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木挽
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こびき
ふりがな文庫
“
木挽
(
こびき
)” の例文
そうすると、いろいろ難儀なことが出来て、実に閉口したと帰って来てから後藤君が話された処によると、
木挽
(
こびき
)
は木を四ツにしたのです。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
小屋の横に、
巨
(
おお
)
きな材木が枕木に横たわっているし、辺りに
大鋸屑
(
おがくず
)
が積もっているなどから見ても、これは
木挽
(
こびき
)
職人の寝小屋らしかった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、一両日前会津の山奥から送つてきた狸を、
木挽
(
こびき
)
町の去る割烹店へ提げ込んだ。そこの主人が、料理に秘術を尽すと言ふことであつた。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
京橋
木挽
(
こびき
)
町の或る大建築の前の缶詰兼洋酒類煙草屋は、震災前、海軍大学その他、高等海員向きの女の世話をするので通人間に知られていた。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
お前の着物もぬってくれるし、お前が
木挽
(
こびき
)
の仕事につかれて帰ってくると、ちゃんとゴハンの支度ができていて、つかれた肩をもんでくれるなア。
落語・教祖列伝:01 神伝魚心流開祖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
紀の国橋を渡って
木挽
(
こびき
)
町の方へしばらく行ったところにこの正さんの古物骨董の店があって、正さんは雨さえふらなければ毎夕車の上に荷をのせて
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
實地を知らない友人に空想と笑はれない爲め、渠はあちらで實見した材料の控へ帳と、相當な大工並に
木挽
(
こびき
)
に製調させた見積り書とを出して見せた。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
十六歳から六十歳までの
人別
(
にんべつ
)
名前を
認
(
したた
)
め、病人不具者はその旨を記入し、大工、
杣
(
そま
)
、
木挽
(
こびき
)
等の職業までも記入して至急福島へ差し出せと触れ回した。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
現に前表における
木挽
(
こびき
)
のごとき、一日八時間の労働ならば、その消費総熱量は約五千カロリーなれども、もし労働時間を延長してかりに十二時間となさんか
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
越中沢岳から東に派出した尾根の突端に在る
木挽
(
こびき
)
山は、奥廊下の大勢を窺うには好都合の位置を占めている。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
道具箱から
鑿
(
のみ
)
と
金槌
(
かなづち
)
を持ち出して、裏へ出て見ると、せんだっての
暴風
(
あらし
)
で倒れた
樫
(
かし
)
を、
薪
(
まき
)
にするつもりで、
木挽
(
こびき
)
に
挽
(
ひ
)
かせた手頃な
奴
(
やつ
)
が、たくさん積んであった。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
高田の藩中数十軒の
薪
(
まき
)
は、皆この山中より伐出す。
凡
(
およ
)
そ
奉行
(
ぶぎょう
)
より
木挽
(
こびき
)
・
杣
(
そま
)
の
輩
(
やから
)
に至るまで、相誓ひて山小屋に居る間、
如何
(
いか
)
なる怪事ありても人に語ること無し。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「こんど
木挽
(
こびき
)
町の森田座で」とおくみは
俯向
(
うつむ
)
きながら答えた、「芝居狂言の語り物に出たところ、たいそう評判がいいので、
上方
(
かみがた
)
の興行に買われてゆくのだそうです」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其
(
そ
)
の
木挽
(
こびき
)
の
與吉
(
よきち
)
は、
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで、
同
(
おな
)
じことをして
木
(
き
)
を
挽
(
ひ
)
いて
居
(
ゐ
)
る、
默
(
だま
)
つて
大鋸
(
おほのこぎり
)
を
以
(
もつ
)
て
巨材
(
きよざい
)
の
許
(
もと
)
に
跪
(
ひざまづ
)
いて、そして
仰
(
あふ
)
いで
禮拜
(
らいはい
)
する
如
(
ごと
)
く、
上
(
うへ
)
から
挽
(
ひ
)
きおろし、
挽
(
ひ
)
きおろす。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
角川の家は代々の郷士で、
傍
(
かたわ
)
らに材木
伐出
(
きりだ
)
しの業を営んでいたので、家の雇人等も
木挽
(
こびき
)
の職人と一所に山奥へ入ることが
屡々
(
しばしば
)
ある。重蔵も十二三歳の時から山へ入った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
賤
(
いや
)
しい運命に滿足することを説教し、
木挽
(
こびき
)
や水汲みの職さへ神の奉仕にあれば正しとした僕が——神に命ぜられた牧師の僕が、落着がなく殆んど氣が
狂
(
くる
)
