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いくばく
ふりがな文庫
“
幾許
(
いくばく
)” の例文
こんな塩梅に実地に修行して行くと六、七年の後には、世間の経験に習熟した禅坊主さんの
幾許
(
いくばく
)
かが毎年社会に出て行くことになる。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
もっともそのうちの
幾許
(
いくばく
)
かは早くも絶えてしまったかも知れませぬ。移り変りの激しい昨今では、その憂いがなお深いのであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私もまた
何処
(
いずこ
)
の山の端でこういう風になって果てるか知らんと思うと、
幾許
(
いくばく
)
か先に死んだ人の事を想い出して後を弔う心も起りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
法然はこれをまた慈鎮和尚に進上せられ、そこで出家をとげたが
幾許
(
いくばく
)
もなく又法然の処へ帰って十八年間を通じて常に給仕をしていた。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我等の主
鑰
(
かぎ
)
を聖ピエートロに委ぬるにあたりて
幾許
(
いくばく
)
の
財寶
(
たから
)
を彼に求めしや、げにその求めしものは我に從への外あらざりき 九一—九三
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
わたくしは
幾許
(
いくばく
)
の道を歩んで来たことでありましょうか。東の夜空の横雲に明るみがさし、うるんだ大きな月が出だしました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
店員一同の奮闘もまためざましかった。果たして形勢
幾許
(
いくばく
)
もなくして回復し、その後売上げは急激な勢いをもって増大した。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
もはや私は余命
幾許
(
いくばく
)
もなき、御覧のごとき
頽齢
(
たいれい
)
の老人です。日は暮れて道はなお遠く、研究し残していることは山ほどある。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
思うにそれは、祖父が早く死んだので、
幾許
(
いくばく
)
も父の記憶に残っていなかったためだろう。父方の祖母はかなりシッカリした婦人であったらしい。
私の母
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
岸ニ登リ
旗亭
(
きてい
)
ニ憩ヒ、主人ニ前駅ヲ距ルコト
幾許
(
いくばく
)
ナルヤヲ問フ。曰ク八丁余ナリト。立談ノ間蒼然タル暮色遠クヨリ至ル。従者ヲ促シテ
程
(
てい
)
ニ上ル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼らに比してヨブの妻の
優
(
すぐ
)
れること
幾許
(
いくばく
)
ぞ。さりながら彼女も遂にサタンの
罟
(
わな
)
に陥り、ヨブは全く孤独の人となった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
切り合って闘いたいが自分の方の石の足らぬ碁だ、巧く保ちたいが少し
手数後
(
てかずおく
)
れになって居る碁で、
幾許
(
いくばく
)
かの損は犠牲にせねばならなくなっている。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
懊悩
(
おうのう
)
として
憂
(
うき
)
に
堪
(
た
)
へざらんやうなる彼の
容体
(
ようたい
)
に
幾許
(
いくばく
)
の変も見えざりけれど、その心に水と火の如きものありて
相剋
(
あひこく
)
する苦痛は、
益
(
ますます
)
募りて
止
(
やま
)
ざるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
……さりながら、人の身ほど過ち易きはなく、五年以前福田城代として赴任し来りしより
幾許
(
いくばく
)
もなく、ふとした心の緩みより召使いの琴に手をつけ申候。
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
近代生活も、短歌としての匂いに
燻
(
いぶ
)
して後、はじめて完全にとりこまれ、理論の絶対に避けられねばならぬ詩形が、更に
幾許
(
いくばく
)
の生命をつぐ事が出来よう。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
この思想が将来、何程に発達し、
幾許
(
いくばく
)
の実効を
齎
(
もたら
)
し来るや、吾人は皿大の眼を張りてこれを注視せんとす。
我が教育の欠陥
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
後世少年吾等を羨むこと
幾許
(
いくばく
)
ぞと。余、甚だ然りと答へ、ともに奮励して大いに為すあらんことを誓ひき
明治の戦争文学
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
この中
英吉利
(
イギリス
)
が幾ら、
亜米利加
(
アメリカ
)
が
幾許
(
いくばく
)
、日本が幾らという事を見、更に
亜米利加
(
アメリカ
)
は日本の何倍に当り、
英吉利
(
イギリス
)
は
亜米利加
(
アメリカ
)
と幾らの差があるというような事を考え
我輩は何故いつまでもすべてに於て衰えぬか
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「なるほど」と簡単に
頷
(
うなず
)
いたが、法水はいよいよ挑戦的にそして
辛辣
(
しんらつ
)
になった。「しかし、誰にしろ、最後の時間がもう
幾許
(
いくばく
)
か測ることは不可能でしょうからね。 ...
