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兩親
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りやうしん
兩親や
兄の
意見などは、
蘆を
吹く
風ほども
身に
染みないで、
朋輩同士には、
何事にも、
直きに
其の、
己が
己ががついて
𢌞つて、あゝ、
世が
世ならばな、と
口癖のやうに
云ふ。
この
樣の
取次するなとさへ
仰しやりし
無情さ、これ
程の
耻を
見て
我れ
男の
身の、をめをめお
邸に
居られねば、
暇を
賜はりて
歸國すべけれど、
聞き
給へ
我れ
田舍には
兩親もなく
爲るが
能ゆゑ
箇樣々々の
結納造り明日
遞與て
變改なき樣致してと云れて忠兵衞
心を
得つ
主個が前を
退ると其まゝ長三郎が部屋へ
行き先方がこと
兩親がこと萬事
上首尾なるよしを
『
否、
私の
兩親は、
身體上の
處刑は
非常に
嫌つて
居たのです。』
處で、一
錢たりとも
茶代を
置いてなんぞ、
憩む
餘裕の
無かつた
私ですが、……
然うやつて
賣藥の
行商に
歩行きます
時分は、
世に
無い
兩親へせめてもの
供養のため、と
思つて
我れ
兩親に
後れし
以來、
延びし
背丈は
誰の
庇護かは、
幼稚の
折の
心ろならひに、
謹みもなく
馴れまつはりて、
鈇石の
心うごかせしは、
搆へて
松野の
咎ならず
我が
心ろのいたらねばなり
迎へ
手習に
通はせけるに
讀書とも一を聞て十を知り
兩親の
言葉を
背く事無孝行を
子を
見る
事親に
如かずだつて、
其の
兩親も
何にもないから、
私を
見る
事從※に
如かずだ。
起しなば過行し
兩親へ聊さか孝行の
端にもならんかと悦び勇んでくる道すがら
惡者に付かれ是非なく野尻宿の
旅籠やの下女に彼大金は
預けて歸り其盜賊の難は
遁れたれ共又々一ツの
憂ひを
遣はさるべくは
遣はしたけれど、
七萬石の
先祖が
勳功に
對し、
皇室の
藩屏といふ
名に
對し、
此こと
許はなし
難きに
表立ちては
姫も
邸に
置がたけれど、
我れには
一人の
妹、ことに
兩親老後の
子にて
兄じやに
見着かつた
上からは
安穩に
村には
居られぬ、と
思ふと、
寺の
和尚まで
一所に
成つて、
今にも
兩親をはじめとして、ドヤ/\
押寄せて
來さうに
思はれ、さすがに
小助は
慌しく
兄の
元太郎は
至極實體で、
農業に
出精し、
兩親へ
孝行を
盡し、
貧しい
中にもよく
齊眉き、
人づきあひは
義理堅くて、
村の
譽ものなのであるが、
其の
次男の
小助は
生れついたのらくらもの。