ひさうなんです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
のち
木挽
(
こびき
)
町の芝居守田
勘弥
(
かんや
)
座の
出方
(
でかた
)
の妻となったが、まもなく夫と死別し、性来の
淫奔大酒
(
いんぽんたいしゅ
)
に加うるにばくちを好み、年中つづみの与吉などというならずものをひきいれて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大橋流の書も
佳
(
い
)
いし、絵は
木挽
(
こびき
)
町の
狩野
(
かのう
)
の高弟で、
一僊
(
いっせん
)
といって、本丸炎上の時は、将軍の居間の画を描いたりしたほど出来たし、漢学も出来る、手をとって教えてもらった。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
父は若いころ、田植をどりといふのを習つてその
女形
(
をんながた
)
になつたり、
堀田
(
ほつた
)
の陣屋があつた時に、農兵になつて砲術を習つたり、おいとこ。しよがいな。三さがり。おばこ。
木挽
(
こびき
)
ぶし。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
堀際には立木があり、一方には
木挽
(
こびき
)
の
仕事座
(
しごとざ
)
、一方には
水揚
(
みずあ
)
げした角材がある。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
本誌七巻三号の倉光君の報告せられた「
蒲
(
かま
)
とクグ」(五九頁)によると、今でも山陰地方では、山子・
木挽
(
こびき
)
・石屋等に限って、
叺
(
かます
)
様の藁縄製の袋を携帯しているが、旧皮屋部落の青年が
くぐつ名義考:古代社会組織の研究
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
荒い歯の
鋸
(
のこぎり
)
を借りて来て
木挽
(
こびき
)
のまねをやつては見たが、薪にこしらへたとて所望者があらうわけもないので、腹をへらすだけ馬鹿らしいと、そのまゝ打つちやらかして置いたそれなのだ。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
日暮れごろから、
木挽
(
こびき
)
町のさる料理屋の大広間で、社の懇親会があった。雨がびしょびしょ降っていた。庭の木立が白く
煙
(
けむ
)
っていた。池の岸に白と紫の大輪の
杜若
(
かきつばた
)
が
艶
(
えん
)
に水々しく咲いていた。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
どうしておろそかな労力では洗いきれるものではなかったのですが、もとよりそれをいとう右門ではないので、その翌早朝伝六を従えると、まず第一番に
木挽
(
こびき
)
町なる柳生の道場に出向きました。
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
黒い
髯
(
ひげ
)
、首に重々しくたれさがった毛、没表情の太い
皺
(
しわ
)
が寄ってる
額
(
ひたい
)
、粗雑な木彫のように変な四角形な顔、短い腕、短い
脚
(
あし
)
、でっぷりした胸、まるで
木挽
(
こびき
)
かオーヴェルニュの人夫みたいだった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そのために、彼は常に往来する要処要処に、「
馬継
(
うまつぎ
)
」をする小屋をもっている。多くは
猟師
(
りょうし
)
の小屋か、
木挽
(
こびき
)
小屋などであった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
木挽
(
こびき
)
の代が十円ほど。木代、木挽代、運賃引ッ
括
(
くる
)
めてずっと高く積ってまず四十五円位のものであろうと私は見ました。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
また大工とか
木挽
(
こびき
)
とかいう山の木に関係のある職業の人が、今でも御太子様といって拝んでいるのも、仏法の方の人などは聖徳太子にきめてしまっておりますが
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
木挽
(
こびき
)
業者のごときは、その労働中の所要熱量は休業中のほとんど五倍ないし六倍に達するのである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
おくみが案内して、
木挽
(
こびき
)
町へ芝居見物にでかけたのだそうである。その年の三月に、木挽町五丁目は森田
勘弥
(
かんや
)
の芝居が建ったが、おくみはそこへ律を案内したのであった。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし自分ひとりではさすがに不安でもあるので、喜平は自分の店へ出入りの銀蔵という
木挽
(
こびき
)
の職人を味方にひき込もうとすると、銀蔵も年が若いので面白半分に同意した。
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「かうやつて、かう
挽
(
ひ
)
いてるんだぜ、
木挽
(
こびき
)
の
小僧
(
こぞう
)
だぜ。お
前樣
(
まへさん
)
はおかみさんだらう、
柳屋
(
やなぎや
)
のおかみさんぢやねえか、それ
見
(
み
)
ねえ、
此方
(
こつち
)
でお
辭儀
(
じぎ
)
をしなけりやならないんだ。ねえ、」
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
先ず神田辺から相生町、深川の木場、日本橋の裏通り、京橋の八丁堀、
木挽
(
こびき
)
町、新富町あたりの彼等の昔の巣窟を探検して見ると、どうしたことか彼等の巣窟らしい気分がちっともない。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
