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ふりがな文庫
“
当
(
とう
)” の例文
旧字:
當
国の
開鎖
(
かいさ
)
論を云えば
固
(
もと
)
より開国なれども、
甚
(
はなは
)
だしく
之
(
これ
)
を争う者もなく、唯
当
(
とう
)
の敵は漢法医で、医者が憎ければ儒者までも憎くなって
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それにもかかわらず、
当
(
とう
)
の名探偵は、いつさめるともなく、
昏々
(
こんこん
)
と眠っている。眠った上にご
丁寧
(
ていねい
)
にも身動きもできず
縛
(
しば
)
られている。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
蛾次郎が、くるくる
舞
(
ま
)
いをして逃げだしたのも道理、それは、
雨
(
あま
)
ヶ
岳
(
たけ
)
からおりてきた
当
(
とう
)
の卜斎、すなわち
上部八風斎
(
かんべはっぷうさい
)
であった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのとおりしんぶんに書いたら、どんなにか読者にうけることでしょうが、わたしはじかにかんけいのある
当
(
とう
)
のその人だけに手紙をやりました。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ゆえに右のごとき月給の増減によって理想の例に用うるは
当
(
とう
)
を得ないことで、理想といわゆる成功とは必ずしも同一方面に共存するものでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
しかしそれは、十ドル支払った
当
(
とう
)
ざのことであって、やがて彼はその十ドルが自分の生命を買った金であったことに気がつく日が来るはずである。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今の事業多き時代に生まれながら問題の大小をも
弁
(
わきま
)
えず、その力を用いるところ
当
(
とう
)
を失えりという人あらば
如何
(
いかん
)
。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
橘屋
(
たちばなや
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
徳太郎
(
とくたろう
)
が、おせんの
茶屋
(
ちゃや
)
で
安心
(
あんしん
)
の
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
でおろしていた
時分
(
じぶん
)
、
当
(
とう
)
のおせんは、
神田白壁町
(
かんだしろかべちょう
)
の
鈴木春信
(
すずきはるのぶ
)
の
住居
(
すまい
)
へと、ひたすら
駕籠
(
かご
)
を
急
(
いそ
)
がせた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
不治どころかなおし方さえ知ってみれば、とんとん拍子に
快
(
よ
)
くなるばかり……という強い信念を、
当
(
とう
)
の弥生をはじめ多門も持ち得るようになったことだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
申すまでもなく、二人が
覘
(
ねら
)
う
当
(
とう
)
の
的先
(
まとさき
)
を通りかかる前のは薬屋源太郎で、後のはお豊であります。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
葉子は古藤にそれだけの事をいうと、今度は
当
(
とう
)
の敵ともいうべき五十川女史に振り向いて
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
手前は主人の供をしながら、
当
(
とう
)
の
仇
(
あだ
)
を
見遁
(
みのが
)
すとは怪しからん奴だから腹を切れと仰しゃるか、手討にすると仰しゃるか知れませんが、何と仰しゃってもそれまでと覚悟を致して
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何しろ
当
(
とう
)
のこいさんは、今朝から肉体的な苦痛の方が激しいので精神的苦痛を顧みる暇はなかったし、ようよう苦痛が
鎮
(
しず
)
まってからも、気落ちしたようにガッカリしてしまっているのである。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ロイドレ街二十三番館に住む生田と云える男こそ吾々の
当
(
とう
)
の
敵
(
かたき
)
なり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
実は
当
(
とう
)
を得たものではないことを知っていなければならない。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「さも喧嘩の相手があるような
口振
(
くちぶり
)
だね。
当
(
とう
)
の
敵
(
てき
)
は誰だい」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
愛も憎みも
当
(
とう
)
を得る
