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根方
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ねがた
ふりがな文庫
“
根方
(
ねがた
)” の例文
私たちは
水際
(
みずぎわ
)
を廻って崖の方へ通ずる
小径
(
こみち
)
を
攀登
(
よじのぼ
)
って行くと、大木の
根方
(
ねがた
)
に
爺
(
じじい
)
が一人腰をかけて釣道具に駄菓子やパンなどを売っている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お勢は
大榎
(
おおえのき
)
の
根方
(
ねがた
)
の所で立止まり、
翳
(
さ
)
していた
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
をつぼめてズイと一通り
四辺
(
あたり
)
を
見亘
(
みわた
)
し、
嫣然
(
えんぜん
)
一笑しながら昇の顔を
窺
(
のぞ
)
き込んで、唐突に
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
地名表
(
ちめいひやう
)
には
根方
(
ねがた
)
を
目方
(
めがた
)
としてある
爲
(
ため
)
に、
他
(
た
)
を
探
(
さが
)
して
居
(
ゐ
)
て、
根方
(
ねがた
)
を
過
(
す
)
ぎながら、それとは
知
(
し
)
らなかつたのだ。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
と手水鉢の柄杓を口に
啣
(
くわ
)
えて、土手の甚藏が
蔦蔓
(
つたかつら
)
に掴まって段々下りて行くと、ちょうど松柏の
根方
(
ねがた
)
の
匍
(
は
)
っている処に足掛りを
拵
(
こしら
)
えて、段々と
谷間
(
たにあい
)
へ下りまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そしてまっすぐに屏風岩の下まで乗りつけると、もえている松を岩の
根方
(
ねがた
)
へ力まかせに投げつけた。
梟谷物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
其
(
その
)
根方
(
ねがた
)
の
所
(
ところ
)
を、
草鞋
(
わらぢ
)
がけの
植木屋
(
うゑきや
)
が
丁寧
(
ていねい
)
に
薦
(
こも
)
で
包
(
くる
)
んでゐた。
段々
(
だん/\
)
露
(
つゆ
)
が
凝
(
こ
)
つて
霜
(
しも
)
になる
時節
(
じせつ
)
なので、
餘裕
(
よゆう
)
のあるものは、もう
今時分
(
いまじぶん
)
から
手廻
(
てまは
)
しをするのだと
氣
(
き
)
が
付
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
根方
(
ねがた
)
の
処
(
ところ
)
の土が
壊
(
くず
)
れて
大鰻
(
おおうなぎ
)
を
捏
(
こ
)
ねたような根が幾筋ともなく
露
(
あらわ
)
れた、その根から一筋の水がさっと落ちて、地の上へ流れるのが、取って進もうとする道の真中に
流出
(
ながれだ
)
してあたりは一面。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしはそなたの
根方
(
ねがた
)
に葬られて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
岩——の士族屋敷ではこの「ひげ」の生まれない前のもっと前からすでに気味の悪いところになっているので幾百年かたって今はその
根方
(
ねがた
)
の
周囲
(
まわり
)
五抱
(
いつかか
)
えもある一本の杉が並木善兵衛の屋敷の
隅
(
すみ
)
に
聳
(
つ
)
ッ立ッていてそこがさびしい
四辻
(
よつつじ
)
になっている。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
大きくはなるけれど、まだ一向に
孩児
(
ねんねえ
)
で、垣の
根方
(
ねがた
)
に大きな穴を掘って見たり、下駄を片足
門外
(
もんそと
)
へ
啣
(
くわ
)
え出したり、
其様
(
そんな
)
悪戯
(
いたずら
)
ばかりして喜んでいる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
昨日
(
きのふ
)
縫子
(
ぬひこ
)
に
貸
(
か
)
して
遣
(
や
)
つたら、
何所
(
どこ
)
かへ
失
(
なく
)
なして仕舞つたんで、
探
(
さが
)
しに
来
(
き
)
たんださうである。両手で
頭
(
あたま
)
を抑へる様にして、
櫛
(
くし
)
を束髪の
根方
(
ねがた
)
へ押し付けて、
上眼
(
うはめ
)
で代助を見ながら
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋のことだから
尾花
(
おばな
)
萩
(
はぎ
)
女郎花
(
おみなえし
)
のような草花が咲き、露が一杯に下りて居ります。秋の景色は誠に淋しいもので、裏手は碓氷の
根方
(
