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白刃
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はくじん
ふりがな文庫
“
白刃
(
はくじん
)” の例文
裾野にそよぐ
穂
(
ほ
)
すすきが、みな
閃々
(
せんせん
)
たる
白刃
(
はくじん
)
となり
武者
(
むしゃ
)
となって、声をあげたのかと
疑
(
うたが
)
われるほど、ふいにおこってきた四面の
伏敵
(
ふくてき
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
安岡は研ぎ出された
白刃
(
はくじん
)
のような神経で、深谷が何か正体をつかむことはできないが、
凄惨
(
せいさん
)
な空気をまとって帰ったことを感じた。
死屍を食う男
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
平次の袖の下を掻いくぐって飛込む八五郎、その鼻の先へ
白刃
(
はくじん
)
がスーッと
靡
(
なび
)
くと、上がり
框
(
かまち
)
の破れ障子はピシリと閉じられました。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と言って、部屋を出ようとしたり、声を出そうとすれば、今にも喬之助の手に
白刃
(
はくじん
)
が
閃
(
ひら
)
めきそうに思われるのだ。玄蕃は、
素手
(
すで
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、義竜の姿が
忽然
(
こつぜん
)
と消えて、怪しい
白刃
(
はくじん
)
が
室
(
へや
)
の中に電光のようにきらきらと
閃
(
ひらめ
)
くと共に、長井と篠山がばたばたと
斃
(
たお
)
れた。
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
彼は
頸
(
うなじ
)
の上に振上げられた
白刃
(
はくじん
)
をまざまざと眼に見るような気がした。同じように感ずればこそ、理兵次も
垢
(
はじ
)
を含んで
遁亡
(
とんぼう
)
したものに相違ない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
今のふたりの立ち場は剣道の
達人
(
たつじん
)
と達人とが、
白刃
(
はくじん
)
をかまえてにらみあっているのと、少しもかわりはありません。気力と気力のたたかいです。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かつての自分の
誇
(
ほこり
)
であった・
白刃
(
はくじん
)
前
(
まえ
)
に
接
(
まじ
)
わるも目まじろがざる
底
(
てい
)
の勇が、何と
惨
(
みじ
)
めにちっぽけなことかと思うのである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
雖然
(
けれども
)
どう考えても、例えば此間盗賊に
白刃
(
はくじん
)
を持て追掛けられて怖かったと云う時にゃ、其人は
真実
(
ほんと
)
に怖くはないのだ。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
山内侯に見染められたのも、水戸の
武田耕雲斎
(
たけだこううんさい
)
に思込まれて、隅田川の舟へ連れ出して
白刃
(
はくじん
)
をぬいて
挑
(
いど
)
まれたのも、みな彼女の若き日の夢のあとである。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
人に金を借用してその催促に逢うて返すことが出来ないと云うときの心配は、
恰
(
あたか
)
も
白刃
(
はくじん
)
を
以
(
もっ
)
て後ろから
追蒐
(
おっか
)
けられるような
心地
(
こころもち
)
がするだろうと思います。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
白刃
(
はくじん
)
の下をくぐる千番に一番のカネ合いで、ついにあやか夫人が短剣を握って出演するに至りましたが、これは例外中の例外で、最後の一馬殺しをのぞいて
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
倒
(
さか
)
さに銀河を崩すに似ている飛泉に、碧澗から
白刃
(
はくじん
)
を
擲
(
なげう
)
つように
溌溂
(
はつらつ
)
として躍り狂うのであるから、鱒魚の豊富な年ほどそれだけ一層の壮観であるそうである
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
庄「誠に
種々
(
いろ/\
)
御厄介に相成りました、余り不法を申しますから残念に心得、一言二言云うと
貴方
(
あなた
)
、
白刃
(
はくじん
)
を
振廻
(
ふりま
)
