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茣蓙
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ござ
ふりがな文庫
“
茣蓙
(
ござ
)” の例文
膝の下の隠れるばかり、甲斐々々しく、水色
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の腰巻で、
手拭
(
てぬぐい
)
を肩に当て、縄からげにして巻いた
茣蓙
(
ござ
)
を
軽
(
かろ
)
げに
荷
(
にな
)
った、
商
(
あきない
)
帰り。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが、その時に行幸を拝ませようということなんだろうが、土地の八十以上とかの老人たちが、
茣蓙
(
ござ
)
を敷いた上に並んでいるんだ。
私は隠居ではない
(新字新仮名)
/
吉田茂
(著)
貞烈なお關の
峻拒
(
しゆんきよ
)
に逢つて、首を三太刀まで切つた上、
茣蓙
(
ござ
)
に包んで目黒川に流した始末を、平次は手に取る如く語り聞かせたのです。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
堀に面した商家の土蔵に添って、七歳か八歳になる女の子が二人、陽の当る地面に
茣蓙
(
ござ
)
を敷き、その上に坐ってお手玉をしていた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やがて鍋が煮立つと、どうしたわけか、酋長夫妻が急に起ち上って、右座の寝床の境に
茣蓙
(
ござ
)
をおろして、そこへ入ってしまった。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
今まで山のように積んであった寺銭も
場銭
(
ばせん
)
も盆
茣蓙
(
ござ
)
も、
賽目
(
さいのめ
)
までも虚空に消え失せて、あとには夥しい砂ほこりが分厚く積っているばかり。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私はすぐに庭に敷いてある
茣蓙
(
ござ
)
の上で、手伝いに来ていた小みなさんという年増芸者から、石童丸の顔を
拵
(
こしら
)
えてもらった。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
その黒い板の上に、
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて、それが居間にも、食堂にも使われる。寝るのもたいていは、この種類の部屋である。
北陸の民家
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
私の話が主婦の友の六月号に八頁ばかり出ていましたが、それを見た、柏木の
茣蓙
(
ござ
)
など売っている店の主婦が私に会いたいというので会ってみた。
私の小売商道
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
(著)
下では梵妻と娘が
茣蓙
(
ござ
)
の四隅を持ち、上からちぎって落す柿を受けていた。老僧も監督するような形で、
懐手
(
ふところで
)
をしながら
日向
(
ひなた
)
に立って眺めていた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
母親は青葉の映りの濃く射す縁側へ新しい
茣蓙
(
ござ
)
を敷き、
俎板
(
まないた
)
だの庖丁だの水桶だの蠅帳だの持ち出した。それもみな買い立ての真新しいものだった。
鮨
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おくみは下へ行つて
瓦斯
(
ガス
)
をつけて鉄瓶をかけて置いて、裏の
茣蓙
(
ござ
)
を片づけて、張り物なぞをこちらへ持つて帰つた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
ふとそのなかに
茣蓙
(
ござ
)
の敷いてあるのが目にとまったので、僕はいそいで靴をぬごうとすると、その
儘
(
まま
)
あがれという。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
荷馬車や旅商人や、
茣蓙
(
ござ
)
を着、大きな
檜笠
(
ひのきがさ
)
を被つた半島𢌞りの学生の群にも幾組か出遇つたり追ひ越したりした。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
偃松の枝を
堆
(
うずたか
)
く積み重ねた上に
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて、鹿の寝床のようなものが出来上った頃、海神の弄ぶ紅玉のような落日の影が日本海の水平線上に顕れたが
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
客が揃わないので、盆
茣蓙
(
ござ
)
はまだ始まっていなかった。やがて、二十人ほどになると、開帳された。もう、こういう雰囲気にも、金五郎はおどろかない。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
真夏のころで、寝床といっても、
茣蓙
(
ござ
)
一枚だった。むれ臭い蚊帳のそとでは、蚊が物すごい
唸
(
うな
)
りを立てていた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
私がここへ着いたのは午後五時頃で小屋は開くようになっていましたし、
茣蓙
(
ござ
)
