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杭
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くひ
ふりがな文庫
“
杭
(
くひ
)” の例文
この木造の大
槌
(
づち
)
は建築か
杭
(
くひ
)
打ちでもなければ滅多に使ふものでなく、少し泥などの附いたまゝ、納戸にあるのは、甚しい不調和です。
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呂昇なぞも、女義太夫としては
外貌
(
そつぽ
)
もよし、声もよいが、
平常
(
ふだん
)
咽喉を使ひ過ぎる
故
(
せゐ
)
で、首が
棒
(
ぼう
)
つ
杭
(
くひ
)
のやうにがつしりと肥つてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
わたくしはいつも此桟橋のはづれまで出て、太い
杭
(
くひ
)
に腰をかけ、ぴた/\寄せて来る上潮の音をきゝながら月を見る……。
町中の月
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
で、
此
(
こ
)
のものどもの
寄
(
よ
)
つた
方
(
はう
)
は、
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
ぐるみ
地壓
(
ぢおさ
)
への
杭
(
くひ
)
も
露顯
(
あらは
)
に、
泥
(
どろ
)
の
崩
(
くづ
)
れた
切立
(
きりた
)
てで、
上
(
うへ
)
には
樹立
(
こだち
)
が
參差
(
すく/\
)
と
骨
(
ほね
)
を
繋
(
つな
)
ぐ。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
カン
蛙
(
がへる
)
も仕方なく、ルラ蛙もつれて、新婚旅行に出かけました。そしてたちまちあの木の葉をかぶせた
杭
(
くひ
)
あとに来たのです。ブン蛙とベン蛙が
蛙のゴム靴
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
ニラジイランド、ヴェネジュラ、マレイ
諸地方
(
しよちはう
)
には海底、川底、湖底抔に
杭
(
くひ
)
を打ち込み
水面上
(
すゐめんじやう
)
數尺
(
すうしやく
)
の所に床を張り
屋根
(
やね
)
を設けて住居とする者有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
殊に廉一を怒らせたのは、池の
杭
(
くひ
)
を造る為めに、水際の柳を
伐
(
き
)
つた事だつた。「この柳はこの間植ゑたばつかだに。」——廉一は叔父を
睨
(
にら
)
みつけた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
○
当川
(
あてかは
)
(三角なるあみにてとるをいふ)○
追
(
お
)
ひ川(水中に
杭
(
くひ
)
をたてあみをはり、さほにて水をうちさけをおひこむ)○四ツ
手網
(
であみ
)
(他国におなじ)○
金鍵
(
かなかぎ
)
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
弱い朝日の光が霧を透すので
青青
(
あをあを
)
とした水が、紫を帯び、其れに前の
家家
(
いへいへ
)
の柱や欄干や旗やゴンドラを繋ぐ
杭
(
くひ
)
などが
様様
(
さま/″\
)
の色を映してるのが
溜
(
たま
)
らなく美しい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
米俵には松丸太の
杭
(
くひ
)
しつかと結びつけられ、地に挿し込まれてあつたのである。
初代谷風梶之助
(新字旧仮名)
/
三木貞一
(著)
知たかぶり岩があつて
溪
(
たに
)
があつて蕎麥が名物是非一日遊ばうぞやと痛む足を引ずりて
上松
(
あげまつ
)
も過ぎしが
頓
(
やが
)
て右手の
草原
(
くさはら
)
の細道に
寐覺
(
ねざめ
)
の
床
(
とこ
)
浦嶋の舊跡と記せし
杭
(
くひ
)
あるを見付けガサゴソと草の細道を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
出る
杭
(
くひ
)
を打たうとしたりや柳かな
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
どこやらに
杭
(
くひ
)
打つ音し
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ガラツ八は少し這ひ加減に
葭簾
(
よしず
)
の下の方を押すと、其處だけは、
杭
(
くひ
)
と縁が切れて、手に從つて、かなり大きい穴が開いて行くのです。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰
(
いはく
)
、
余
(
よ
)
丁酉の夏
北越
(
ほくゑつ
)
に遊びて塩沢に在し時、近村に地芝居ありと
聞
(
きゝ
)
て京水と
倶
(
とも
)
に至りしに、寺の門の
傍
(
かたはら
)
に
杭
(
くひ
)
を
建
(
たて
)
て
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
き
行燈
(
あんどん
)
あり、是に
題
(
だい
)
して
曰
(
いはく
)
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ほした
杭
(
くひ
)
の穴に落してやりたいね。上に何か木の葉でもかぶせて置かう。それは僕がやって置くよ。面白いよ。
蛙のゴム靴
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
奇觀
(
きくわん
)
、
妙觀
(
めうくわん
)
と
謂
(
いつ
)
つべし。で、
激流
(
げきりう
)
に
打込
(
うちこ
)
んだ
眞黒
(
まつくろ
)
な
杭
(
くひ
)
を、
下
(
した
)
から
突支棒
(
つツかひぼう
)
にした
高樓
(
たかどの
)
なぞは、
股引
(
もゝひき
