めぐ)” の例文
新字:
最後の喇叭らつぱの響きとともに、すべてめぐまるゝ者、再び衣を着たる聲をもてアレルヤをうたひつゝその墓より起出づるごとく 一三—一五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
やむなくめぐんでやるといふふうな氣障な通り一遍のやり方で、男といふものが女をきらひ出すとかういふ冷情のしぐさから始まるものかと
(旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
されどもてん美人びじんんで美人びじんめぐまずおほくは良配りやうはいざらしむとかいへり、彌生やよひはなかぜかならずさそひ十五夜じふごやつきくもかゝらぬはまことにまれなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
渠等かれら米錢べいせんめぐまるゝときは、「お月樣つきさまいくつ」と一齊いつせいさけれ、あとをもずしてはしるなり。ただ貧家ひんかふことなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
立て一たんめぐみ遣はしたる金子を今受取ては一分立ずと申して何分請取うけとり申さず是に依て私し儀も折角せつかくむすめまで賣たる金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いはく某曰く某と、幕末の世界では、芝居と講釋の英雄にさへなつてしまひましたが、本質的には、百兩盜んで十兩めぐむ程度で、今日の税金よりは、餘つ程安い冥加みやうが金で
しんの心は、要らないどころか、大事だいじで大事でならないものを、うるさいなどゝあんまり世間並せけんなみなことを仰言るな、あなたのめぐまれた母の愛を、なほこのうへとも眞面目まじめにお大切たいせつになさいまし。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「いや決して——それは、世界中で一番めぐみ深い使命を帶びてゐます。その他の點では、あなたは私の良心の番人ぢやないから、心配することはありません。さあ、お這入りよ、美しい漂白人さすらひびと。」
たゞ公務こうむ餘暇よかある一團いちだん士官しくわん水兵等すいへいら吾等われらある船室せんしつみちびき、れたる衣服きものがせ、あたらしき衣服ゐふくあたへ、なかにも機轉きてんよき一士官しくわん興奮こうふんためにと、いそぎ「ブランデー」の一ぱいをさへめぐんでれた。
見て氣の毒と存ぜしにや此程二十五兩の金子を持參ぢさんし先年の恩報おんがへしなりとて差出し候得ども元來をつと文右衞門は田舍育ゐなかそだち頑固かたくなゆゑ一たんめぐみ遣はしたる金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きたな病苦びやうく冷汗ひやあせに……そよ/\とかぜめぐまれた、淺葱色あさぎいろ水團扇みづうちはに、かすかつきしました。……
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
子供中間こどもなかま女王樣又によわうさまゝたとあるまじきめぐみは大人おとなよりもきがはやく、茶番ちやばんにしよう、何處どこのかみせりて往來わうらいからえるやうにしてと一人ひとりへば、馬鹿ばかへ、れよりはお神輿みこしをこしらへておれな
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「三十年前三河から一緒に出た兄弟分の私に、三度で十二三兩はめぐみましたが、——それが江戸の長者番附に乘る萬兩分限のすることでせうか、——私はたつたそれだけで、二十年間三河屋の佛心の生證據にされて居たのですぜ」
仰せらるゝ者かな往古むかしは昔し今は今なり一旦貴殿にめぐみし金子を如何に某しかく零落れいらくして一錢二錢の袖乞そでごひをなせばとて今更受取り申べきいはれなし貴殿が昔の恩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みづを……みづをとたゞつたのに、山蔭やまかげあやしき伏屋ふせや茶店ちやみせの、わか女房にようばうは、やさしく砂糖さたうれて硝子盃コツプあたへた。藥師やくし化身けしんやうおもふ。ひとなさけは、ときに、あはれなる旅人たびびとめぐまるゝ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あはれみてやめぐむともなきめぐみによくして鹽噌えんそ苦勞くらうらずといふなるそはまた何處いづこれなるにやさてあやしむべくたつとむべき此慈善家このじぜんか姓氏せいしといはず心情しんじやうといはず義理ぎりしがらみさこそとるはひとりおたか乳母うばあるのみしのび/\のみつぎのものそれからそれと人手ひとで
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
へい、これまつたくもちまして今日けふ御新姐樣ごしんぞさまがおめぐみでござります。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)