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喝采
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かっさい
ふりがな文庫
“
喝采
(
かっさい
)” の例文
そんな、苦心談でもって人を圧倒して
迄
(
まで
)
、お義理の
喝采
(
かっさい
)
を得ようとは思わない。芸術は、そんなに、人に強いるものではないと思う。
自作を語る
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「うまいぞうまいぞ」と
喝采
(
かっさい
)
するものがある。最後にかれはへびを一まとめにして口の中へ入れた。人々は驚いてさかんに喝采した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
この一文は案外方々から
喝采
(
かっさい
)
を博した。しかし家元の封建性の弊を指摘してあるので、家元には都合の悪いものであったに違いない。
四十年の回想:『民藝四十年』を読んで
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それを道庵が出て
易々
(
やすやす
)
と解決をつけてしまったから、今まで黒山のように人だかりしていた連中が、ここで一度に
哄
(
どっ
)
と
喝采
(
かっさい
)
しました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
両者を合してやや調和したる者をものするは、非常の辛苦を要しながら存外に
喝采
(
かっさい
)
を博すること能はざればその覚悟なかるべからず。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
ビゼーの生涯は甚だ幸福でなく、その上短命で「カルメン」への世界の
喝采
(
かっさい
)
も知らずに死んだが、芸術家としては決して不幸でない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
公開堂
(
こうかいどう
)
の壇上、華かなる電燈の下で、満場の聴衆が
喝采
(
かっさい
)
の内に弾きならしたはこの琴であります、またこの一
面
(
めん
)
は過ぎし日
妾
(
わたし
)
が初めて
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
彼らが
喝采
(
かっさい
)
してるのは、
歌曲
(
リード
)
をではなかった——(彼女がたとい他の曲を歌ったのであっても、彼らは同じように喝采しただろう)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
聴衆は道也の
勢
(
いきおい
)
と最後の一句の奇警なのに気を奪われて黙っている。
独
(
ひと
)
り高柳君がたまらなかったと見えて大きな声を出して
喝采
(
かっさい
)
した。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
トレープレフ おっ母さんはね、この小っぽけな舞台で
喝采
(
かっさい
)
を浴びるのが、あのニーナさんで、自分じゃないのが、
癪
(
しゃく
)
のたねなんですよ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
だけど、群衆はただぼんやり見てるきりで、
喝采
(
かっさい
)
する者もなく、お金を放ってやる者もあまりありませんでした。少年は悲しそうでした。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
喝采
(
かっさい
)
の音が、また右側の半分から起った。御しやすい連中だな、とKは思ったが、ただ左側の半分が黙っているのが気になった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
しかし
暫
(
しば
)
し
鳴
(
な
)
りもやまない
喝采
(
かっさい
)
から彼等がわれに返って見廻した時には、もう次郎右衛門忠明のすがたはどこにも見当らなかったとある。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
との一言を
放
(
はな
)
ち、
却
(
かえ
)
って反対者の
喝采
(
かっさい
)
を
獲
(
え
)
たところなどは、その公平無私かつ
度量
(
どりょう
)
の寛大なるところは、ほとんどドラマチックであった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
娘と劉がちょっと手をつないで軽く挨拶をしたとき、
固唾
(
かたず
)
をのんでいた観客も、はじめて気がついたように大きな
喝采
(
かっさい
)
を送った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
徒刑囚のうちのある者など、徒刑場に名の響き渡ってる者などは、歓呼と
喝采
(
かっさい
)
とを浴びせられて、それを一種のほこらかな
謙遜
(
けんそん
)
さで迎えた。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして、白分の機知の成功で実にたやすくみんなの
喝采
(
かっさい
)
を博することができたろうに、そんな喝采のことなどはまるで考えてみもしなかった。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