)
を
倒
(
さかさま
)
に、
輕業
(
かるわざ
)
の
大屋臺
(
おほやたい
)
を、チヨンと
木
(
き
)
の
頭
(
かしら
)
で
載
(
の
)
せたやうで
面白
(
おもしろ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて、舟は
桟橋
(
さんばし
)
についた。
舳
(
みよし
)
がとんと
杭
(
くひ
)
にあたると、耳の垢とりは、一番に向ふへとび上る。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
川に臨んだ入口
毎
(
ごと
)
にゴンドラを繋く数本の
杭
(
くひ
)
が
是亦
(
これまた
)
青や赤に彩られて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「糸をつけて水の中に沈めたもの、——場所は水へ降りる段の右側、三番目の
杭
(
くひ
)
から、下へ長く引いた糸がある筈です」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰
(
いはく
)
、
余
(
よ
)
丁酉の夏
北越
(
ほくゑつ
)
に遊びて塩沢に在し時、近村に地芝居ありと
聞
(
きゝ
)
て京水と
倶
(
とも
)
に至りしに、寺の門の
傍
(
かたはら
)
に
杭
(
くひ
)
を
建
(
たて
)
て
横
(
よこ
)
に
長
(
なが
)
き
行燈
(
あんどん
)
あり、是に
題
(
だい
)
して
曰
(
いはく
)
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と云ふのは、最初、土手を下りて、あぶなつかしい
杭
(
くひ
)
を力に、やつと舟へ乗つたと思ふと、足のふみどころが悪かつたので、
舷
(
ふなべり
)
が水をあほると同時に、大きく一つぐらりとゆれる。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その橋を渡って
楊
(
やなぎ
)
の並木に出るだらう。十町ばかり行くと白い
杭
(
くひ
)
が右側に立ってゐる。そこから右に入るんだ。すると
蕈
(
きのこ
)
の形をした松林があるからね、そいつに入って行けばいゝんだ。
車
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
元來
(
ぐわんらい
)
岸
(
きし
)
の
柳
(
やなぎ
)
の
根
(
ね
)
は、
家々
(
いへ/\
)
の
根太
(
ねだ
)
よりも
高
(
たか
)
いのであるから、
破風
(
はふ
)
の
上
(
うへ
)
で、
切々
(
きれ/″\
)
に、
蛙
(
かはづ
)
が
鳴
(
な
)
くのも、
欄干
(
らんかん
)
の
壞
(
くづ
)
れた、
板
(
いた
)
のはなれ/″\な、
杭
(
くひ
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
三角形
(
さんかくけい
)
の
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
に
蘆
(
あし
)
が
茂
(
しげ
)
つて、
蟲
(
むし
)
がすだくのも
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「晝頃で、へエー、夕立の來る少し前でございました。潮が引くと
杭
(
くひ
)
の間からかう白いものが見えましたので——」
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いつか
打砕
(
うちくだ
)
く時は大力の男
杭
(
くひ
)
などにてしたゝかに打て、やう/\をれおちてくだけたる四五尺なるを、
童
(
わらべ
)
らが
打
(
うち
)
よりて
手遊
(
てあそび
)
の
雪舟
(
そり
)
にのせて引きありき
遊
(
あそ
)
ぶもあり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
影法師が搖れると、
鬢
(
びん
)
の毛がサラサラと風にほつれて、凄いほど
華奢
(
きやしや
)
な手が、生垣の
杭
(
くひ
)
にもたれるのです。
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
芝居小屋は
鎭守
(
ちんじゆ
)
の森の後ろ、北向の薄寒さうな空地に、
杭
(
くひ
)
を打ち、板を張り、足りないところは、
葭簾
(
よしず
)
と古い幕をめぐらして、どうやら恰好だけはつけて居りました。
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二人の船頭はそれを聞くと、堤の下の
杭
(
くひ
)
に繋いだ
纜
(
ともづな
)
を解いて、もう艪を押す支度をして居ります。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
佐渡屋の妹娘のお
信
(
のぶ
)
といふ十四になるのと、手代の直次郎と
甥
(
おひ
)
の與之助の三人、女主人のお兼は、すぐ助けられて大したこともなく、娘のお絹は
杭
(
くひ
)
か何んかで肩を打ちましたが
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「橋架でなきや水の中に
杭
(
くひ
)
でもあつたのかな」
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“杭”の意味
《名詞》
(くい)地面に打ち込んで支柱・目印にする棒。
(くい、くいぜ)切り株。
(出典:Wiktionary)
“杭”の解説
杭(杙、くい、en: pile)は、建築物の固定や目印のために地中に打ち込む棒状のものである。古くは木製であったが、現代では条件によって金属製やプラスチック製のものを用いることもある。
杭を埋設することを杭打ち、その機械を杭打ち機という。
(出典:Wikipedia)
杭
漢検準1級
部首:⽊
8画
“杭”を含む語句
棒杭
橋杭
杭州
木杭
杭打
乱杭
百本杭
焼棒杭
立杭
標杭
杭瀬
剃杭
乱杭歯
焼木杭
浪除杭
余杭
亂杭
石杭
榜杭
地杭
...