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さむ
ふりがな文庫
“
淋
(
さむ
)” の例文
「でも
宅
(
うち
)
の
事
(
こと
)
を
始終
(
しじゆう
)
淋
(
さむ
)
しい/\と
思
(
おも
)
つてゐらつしやるから、
必竟
(
ひつきやう
)
あんな
事
(
こと
)
を
仰
(
おつ
)
しやるんでせう」と
前
(
まへ
)
と
略
(
ほゞ
)
似
(
に
)
た
樣
(
やう
)
な
問
(
とひ
)
を
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
米「まア一服召上りませ、今日は
能
(
よ
)
く入らっしゃって下さいました、
平常
(
ふだん
)
は
私
(
わたくし
)
と嬢様ばかりですから、
淋
(
さむ
)
しくって困って
居
(
い
)
るところ、誠に有難うございます」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ああ、静かな日だ、
淋
(
さむ
)
しい昼過ぎだ、と思うと、自分は訳もなく、その辺に冷たい石でもあらば腰かけて、自分にも
解
(
わか
)
らぬ何事かを考えたくて
堪
(
たま
)
らなくなった。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
世
(
よ
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
罪
(
つみ
)
無
(
な
)
くなし
給
(
たま
)
へ、この
癩病
(
らいびやう
)
に
病
(
や
)
む
者
(
もの
)
を。」
噫
(
あゝ
)
、
淋
(
さむ
)
しい、あゝ、
恐
(
こは
)
い。
歯
(
は
)
だけに、
生来
(
しやうらい
)
の
白
(
しろ
)
い
色
(
いろ
)
が
残
(
のこ
)
つてゐる。
獣
(
けもの
)
も
恐
(
こは
)
がつて
近
(
ちか
)
づかず、わが
魂
(
たましひ
)
も
逃
(
に
)
げたがつてゐる。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
向うの方に大きな
竹籃
(
たけかご
)
のようなものが二つ三つ浮いていたので、蛸ばかりで
淋
(
さむ
)
しいと思った叔父は、船をその一つの
側
(
わき
)
へ
漕
(
こ
)
ぎ寄せさした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
筆「はい嘸段々お
淋
(
さむ
)
しゅうございましょう」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奥さんは最初から、
無人
(
ぶにん
)
で
淋
(
さむ
)
しいから、客を置いて世話をするのだと公言していました。私もそれを
嘘
(
うそ
)
とは思いませんでした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助は
淋
(
さむ
)
しいでしょうと云って、つい座敷に上り込んで、一つ
火鉢
(
ひばち
)
の両側に手を
翳
(
かざ
)
しながら、思ったより長話をして帰った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうね。内幸町へ行っても好いけど、あんまり広過ぎて
淋
(
さむ
)
しいから。——久しぶりにここへ泊ろうかしら、ねえ叔母さん」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
淋
(
さむ
)
しいでせうと
云
(
い
)
つて、つい
座敷
(
ざしき
)
に
上
(
あが
)
り
込
(
こ
)
んで、
一
(
ひと
)
つ
火鉢
(
ひばち
)
の
兩側
(
りやうがは
)
に
手
(
て
)
を
翳
(
かざ
)
しながら、
思
(
おも
)
つたより
長話
(
ながばなし
)
をして
歸
(
かへ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「しかし退屈ね。そんなに
淋
(
さむ
)
しくっちゃ。朝から晩まで寝ていらっしゃる訳にも行かないでしょう」と御米がまた云った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると母は
真面目
(
まじめ
)
な顔をして、「二郎、御前がいなくなると、
宅
(
うち
)
は
淋
(
さむ
)
しい上にも淋しくなるが、早く好い御嫁さんでも貰って別になる
工面
(
くめん
)
を
御為
(
おし
)
よ」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
然
(
しか
)
し
退屈
(
たいくつ
)
ね。そんなに
淋
(
さむ
)
しくつちや。
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
迄
(
まで
)
寐
(
ね
)
て
入
(
い
)
らつしやる
譯
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
かないでせう」と
御米
(
およね
)
が
又
(
また
)
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
町とは云い条、その
実
(
じつ
)
小さな宿場としか思われないくらい、小供の時の私には、
寂
(
さび
)
れ
切
(
き
)
ってかつ
淋
(
さむ
)
しく見えた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「だつて、
兄
(
にい
)
さんが
留守勝
(
るすがち
)
で、嘸御
淋
(
さむ
)
しいでせうなんて、あんまり
思遣
(
おもひや
)
りが
好過
(
よす
)
ぎる事を
仰
(
おつ
)
しやるからさ」と云ふ言葉があつた。代助は
其所
(
そこ
)
へ自分を
挟
(
はさ
)
んだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何しろ
淋
(
さむ
)
しいには違ないんだね。それもあいつの事だから、人情で淋しいんじゃない、
慾
(
よく
)
で淋しいんだ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は軍人の
妻君
(
さいくん
)
というものはみんなこんなものかと思って感服しました。感服もしたが、驚きもしました。この
気性
(
きしょう
)
でどこが
