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わがまま
ふりがな文庫
“
我儘
(
わがまま
)” の例文
我儘
(
わがまま
)
過るとお清から苦情の出る場合もあったが、何しろお徳はお家大事と一生懸命なのだから
結極
(
つまり
)
はお徳の
勝利
(
かち
)
に帰するのであった。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
したって、兄は呑んだくれの
我儘
(
わがまま
)
者だけれど、それでも苦労してあげていい値打があるし、そのうえ新さんって人まで
殖
(
ふ
)
えたでしょう
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
誰
(
たれ
)
も
天窓
(
あたま
)
のおさえ手なければ、お丹はいよいよ附上りて、
我儘
(
わがまま
)
日に日に増長なし、人を人とも思わぬ振舞、乱暴狼藉言語に絶えたり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひと口に自由といえば
我儘
(
わがまま
)
のように聞こゆれども、決して
然
(
しか
)
らず。自由とは、他人の
妨
(
さまたげ
)
をなさずして我が心のままに事を行うの義なり。
中津留別の書
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
けれども、甘やかされて
我儘
(
わがまま
)
に育った者は仕方のないものである。私はまた性懲りもなく家出をした。まえの
熱
(
ほとぼり
)
のまださめないうちに。
遁走
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
▼ もっと見る
「ところが法然と、日蓮とは、切っても切れない親子です、法然は慈愛
溢
(
あふ
)
るる親であって、日蓮はその血を受けた無類の
我儘
(
わがまま
)
息子です」
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
幸い子供は無いが、あんなに優しかった生前の事や、私が
我儘
(
わがまま
)
で、随分苦労をさせた事を考えると、泣いても泣いても泣き切れない——
死の舞踏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
浅田は少年の時から
我儘
(
わがまま
)
が強く、いつも我意を張って弱い弟妹達の
分前
(
わけまえ
)
まで貪りとっていた。それはみんな物悲しい記憶であった。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
ともかく沖縄の王様にも等しく、
我儘
(
わがまま
)
なところもあったでしょうが、実に風格があって、同男に
太刀打
(
たちうち
)
出来る人物は、いませんでした。
沖縄の思い出
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
我儘
(
わがまま
)
な、だが没利害的な純粋を保っており、また、その気魄の烈しさが遥かに常人を超えていたことが一層彼を悲惨に見せるのである。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それは母の
亡
(
な
)
くなったのちも、母のために
我儘
(
わがまま
)
にせられていた私を前と変らずに大事にし、一たびも疎略にしなかったほどだった。
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
仏は、見れば見るほど、子供のように可愛いところのあるアンを、これ以上、彼の
我儘
(
わがまま
)
のため疲らせることは気がすすまなかったので
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「色と夫婦とは別なものだよ。惚れた同士は
我儘
(
わがまま
)
になるからいけないそうだ。お前なんぞはこれからが修行だ。気をつけるがいいぜ。」
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吾輩の主人の
我儘
(
わがまま
)
で
偏狭
(
へんきょう
)
な事は前から承知していたが、
平常
(
ふだん
)
は言葉数を使わないので何だか了解しかねる点があるように思われていた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妾
(
わたくし
)
そう思いますのよ。女に捨てられて、女を殺すなんて、本当に男性の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
だと思いますの。男性の甚だしい
我儘
(
わがまま
)
だと思いますの。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
元来
我儘
(
わがまま
)
な子だったので、そう云い出したら無事に寝る見込もなく、とうとう夜になって、叔母は私を私のうちまで送り届けた。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「ごもっともでございます。それはその時に又あらためて御相談をいたしましょう。まことに
我儘
(
わがまま
)
なことばかり申し上げて相済みません」
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これほど明白に
判
(
わか
)
り切った事をおとよが
勝手
(
かって
)
我儘
(
わがまま
)
な
私心
(
わたくしごころ
)
一つで飽くまでも親の意に逆らうと思いつめてるからどうしても勘弁ができない。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「自分の部屋へ帰られるとな?」甚五衛門は
嘲笑
(
あざわら
)
い、「殿のお許しも出ぬうちに、勝手に部屋へ戻られるのはチト
我儘
(
わがまま
)
ではござらぬかな」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
節子の側で見る嫂は前の日に独りで見たよりもずっと病人らしい
我儘
(
わがまま
)
を言う人で、そこに親子としての親しみもあらわれていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「こう話が決ったら気にいらない事があったりしても、
我儘
(
わがまま
)
を言って帰ったりなぞしてはいけない——
折角
(
せっかく
)
御縁があって来たのじゃから。」
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
一方は
我儘
(
わがまま
)
勝手の
振舞
(
ふるまい
)
あれば一方は卑屈に縮むようでは政治の上にデモクラシーを主張してもこれ単に主張に終りて実益が甚だ少なかろう
平民道
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
さうして自分で自分の
我儘
(
わがまま
)
に気がついて居た。妻の人差指には、薔薇の
刺
(
とげ
)
で突いたのであらう、血が
吹滲
(
ふきにじ
)
んで居る。それが彼の目についた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
部屋で酒盛をして、わざわざ
肴
(
さかな
)
を
拵
(
こしら
)
えさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、
我儘
(
わがまま
)
をするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼女は誰かが、母のない子は特別可愛がらなければならないといっているのを聞き、いい気になって
我儘
(
わがまま
)
をつのらせました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
「わしは非常な
我儘
(
わがまま
)