わし、此の狭い路地を荒す無法の奴でございます」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人はあたかも
白刃
(
はくじん
)
を抜いて立ち向った者がピタリと
青眼
(
せいがん
)
に構えたように、相手の
隙
(
すき
)
を
狙
(
ねら
)
っていました。その瞬間、私は実にナオミの顔を美しいと感じました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかもその人影は、手に
白刃
(
はくじん
)
を提げて立っていることに
渾身
(
こんしん
)
から驚いて、わななかずにはおられません。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
東町奉行所で
白刃
(
はくじん
)
の
下
(
した
)
を
脱
(
のが
)
れて、瀬田
済之助
(
せいのすけ
)
が此屋敷に駆け込んで来た時の屋敷は、決して此出来事を
青天
(
せいてん
)
の
霹靂
(
へきれき
)
として聞くやうな、平穏無事の
光景
(
ありさま
)
ではなかつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
此盲動的動作亦必ず人意にあらじ、人を殺すものは死すとは天下の
定法
(
ぢやうはふ
)
なり、されども自ら死を決して人を殺すものは
寡
(
すく
)
なし、呼息
逼
(
せま
)
り
白刃
(
はくじん
)
閃
(
ひらめ
)
く此
刹那
(
せつな
)
、既に身あるを知らず
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
人の世のうつし身の男子に
逢
(
あ
)
ふより先、をとめのかの女は
清冽
(
せいれつ
)
な河神の
白刃
(
はくじん
)
にもどかしい此の身の性慾を
浄
(
きよ
)
く
爽
(
さわ
)
やかに
斬
(
き
)
られてみたいあこがれをいつごろからか持ち始めて居た。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
権力の座にヌクヌクとおさまっている大臣どもが、
白刃
(
はくじん
)
の前でどんな正体をさらすか。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
白刃
(
はくじん
)
をふるって斬りこまれたり、闇討ちに遭いかけたことは、これまでたびたびあったことだし、そう言われれば、なるほどこれくらいの威かしに今さらびくつくこともいらないわけで
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
川上機関大尉の体が前かがみになったと思ったら、右手にさっと閃いた
白刃
(
はくじん
)
!
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
明治四年の鉄道敷設問題に際して我輩は刺されようとしたことが、なにしろ維新前後には
殺伐
(
さつばつ
)
の気が
漲
(
みなぎ
)
っていて、
刺客縦横
(
しかくじゅうおう
)
の有様であったから、
白刃
(
はくじん
)
の
閃
(
ひらめ
)
くくらいは覚悟の前で平気であった。
青年の天下
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ただ下枝は右にありて床柱に縛し上げられつ、人形は左にありて床の間に据えられたる、肩は擦合うばかりなれば、
白刃
(
はくじん
)
ものを刺したるとき、下枝は胆消え目も
眩
(
くら
)
みて、絶叫せしはさもありなん。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ、相手に
白刃
(
はくじん
)
があることだが、何とか
欺
(
だま
)
して取り上げる
工夫
(
くふう
)
はないかしら?——気違いに刃物、これほど危いものはない。待てよ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
横に
白刃
(
はくじん
)
の
光流
(
こうりゅう
)
がその玉縄を下からすくったかと思うと、ぶらさがっていった四、五人が、
束
(
たば
)
になってまッさかさまに下へ——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顔を挙げると、いつの間に集まったか、三方から五六人の人数、棍棒と
匕首
(
あいくち
)
を、中には二条の
白刃
(
はくじん
)
さえ交えて
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
水戸
(
みと
)
の武田耕雲斎に思われ、大川の涼み船の中で
白刃
(
はくじん
)
にとりまかれたという
挿話
(
そうわ
)
ももっている。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それはかの
鵜飼
(
うかい
)