淋
(
さむ
)
しいのだろうと疑いもしました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
淋
(
さむ
)
しいからもっといてくれというのが
重
(
おも
)
な理由であったが、母や私が、食べたいだけ物を食べさせないという不平を訴えるのも、その目的の一つであったらしい。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寒い戸外の空気に冷えたその
頬
(
ほお
)
はいつもより
蒼白
(
あおじろ
)
く自分の
眸子
(
ひとみ
)
を射た。不断から
淋
(
さむ
)
しい
片靨
(
かたえくぼ
)
さえ
平生
(
つね
)
とは違った意味の淋しさを消える瞬間にちらちらと動かした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕はそのたびに娘さんから、こうして活きていてもたった一人で
淋
(
さむ
)
しくってたまらないから、どうぞ助けて下さいと
袖
(
そで
)
に
縋
(
すが
)
られるように感じた。——その眼がだよ。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いいえ、さっきから、もうお帰りか、もうお帰りかと思って待ってたの。しまいにあんまり
淋
(
さむ
)
しくってたまらなくなったから、とうとう
宅
(
うち
)
へ手紙を書き出したの」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実際自分はこう突然人家が尽きてしまおうとは、自分が自分の足で橋板を踏むまでも思いも寄らなかったのである。——その
淋
(
さむ
)
しい山の方から、小僧が一人やって来た。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妹
(
いもと
)
が学校へ行き帰りに、戸山の原を通るのが
厭
(
いや
)
だといひ
出
(
だ
)
しましてね。それに僕が
夜
(
よる
)
実験をやるものですから、
遅
(
おそ
)
く迄
待
(
ま
)
つてゐるのが
淋
(
さむ
)
しくつて
不可
(
いけ
)
ないんださうです。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
おひまなら、今日どうです、いっしょに行っちゃ。
吉川
(
よしかわ
)
君と
二人
(
ふたり
)
ぎりじゃ、
淋
(
さむ
)
しいから、来たまえとしきりに勧める。吉川君というのは画学の教師で例の野だいこの事だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
淋
(
さむ
)
しくって
不可
(
いけ
)
ないから、又来て
頂戴
(
ちょうだい
)
」と云った。下女はまだ裏で張物をしていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
淋
(
さむ
)
しくつて
不可
(
いけ
)
ないから、又
来
(
き
)
て頂戴」と云つた。下女はまだ
裏
(
うら
)
で
張物
(
はりもの
)
をしてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「神経は起さなくっても淋しいんだから仕方がありません。僕はこれから
宅
(
うち
)
へ帰って母の顔を見るときっと泣くにきまっています。今からその時の涙を予想しても
淋
(
さむ
)
しくってたまりません」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
淋
(
さむ
)
しい夜道で、急に人声を聞いた人があるかないか知らないが、聞いて見るとちょっと
異
(
い
)
な感じのするものだ。それも普通の話し声なら、まだ好いが、おおいと人を呼ぶ奴は気味がよくない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御米も久しぶりに綿の
入
(
い
)
った重いものを
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
てて、肌に
垢
(
あか
)
の触れない軽い気持を
爽
(
さわ
)
やかに感じた。春と夏の境をぱっと飾る陽気な日本の風物は、
淋
(
さむ
)
しい御米の頭にも幾分かの反響を与えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう
寄席
(
よせ
)
もやめて、しもうた
屋
(
や
)
になっていたようであるが、私はそこの
宅
(
うち
)
の軒先にまだ薄暗い看板が
淋
(
さむ
)
しそうに
懸
(
かか
)
っていた頃、よく母から
小遣
(
こづかい
)
を貰ってそこへ講釈を聞きに出かけたものである。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
健三は兄の
道伴
(
みちづれ
)
になるには余りに未来の希望を多く持ち過ぎた。そのくせ現在の彼もかなりに
淋
(
さむ
)
しいものに違なかった。その現在から順に推した未来の、当然淋しかるべき事も彼にはよく解っていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「近頃は女ばかりで
淋
(
さむ
)
しくっていけません」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「姉さんはそれで
淋
(
さむ
)
しくはないですか」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
姉
(
ねえ
)
さんは
夫
(
それ
)
で
淋
(
さむ
)
しくはないですか」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「三千代さんは
淋
(
さむ
)
しいだろう」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「津田君、僕は
淋
(
さむ
)
しいよ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
淋
(
さむ
)
しいな」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
淋
漢検準1級
部首:⽔
11画
“淋”を含む語句
御淋
淋漓
薄淋
淋巴腺
口淋
淋巴液
心淋
鮮血淋漓
淋巴
物淋
味淋
慷慨淋漓
墨痕淋漓
裏淋
淋病
溌墨淋漓
淋巴質
淋代
白味淋
光淋屏風
...