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刃物
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はもの
ふりがな文庫
“
刃物
(
はもの
)” の例文
こんな場合、
刃物
(
はもの
)
というものは、不思議な強味を与えるのである。お綱は、それを拾って、暗闇の畳の上へ、くの字形に体を投げた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は、
今日
(
こんにち
)
田舍
(
ゐなか
)
の
樵
(
きこり
)
や
農夫
(
のうふ
)
が
山
(
やま
)
へ
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
に、
鎌
(
かま
)
や
斧
(
をの
)
を
腰
(
こし
)
に
着
(
つ
)
けてゐるように、きっと
何
(
なに
)
か
刃物
(
はもの
)
を
持
(
も
)
つてゐたものと
思
(
おも
)
ひます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
お三根を
殺傷
(
さっしょう
)
した
凶器
(
きょうき
)
は、なんであるかわからないが、なかなか
切
(
き
)
れ
味
(
あじ
)
のいい
刃物
(
はもの
)
であるらしく、頸動脈はずばりと一気に切断されていた。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
板屋根を葺くのは枌板といって、もとは
杉
(
すぎ
)
だの
檜
(
ひのき
)
だのの
柾目
(
まさめ
)
のよくとおったふとい材木を、
鉈
(
なた
)
のような
刃物
(
はもの
)
でそぎわったうすい板であった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しまいには、畳の
縁
(
へり
)
の交叉した
角
(
かど
)
や、天井の
四隅
(
よすみ
)
までが、丁度
刃物
(
はもの
)
を見つめている時のような切ない神経の緊張を、感じさせるようになった。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
「いったい何分ぐらいで済むのかなあ。眼で見ないでもあの
刃物
(
はもの
)
の音だけ聞いていると、好い加減変な心持になるからな」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「出て来たぞ! 逃げろにげろ!
刃物
(
はもの
)
を持ってるから傍へよっちゃあいけねえ。とても生捕りには出来ねえから、みんな逃げろ、逃げろ……」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
砂で
磨
(
みが
)
き、
刃物
(
はもの
)
で手入れをされた竹は表皮の
艶
(
つや
)
を消されて落ちついた青さであった。ぱさっと地をはたくように振ると、
一握
(
ひとにぎ
)
りの竹はのたうって
揃
(
そろ
)
う。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この
家
(
いえ
)
の
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
りかかりましたが、
乞食
(
こじき
)
の
子
(
こ
)
は、おみよが、いま
人形
(
にんぎょう
)
にごちそうをこしらえてやろうとして、
菊
(
きく
)
の
花
(
はな
)
や、
山茶花
(
さざんか
)
の
花弁
(
はなびら
)
を、
小
(
ちい
)
さな
刃物
(
はもの
)
で
なくなった人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこで
砥石
(
といし
)
に水が
張
(
は
)
られすっすと
払
(
はら
)
われ、秋の
香魚
(
あゆ
)
の
腹
(
はら
)
にあるような青い
紋
(
もん
)
がもう
刃物
(
はもの
)
の
鋼
(
はがね
)
にあらわれました。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一口に
云
(
い
)
えば塾も
住居
(
すまい
)
も
殻明
(
からあ
)
きにして
仕舞
(
しま
)
い、
何処
(
どこ
)
を捜した所で鉄砲は
勿論
(
もちろん
)
一挺
(
いっちょう
)
もなし、
刃物
(
はもの
)
もなければ
飛道具
(
とびどうぐ
)
もない、一目明白、
直
(
すぐ
)
に分るようにしました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お
前
(
まえ
)
ったら、まるで
身体
(
からだ
)
に
刃物
(
はもの
)
でもくっつけてるみたいなんだもの——やり切れやしないわ。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
刃物
(
はもの
)
もこの町で色々作ります。
金物
(
かなもの
)
で想い浮ぶのは「
塔寺釜
(
とうでらがま
)
」でありますが、もとは河沼郡
八幡
(
やわた
)
村
塔寺
(
とうでら
)
の産であったかと思われます。今はかえって他郷に仕事を奪われました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
よく膨れるとモー饅頭の
形
(
かた
)
ちでなくって
臼
(
うす
)
のような形になります。蛇の目の印をつけた処は双方別に膨れて取りよくなりますから
尖
(
とが
)
った
刃物
(
はもの
)
で中の蓋をちょいと
剥
(
は
)
がすと直ぐ剥がれます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
何から何まで皆手掛りでは無いか第一顔の面長いのも一ツの手掛り左の頬に
痣
(
あざ
)
の有るのも
亦
(
また
)
手掛り
背中
(
せなか
)
の傷も矢張り手掛り先ず傷が有るからには鋭い
刃物
(
はもの
)
で
切
(
きっ
)
たには違い無い
左
(
さ
)
すれば差当り刃物を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
倉地は愛子に
刃物
(