や天幕等もあり、火も難なく焚けましたので、着物等を乾かし九時頃寝ました。
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
路傍に
茣蓙
(
ござ
)
を敷いてブリキの
独楽
(
こま
)
を売っている老人が、さすがに怒りを浮かべながら、その下駄を茣蓙の端のも一つの上へ重ねるところを彼は見たのである。
冬の日
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
そこへ
茣蓙
(
ござ
)
なんぞ敷きまして、その上に
敷物
(
しきもの
)
を置き、
胡坐
(
あぐら
)
なんぞ
掻
(
か
)
かないで正しく坐っているのが
式
(
しき
)
です。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
納戸
(
なんど
)
部屋の隅に伊丹樽を隠しておいて、そのなかへ醪を造り、その上へ
茣蓙
(
ござ
)
の蓋をして置く。それを、一日に何回となく
杓子
(
しゃくし
)
で酌み出しては鍋にいれてくるのだ。
濁酒を恋う
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
私は滞在中雨の降る日以外は、他に約束のない限りは、いつも夕方の六時を心待ちしました。素晴らしい
絣
(
かすり
)
や
縞
(
しま
)
や
浮織
(
うきおり
)
の着物が色々と
茣蓙
(
ござ
)
の上に拡げてあります。
沖縄の思い出
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その上へ
茣蓙
(
ござ
)
を付し、
檜木笠
(
ひのきがさ
)
を被っているのだから「どうも御気の毒様で」といわれたのも無理はない。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
源氏自身が
遺骸
(
いがい
)
を車へ載せることは無理らしかったから、
茣蓙
(
ござ
)
に巻いて
惟光
(
これみつ
)
が車へ載せた。小柄な人の死骸からは悪感は受けないできわめて美しいものに思われた。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その二人のお嬢さん達は、青い
茣蓙
(
ござ
)
の上に始終横になって雑誌を読んだり、果物を食べたりしていた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
お
白洲
(
しらす
)
ごっこだ。道理で、地面に
茣蓙
(
ござ
)
を
敷
(
し
)
いて、あれが
科人
(
とがにん
)
であろう、ひとりの子供が平伏している。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうして
梨
(
なし
)
を作り、墨絵をかきなぐり、めりやすを着用し、
午
(
ひる
)
の貝をぶうぶうと鳴らし、
茣蓙
(
ござ
)
に
寝
(
い
)
ね、
芙蓉
(
ふよう
)
の散るを賞し、そうして
水前寺
(
すいぜんじ
)
の吸い物をすするのである。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
板の間の隅に巻いて立てかけてあったしきのし
茣蓙
(
ござ
)
が、思うさまの足の力で
圧
(
お
)
されて、まんなかを
煎餅
(
せんべい
)
にへこまして曲っていた。ミネはその時のことをよく思い出す。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
... 読んでいたらいいじゃないかね。海の上へ出ると気がまたからりと
換
(
かわ
)
るものだから」そして「おおい! ここへ
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて、栗の罐詰と酒を持って来てくれないか」
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
下駄の時のように下足係の
厄介
(
やっかい
)
にならずにすむから、私も実は一度はいてみた事があるのであるが、どうも、足の裏が草履の表の
茣蓙
(
ござ
)
の上で、つるつる滑っていけない。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一つの部屋が各家族の全員用に充てられ、各人は、わずかに天井から垂れた
茣蓙
(
ござ
)
で区劃された別々の寝床に寝るのである。一つの共通の部屋が食事のために用いられる1
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
露が深いからこれで払って行けと、二尺余の木の枝をくれるのを、それにも及ばぬと元気のよい青年だ。
茣蓙
(
ござ
)
をくるくると身に巻いて、泳ぐようにして前へ進んでくれる。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
奥の院の夜は寂しくとも、信心ぶかい者の
夜詣
(
よまゐ
)
りが断えぬので、燈火の断えるやうなことは無い。また
夜籠
(
よごも
)
りする人々もゐると見え、私等の居る側に
茣蓙
(
ござ
)
などが置いてある。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
一人は
主人
(
あるじ
)
の綱義で柔道で固めた肉体は堂々として立派である。もう一人の男は旅人と見え、
三斗笠
(
さんどがさ
)
を冠り
茣蓙
(
ござ
)
を纏い手に竹杖を突いているが何うやら夫れは仕込杖らしい。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
赤毛氈や
茣蓙
(
ござ
)
