ぱく)” の例文
代金だいきんだれがきめたものか、いづこも宿賃やどちん二三百円びやくゑんのぞいて、をんな収入しうにふきやく一人ひとりにつき普通ふつうは三百円びやくゑんから五百円ひやくゑん、一ぱく千円せんゑん以上いじやうだとふ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「海上はなはだあらく、ひどくなやまされた。とちゅうパリに一ぱく。妹クリスチーナを同伴どうはん四時に行く。出むかえの馬車をたのむ。マチア」
その日も一ぱく、次の日も、やむを得ず一泊した。困ったのは食糧だ。もっと持ってくればよかった。水は完全になくなった。
恐竜艇の冒険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
疑いもなくこれは、海にそそぐ川の源流げんりゅうである、日はだんだんかたむきかけたので、一同はここに一ぱくすることにきめた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
友愛塾では、毎回の講習期間の終わりに近く塾長以下全員そろって三ぱく四日の旅行をやることになっていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
早速さつそくくすり調合てうがふし、土地とち醫者いしや方劑はうざいさづけたが、玄竹げんちくは、塔頭たつちううめばうといふのへ案内あんないされて、精進料理しやうじんれうり饗應きやうおうけ、下男げだんとともに一ぱくして、翌朝よくてうかへることになつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
東京とうきやう出程ときから、諏訪すはに一ぱく豫定よていして、旅籠屋はたごやこゝろざした町通まちどほりの菊屋きくやであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つぎが、長野ながの山田やまだ、藤堂氏の領上野、島ヶ原、大川原と、夜は夜で肩をかえ、江戸発足以来一ぱくもしないで、やがて、柳生の里は、柳生対馬守御陣屋ごじんや、江戸から百十三里です。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
やしき彼方かなた建築たてられしをさいはひ、开處そこ女中頭ぢよちうがしらとしてつとめは生涯しようがいのつもり、おひらくをもやしなふてたまはるべき約束やくそくさだまりたれば、此地このちにはませぬ、またことがあらば一ぱくはさせてくだされ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
茲に説出すに頃は享保きやうほ年中甲州かふしう原澤村はらざはむらに佐野文右衞門ぶんゑもんいひ有徳うとくくらす百姓あり或時文右衞門は甲府表に出て所々見物なし日も西山に傾むきける故に佐倉屋さくらや五郎右衞門ゑもんといふ穀物問屋へ一ぱく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
期間の終わりに近く、全塾生は三ぱく四日の旅行に出た。朝倉先生夫妻も、むろんいっしょだった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
だが潮にまかせて遡行そこうするいかだのことであるから、速力はいたってにぶかった。その日は中途ちゅうとで一ぱくし、一同は富士男の桃太郎物語などをきいて愉快ゆかいにねむりについた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
次手ついでに、御挨拶ごあいさつまをしたい。の三本木ぼんぎ有志いうし方々かた/″\から、こゝで一ぱくして晩餐ばんと一しよに、一せき講話かうわを、とあつたのを、ひらにおわびをしたのは、……かるがゆゑにはかまがなかつたためではない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
去月下旬用向ありて隣村りんそんへ參りて途中に於て取落とりおとせしに相違さうゐなく其上私し儀は六月二十六日出立しゆつたつ仕つり古河のざい藤田村儀左衞門方へ一ぱく致し二十七日は栃木とちぎ町油屋徳右衞門の方にまかあり私し在所より十二里餘の場所なる故小篠堤にて平兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一同は富士男らの見送りをうけてだちょうの森を左にして、みずうみにそうて北へ北へとすすみ、その日は左門洞さもんどうをさる十二マイルの河畔かはんで一ぱくした。一同はこの河を一泊河いっぱくがわと名づけた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
派はちがうが永平寺えいへいじに訪ねるものがある、ただし敦賀に一ぱくとのこと。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
めぐまれ其後五ヶ年の後九助江戸より歸國のせつ藤八方へ一ぱく致せし時私しも藤八方に居不思議に再會さいくわい仕つりしかど其節は途中とちうにて胡麻灰ごまのはひに出合九助難儀なんぎ致す趣意おもむきに付金子のことに心つかひ仕つり居り先年の禮さへ熟々しみ/″\申候間合まあひ御座なく候まゝ不義など致し候事は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)