トップ
>
凱旋
>
がいせん
ふりがな文庫
“
凱旋
(
がいせん
)” の例文
退屈の余り
凱旋
(
がいせん
)
の七絶が出来たので、上の桟敷の板裏へ書きつけて見たが、手はだるし、胸は苦しし遂に結句だけ書かずにしまった。
病
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
出陣の始めの日とか
凱旋
(
がいせん
)
のよろこびの日とか、そうでなくても
明日
(
あす
)
は決戦という前の晩とかには、たいていの場合この食べ物が出た。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……甲斐へ
凱旋
(
がいせん
)
して間もなく、東堂舎人助は娘の
初穂
(
はつほ
)
と栃木大助との婚約の披露をした。これは真冬の雷のように人々をおどろかした。
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
採って来たたくさんの標本をもってその巨きな建物の間を自動車で走るとき、わたくしはまるで
凱旋
(
がいせん
)
の将軍のような気がしました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼女は兵の百拝を浴びると、まるで
凱旋
(
がいせん
)
の女王かのような心理に酔い、その
轎
(
かご
)
を大勢に打ちかこまれつつ官邸の門へなだれ入った。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
この旗さえ見たらこの群集の意味も
大概
(
たいがい
)
分るだろうと思って一番近いのを注意して読むと木村六之助君の
凱旋
(
がいせん
)
を祝す
連雀町
(
れんじゃくちょう
)
有志者とあった。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
満州で年を越して私が
凱旋
(
がいせん
)
した時には、安国寺さんはもう九州に帰っていた。小倉に近い山の中の寺で、住職をすることになったのである。
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
征蕃兵が
凱旋
(
がいせん
)
を迎えようとする市内のにぎわいも、半蔵はそれを想像するにとどめて、わびしくこもり暮らしている時である。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
楠正成、名和
長年
(
ながとし
)
以下の
凱旋
(
がいせん
)
諸将を従えられ、『増鏡』に依ると、其の行列は二条富小路の
内裏
(
だいり
)
から、東寺の門まで
絡繹
(
らくえき
)
として続いたとある。
四条畷の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
万歳! 万歳! と、即位の王か
凱旋
(
がいせん
)
将軍の都入りに見るような、熱狂的光景となりました。群衆の叫んだ言葉は、詩編百十八編にあります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
ですから三十九年の一月に
凱旋
(
がいせん
)
になった時の祖母の喜びは非常なものでした。その前日に尋ねましたら、「祖母様がちょっと」といわれます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
家に帰りて十余日、他の同僚は
凱旋
(
がいせん
)
の歓迎のとおもしろく騒ぎて過ごせるに引きかえて、武男はおもしろからぬ日を送れり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして、
兄
(
にい
)
さんが、
凱旋
(
がいせん
)
していらっしゃるまでに
豆
(
まめ
)
をまいたり、
芋
(
いも
)
を
作
(
つく
)
ったりしておいて、
兄
(
にい
)
さんをびっくりさせるんだ。
波荒くとも
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
有名な「
子守唄
(
こもりうた
)
」は三十五歳の時の作。一八七〇年から七一年にわたる
普仏
(
ふふつ
)
戦争の時には愛国の血に燃えて雄大な合唱曲「
凱旋
(
がいせん
)
の歌」を作った。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
ナポレオンはジェーエーブローの条約を締結してオーストリアから
凱旋
(
がいせん
)
すると、彼の
糟糠
(
そうこう
)
の妻ジョセフィヌを離婚した。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
当時の春廼舎朧の声望は
旭日
(
きょくじつ
)
昇天の勢いで、世間の『書生気質』を感歎するやあたかも
凱旋
(
がいせん
)
将軍を迎うる如くであった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
で、そう言ってももちろん死ぬ気はなかった。心の底にははなばなしい
凱旋
(
がいせん
)
を夢みていた。であるのに、今忽然起こったのは死に対する不安である。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それは「どうぞ戦争が
捷
(
か
)
ちますよう、村の出征軍人が、無事に
凱旋
(
がいせん
)
しますよう!」という祈りのためであったそうだ。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