を敷いて重箱を開くもあれば、
菰樽
(
こもだる
)
をかつぎ込んで騒ぐもあり、摺鉢山から竹の台、動物園前などいっぱい、ここへも仮装の連中や踊子が繰り込んで唄う、舞う
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
私達は
茣蓙
(
ござ
)
を持つたり、煙草盆を持つたり、茶器を携へたりして、午前の日影のをりをり晴れやかに照りわたる間を土手の方へと行つた。水田の中では
水鶏
(
くゐな
)
の声が頻りにきこえた。
ある日の印旛沼
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
庭の一隅に板を並べ
茣蓙
(
ござ
)
を敷き、其處を夕餉の席とした。生方君と今一人、二三日前から泊り合せてゐる眞田紐行商人の老爺との三人が半裸體になりながら冷酒のコツプを取つた。
樹木とその葉:34 地震日記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「と、いって、まさか
茣蓙
(
ござ
)
をかかえて、
柳原
(
やなぎはら
)
をうろつきもしねえのさ、ただね、手先きが器用なものだから、おのずと、この節お金が吸いついてならないというわけですよ、ほらね——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
湯の中ではそれぎりしか口を
利
(
き
)
かなかった。何でも暑い時分の事と覚えている。余が
身体
(
からだ
)
を
拭
(
ふ
)
いて、
茣蓙
(
ござ
)
の敷いてある縁先で、
団扇
(
うちわ
)
を使って涼んでいると、やがて長谷川君が上がって来た。
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は顔を
顰
(
しか
)
めながら、
茣蓙
(
ござ
)
だけが敷いてある寝台の上にゴロリと横になった。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二人は荷馬車に布いた
茣蓙
(
ござ
)
の上に、後向になつて行儀よく坐つた。傍には風呂敷包。馬車の上で髪を結つて行くといふので、お八重は別に櫛やら油やら懐中鏡やらの小さい包みを持つて来た。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
奥の方には岩を
穿
(
うが
)
って棚を作り、鍋やら茶碗やら、小さな手ランプなどの道具が少しばかり置かれてある。部屋の隅には
脂
(
あぶら
)
に汚れた
蒲団
(
ふとん
)
が置いてある。老人はやや
醜
(
みにく
)
からぬ
茣蓙
(
ござ
)
を一枚敷いてくれた。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
化學藥品
(
かがくやくひん
)
油類
(
ゆるい
)
の
發火
(
はつか
)
に
對
(
たい
)
しては、
燃燒
(
せんしよう
)
を
妨
(
さまた
)
げる
藥品
(
やくひん
)
を
以
(
もつ
)
て、
處理
(
しより
)
する
方法
(
ほう/\
)
もあるけれども、
普通
(
ふつう
)
の
場合
(
ばあひ
)
には
砂
(
すな
)
でよろしい。もし
蒲團
(
ふとん
)
、
茣蓙
(
ござ
)
が
手近
(
てぢか
)
にあつたならば、それを
以
(
もつ
)
て
被
(
おほ
)
ふことも
一法
(
いちほう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
蒲団はべつたり汗に染みるので、
茣蓙
(
ござ
)
を敷いてゐた。
幼少の思ひ出
(新字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
船長の好意で甲板の片隅に花
茣蓙
(
ござ
)
が敷かれた。
風蕭々
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
茣蓙
(
ござ
)
か、
囲炉裏
(
いろり
)
か、
飯台
(
はんだい
)
か。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
赤土の庭へ
茣蓙
(
ござ
)
一枚
相馬の仇討
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
今灯を
点
(
つ
)
けたばかり、油煙も揚らず、かんてらの火も新しい、店の
茣蓙
(
ござ
)
の端に、汚れた風呂敷を敷いて坐り込んで、物
馴
(
な
)
れた軽口で
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貞烈なお関の
峻拒
(
しゅんきょ
)
にあって、首を三太刀まで切った上、
茣蓙
(
ござ
)
に包んで目黒川に流した始末を、平次は手に取るごとく語り聞かせたのです。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
暗くじめじめした、かなり広い土間に、
茣蓙
(
ござ
)
を敷いた腰掛が並び、壁によせて、
萎
(
しお
)
れた菊や、
樒
(
しきみ
)
や、
阿迦桶
(
あかおけ
)
などが見える。
夕靄の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“茣蓙”の意味
《名詞》
茣蓙(ござ)
藺草を編んだむしろに縁をつけた敷物の一種。
(出典:Wiktionary)
“茣蓙(ござ)”の解説
ござ(茣蓙、蓙)は、草茎を織ることによって作られた敷物。一般にはイグサで織ったものを指す。構造は畳表とほぼ同じ。
(出典:Wikipedia)
茣
漢検1級
部首:⾋
10画
蓙
漢検1級
部首:⾋
13画
“茣蓙”で始まる語句
茣蓙屋
茣蓙敷
茣蓙帽子