兩親りやうしん)” の例文
新字:両親
兩親りやうしんあに意見いけんなどは、あしかぜほどもみないで、朋輩ほうばい同士どうしには、何事なにごとにも、きにの、おれおれががついて𢌞まはつて、あゝ、ならばな、と口癖くちぐせのやうにふ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このやう取次とりつぎするなとさへおつしやりし無情つれなさ、これほどはぢをとこの、をめをめおやしきられねば、いとまたまはりて歸國きこくすべけれど、たま田舍ゐなかには兩親りやうしんもなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
させるがよきゆゑ箇樣々々かやう/\結納ゆひなふつくり明日遞與わたし變改へんがいなき樣致してと云れて忠兵衞こゝろ主個あるじが前を退まがると其まゝ長三郎が部屋へき先方がこと兩親りやうしんがこと萬事上首尾じやうしゆびなるよしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いえわたくし兩親りやうしんは、身體上しんたいじやう處刑しよけい非常ひじやうきらつてたのです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ところで、一せんたりとも茶代ちやだいいてなんぞ、やす餘裕よゆうかつたわたしですが、……うやつて賣藥ばいやく行商ぎやうしやう歩行あるきます時分じぶんは、兩親りやうしんへせめてもの供養くやうのため、とおもつて
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩親りやうしんおくれし以來いらいびし背丈せたけたれ庇護かげかは、幼稚えうちをりこゝろならひに、つゝしみもなくれまつはりて、鈇石てつせきこゝろうごかせしは、かまへて松野まつのとがならずこゝろのいたらねばなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むか手習てならひかよはせけるに讀書よみかきとも一を聞て十を知り兩親りやうしん言葉ことばそむく事無孝行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ことおやかずだつて、兩親りやうしんなんにもないから、わたしこと從※いとこかずだ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
起しなば過行し兩親りやうしんへ聊さか孝行のはしにもならんかと悦び勇んでくる道すがら惡者わるものに付かれ是非なく野尻宿の旅籠はたごやの下女に彼大金はあづけて歸り其盜賊の難はのがれたれ共又々一ツのうれひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つかはさるべくはつかはしたけれど、七萬石ひちまんごく先祖せんぞ勳功くんこうたひし、皇室くわうひつ藩屏はんべいといふたいし、このことばかりはなしがたきに表立おもてだちてはひめやしきおきがたけれど、れには一人ひとりいもと、ことに兩親りやうしん老後らうごにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あにじやに見着みつかつたうへからは安穩あんのんむらにはられぬ、とおもふと、てら和尚をしやうまで一所いつしよつて、いまにも兩親りやうしんをはじめとして、ドヤ/\押寄おしよせてさうにおもはれ、さすがに小助こすけあわたゞしく
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あに元太郎もとたらう至極しごく實體じつていで、農業のうげふ出精しゆつせいし、兩親りやうしん孝行かうかうつくし、まづしいなかにもよく齊眉かしづき、ひとづきあひは義理堅ぎりがたくて、むらほめものなのであるが、次男じなん小助こすけうまれついたのらくらもの。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)