歓送歓迎のどよめきは年中たえまなく、そのすきまを声なき「
凱旋
(
がいせん
)
兵士」の四角な、白い姿もまた潮風とともにこのアーチをくぐってもどってきた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
彼は平素は少しも新聞なんか読まなかったのであるが、王党だったので、「総司令官大公」のバイヨンヌへの
凱旋
(
がいせん
)
の詳細を知りたいと思ったのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
我はかの飾れる精氣より、さきにわれらとともにかしこに止まれる
凱旋
(
がいせん
)
の水氣
片
(
ひら
)
をなして昇るを見たり 七〇—七二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
そこで
頼義
(
よりよし
)
と
義家
(
よしいえ
)
の
二人
(
ふたり
)
は九
年
(
ねん
)
の
苦
(
くる
)
しい
戦
(
いくさ
)
の
後
(
のち
)
、
生
(
い
)
け
捕
(
ど
)
りの
敵
(
てき
)
を
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れて、めでたく
京都
(
きょうと
)
へ
凱旋
(
がいせん
)
いたしました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
百千々の……
凱旋
(
がいせん
)
の歌である……そうしたなつかしいオルガンのしらべが夢のようにわたしに聞えるのである……
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
第三十九
凱旋
(
がいせん
)
飯 と申すのは日清戦争の
後
(
のち
)
に大阪で凱旋兵士を御馳走しためでたいお料理ですが牛肉を細かく刻んで味淋と醤油と水とで煮ておきます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
成層圏まで一気に上昇して、逆流をついて東へ飛行をつづけ、予定のとおりワシントンへ
凱旋
(
がいせん
)
したのであった。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まるで
凱旋
(
がいせん
)
の将軍につき従っているかのように、有頂天の歓喜で互いに抱き合い、涙に濡れた接吻を交し、一徹者のペテロなど、ヨハネを抱きかかえたまま
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この上もない戦上手でありそして戦利品として諸国の黄金がどんどん羅馬へ
搬
(
はこ
)
ばれたのでありますが、当時の文献によりますと帝の
凱旋
(
がいせん
)
時には常に道路一杯に
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
凱旋
(
がいせん
)
将軍の得意さ、つまり、
意気揚々
(
いきようよう
)
としてかえる……とでもいうのだろう。帽子や
外套
(
がいとう
)
の肩に、しっとりと湿った雪が降り積っても、別に苦にはならなかった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
我が明智小五郎が、一同の人々から、如何に
凱旋
(
がいせん
)
将軍の如くもてなされたか、それは記すも
管
(
くだ
)
であろう。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
街
(
がい
)
の
剃頭店
(
ていとうてん
)
主人、
何小二
(
かしょうじ
)
なる者は、日清戦争に出征して、
屡々
(
しばしば
)
勲功を
顕
(
あらわ
)
したる勇士なれど、
凱旋
(
がいせん
)
後とかく素行
修
(
おさま
)
らず、酒と女とに身を
持崩
(
もちくず
)
していたが、去る——
日
(
にち
)
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
情
(
なさ
)
けないことだなあ」とマチアがため息をついた。「このけものさえ音楽が
好
(
す
)
きなら、どんなにもどうどうと、
凱旋
(
がいせん
)
の曲を
奏
(
そう
)
しながらはいって行けるのだけれど」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
これから
八幡
(
やわた
)
という所、
天竺木綿
(
てんじくもめん
)
の大きな国旗二つを往来の上に
交扠
(
こうさ
)
して、その中央に祝
凱旋
(
がいせん
)
と大書した
更紗
(
さらさ
)
の額が
掛
(
かか
)
っている、それをくぐると右側の屑屋の家では
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
どんな障害をも乗りこえて、私たちは
凱旋
(
がいせん
)
将軍のように、勇敢に、かたくかたく結びつきましょう。
オパール色の手紙:――ある女の日記――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
あの
緋縅
(
ひおどし
)
の鎧を着て生家に
凱旋
(
がいせん
)
する様の誘惑にも駆られたが、あの、ぎょろりと丸く視張ってはいるものの凡そどこにも見当のつかぬというような間抜けな風情の眼と
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