最も近く大きな
蛞蝓
(
なめくじ
)
を匍わしたような鬼ヶ岳と、黒部の谷を横さまに駿馬の躍るが如き
木挽
(
こびき
)
越中沢二山との間に、五色ヶ原の
曠原
(
こうげん
)
が広く長き段階状に展開して、雪と緑とそして懐しさとが溢れている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
あの地方の“
木挽
(
こびき
)
ぶし”といふ民謠がおもしろくて、毎夕、仕事がすむと、土地のおばあさんを呼んで、物ずきに、木挽ぶしを習つてゐたのだつた。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
よほど大家の娘だろう、もう来ないのではないかと思ったが、中一日おいて、
木挽
(
こびき
)
町の清川という料理茶屋から迎えが来た。先日のお礼に一と口さしあげたいからという。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
豪胆な
木挽
(
こびき
)
などが退屈のあまりに、これに戯れたなどという噂のあるのは自然である。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
船頭
(
せんどう
)
、
馬方
(
うまかた
)
、
木樵
(
きこり
)
、
機業場
(
はたおりば
)
の
女工
(
ぢよこう
)
など、あるが
中
(
なか
)
に、
此
(
こ
)
の
木挽
(
こびき
)
は
唄
(
うた
)
を
謠
(
うた
)
はなかつた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その頃まではどこの材木置場にも
木挽
(
こびき
)
が活躍していたので、現場の周囲が随分遠くまで新らしい鋸屑だらけだ。犯人もそこを狙って仕事をしたものらしく足跡が全くわからないのには弱ったよ。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
木挽
(
こびき
)
四二 五—五 一六七 八六 五〇一 五三八四
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「ところで、
木挽
(
こびき
)
の方はどうした」
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
仕事の隙間に駈けてきたような百姓や、
木挽
(
こびき
)
や、赤子の手を引ッぱった
婢
(
かみ
)
さんや、頭へ荷を乗せている物売りや旅人。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
船頭、馬方、木樵、
機業場
(
はたおりば
)
の女工など、あるが中に、この
木挽
(
こびき
)
は唄を
謡
(
うた
)
わなかった。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木挽
(
こびき
)
・
炭焼
(
すみやき
)
の小屋に尋ねてきて、黙って火にあたっていたという話もあれば、
川蟹
(
かわがに
)
を持ってきて焼いて食ったなどとも伝えます。塩はどうするかという疑いのごときは疑いにはなりませぬ。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
今日は
木挽
(
こびき
)
町夫人の一周忌であった。何もしなかった。別に何も考えなかった。余の下宿している家の老婆は、娘の事で今日も留守にしている。天候はやや恢復したようだ。併しまた降ることだろう。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はい。いぜんの
羅刹谷
(
らせつだに
)
にはおいでなく、あれよりもっと山深い
木挽
(
こびき
)
の小屋に兵火の難を避けておられました」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
附馬牛
(
つくもうし
)
村にもあり。本業は
木挽
(
こびき
)
なり。柏崎の孫太郎もこれなり。以前は発狂して喪心したりしに、ある日山に入りて山の神よりその術を得たりし後は、不思議に人の心中を読むこと驚くばかりなり。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
根
(
ね
)
つから
家業
(
かげふ
)
に
成
(
な
)
らんでの、
私
(
わし
)
ら、
木挽
(
こびき
)
木樵
(
きこり
)
も
遣
(
や
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その時の旅行目的は、熊本を中心に、武蔵に関する史料蒐集にあったのだが、もっぱら郊外の一日亭に沈酔して、二人で“
木挽
(
こびき
)
ぶし”ばかりを稽古していた。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
附馬牛
(
つくもうし
)
村にもあり。本業は
木挽
(
こびき
)
なり。柏崎の孫太郎もこれなり。以前は発狂して喪心したりしに、ある日山に入りて山の神よりその術を得たりしのちは、不思議に人の心中を読むこと驚くばかりなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“木挽”の解説
木挽、または木挽き(こびき)は、木材を「大鋸」(おが/おおが)を使用して挽き切ること、およびそれを職業とする者。大鋸挽・大鋸挽き(おがひき)とも呼ぶ。15世紀末の資料には、「大鋸」を「おおのこ」と読み「大のこひき」(おおのこひき、大鋸引)と表記する場合もあった。現在の製材、および製材作業者で、かつ卓越した木材の鑑定能力をもつ職能集団を指す。
(出典:Wikipedia)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
挽
漢検準1級
部首:⼿
10画
“木挽”で始まる語句
木挽町
木挽小屋
木挽橋
木挽場
木挽小舎
木挽町辺
木挽町汐留
木挽町河岸