なげき)” の例文
かのドミチアーンが彼等を責めなやまししとき、わが涙彼等のなげきにともなふばかりに我は彼等を聖なる者と思ふにいたれり 八二—八四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
どんな詰まらぬよろこびでも、どんな詰らぬなげきでも、己はしんから喜んで真から歎いて見るつもりだ。人生の柱になっている誠というものもこれからは覚えて見たい。
「生まるる時の早かりしか、或は又遅かりしか」は南蛮の詩人のなげきばかりではない。僕は福永挽歌ばんか、青木健作、江南文三えなみぶんざ等の諸氏にもかう云ふ歎を感じてゐる。
つくしたれど定業ぢやうごふのがれ難く母は空敷むなしくなりにけり兵助の愁傷しうしやう大方ならずされなげき甲斐かひ無事なきことなれば泣々も野邊の送りより七々四十九日のいとなみもいとねんごろにとふらひける。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
十日もためし草を一日にやいたような心地して、尼にでもなるより外なき身の行末をなげきしに、馬籠まごめに御病気と聞く途端、アッと驚くかたわらおろかな心からは看病するをうれし
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
処が金次郎の死骸だけは分って鉄砲洲てっぽうずで引揚げましたから金次郎の親の家がしば田町たまちで有りますから旦那と私と行って是々と話すと先方むこうでも一方ひとかたならんなげきではありましたが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
不思議ふしぎとおもひながら身をきよめて御はた織果おりはて、その父問屋へ持去もちさり、往着ゆきつきしとおもふ頃娘時ならずにはか紅潮つきやくになりしゆゑ、さては我がなげきしをきゝてかのもの我をたすけしならんと
讀書どくしよいたづらに人の憂患わづらひすのみのなげきは、一世いつせい碩學せきがくにさへあることだから、たん安樂あんらくといふ意味から云ツたら其もからうけれど、僕等はとても其ぢや滿足出來ないぢやないか。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そして、あとなげきは、前の喜びにくらべまして、幾十層倍だったでございましょう。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうとはらずチッバルトどのをおなげきゃるとのみ思召おぼしめされ、そのなげきのぞかうとてパリスどのへ無理強むりじひの婚禮沙汰こんれいざた其時そのときひめ庵室いほりへわせられ、この祝言しうげんのがるゝ手段すべをしへてくれい
宮の悔、宮の恨、宮のなげき、宮のかなしみ、宮のくるしみ、宮のうれひ、宮が心のやまひ、宮が身の不幸、ああつひにこれ宮が一生の惨禍! 彼の思は今たこのあはれむに堪へたる宮が薄命の影を追ひて移るなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ここに火遠理の命、その初めの事を思ほして、大きなるなげき一つしたまひき。
まへ此樣このやう本心ほんしん取亂とりみだして御兩親ごりやうしんなげきをかけるとふはわからぬではないか、れにたいしておまへ處置しよち無情むじやうであつたもれはけつしてうらんではなかつた、れは道理だうりつてをとこであらう、な
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これの子らなげき知らざり我が言ふをただおもしろと笑ひぜたる
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
だがいつまでもなげきに屈めた首を屈めているには9935
彼は己の最大いとおほいなる罪より來る損害そこなひを知る、此故にこれを責めて人のなげきを少なからしめんとすともあやしむに足らず 四六—四八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そこで父のなげき、弟のうらみ、良正の妻は夫に対して報復の一合戦をすゝめたのも無理は無い。云はれて見れば後へは退けぬので、良正は軍兵を動かして水守みづもりから出立した。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
不思議ふしぎとおもひながら身をきよめて御はた織果おりはて、その父問屋へ持去もちさり、往着ゆきつきしとおもふ頃娘時ならずにはか紅潮つきやくになりしゆゑ、さては我がなげきしをきゝてかのもの我をたすけしならんと
お前がこの様に本心を取乱して御両親になげきをかけると言ふは解らぬでは無いか、あれに対してお前の処置の無情であつたもあれは決して恨んではゐなかつた、あれは道理を知つてゐる男であらう、な
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
唯後ただあとのこり候親達のなげきを思ひ、又我身生れがひも無く此世の縁薄く、かやうに今在る形もぢきに消えて、此筆このふで此硯このすずり、此指環、此燈このあかり此居宅このすまひも、此夜も此夏も、此の蚊の声も、四囲あたりの者は皆永く残り候に
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
霖雨後りんうごの黄なる光を浴びて蒸す四時過ぎのなげきに似たり。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
上のほうから聞えるのは、なんと云うなげきの歌だろう。
こゝに再び我等の聖なる行路たびぢにいでたち、既にいつものなげきにかへれる多くの地に伏す魂をみたり 一四二—一四四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
なげきのみ声を空へおおくりなさいます。3595
拍子木へうしぎなげきまたいといたし古きいたで
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
薄黄うすぎなるなげき沁みゆく
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)