予は
凱旋
(
がいせん
)
の将の如く
得々
(
とくとく
)
として伯父より譲られたる銀側の時計をかけ革提を持ち、「皆様御健勝で」と言うまでは勇気ありしが、この
暇乞
(
いとまごい
)
の語を出し終りたる後は胸一杯
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
船長は、やきもちをやきながら、ローマの
凱旋
(
がいせん
)
将軍シーザーのごとくにサンパンに乗り移った。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
日露戦争
凱旋
(
がいせん
)
当時、此
丘上
(
おかのうえ
)
に盛大な師団
招魂祭
(
しょうこんさい
)
があって、芝居、相撲、割れる様な
賑合
(
にぎわい
)
の中に
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
するとお子さまは、ちゃんと
筑紫
(
つくし
)
へお
凱旋
(
がいせん
)
になってからご無事にお生まれになりました。それはかねて神さまのお告げのとおりりっぱな男のお子さまでいらっしゃいました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
軍国の際のごときことに
然
(
しか
)
り、将軍の
凱旋
(
がいせん
)
を見て、おのれも軍人にならんと思い、某代議士が演説に
大喝采
(
だいかっさい
)
を得たるを聞いては、おのれもただちに代議士たらんことを思い
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
……すると、それは歓喜の頂点であり、戦闘の陶酔であり、ローマ大将軍の
凱旋
(
がいせん
)
であった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
やがてそれから月日も
経
(
た
)
って、従兄も無事に戦争から、
芽出度
(
めでたく
)
凱旋
(
がいせん
)
をしたのであった。
感応
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
武勲かがやく昭和遊撃隊は、碧海島を後にして、いよいよ東京湾へ
凱旋
(
がいせん
)
するのである。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
とにかく日本人のつもりで日露戦争に働いた人も尠からざることで、日露の媾和が成立して日本軍が
凱旋
(
がいせん
)
することになりました時のごときは、韓国人は自国の凱旋のごとくに喜んで
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
彼女が三十三に於いて眞に死に得た時は、その三十三の生がどんなに華やかな力づよいものとなるであらう。その時の死は勝利の
凱旋
(
がいせん
)
である。死を定めてすべてを
擲
(
なげう
)
つたのでなかつた。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
「なアに、わけはないよ。今から、君は運転士になればいいのさ。僕は、機関士。いいだろう。奴等の留守の間に、二人で、この巨船を動かして、一路横浜へ
凱旋
(
がいせん
)
するンだ。愉快じゃないか」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
それからアスプといってエジプトの美女皇クレオパトラが敵に降らばその
凱旋
(
がいせん
)
行列に引き歩かさるべきを恥じこの蛇に咬まれて自殺したとある。これはアフリカ諸方に多いハジ蛇なりという。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
一度、それは
日清
(
にっしん
)
戦争
凱旋
(
がいせん
)
の時である。大阪全市が数日間踊り続けた事があった。その時私はそれこそ妙な
縮緬
(
ちりめん
)
の衣裳を着せられた。腰には紅白だんだらの帯がぶら下っていたのを覚えている。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
ある大新聞社の従軍記者になってシナに渡り、月並みな通信文の多い中に、きわだって観察の飛び離れた心力のゆらいだ文章を発表して、天才記者という名を博してめでたく
凱旋
(
がいせん
)
したのであった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして、手を高くあげて
叫
(
さけ
)
んだり、
拍手
(
はくしゅ
)
をしたりして、
歓迎
(
かんげい
)
の意を表した。むろん、みんなの顔は笑いでほころびていた。それはちょうど町の群衆が
凱旋
(
がいせん
)
の軍隊を迎える時のような光景であった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
お
肯入
(
ききい
)
れ無く、思切った
業
(
わざ
)
をなさりゃ、表向きに坐込む、と変った
言種
(
いいぐさ
)
をしたために、奥さんも思案に余って、気を揉んでいなすった処へ、思いの外用事が早く片附いて、英臣さんが
凱旋
(
がいせん
)
でしょう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
凱
漢検準1級
部首:⼏
12画
旋
常用漢字
中学
部首:⽅
11画
“凱旋”で始まる語句
凱旋門
凱旋将軍
凱旋兵
凱旋塔
凱旋式
凱旋後
凱旋的
凱旋祭
凱旋踊
凱旋車