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
〔評〕某士南洲に
面
(
めん
)
して
仕官
(
しくわん
)
を
求
(
もと
)
む。南洲曰ふ、汝
俸給
(
ほうきふ
)
幾許
(
いくばく
)
を求むるやと。某曰ふ、三十圓ばかりと。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
且つ浅草区一帯の地の卑湿にして
燥
(
かわ
)
き難きも、此の一水路によりて間接に乾燥せしめらるること
幾許
(
いくばく
)
なるを知らざれば、浅草区に取りては感謝すべき水路なりといふべし
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
苦ますること
幾許
(
いくばく
)
か知れず惡事も此念より芽を
出
(
いだ
)
し壽命も是より縮まるなり此の江戸風が地方に流れ込むは昨年の洪水より怖しきものと思ひ玉へと云へば
膽
(
きも
)
の潰れた顏を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
皆目見当も附かぬ事なれば壁際に難を避けんとする処、陳は手前の背後より
抱付
(
だきつ
)
きて匕首を突刺し其
儘
(
まま
)
何処
(
いずく
)
へか
逃去申候
(
にげさりもうしそうろう
)
、たいへんなる痛手にて最早余命
幾許
(
いくばく
)
も
無之
(
これなく
)
と
存候
(
ぞんじそうろう
)
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今はすでにその悪夢からもさめていたが、醒めたころには金も余すところ
幾許
(
いくばく
)
もなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此仮定に
幾許
(
いくばく
)
の
差誤
(
さご
)
があるか、これを検することを得る時も、他日或は到るかも知れない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
いにしへより
五
此の毒にあたる人、
幾許
(
いくばく
)
といふ事をしらず。死して
六
蟒
(
みづち
)
となり、或は
七
霹靂
(
はたたがみ
)
を
震
(
ふる
)
うて
怨
(
うらみ
)
を
報
(
むく
)
ふ
類
(
たぐひ
)
は、其の肉を
八
醢
(
ししびし(ほ)
)
にするとも飽くべからず。さるためしは
希
(
まれ
)
なり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
但
(
た
)
だ予は、予が今日の分として、この実験の意義、価値の
幾許
(
いくばく
)
なるかを
料
(
はか
)
り知る
能
(
あた
)
はざるのみ。真理の躰察、
豈
(
あに
)
容易ならんや。予は唯だ
所謂
(
いはゆる
)
「悟後の修行」に一念向上するあらんのみ。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
幾許
(
いくばく
)
もなく、知名な無政府主義者として目ざましい活動を始めた彼女の上には、いろ/\な迫害が来た。彼女は勇敢に大胆に戦つた。彼女の熱心と勇気と精力とは何物をも恐れなかつた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
しかしこれが為め英国の学術上の名声を高めたことは
幾許
(
いくばく
)
であったろうか。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
血をもって民権を買うべしとの論派と、民権の中に幾分か叛逆の精神ありとの論派と、その間の距離
幾許
(
いくばく
)
ぞや。しかれども立憲政体を立てて民権を拡充すとの点においてはいずれも同一なり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
今日吾々の記憶し自覚し得るところのものは果して
幾許
(
いくばく
)
であろうか。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
好色と恋愛と文学上に
幾許
(
いくばく
)
の懸隔あるを、好色は人類の最下等の獣性を
縦
(
ほしいまゝ
)
にしたるもの、恋愛は、人類の霊生の美妙を
発暢
(
はつちやう
)
すべき者なる事を、好色を写す、即ち人類を自堕落の獣界に追ふ者にして
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
吾
(
わが
)
背子
(
せこ
)
と二人見ませば
幾許
(
いくばく
)
かこの
零
(
ふ
)
る雪の
懽
(
うれ
)
しからまし
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
実際もう私の余命は
幾許
(
いくばく
)
もないのである。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
その外形に於いて相距ること
幾許
(
いくばく
)
ぞ。
特殊部落と寺院
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
流年
幾許
(
いくばく
)
ぞ
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
〔幾個の齒にて〕齒にて噛むは刺戟を與ふるなり、汝の愛を神に向はしむる者理性と天啓の外に猶
幾許
(
いくばく
)
ありやいへとの意
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
私の企てた間断なき努力も、上人の残した仕事の前に立って、
幾許
(
いくばく
)
の量を示し、
幾何
(
いかほど
)
の深さを告げ得るでしょう!