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ちょうど、その途方もない相談が成り立ったところへ、それとも知らぬ、
当
(
とう
)
の早苗さんが近づいて、にこやかに声をかけた。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
子弟の教育を司る学者をして政事に参与せしむるは国の大害にして、徳川の制度・慣行こそ
当
(
とう
)
を得たるものと信ずるなり。
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「申しわけない。
当
(
とう
)
の忍ノ大蔵は、はやこの附近でないとみえる。われわれも退散いたそう。いやお騒がせつかまつッた」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのことについては、吾が友人帆村荘六も大いに知りたがっていたところだが、或る時
当
(
とう
)
の丘田医師から聞きだしたといって、
秘
(
ひそ
)
かに話してくれた。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
時分
(
じぶん
)
、
当
(
とう
)
のおこのは、
駕籠
(
かご
)
を
急
(
いそ
)
がせて、
月
(
つき
)
のない
柳原
(
やなぎはら
)
の
土手
(
どて
)
を、ひた
走
(
はし
)
りに
走
(
はし
)
らせていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
これあるいは成功であるかも知れぬ。しかしながら物質的目的を達するをもってただちに理想とするごときははなはだ
当
(
とう
)
を得ないことではなかろうか。
欲心
(
よくしん
)
と理想とはちがう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
緩急
停発
(
ていはつ
)
ともに
不即不離
(
ふそくふり
)
のまま、どこまでもどこまでもと練っていくところ、人が見たらずいぶんおもしろい図かも知れないが、
当
(
とう
)
の与吉の身になると文字どおり汗だくの有様で
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
当
(
とう
)
の自身の経歴であったと同様に体験している。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
溺死人男年齢三十歳より四十歳の間
当
(
とう
)
二十二年七月五日区内築地三丁目十五番地先川中へ漂着仮埋葬済○人相○顔
面長
(
おもなが
)
き
方
(
かた
)
○口細き方眉黒き方目耳尋常左りの頬に黒
痣
(
あざ
)
一ツあり
頭
(
かしら
)
散髪
身長
(
みのたけ
)
五尺三寸位中肉○傷所数知れず其内大傷は
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
さっそく
当
(
とう
)
の道誉にそれはつたえられ、道誉は警固がしらの武者に、
柵
(
さく
)
の
錠
(
じょう
)
を
開
(
あ
)
けさせて、すぐお囲いの内へ伺候した。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、
当
(
とう
)
の怪人物でないことは確かだ。もし彼なれば、明智の侵入を察しないはずはなく、敵に悟られるような物音を立てる気づかいはないからだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうして
委細承知
(
いさいしょうち
)
で救いの手を伸ばしておいて、知らぬ顔して帰って行く金山寺屋の音松のうしろ姿に、思わず
掌
(
て
)
を合わせた壁辰とお妙——さては、二度の捕繩をあやうく逃れた
当
(
とう
)
の神尾喬之助
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いずれの
見世
(
みせ
)
に
休
(
やす
)
むにしても、
当
(
とう
)
の
金的
(
きんてき
)
はかぎ
屋
(
や
)
のおせんただ
一人
(
ひとり
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
苟
(
いやし
)
くも人格を有するものには、経済学の
教
(
おし
)
える
労銀論
(
ろうぎんろん
)
は決して
当
(
とう
)
を得たとはいわれぬことが多い。ことに使われる人は、その不当なることを適切に感ずるから、世の中の不満は多くこの点より起こる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「
木
(
こ
)
ッ
葉
(
ぱ
)
武者はどうでもよいが、
当
(
とう
)
の敵たる
穴山入道
(
あなやまにゅうどう
)
を
討
(
う
)
ちもらしたのは、かえすがえすもざんねんであった。いったいきゃつはどこにうせたか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
檻の中では、そういう椿事を
惹
(
ひ
)
き起こした
当
(
とう
)
の虎さえも、あっけにとられて、むしろ恐れをなして、一方の隅へ逃げ込んだまま、身をすくめてしまった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「じつは、河内の
水分
(
みくまり
)
へまぎれ入ッて、
当
(
とう
)