こう云う自分も皆と一しょに、
喝采
(
かっさい
)
をしたのは勿論である。が、喝采している内に、自分は鉄棒の上の丹波先生を、半ば本能的に憎み出した。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
部下の
中
(
うち
)
でもこの方面に心得のあるものをこれに配合してバード・ストーン曲馬団なるものを組織し、各地で興行をして大
喝采
(
かっさい
)
を博しており
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
乗り合いは思わず手を
拍
(
う
)
ちて、車も
憾
(
うご
)
くばかりに
喝采
(
かっさい
)
せり。奴は
凱歌
(
かちどき
)
の喇叭を吹き鳴らして、
後
(
おく
)
れたる人力車を
麾
(
さしまね
)
きつつ、踏み段の上に躍れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「効果はてきめんだった、米谷と古内が立ったあとで、里見十左がさっそく詰問し、七十郎はそれを二ノ矢だと
喝采
(
かっさい
)
した」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小芝居、手品、見世物、
軽業
(
かるわざ
)
、——興行物の掛け小屋からは、陽気な鳴り物の音が聞こえ、
喝采
(
かっさい
)
をする見物人の、拍手の音なども聞こえて来た。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
木戸口の横に、
電気人形
(
アウトマーテン
)
に扮した役者が立っていて、人形の身振りをするのが真に迫るので、観客の
喝采
(
かっさい
)
を博していた。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
丁度公園では歌が
停
(
や
)
んだところであったが、聴衆がひどく
喝采
(
かっさい
)
して
止
(
や
)
まないので、同じ歌がまた始めから繰り返された。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
という言葉に、朱線を引き、感激した彼女は、今、その感激はちょうど、小さい子供が、頭の上の空で、美くしく拡がる花火の光りを、
喝采
(
かっさい
)
しながら
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そうして
強飯
(
こわめし
)
でもなく
萩
(
はぎ
)
の餅よりもさらによく
潰
(
つぶ
)
された新式の餅が、世に現われて
喝采
(
かっさい
)
せられ、始めて多くの人を餅好きにしたのではないかと思う。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
再
(
ふたた
)
び起こる
喝采
(
かっさい
)
の声! かくて
M大尉
(
エムたいい
)
は第一等の
栄冠
(
えいかん
)
を
得
(
え
)
て、予定通りわが日本のために
万丈
(
ばんじょう
)
の
気炎
(
きえん
)
をはきました。
国際射的大競技
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
そしてこの
瞬間
(
しゅんかん
)
の
喝采
(
かっさい
)
のことも、美しい歌姫のことも、その歌声やほほえみのことも、だれひとり知る者もなく、忘れられ、過ぎ去ってしまうのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
こうした眼に見えない石が自分の方へ飛んで来る時の痛さ以上に、岸本は見物の
喝采
(
かっさい
)
を想像して見て悲しく思った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鳴り止まぬ
喝采
(
かっさい
)
の音を聴きながら、私は親身な感情のこみあげてくるのを感じ、面をあげることが出来なかった。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
あたかも
好
(
よ
)
しその日は
与謝野鉄幹
(
よさのてっかん
)
子を中心とせる
明星
(
みょうじょう
)
派の人々『両浦島』を
喝采
(
かっさい
)
せんとて土間桟敷に集れるあり。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
しかも私たちがエクセントリック味を満喫している間も、何か面白い場面でも中では映っているのであろう。
烈
(
はげ
)
しい
喝采
(
かっさい
)
が聞えて笑いがどよめいてきた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
どこでも見物は熱狂し、割れるように
喝采
(
かっさい
)
した。そして舞台の支那兵たちに、
蜜柑
(
みかん
)
や
南京豆
(
ナンキンまめ
)
の皮を投げつけた。
日清戦争異聞:(原田重吉の夢)
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
新内
(
しんない
)
の
若辰
(
わかたつ
)
が大の
贔負
(
ひいき
)
で、若辰の出る席へは千里を遠しとせず通い、寄宿舎の淋しい
徒然
(
つれづれ
)
には
錆
(
さび
)
のある声で若辰の
節
(
ふし
)
を
転
(
ころ
)
がして
喝采
(
かっさい
)
