戀人こひびと)” の例文
新字:恋人
慘酷むごい/\おのれめにはほろぼされたのぢゃ! おゝ、戀人こひゞとよ! わがいのちよ! いや/\、いのちとははれぬ、んでしまうてゐやるわが戀人こひびと
ゆふおはりての宵々よひ/\いゑいでては御寺參おんてらまい殊勝しゆしように、觀音くわんをんさまには合掌がつしようを申て、戀人こひびとのゆくすゑまもたまへと、おこゝろざしのほどいつまでもえねばいが。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れば、とやさしき名と覺えしが、何とやら、おゝ——それたしかに横笛とやら言ひし。嵯峨の奧に戀人こひびとの住めると、人の話なれども、定かに知る由もなし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
彼女かのぢよが、戀人こひびと片山かたやまと一しよ生活せいくわつしたのは、わづかかに三ヶげつばかりだつた。かれがそのぞくしてゐるたう指令しれいのもとに、ある地方ちはう派遣はけんされたのち彼等かれら滅多めつた機會きくわいもなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
なやましきやなぎかぜさへ、あかありむらがごとし。あれ、け、雨乞あまごひこゑして、すさまじくせみの、あぶらのみあせしたゝるや、ひとへにおもふ、河海かかい山岳さんがくと。みねひ、みづぶ、戀人こひびとなるかな。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泣けよ、戀人こひびと、神の身の「愛」の君だに
泣けよ恋人 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
戀人こひびと
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
マーキュ はて、足下おぬし戀人こひびとではないか? すればキューピッドのはねでもりて、からすとびのやうにかけったがよからう。
……だがそのはじめて、彼女かのぢよ戀人こひびとはげしい熱情ねつじやうとうじたのだつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
御恨おうらみ申はつみのほどもおそろしゝなにごとものこさずわすれておしうさまこそ二だい御恩ごおんなれ杉原すぎはららうといふおひと元來もとよりのお知人しるひとにもあらずましてやちぎりしことなにもなし昨日今日きのふけふあひしばかりかもおしうさまの戀人こひびと未練みれんのつながるはづはなし御縁ごゑん首尾しゆびよくとゝのへてむつましくくらたまふを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わし戀人こひびとよりもうつくしい! なにもかも見通みとほしの太陽たいやうでも、現世このよはじまって以來このかたまたとは彼女程あれほどをなごをばなんだのぢゃ。
さぐれとおほせらるゝともそれ違背ゐはいはすまじけれど戀人こひびと周旋とりもたんことどう斷念あきらめてもなることならず御恩ごおん御恩ごおんこれはこれなりいつそおふみ取次とりついだるていにしてこのまゝになすべきかや/\それにてはみちがたゝずじつ斯々かく/\なかなりとて打明うちあけなばじようさま御得心おとくしんくべきかわれこそは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)