の河内どのへ近づくにも、さまざま、心をくだいたことにございましたが」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
(
とう
)
の早苗さんは可哀そうに、奥の一間、例の鉄格子を張った部屋に、監禁同然の身の上となった。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
当
(
とう
)
の丹三郎だけでなく、丹党の武士は、
譜代
(
ふだい
)
でもない自分らの手に旗が預けられたことを誉れに感じたようだった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
(
とう
)
の係員のほかには気づく者はありゃしないよ
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれど
当
(
とう
)
の竹童には、末おそろしくもなんにもない。こんな
鍛練
(
たんれん
)
は、
果心居士
(
かしんこじ
)
のそばにおれば、のべつ
幕
(
まく
)
なしにためされている「いろは」のいの字だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と聞いていたが、しかし
当
(
とう
)
の脇屋義助は、いつまで見えはしなかった。のみならずその夕、義貞の
館
(
たち
)
では、いよいよにぎやかな
端午
(
たんご
)
遊びの笛太鼓だった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
(
とう
)
の金吾と月江様とが熱海において格別な親しみを作っていたわけでもありませんので、次郎があれから後の金吾の消息を知っているはずもないのでした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらに
当
(
とう
)
の直義は、今後、政治の面からは一切身を退く。そして鎌倉から尊氏の嫡男
義詮
(
よしあきら
)
(幼名、千寿王)を呼んで直義の後任にすえる、という
条項
(
じょうこう
)
だった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
義貞こそが
当
(
とう
)
の敵だ。そしてこの綸旨に敵対する義貞は、やはり朝敵逆賊の名をまぬがれえないことになる。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現に、私事は、武運つたなく、一名も
当
(
とう
)
の敵には会いませんでしたが、敵のうちに
独
(
ひとり
)
一少年あって、これは余程の働き、
不愍
(
ふびん
)
とは存じながら、やむなく一命を
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところで、
当
(
とう
)
の正成は、なお赤坂城へも姿をみせてはいなかった。すべては
水分
(
みくまり
)
ノ
館
(
たち
)
のおくから弟の正季、祐筆の安間了現、久子の兄松尾
季綱
(
すえつな
)
らにさしずしていた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
(
とう
)
の高氏も、めったに
朝
(
ちょう
)
に出ることもないらしい。社交上のやむない向きへは、執事の
高
(
こう
)
ノ
師直
(
もろなお
)
をやり、公庁の時務には、もっぱら弟の
直義
(
ただよし
)
が出むいて事にあたっている。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、なんとも
解
(
げ
)
しかねるのは、これまでに、
当
(
とう
)
の宮を、自分らの盟主かのごとく「宮将軍、宮将軍」と、かつぎあげてきた一連の武将たちのこのさいの態度であった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
(
とう
)
、
叡山
(
えいざん
)
はおろか、日本四ヵ所の
戒壇
(
かいだん
)
においても、まだかつて、
範宴
(
はんえん
)
のごとき童僧が、
伝法授戒
(
でんぽうじゅかい
)
をうけた
例
(
ため
)
しは耳にいたさぬが、そも、座主には何の見どころがあって、敢て
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「しかし、あとで話を承ると、それは
当
(
とう
)
の怪我人と何らの縁故なき旅人どもであったそうで、あとに残って付添うているのは、まだ年の
少
(
わか
)
い次郎とよぶ
僕
(
しもべ
)
ひとりでございます」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
義詮のそばにいた土岐頼康、細川頼春、仁木義長、義氏、赤松
貞範
(
さだのり
)
なども、帰国ととなえて、次々と都のそとへ去っていた。——つづいて
当
(
とう
)
の足利義詮も、陣装して、何の故か
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
得て、今日よりは
当
(
とう
)
吉水に
止
(
とど
)
まって、念仏門の
一沙弥
(
いちしゃみ
)
となって修行をし直すことに決めた
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当
常用漢字
小2
部首:⼹
6画
“当”を含む語句
当時
見当
当然
本当
当家
当麻
相当
心当
当地
胸当
当麻語部
日当
弁当
至当
当初
当今
当方
当世
正当
面当
...