はもの
)
などに注意しろといったりした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「飛んでもねえこんだ、
刃物
(
はもの
)
なんぞを持って」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
刃物
(
はもの
)
をもって……卑劣なやつ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
まづ
石器
(
せつき
)
と
同
(
おな
)
じような
刃物
(
はもの
)
の
類
(
るい
)
をやはり
骨
(
ほね
)
や
角
(
つの
)
で
作
(
つく
)
るのでありますが、もっともこれを
作
(
つく
)
るには
石器
(
せつき
)
を
用
(
もち
)
ひたのでありませう。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
兵法と傲慢とは、どこへ行ってもつき物のように鼻につくが、それ程な自尊心もなくては、
刃物
(
はもの
)
と天狗の上に住んでいられない理由もある。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刃物
(
はもの
)
のような風がぴゅうぴゅうと吹きつける。めりめりと音がしたと思ったら、筏の一部がかんたんにわれて、あっと思うまもなく
荒浪
(
あらなみ
)
にもっていかれてしまった。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
また実際白の
容子
(
ようす
)
は火のように燃えた眼の色と云い、
刃物
(
はもの
)
のようにむき出した
牙
(
きば
)
の列と云い、今にも
噛
(
か
)
みつくかと思うくらい、恐ろしいけんまくを見せているのです。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
イザ施術という時には雛鳥を
俎板
(
まないた
)
のような物へ
載
(
の
)
せて首と両足とを動けないように
縛
(
しば
)
って、
先
(
ま
)
ず胸から
腿
(
もも
)
へかけて
羽毛
(
はね
)
をよく刈ってそれから鋭利な
刃物
(
はもの
)
で腿と胴の間の
外皮
(
かわ
)
を一寸ほど切る。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
今
(
いま
)
まで
申
(
まを
)
しました
石器
(
せつき
)
は、
刃物
(
はもの
)
か、それに
類似
(
るいじ
)
のものでありますが、なほ
他
(
ほか
)
に
刃物以外
(
はものいがい
)
のものもあります。その
中
(
なか
)
でも
面白
(
おもしろ
)
いのは、
石棒
(
せきぼう
)
です。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
先に
刃物
(
はもの
)
の付いている棒をいきなり横に持たれたのですから、立派な敵対行動を示して、相手の心を
勃然
(
ぼつぜん
)
と怒らしめたのもまたやむを得ません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
但
(
ただ
)
し三人の住所は近所ではなくバラバラであった。第三に三人の屍体は同様の
打撲傷
(
だぼくしょう
)
や
擦過傷
(
さっかしょう
)
に
蔽
(
おお
)
われていたが、別にピストルを射ちこんだ跡もなければ、
刃物
(
はもの
)
で
抉
(
えぐ
)
った様子もない。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ムックリと身を起こしたのは案外体の小さい小童で、その影が飛躍すると共に、彼の手にある棒先の
刃物
(
はもの
)
が、水を振るようにキラキラと闇に
閃流
(
せんりゅう
)
する。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わかりました。
頸動脈
(
けいどうみゃく
)
をするどい
刃物
(
はもの
)
で斬られて、出血多量で死んだと思います」
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「今、あの
木立
(
こだち
)
の暗がりで、盗賊に
刃物
(
はもの
)
をつきつけられ、恐ろしい目にあおうとしていたものでございますから、それで思わず不作法な……ど、どうぞ、お助けなされて下さいまし」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後からわかったことであるが、警部の傷はかれの右足のすこし上にある
動脈
(
どうみゃく
)
が、するどい
刃物
(
はもの
)
で、すぱりと
斬
(
き
)
られているのだった。だから鮮血がふんすいのようにとびだしたわけである。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
短い
刃物
(
はもの
)
の
血糊
(
のり
)
を拭いて、ニヤリと意味のない、不気味な笑みをこちらへ向けた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戸倉老人の顔は、するどい
刃物
(
はもの
)
のようにひきしまっている。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
うまい
飴
(
あめ
)
ン
棒
(
ぼう
)
でもしゃぶらしてやろうと思って、ひとが
親切
(
しんせつ
)
にいったものを、コケおどしの
刃物
(
はもの
)
なんぞふりまわして、よせやい、おれだって、はばかりながら、刀ぐらいは
差
(
さ
)
しているんだからな
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“刃物”の解説
刃物(はもの、en: bladed object)とは、刃がついていて物を切断したり切削したりする道具の総称。刃という構造を持ち、何かを切断したり切削するための道具。「切れ物」とも言う。
(出典:Wikipedia)
刃
常用漢字
中学
部首:⼑
3画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“刃物”で始まる語句
刃物三昧
刃物以外