トップ
>
呪文
>
じゅもん
ふりがな文庫
“
呪文
(
じゅもん
)” の例文
また、舟待ちするにも
呪文
(
じゅもん
)
を信じて、その心に安んずるところあれば、たとい現に舟待ちすることあるも、さほどに感ぜざるべし。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
掌
(
て
)
を合せて、拝むまねをした。天狗さま天狗さまを、
呪文
(
じゅもん
)
のように繰返して唱えながら、一人一人の影を拝んで、恐れ
顫
(
わなな
)
く振りをした。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとりで部屋でお茶を飲んでいる時とか、道を歩いている時などに、だから彼はふと
呟
(
つぶや
)
いています。ちょいと
呪文
(
じゅもん
)
のような具合なのです。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
右衛門は眼をつぶって、口の中でなにか
呪文
(
じゅもん
)
のようなものを呟いた。それからごく慎重に眼をあいて、穏やかにこう質問した。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分の子供の時分、郷里ではそういう場合に「おらのおととのかむ——ん」という
呪文
(
じゅもん
)
を唱えて頭上に
揺曳
(
ようえい
)
する
蚊柱
(
かばしら
)
を呼びおろしたものである。
試験管
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
ただ速記者が雇えたらと、時々思うことがある。異常な
苛立
(
いらだ
)
たしさやもどかしさの中で悪魔の
呪文
(
じゅもん
)
の如くにそれを念願することがあるのである。
文字と速力と文学
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その時あの印度人の婆さんは、ランプを消した二階の部屋の机に、魔法の書物を
拡
(
ひろ
)
げながら、
頻
(
しきり
)
に
呪文
(
じゅもん
)
を唱えていました。
アグニの神
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
みるみるうちに足の手の感覚が失われてゆく。文覚の唇から白い息とともに
慈救
(
じく
)
の
呪文
(
じゅもん
)
が滝音に抗するように唱えられた。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
老人は、再び大竹女史の前に膝をつくと、何やら
呪文
(
じゅもん
)
のようなものを唱え、女史の額のへんを二三度、撫でるようにした。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから描いた線のなかに歩み寄って、火鉢の所から振り向いて鏡のなかの女の頭を見つめながら、強い魔法の
呪文
(
じゅもん
)
をふるえる声でくりかえした。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
さあ、眼にも見ず、形の上でも犯さぬ業ならば、やつぱり心の上で、徐々に返すよりほかはあるまい——まづこの
呪文
(
じゅもん
)
を暇のある
毎
(
ごと
)
に唱へなさい。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
この一事を、
呪文
(
じゅもん
)
を唱えるように、心中自分にいい聞かせてしめっぽい畳表に頬を押しつけながら、まこと死んだつもりで横ちょに倒れている女。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それを棄て置いてむつかしい
呪文
(
じゅもん
)
のようなことを、高く
唱
(
とな
)
えている連中の心持が、何としても私たちには不思議である。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どこからどうして来たのか知らないが、とにかく彼は
大明
(
たいみん
)
から渡来の唐人で、何か判らない
呪文
(
じゅもん
)
のようなことを唱えながら毎日歩いているのである。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さてこれから申し上げるところの、「般若の
呪文
(
じゅもん
)
」も、「秘密」という理由で、あえて玄奘三蔵は翻訳せずに、そのまま梵語の音だけを写したわけです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
「でも、
呪文
(
じゅもん
)
を唱えましたら、それを、合い図ににょろにょろとはい出したのが、奇態ではござりませぬか!」
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「そこが魔法なんだよ。あいつが
呪文
(
じゅもん
)
をとなえると、井戸の水がスーッとなくなってしまう。そして、ここが地下の密室への出入口になるというわけだよ。」
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やがてお
経
(
きょう
)
がすむと、
玄翁
(
げんのう
)
は
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がって、
呪文
(
じゅもん
)
を
唱
(
とな
)
えながら、
持
(
も
)
っていたつえで三
度
(
ど
)
石をうちました。
殺生石
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
彼は一匹の
蟋蟀
(
こおろぎ
)
を捜し出して、それを馬にしようとした。蟋蟀の背中にそっと杖をあてて、一定の
