嚴肅げんしゆく)” の例文
新字:厳粛
清八も、お絹も、縁側から覗く善兵衞も、娘のお冬も、庭に突つ立つて居る下男の友吉も、嚴肅げんしゆくなものにたれて默つてしまひました。
そのくびからうへが、嚴肅げんしゆく緊張きんちやう極度きよくどやすんじて、何時いつまでつてもかはおそれいうせざるごとくにひとした。さうしてあたまには一ぽんもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まつたくわきらないやうなはち動作どうさへん嚴肅げんしゆくにさへえた。そして、またたきもせずに見詰みつめてゐるうちに、をつとはその一しんさになに嫉妬しつとたやうなものをかんじた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
行列ぎやうれつあいちやんと相對峙あひたいぢするまですゝんでときに、彼等かれらは一せいとゞまつてあいちやんを打眺うちながめました、女王樣ぢよわうさま嚴肅げんしゆくに、『こは何者なにものぞ?』と心臟ハート軍人ネーブにまでまをされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
武村兵曹たけむらへいそうこの將來しやうらい非常ひじやう有望いうぼう撰手せんしゆであるとかたつたがたゞ野球やきゆうばかりではなくかれ※去くわこねんあひだ櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ嚴肅げんしゆくなる、慈悲じひふかしたしく薫陶くんとうされたこととて
ぼく諸君しよくんこの不可思議ふかしぎなる大宇宙だいうちうをも統御とうぎよしてるやうな顏構かほつきをしてるのをると冷笑れいせうしたくなるぼく諸君しよくんいますこしく眞面目まじめに、謙遜けんそんに、嚴肅げんしゆくに、この人生じんせいこの天地てんち問題もんだいもらひたいのである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
このとき宗助そうすけならんで嚴肅げんしゆくひかえてゐたをとこのうちで、小倉こくらはかまけた一人いちにんが、矢張やはり無言むごんまゝがつて、へやすみ廊下口らうかぐち眞正面ましやうめん着座ちやくざした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三人は、息の絶えた宇太松の前に、默りこくつたまゝ暫く頭をれて坐り込みました。長い長い人生のうちにも、滅多にこんな嚴肅げんしゆくな氣持になる時間はないものです。
しかし、濱島氏はまじましけつして虚名きよめいむさぼひとでない、このかれもとめたではいのです、すべて本國はんごく政府せいふ任意にんゐさだめたことで、軍艦命名式ぐんかんめいめいしき嚴肅げんしゆくなる順序じゆんじよくだされたのが「」の三です。
函館の棧橋さんばしからそこへ通ふ小蒸汽船に乘つて、暗褐色あんかつしよくの波のたゆたゆとゆらめく灣内わんないなゝめに横切る時、その甲板かんぱんに一人たゞずんでゐた私の胸にはトラピスト派の神祕な教義と、嚴肅げんしゆくな修道士達の生活と
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
屏風岩べうぶいわうへを二十ヤードばかりすゝむと、正面しやうめんかべのやうに屹立つゝたつたる大巖石だいがんせき中央ちゆうわうに、一個いつこ鐵門てつもんがあつて、その鐵門てつもんまへには、武裝ぶさうせる當番たうばん水兵すいへい嚴肅げんしゆくつてつたが、大佐等たいさら姿すがたるより