を買ったもんだそうだ。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼女は微笑を含んだ
会釈
(
えしゃく
)
で
喝采
(
かっさい
)
に
応
(
こた
)
えると、水色のスカートを
飜
(
ひるがえ
)
しながら、快活にピアノに向って腰を降した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
運動会の前奏ともいうべきこの学芸会で最も一同の
喝采
(
かっさい
)
を博したのは、花岡一郎のオルガン弾奏であった。花岡一郎というのは、まだ若い蕃人の巡査である。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
そのうちにおきまりの三味線と
唄
(
うた
)
と舞踊とが、何の感興もなく初まって何の感興もなく終った。それだのにそれが済むと、席は待ち構えていて拍手
喝采
(
かっさい
)
した。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「こいつ等は、まるで素人じゃねえ、」鼈四郎は檜垣の主人に向ってはこうも押えた口を利くようなものの、彼の肉体的感覚は発言者を得たように
喝采
(
かっさい
)
した。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と書生の杉山が手をうって
喝采
(
かっさい
)
した。この男はおせじ使いだから、若様がたがしゃれをいうと笑いころげる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
之は、ロビンフッド的な
義侠
(
ぎきょう
)
行為と
見做
(
みな
)
され、島民一般の
喝采
(
かっさい
)
を博した。勿論、商会側も黙ってはいない。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
華やかな
嵐
(
あらし
)
を
捲起
(
まきおこ
)
したこの新夫婦、稲舟美妙の結合は、合作小説「峰の残月」をお
土産
(
みやげ
)
にして
喝采
(
かっさい
)
された。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
小田君が送別の辞を
陳
(
の
)
べてくれたので、余は答辞を陳べねばならぬことになり、頗るまずい演説をした。碧梧桐君は松島遊覧の発句を一句高誦して
喝采
(
かっさい
)
を博した。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
彼は、誰先生に直接きいて来たんだという確証を与えることによってのみ、生徒たちに
喝采
(
かっさい
)
され、彼自身の功績を誇りうるということをよく知っているのである。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
と、小滝は少しも
躊躇
(
ちゅうちょ
)
の色を
示
(
しめ
)
さずに、「それア誰だッてそうですわねえ、……むろん林さん!」と言った。小滝も酔っていた。
喝采
(
かっさい
)
の声が嵐のように起こった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
えゝ此の
度
(
たび
)
は
誉
(
ほま
)
れ高き時事新報社より、何か新作物を口演致すようとの御註文でございますから、
嘗
(
かつ
)
て師匠の
圓朝
(
えんちょう
)
が
喝采
(
かっさい
)
を博しました
業平文治
(
なりひらぶんじ
)
の後篇を申上げます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして、旦那どのは、
恨
(
うら
)
み重なる男のあとにつづいて梯子を上って行ったのだ。これを見ていた人々は
喝采
(
かっさい
)
した。それもそうだろう。いやたった一人を除いてはネ。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勝負がつく度に揚る
喝采
(
かっさい
)
の声は乾いた空気を伝わって、人々を家の内にじっとさしては置かなかった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
二月五日の衆議院で、
東条
(
とうじょう
)
首相が堂々とこの新製鉄法を述べ、これで今次の大戦を
賄
(
まかな
)
うべき鉄には不自由しないと演述した。議員は皆
喝采
(
かっさい
)
した。私たちは
唖然
(
あぜん
)
とした。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
それにつきましても、
命
(
いのち
)
がけの
芸当
(
げいとう
)
ゆえ、
無事
(
ぶじ
)
になし
終
(
お
)
わせました
際
(
さい
)
は、どうぞご
喝采
(
かっさい
)
を
願
(
ねが
)
います。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
壮士の
喝采
(
かっさい
)
を博し どこへ行っても壮士が舌を出して敬礼をするようになり、その壮士が陰となり
日向
(
ひなた
)
となって私を護るために、便宜を得たことが沢山ございました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
喝
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
采
常用漢字
中学
部首:⾤
8画
“喝采”で始まる語句
喝采組
喝采賛嘆
喝采鼓舞