呪文
(
じゅもん
)
を唱えた。虫は逃げ出した。彼はその行く手をさえぎった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「ふうん、貴様が例の闇太郎か! 大名、富豪の、どんな厳重な
緊
(
しま
)
りさえも
呪文
(
じゅもん
)
で出入りするかのように、自由に出没すると言う、
稀代
(
きたい
)
の賊と言うのは、貴様か?」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そう思った時、彼の女は
恰
(
あたか
)
も
呪文
(
じゅもん
)
を
唱
(
とな
)
え終って、素晴らしい
見幕
(
けんまく
)
でぴしッと右手の親指を鳴らした。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
白虎太郎は、形を改め、
厳
(
おごそ
)
かに
呪文
(
じゅもん
)
を唱え出した。左右の掌を合掌に結び、パッと掌中を
空
(
うつろ
)
にした。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と両手をすりすり
賽
(
さい
)
を
撒
(
ま
)
く時の
呪文
(
じゅもん
)
を早口に唱えているのに
悪感
(
おかん
)
を覚えながらも大臣は従って来た人たちの人払いの声を手で制して、なおも妻戸の細目に開いた
隙
(
すき
)
から
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
君は、ジュムゲジュムゲ、イモクテネなどの気ちがいの
呪文
(
じゅもん
)
の言葉をはたして
誦
(
ず
)
したかどうか。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高らかに
呪文
(
じゅもん
)
を称えて、その法力を誇示していた壇上の東海坊は、何に驚いたか、急に壇上を駆け廻り、床を叩き、壇を蹴飛ばし、浅ましくも怒号する
態
(
てい
)
が、渦巻く焔の間から
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そしてびっくりして地にひれふして何だかわけのわからない
呪文
(
じゅもん
)
をとなえ出しました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
誠に文字通り「応無所住而生其心」となり、そのお婆さんの「大麦小豆、二升五銭」という
呪文
(
じゅもん
)
のような称念は、病人をすら
癒
(
いや
)
すに至ったと申します。面白い話ではないでしょうか。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しみ渡るような低い声で彼は云いつづけた。
舷側
(
げんそく
)
にぴたぴたと川波がくだけていた。腰をかがめねば聞きとれないような堀大主典の言葉は、まるで
呪文
(
じゅもん
)
のようにぶつぶつと続いていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
いかがわしい地蔵の像を刻んでは盛んに売り出して暴利を
貪
(
むさぼ
)
り、怪しげな
呪文
(
じゅもん
)
や
護符
(
ごふ
)
を撒布して愚民を惑わす、との風聞も
頻
(
しき
)
りなるにより、我々同志が事情を
篤
(
とく
)
と見届けに参ったのだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これに向って
呪文
(
じゅもん
)
を唱え、印を結んで、錬磨の功を積むのだそうでありまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何か
呪文
(
じゅもん
)
を唱えるか、「
聖
(
ひじり
)
の石」みたような薬をちょっぴり使って、霧がからりと霽れるような方法を科学者に求めてはいけない。そういうことが有り得ないというのが科学なのである。
霧を消す話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
彼の言葉の超人間的な力にまるで
呪文
(
じゅもん
)
の力でもひそんでいたかのように——彼の差したその大きい古風な扉の鏡板は、たちまち、その重々しい
黒檀
(
こくたん
)
の口をゆっくりうしろの方へと開いた。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
恐しい悪魔の群は、口々に
呪文
(
じゅもん
)
をとなえながら、黒雲の中へつきこんで行った。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
二階はなかなか
賑
(
にぎ
)
やかである。わざわざ
大晦日
(
おおみそか
)
の夜を騒ぎ明かす積りで来たのかも知れない。三味線の
音
(
ね
)
が絶えずする。女が笑う。年増らしい女の声で、こんな
呪文
(
じゅもん
)
のようなものを唱える。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
兄も、死んだ母も、三拝九拝して、来て頂いたんでしょう。だから、家じゃまるで、女王さまのような勢いよ。兄なんか、一生文句の云えない
呪文
(
じゅもん
)
にかけられているように、頭が上らないのよ。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
勿体
(
もったい
)
ぶって笠井が護符を押いただき、それで赤坊の腹部を
呪文
(
じゅもん
)
を
称
(
とな
)
えながら
撫
(
な
)
で廻わすのが唯一の力に思われた。傍にいる人たちも奇蹟の現われるのを待つように笠井のする事を見守っていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