の四人であった。皆さっきのままのなりで、手に手に
白刃
(
はくじん
)
を持っていた。
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
庄左衞門は堅いから向うで金を出したのを立腹して、
一言二言
(
ひとことふたこと
)
の
争
(
あらそい
)
より遂にぴかつくものを引抜き、狭い路地の中で白昼に
白刃
(
はくじん
)
を
閃
(
ひらめ
)
かし、斬合うという騒ぎに相成りましたから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白刃
(
はくじん
)
をつきつけられたような、わけの分らぬ恐怖がいつまでも背筋を這って止まらなかった。それでも彼はこの質問をきき忘れるわけには行かない。胴ぶるいをグッと抑えて、必死の構え。
現代忍術伝
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そもそも陵の今回の軍たる、五千にも満たぬ歩卒を率いて深く敵地に入り、
匈奴
(
きょうど
)
数万の師を
奔命
(
ほんめい
)
に疲れしめ、転戦千里、矢尽き道
窮
(
きわ
)
まるに至るもなお全軍
空弩
(
くうど
)
を張り、
白刃
(
はくじん
)
を冒して死闘している。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
己は
白刃
(
はくじん
)
を胸に
擬
(
ぎ
)
せられたと同様の
脅喝
(
きょうかつ
)
に襲われた事を感じた。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
予算一万貫、工人二万、京都の富豪たちにも、
賦課
(
ふか
)
を申しつけた。——そして彼は虎の毛皮の
行縢
(
むかばき
)
を
穿
(
うが
)
ち、時には、手に
白刃
(
はくじん
)
をさげて、外門の工を見廻った。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
蓮様
(
れんさま
)
の寮で柳生源三郎が剣豪
峰丹波
(
みねたんば
)
一党にとりかこまれ、くら
闇
(
やみ
)
の中に
命
(
いのち
)
と頼む
白刃
(
はくじん
)
を
濡
(
ぬ
)
れ
真綿
(
まわた
)
でからめられた「源三郎の
危機
(
きき
)
」から
稿
(
こう
)
をつづけるべきですが
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
予
(
かね
)
て文治と云う奴は、腕を
突張
(
つッぱっ
)
て喧嘩の中や
白刃
(
はくじん
)
の中へ飛込むと云う事は聞いて
居
(
お
)
ったが、
仮令
(
たとえ
)
何
(
ど
)
のような儀があっても人の女房を手ごめに殺すとは捨置きにならん、拙者も元は右京の家来
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かれはふいに耳をたって、四、五
間
(
けん
)
ばかりかけだしてながめると、いましも、ひとりの
兇漢
(
きょうかん
)
が、
皎々
(
こうこう
)
たる
白刃
(
はくじん
)
をふりかぶって、
小
(
ち
)
ッぽけな
小僧
(
こぞう
)
をまッ二つと斬りかけている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
安「こりゃアどうも
怪
(
け
)
しからん、
白刃
(
はくじん
)
を
振
(
ふる
)
っておどすなぞとは、えゝ貞藏」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
寝ている守人の肩へ伸びた
刹那
(
せつな
)
、もうだめと思ったか、むくりと起き上がった守人の手が夜具の下へ行ったかと思うと、隠していた帰雁が、
白刃
(
はくじん
)
一
閃
(
せん
)
! おどり出たと見るまに、早くも捕手の一人
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一とかたまりの武者が
白刃
(
はくじん
)
をそろえて前を
塞
(
ふさ
)
いだ。みな
面
(
おもて
)
や全身を血にそめている死にもの狂いの荒木
勢
(
ぜい
)
である。殊に、うしろへ駆け廻った幾名かは、栗山善助の背に眼をつけて
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松五郎殿が其の
薪
(
まき
)
を
窃
(
ぬす
)
んで
焚
(
た
)
くような次第と云わざるべからざる義だから、恐入り奉る訳ではない、なれど
白刃
(
はくじん
)
を
揮
(
ふ
)
って
政府
(
かみ
)
お役人の
御
(
ご
)
集会を蒙むるような事に於ては
愍然
(
びんぜん
)
たる処の訳じゃア無いか
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
刃
常用漢字
中学
部首:⼑
3画
“白刃”で始まる語句
白刃組
白刃交
白刃取
白刃林
白刃潜