だ、それに、堅苦しいことがしていられない性分、お前の
上
(
かみ
)
屋敷などへ行くのはどうも余り有難くない」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不可能であるという理由で私は欲求を
抛
(
なげう
)
つことが出来ない。それは私として何という
我儘
(
わがまま
)
であろう。そして自分ながら何という
可憐
(
かれん
)
さであろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何時もながらの、私の
我儘
(
わがまま
)
は知つてゐるのだから別に何とも思つてやしないだらうけれども後で何だか気の毒な感がした。
日記より
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
それが多くは
我儘
(
わがまま
)
の、ちっとも適切でないものなので人望がなく、日本の言語として通用しなかったのだから名誉でない。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
撫
(
な
)
で撫で「が、本来猫に行儀を仕込むッてのが間違ってる、人間の道徳で猫を縛ろうとするのは人間の
我儘
(
わがまま
)
で、猫に取っては迷惑千万な咄だ、」
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
娘の
我儘
(
わがまま
)
をそのまま上意をないがしろに致すは
不届至極
(
ふとどきしごく
)
と——これは、うけたまわったまま、失礼をかえりみず申し上げるのでございまするが
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
こういう性質は神経衰弱その他生理的な病気が
伏在
(
ふくざい
)
している
為
(
た
)
めに来ることもあれば、当人の
我儘
(
わがまま
)
から来ることもある。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
断るのも
我儘
(
わがまま
)
のような気がして、私も、行こうと応じて、連れ立って銭湯へ出かけるのです。私は風呂へ入って呼吸が苦しく死にそうになります。
老ハイデルベルヒ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
つまり夫人は家つきの
我儘
(
わがまま
)
娘で
痼疾
(
こしつ
)
の肺結核はあり、御面相は余り振わず、おまけに強度のヒステリーと来ているんだ。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そんな
我儘
(
わがまま
)
を言うともう学校からさげてやるからな、そのつもりで口をおきき。お前を学校へやるもやらないのもみんなわしらの権限だからな……
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
如何に剛胆な政宗でも、コリャ
迂闊
(
うかつ
)
には、と思ったことで有ろう。けれども
我儘
(
わがまま
)
に出席をことわる訳にはならぬ、虚病も
卑怯
(
ひきょう
)
である。是非が無い。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
慾得
(
よくとく
)
のためにのみ一緒になっているとしか思えない小野田に対する
我儘
(
わがまま
)
な反抗心が、彼女の
頭脳
(
あたま
)
をそうも
偏傾
(
へんけい
)
せしめた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そんなわけで子供たちが美しい着物をつけ、派手になって、
我儘
(
わがまま
)
してもついついそのままになって行ったのであった。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
家庭のことを振りかえって見ても、不愉快や、不満に思うふしは
毛頭
(
もうとう
)
あるはずがないと思います。随分
我儘
(
わがまま
)
な女です。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかるに
彼
(
かれ
)
は
毎晩
(
まいばん
)
眠
(
ねむ
)
らずして、
我儘
(
わがまま
)
を
云
(
い
)
っては
他
(
ほか
)
の
患者等
(
かんじゃら
)
の
邪魔
(
じゃま
)
をするので、
院長
(
いんちょう
)
のアンドレイ、エヒミチは
彼
(
かれ
)
を六
号室
(
ごうしつ
)
の
別室
(
べっしつ
)
へ
移
(
うつ
)
したのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お前はなあ、あんまり主人に
我儘
(
わがまま
)
を云ったり、番頭や
丁稚
(
でっち
)
を叱りつけたりするから頭が痛いんだぞ。しかし、その病気はすぐなおるから心配するな。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
さて、いよいよ話が決まりましたその夜、父は私に向い、今日までは親の
側
(
そば
)
にいて
我儘
(
わがまま
)
は出来ても、明日からは他人の中に出ては、そんな事は出来ぬ。
幕末維新懐古談:04 私の父の訓誡
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
実際はただせっかくの書きいれ時の冬の休みをこれがために奪われるのが彼の
我儘
(
わがまま
)
に何より苦痛であったのである。
年賀状
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
二十年前に書かれたこの幼稚な小論を自分の思い出のためにここに収録するという
我儘
(
わがまま
)
も、本書の
如
(
ごと
)
き性質のものにおいては許されることであろうか。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
おじいさんや、おばあさんは、その可愛い孫の
我儘
(
わがまま
)
とか
癇癪
(
かんしゃく
)
持とか、或は、臆病とかの欠点をよく知っています。
童話を書く時の心
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼女は朋輩の売笑婦と違つて、嘘もつかなければ
我儘
(
わがまま
)
も張らず、夜毎に愉快さうな微笑を浮べて、この陰欝な部屋を訪れる、さまざまな客と戯れてゐた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのとき私は自分のひどい
我儘
(
わがまま
)
に気がついた。友達の不幸な立場に思いやりを持たないことに気付いたのである。
篠笹の陰の顔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それだのに、まだほんの、
半時
(
はんとき
)
経
(
た
)
つか
経
(
た
)
たないうちから、そんな
我儘
(
わがまま
)
をおいいなさるんじゃ、お
約束
(
やくそく
)
が
違
(
ちが
)
いやす。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それが困るので甚だ
我儘
(
わがまま
)
な遣り方ではあるが、左千夫、碧梧桐、虚子、
鼠骨
(
そこつ
)
などいう人を急がしい中から煩わして一日代りに
介抱
(
かいほう
)
に来てもらう事にした。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
と、私は怨めしい、腹が立つというよりも呆れかえっておかしくなって、何という見境もない
駄々
(
だだ
)
っ
児
(
こ
)
の、
我儘
(
わがまま
)
放題に生まれついた女であろうと思った。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
我
常用漢字
小6
部首:⼽
7画
儘
漢検準1級
部首:⼈
16画
“我儘”で始まる語句
我儘者
我儘娘
我儘育
我儘三昧
我儘放埒
我儘息子達