かれは、表面
素直
(
すなお
)
にそう言って塾長室を出た。そして講堂に行き、今日の
式次第
(
しきしだい
)
をチョークで黒板に書いたが、いつもは何の気なしに書く「来賓祝辞」の四字が、
呪文
(
じゅもん
)
のように心にひっかかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
これからのぼくは、一心に、あのひとを、どっかに
蔵
(
しま
)
い
込
(
こ
)
もう。日本に帰る日まで、一個人に立ち返れるまで、とこの言葉を
呪文
(
じゅもん
)
として、ぼくは、もう、あのひとの片影なりとも、心に描くまい≫
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
若
(
も
)
し
戀女
(
こひをんな
)
の
魔
(
ま
)
の
輪近
(
わぢか
)
くへ
奇異
(
おつりき
)
な
魔物
(
まもの
)
を
祈
(
いの
)
り
出
(
だ
)
して、
彼女
(
おてき
)
が
調伏
(
てうぶく
)
してしまふまで、それを
突立
(
つッた
)
たせておいたならば、それこそ
惡戲
(
てんごう
)
でもあらうけれど、
今
(
いま
)
のは
正直正當
(
しゃうぢきしゃうたう
)
な
呪文
(
じゅもん
)
ぢゃ、
彼女
(
おてき
)
の
名
(
な
)
を
借
(
か
)
りて
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
三年前から女の
髪剪
(
かみき
)
りがはやっていたが、最初は、黒い歯の鋭い虫が
噛
(
か
)
みきるのだといって下町の女たちは、極度に恐れて、
呪文
(
じゅもん
)
を書いた紙をしごいて、髪に結びつけたりしていたが、そのうちに
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
(註、hocuspocus は手品師の
呪文
(
じゅもん
)
にして元来
偽拉丁語
(
にせラテンご
)
、
人目
(
じんもく
)
を
眩
(
くら
)
ますものゝ称)
寧
(
むし
)
ろ凡人の失敗に鑑みしむるの凡人伝をもって大衆を導くに
若
(
し
)
かず。世界は多数のナポレオンを要しない。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
呪文
(
じゅもん
)
と云うものを綺麗に忘れたいものだ。11405
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
と
呪文
(
じゅもん
)
のごとく
呟
(
つぶや
)
いた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
小児の掌面に
呪文
(
じゅもん
)
三回墨書し、さらにその上を墨にて
塗抹
(
とまつ
)
して文字をして不明ならしめ、これを握ること暫時にしてその手をひらき見れば
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
僧である以上、さだめし難かしい仏典をひきだしたり、口賢い法語や
呪文
(
じゅもん
)
で誤魔化すだろうと心がまえしていた人々は、彼の人間的な話に
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左の手には
裸蝋燭
(
はだかろうそく
)
をともし、右の手には鏡を
執
(
と
)
って、お敏の前へ立ちはだかりながら、口の内に秘密の
呪文
(
じゅもん
)
を念じて、鏡を相手につきつけつきつけ
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それを経典
呪文
(
じゅもん
)
のごとくくり返し吟誦していると、いつの間にか一々の句や言葉に、型とはいいながらもきわめて豊富なる内容がついてまわることになり
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかしまたこれと同時に、この呪という字は「
呪文
(
じゅもん
)
を唱える」とか「
呪禁
(
まじない
)
をする」とかいったように、「まじない」というふうにも解釈されているのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
だがもう
呪文
(
じゅもん
)
の効き目はなかった。甚平は完全に催眠術から覚めてしまった。こうなっては万事休すだった。
遉
(
さすが
)
の佐々砲弾も諦めて退散するより外なかった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なにやら
呪文
(
じゅもん
)
のようなことを二言三言おっしゃいましたら、二尺ばかりのまっしろいへびが、ほんとうに縁側からにょろにょろとはいってきたんでございますよ!
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“呪文”の解説
呪文(じゅもん)は、呪術的な効果を得るために使われる言葉であり、呪術の一要素を成す。多くは定式化されており、期待する効果に応じてそれらを使い分ける。呪文のフレーズには直喩・隠喩が多用されたり、擬音語・節回しなどの音声的な工夫がなされたりする。また神秘性によって効力が高まると考え、古語や意味不明な語句を用いたり、秘密にされたりする場合もある。またはそこから転じて、意味不明な言葉の羅列などを"呪文"と喩える場合もある。
(出典:Wikipedia)
呪
常用漢字
中学
部首:⼝
8画
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
“呪”で始まる語句
呪
呪詛
呪咀
呪禁
呪縛
呪法
呪術
呪師
呪言
呪符