ねがた
)
でございますから
小山
(
こやま
)
続きになって居ります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私たちは旧造兵廠の建物の一部をば眼下に低く
見下
(
みおろ
)
す
崖地
(
がけち
)
の一角に、昼なお暗く天を蔽うた老樹の
根方
(
ねがた
)
と、また深く雑草に
埋
(
うず
)
められた崖の中腹に一ツ二ツ落ち
転
(
ころ
)
げている石を見つけたばかりである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
馬籠
(
まごめ
)
の
貝塚
(
かひづか
)
と
根方
(
ねがた
)
の
貝塚
(
かひづか
)
とは、
池上街道
(
いけがみかいだう
)
を
挾
(
はさ
)
んで
兩方
(
りやうはう
)
に
有
(
あ
)
る。
併
(
しか
)
し、
概
たいがい
我々
(
われ/\
)
はそれを
馬籠
(
まごめ
)
の
名
(
な
)
の
下
(
もと
)
に一
括
(
くわつ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
別
(
べつ
)
に
理由
(
りゆう
)
は
無
(
な
)
いが、
最初
(
さいしよ
)
は
根方
(
ねがた
)
の
貝塚
(
かひづか
)
をも、
馬籠
(
まごめ
)
だと
信
(
しん
)
じて
居
(
ゐ
)
たからで。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ある夜一番目の姉が、
夜中
(
よなか
)
に
小用
(
こよう
)
に起きた
後
(
あと
)
、手を洗うために、
潜戸
(
くぐりど
)
を開けると、狭い中庭の
隅
(
すみ
)
に、壁を
圧
(
お
)
しつけるような
勢
(
いきおい
)
で立っている梅の古木の
根方
(
ねがた
)
が、かっと明るく見えた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
美作国
(
みまさかのくに
)
粂郡
(
くめごおり
)
に皿山という山があります。美作や粂の皿山皿ほどの
眼
(
まなこ
)
で見ても見のこした山、という狂歌がある。その皿山の
根方
(
ねがた
)
に皿塚ともいい小皿山ともいう、こんもり高い処がある。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
けれども立ったなりじっと彼の様子を見守らずにはいられなかった。彼は
立木
(
たちき
)
の
根方
(
ねがた
)
に
据
(
す
)
えつけた石の
手水鉢
(
ちょうずばち
)
の中に首を突き込んで、そこに
溜
(
たま
)
っている
雨水
(
あまみず
)
をぴちゃぴちゃ飲んでいた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又
一刀
(
ひとかたな
)
あびせたから惣次郎は残念と心得て、脇差の鞘ごと投げ付けました、一角がツと身を
交
(
かわ
)
すと肩の処をすれて、
薄
(
すゝき
)
の
根方
(
ねがた
)
へずぽんと刀が
突立
(
つった
)
ったから、一角は
血
(
のり
)
を拭いて鞘に収め
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだその
後
(
あと
)
があるかも知れないと思ったせいか、何気なく
後姿
(
うしろかげ
)
を見送っていると、大きな黒松の
根方
(
ねがた
)
のところへ行って、
立小便
(
たちしょうべん
)
をし始めたから、急に顔を
背
(
そむ
)
けて、どてらの方を向いた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何時
(
いつ
)
まで経っても先生が帰って来る様子がございませんから、二人の門人は気遣いながら、名主同道にて引返してまいりますると、こは
如何
(
いか
)
に、先生が
樹
(
き
)
の
根方
(
ねがた
)
に倒れて居ります。
恟
(
びっく
)
り驚いて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
糸子の目には正面の赤松と
根方
(
ねがた
)
にあしらった
熊笹
(
くまざさ
)
が見えるのみである。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
紅茶々碗を持つた儘、書斎へ引き取つて、椅子へ
腰
(
こし
)
を懸けて、
茫然
(
ぼんやり
)
庭
(
には
)
を
眺
(
なが
)
めてゐると、
瘤
(
こぶ
)
だらけの
柘榴
(
ざくろ
)
の
枯枝
(
かれえだ
)
と、
灰色
(
はいいろ
)
の
幹
(
みき
)
の
根方
(
ねがた
)
に、
暗緑
(
あんりよく
)
と
暗紅
(
あんかう
)
を
混
(
ま
)
ぜ
合
(
あ
)
はした様な
若
(
わか
)
い芽が、一面に吹き
出
(
だ
)
してゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
根
常用漢字
小3
部首:⽊
10画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“根方”で始まる語句
根方地