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
時に州を領するの間滅亡する者其数
幾許
(
いくばく
)
なるを知らず、
況
(
いは
)
んや存命の
黎庶
(
れいしよ
)
は、
尽
(
こと/″\
)
く将門の為に虜獲せらるゝ也。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
すると花嫁の随行者はその
要償金
(
ようしょうきん
)
の
幾許
(
いくばく
)
を与えて、まず安全の通過を
希
(
こいねが
)
いここに始めて通過し得らるるのです。もちろんこれは都会には行われて居りません。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
仏蘭西人は何のために子弟に教育を施すかというと、先ずお役人にしたい、月給取にしたいというのである。十歳から二十歳まで教育すると、毎月
幾許
(
いくばく
)
の金を要する。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
井口の手紙を受取ったのは、十円足らずの金を手にする為に、
幾許
(
いくばく
)
かの書物を包んで東京へ立とうとしている時だった。予は思わず涙を覚え、井口の手紙を
犇
(
ひし
)
と握った。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
固
(
もと
)
より
間
(
あはひ
)
は
幾許
(
いくばく
)
も有らざるに、急所の血を
出
(
いだ
)
せる女の足取、
引捉
(
ひつとら
)
ふるに何程の事有らんと、
侮
(
あなど
)
りしに相違して、彼は始の如く走るに
引易
(
ひきか
)
へ、
此方
(
こなた
)
は漸く
息疲
(
いきつか
)
るるに及べども
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
吾背子
(
わがせこ
)
と
二人
(
ふたり
)
見
(
み
)
ませば
幾許
(
いくばく
)
かこの
零
(
ふ
)
る
雪
(
ゆき
)
の
懽
(
うれ
)
しからまし 〔巻八・一六五八〕 光明皇后
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
かかる病なん、
終
(
つい
)
にその痛むところ、
蓮
(
はちす
)
の花の開くがごとく
壊
(
え
)
み崩れて腐り行けば、命幾日もあらずというを聞くにも、今は
幾許
(
いくばく
)
ならずその
界
(
さかい
)
に至らんと思えば、いとど安き心なし。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
さりとて、余命
幾許
(
いくばく
)
もないこの病母が、もし落命したらばいったん葬式までも済ませた身の、いかに処置したらいいであろうか? 人の死をみだりに第三者が、論議することは差し控えたい。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この事実は、私共には甚だ奇怪な事実としか思へませんが、しかし振り返つて、現在の結婚制度に就いて考へて見ますと女に対する根本の観念にはそれ等の朦昧人とは
幾許
(
いくばく
)
の相違もありません。
嫁泥棒譚
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
それが
幾許
(
いくばく
)
もなくして運命逆転——相手の宿将の城を焼き、一族を亡ぼす
秋
(
とき
)
になってみると、秀吉としては、勝家の首を挙げるよりも、三度の
古物
(
ふるもの
)
ではありながら、生きたお市の方の肉体が欲しい。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かしこより下は或ひは
幾許
(
いくばく
)
か震ひ動かむ、されど上は、我その次第を知らざれども、地にかくるゝ風のために震ひ動けることたえてなし 五五—五七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
釜貞は
他
(
ひと
)
の不幸に際会して目的の無心も云へず、といふて明日の命を繋ぐ糧さへ無い我家を想ふと矢も楯もあらず、男を
枉
(
ま
)
げ心を殺して
幾許
(
いくばく
)
かの金を才覚して
名工出世譚
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
“幾許”の意味
《形容動詞》
数、量、程度などの不明であること。それを表す漢語に同じ意味を有する副詞の和語を当てる。
(出典:Wiktionary)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
許
常用漢字
小5
部首:⾔
11画
“幾許”で始まる語句
幾許人
幾許/\