歸國きこく)” の例文
新字:帰国
其方義夫傳吉の留守中るすちう昌次郎と奸通かんつう致しあまつさへ傳吉歸國きこくせつ密夫みつぷ昌次郎に大金をかたりとら旁々かた/″\以て不埓ふらちに付三宅島みやけじま遠島ゑんたう申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此家こヽにも學校がくかうにも腦病なうびやう療養れうやう歸國きこくといひて、たちいでしまヽ一月ひとつきばかりを何處いづくひそみしか、こひやつこのさても可笑をかしや、香山家かやまけ庭男にはをとこみしとは。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくしおな滊船ふねで、はる/″\日本につぽん歸國きこく途中とちう暗黒あんこくなる印度洋インドやう眞中たゞなかおそ海賊船かいぞくせん襲撃しふげきひ、不運ふうんなる弦月丸げんげつまる沈沒ちんぼつともに、夫人ふじん生死せいしわたくしにはわからぬ次第しだいだが
却説かくて傳吉は酒宴しゆえんの席へ出で扨々折角せつかく御招ぎ申しても何も進ずる物もなししかし今日の座興ざきよう歸國きこくなす道中の物語を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
このやう取次とりつぎするなとさへおつしやりし無情つれなさ、これほどはぢをとこの、をめをめおやしきられねば、いとまたまはりて歸國きこくすべけれど、たま田舍ゐなかには兩親りやうしんもなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
聞文左衞門は夫は親類と申て請取に參つたは僞者にせものだなと云に藤八は御意ぎよいに御座ります因て私し九助と計略はかりごと示合しめしあはせ九助歸國きこくいはひと申振舞ふるまひを致させ村中の者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かねてぞ千葉ちばはなたれぬ。汨羅べきら屈原くつげんならざれば、うらみはなにとかこつべき、大川おほかはみづきよからぬひて、永代えいだいよりの汽船きせん乘込のりこみの歸國きこく姿すがた、まさしうたりとものありし。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
桂次けいじおもひやりにべてははるかにおちつきてひややかなるものなり、おぬひさむれがいよ/\歸國きこくしたとつたならば、あなたはなんおもふてくださろう、朝夕あさゆふがはぶけて、厄介やくかいつて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大藤村おほふぢむらにおさくゆめものどかなるべし、四月の十五日歸國きこくまりて土産物みやげものなど折柄をりから日清につしん戰爭畫せんさうぐわ大勝利だいしようりふくろもの、ぱちん羽織はをりひも白粉をしろいかんざし櫻香さくらかあぶら縁類ゑんるいひろければとり/″\に香水かうすい
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なに此樣こん身分みぶんうらやましいことか、こゝでれが幸福しやわせといふをかんがへれば、歸國きこくするにさきだちておさく頓死とんしするといふやうなことにならば、一人娘ひとりむすめのことゆゑ父親てゝおやおどろいて暫時しばし家督沙汰かとくざたやめになるべく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)