の越中の国に入る
界
(
さかい
)
にさえ、
親不知子不知
(
おやしらずこしらず
)
の難所がある。削り立てたような巌石の
裾
(
すそ
)
には
荒浪
(
あらなみ
)
が打ち寄せる。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
小さな汽船ぐらいは
忽
(
たちま
)
ちひと
呑
(
の
)
みにするほどの
荒浪
(
あらなみ
)
が
猛
(
たけ
)
り狂っているから、その入江には出入りする船舶の数もすくない。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
忽
(
たちま
)
ち
私
(
わたし
)
の
傍
(
そば
)
を
近々
(
ちか/″\
)
と
横
(
よこ
)
ぎつて、
左右
(
さいう
)
に
雪
(
ゆき
)
の
白泡
(
しらあわ
)
を、ざつと
蹴立
(
けた
)
てて、
恰
(
あたか
)
も
水雷艇
(
すゐらいてい
)
の
荒浪
(
あらなみ
)
を
切
(
き
)
るが
如
(
ごと
)
く
猛然
(
まうぜん
)
として
進
(
すゝ
)
みます。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
轟々
(
ごうごう
)
たる躁音は、どうやら、この巌の下が深い
淵
(
ふち
)
であって、そこへ
荒浪
(
あらなみ
)
が、どーんどーんと打ちよせている音を模したものらしいことが呑みこめた。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
荒浪
(
あらなみ
)
高
(
たか
)
き
印度洋
(
インドやう
)
に
進航
(
すゝみい
)
つてからも、
一日
(
いちにち
)
、
二日
(
ふつか
)
、
三日
(
みつか
)
、
四日
(
よつか
)
、と
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れ、
夜
(
よ
)
は
明
(
あ
)
けて、
五日目
(
いつかめ
)
までは
何事
(
なにごと
)
もなく
※去
(
すぎさ
)
つたが、
其
(
その
)
六日目
(
むいかめ
)
の
夜
(
よる
)
とはなつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
この
時分
(
じぶん
)
になると、もはや、
汽船
(
きせん
)
の
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
もきくことができませんでした。
荒浪
(
あらなみ
)
は、ますます
荒
(
あ
)
れて、
暗
(
くら
)
い
空
(
そら
)
の
下
(
した
)
に、
海
(
うみ
)
は、
白
(
しろ
)
くあわだっていたからであります。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
特に近世のいわゆる植民地獲得時代では、世界中がその
荒浪
(
あらなみ
)
の影響を受けた。その時代における徳川三百年の鎖国は、世界の中で、一つの特異な文化をこの国に作り上げた。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
荒浪
(
あらなみ
)
のような内的要求がともすれば彼を長篇へ誘おうとしたのもこの時代のことである。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
と喜んで居りますると、
俄然
(
がぜん
)
一陣の猛風吹き起って、
忽
(
たちま
)
ち
荒浪
(
あらなみ
)
と変じました。見る/\
中
(
うち
)
に
逆捲
(
さかま
)
く浪に舟は笹の葉を流したる如く、
波上
(
はじょう
)
に
弄
(
もてあそ
)
ばれて
居
(
お
)
る様は真に危機一発でございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それに、不思議な花の山々の、無数の曲線の交錯が、まるで小舟の上から渦巻き返す
荒浪
(
あらなみ
)
を見る様に、恐しい
勢
(
いきおい
)
で彼女を目がけておし寄せるかと疑われたのです。決して動きはしないのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
學生
(
がくせい
)
の
頃
(
ころ
)
から、
閣下
(
かくか
)
は
學問
(
がくもん
)
も
腹
(
はら
)
も
出來
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
て、
私
(
わたし
)
のやうに
卑怯
(
ひけふ
)
でないから、
泳
(
およ
)
ぎに
達
(
たつ
)
しては
居
(
ゐ
)
ないけれども、
北海
(
ほくかい
)
の
荒浪
(
あらなみ
)
の
百噸
(
ひやくとん
)
以下
(
いか
)
を
恐
(
おそ
)
れない。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
荒浪
(
あらなみ
)
激
(
げき
)
する洋上をすれすれに飛んだり、あるいはまた、雲一つない三千メートルの高空にのぼったりして、消えた巨船の行方をさがしもとめたけれど
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私
(
わたくし
)
が
世界
(
せかい
)
漫遊
(
まんゆう
)
の
目的
(
もくてき
)
をもつて、
横濱
(
よこはま
)
の
港
(
みなと
)
を
出帆
(
ふなで
)
したのは、
既
(
すで
)
に
六年
(
ろくねん
)
以前
(
いぜん
)
の
事
(
こと
)
で、はじめ
亞米利加
(
アメリカ
)
に
渡
(
わた
)
り、それから
大西洋
(
たいせいよう
)
の
荒浪
(
あらなみ
)
を
横斷
(
よこぎ
)
つて
歐羅巴
(
エウロツパ
)
に
遊
(
あそ
)
び、
英吉利
(
イギリス
)
、
佛蘭西
(
フランス
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
お聞きよ此を! 今、現在、私のために、
荒浪
(
あらなみ
)
に漂つて、
蕃蛇剌馬
(
ばんじゃらあまん
)
に辛苦すると同じやうな
少
(
わか
)
い人があつたらね、——お前は何と云ふの!何と言ふの?
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
刃物
(
はもの
)
のような風がぴゅうぴゅうと吹きつける。めりめりと音がしたと思ったら、筏の一部がかんたんにわれて、あっと思うまもなく
荒浪
(
あらなみ
)
にもっていかれてしまった。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
かくて
吾等
(
われら
)
の
運命
(
うんめい
)
を
托
(
たく
)
する
弦月丸
(
げんげつまる
)
は、アデン
灣
(
わん
)
を
出
(
い
)
でゝ
印度洋
(
インドやう
)
の
荒浪
(
あらなみ
)
へと
進入
(
すゝみい
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
お
聞
(
き
)
きよ
此
(
これ
)
を!
今
(
いま
)
、
現在
(
げんざい
)
、
私
(
わたし
)
のために、
荒浪
(
あらなみ
)
に
漂
(
たゞよ
)
つて、
蕃蛇剌馬
(
ばんじやらあまん
)
に
辛苦
(
しんく
)
すると
同
(
おな
)
じやうな
少
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
があつたらね、——お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふの!
何
(
なん
)
と
言
(
い
)
ふの?
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
浪
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“荒”で始まる語句
荒
荒野
荒唐無稽
荒磯
荒寥
荒涼
荒海
荒々
荒神
荒地