簡単かんたん)” の例文
旧字:簡單
文明ぶんめいのこの社会しゃかいまれながら、むかしのものなぞをありがたがるのは、じつにくだらないことだと、かれ簡単かんたんかんがえたのであります。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
患者かんじゃおおいのに時間じかんすくない、で、いつも簡単かんたん質問しつもんと、塗薬ぬりぐすりか、※麻子油位ひましあぶらぐらいくすりわたしてるのにとどまっている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたしたちの宿やど構造こうぞうはしごく簡単かんたんであった。そなえつけの家具も同様で、土の山と、二つ三つ大きな石がいすの代わりにいてあるだけであった。
うも杉山すぎやまえらい者ぢやの、うもこの行文かうぶん簡単かんたんにしての意味深く僕等ぼくらの遠くおよところではない、つてみなめてつたぜ、あとほう松嶋まつしまの詩があつたの
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なにをきかれてもこのこたえ簡単かんたん明瞭めいりょう幽界ゆうかいそだった小供こどもには矢張やはりどこかちがったところがあるのでした。
やあ公がはらいっぱいたべた証拠しょうこにげっぷをしながら帰ってくると、加平はお客さんがおいていった十銭玉をわたして簡単かんたんにわけを話したきり、何もいわないのであった。
空気ポンプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
自然界の平衡状態イクイリプリアム試験管内しけんかんない科学的かがくてき平衡へいこうのような簡単かんたんなものではない。ただ一種の小動物だけでも、その影響えいきょうおよぶところははかり知られぬ無辺むへん幅員ふくいんをもっているであろう。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
梅子は代助の様子が真面目なので、何時いつもの如く無駄くちも入れずに聞いてゐたが、聞き終つた時、始めて自分の意見を述べた。それがきわめて簡単かんたんな且つきわめて実際的な短かい句であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくはあの図を出して先生になおしてもらったら次の日曜に高橋君たかはしくんたのんで僕のうちの近所きんじょのをすっかりこしらえてしまうんだ。僕のうちの近くなら洪積こうせき沖積ちゅうせきがあるきりだしずっと簡単かんたんだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おんの漢音はすこぶる発音はつおんに便利で、耳ざわりもよいから、ながたらしい大和やまと言葉の代りに通用するにいたったかも知れないが、実際我々がこんにち外国の言葉を用うるは簡単かんたんであるからとて用いる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
熱湯ねつたう。』と簡単かんたんこたへた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その簡単かんたんさまは、太古たいこ移住民族いじゅうみんぞくのごとく、またかぜただよぐさにもて、今日きょうは、ひがしへ、明日あすは、みなみへと、いうふうでありました。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
えず祭神さいしんとなってからの生活せいかつ変化へんかったようなてん簡単かんたん申上もうしあげてこうかとぞんじます。
「たったそれだけしか言わないの」とわたしはこの翻訳ほんやくがたいへん簡単かんたんすぎると思って言った。
彼女かのじょは、なみだかべました。そしてぼっちゃんから、おまえにくだされたのだと簡単かんたんいて、それから、からだ大事だいじにするようにといってやりました。
おきくと弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっと軍務ぐんむ多端たたんさいとて、そのしきいたって簡単かんたんなもので、ただ内輪うちわでお杯事さかずきごとをされただけ、もなく新婚しんこん花嫁様はなよめさまをおれになって征途せいとのぼられたとのことでございました。
なるほどこれはいちばん簡単かんたんで、手数がかからなかった。でもこの父さんは承知しょうちしなかった。
殿とのさまは、百しょう生活せいかつがいかにも簡単かんたんで、のんきで、お世辞せじこそいわないが、しんせつであったのがにしみておられまして、それをおわすれになることがありませんでした。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしがぬすまれたとき、どんな着物を着ていたか、これを父親にたずねるのは容易よういなことではなかった。なんの下心なしにぐうぜんこの質問しつもんを発するなら、それはいたって簡単かんたんなことであろう。
「さあ、べつになかったようですが。」と、駅員えきいん簡単かんたんこたえました。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしたちの流行はしごく簡単かんたんであった。
みんなが今度こんど聖戦せいせんは、東洋永遠とうようえいえん平和へいわのために、じゃまになるものは、いっさいをのぞくのであるから、簡単かんたんにいくわけがなく、戦線せんせん銃後じゅうごわず、こころを一つにして、ともにくるしみ、相助あいたす
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、光治こうじ簡単かんたんこたえた。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)