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ふりがな文庫
“
全
(
まっと
)” の例文
青年は不思議に命を
全
(
まっと
)
うしたばかりでなく、三十を越えても死なないで、無事に天寿を保った。この渡しは今でも
温
(
うん
)
州の
瑞安
(
ずいあん
)
にある。
中国怪奇小説集:13 輟耕録(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蝦夷のシャグシャインやツキノイ、南の小島では
赤蜂本瓦
(
あかぶさほんがわら
)
や
与那国
(
よなくに
)
の
鬼虎
(
おにとら
)
のごとき、容貌
魁偉
(
かいい
)
なる者は多くは終りを
全
(
まっと
)
うしなかった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
我輩は人生の天然に従て其交情を
全
(
まっと
)
うせんとするものなれば、所謂儒流の故老輩が百千年来形式の習慣に養われて恰も第二の性を成し
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
この際は断然武政を
布
(
し
)
いて国家の独立を
全
(
まっと
)
うするためには外国と一戦するの覚悟を取る、それが国を興すの早道だというのである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それ故にまた人間の
斧鉞
(
ふえつ
)
の疫から免れて自分の性を保ち天命を
全
(
まっと
)
うしているのだという見方をして、この樹を讃嘆するのだった。
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
浄瑠璃
(
じょうるり
)
の言葉に琴三味線の
指南
(
しなん
)
して「
後家
(
ごげ
)
の
操
(
みさお
)
も立つ月日」と。八重かくてその身の
晩節
(
ばんせつ
)
を
全
(
まっと
)
うせんとするの心か。
我不
レ
知
われしらず
。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
我々は国家に対し、ことに主権者に対して大責任がある。その責任を
全
(
まっと
)
うするは、我々の任務である。かく私は信ずるのである。
〔憲政本党〕総理退任の辞
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ただ神を讃美するために、自分の職責を
全
(
まっと
)
うするために、珠玉にも比ぶべきカンタータを、毎週一曲ずつ作り捨てたのである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
十名の制使中、あらましは任務を
全
(
まっと
)
うしているが、なお二、三西湖に戻って、罪を待つ者もあるゆえ、それへ赦免を申しつかわしたまでだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はとにかく粟野さんの前に彼自身の威厳を
全
(
まっと
)
うした。五百部の印税も月給日までの
小遣
(
こづか
)
いに当てるのには十分である。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
真に志士の天職を、
全
(
まっと
)
うする者と、
暫
(
しば
)
し讃嘆の念に打たれしが、儂もまた、この
行
(
こう
)
決死せざれば、到底充分
平常
(
へいぜい
)
希望する処の目的を達する
能
(
あた
)
わず。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そうして私の方を振向いて「チベットがロシア政府と秘密条約を結んだならばこれを
全
(
まっと
)
うすることが出来るかどうか。」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しかし太子の祈念は必ずしも
全
(
まっと
)
うされたとは言えない。外戚の弊が除かれ血族相剋の日が
終焉
(
しゅうえん
)
したわけでもない。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ええっ! 汚辱の中にいながらも、堪え忍んで生きている男もいるのだ。死ぬ人は、わがままだ。わしは、死なぬ。生きて、わしの宿命を
全
(
まっと
)
うするのだ。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人間はいかにしてその終焉を
全
(
まっと
)
うすべきか、人間は必ず泣いて終焉を告げねばならぬものならば、人間は知識のあるだけそれだけ動物におとるわけである。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
女子の保護者たる役目を
全
(
まっと
)
うするには
猛勇
(
もうゆう
)
では
叶
(
かな
)
わぬ。やはり優しきところ、一見女性的のところがなくてはならぬ。血も涙もあってこそ真の男と称すべし。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
一先ず命を
全
(
まっと
)
うして、再挙を計る外はない。残念ながら、彼はヒラリと身を躍らせて、車外へ飛び出した。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
世と
断
(
た
)
つのはもとより楽しかろうが、人の人たるゆえんは楽しみを
全
(
まっと
)
うする所にあるのではない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
後世の歌なら、助詞などが多くて
弛
(
たる
)
むところであろうが、そこを緊張せしめつつ、句と句とのあいだに、間隔を置いたりして、端正で且つ感の深い歌調を
全
(
まっと
)
うしている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
米一粒でさえ用を
全
(
まっと
)
うしないで、捨て去ってしまうのはもったいない。
雀
(
すずめ
)
にやるとか、魚にやるとか、
糊
(
のり
)
をこしらえるとか、工夫するのも料理人の心がくべきことだと思う。
残肴の処理
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
珍客を送るために出て来て、使命を
全
(
まっと
)
うしたことの喜びを以て、いそいそとして帰る。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
食われずに命を
全
(
まっと
)
うしたと見るのは、いささか持って廻った嫌があって、素直に受取りにくいが、畠の菜が食い残されて花が咲くという方は、句に現れた通り感じ得るように思う。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
お町は
漸
(
ようや
)
く
安堵
(
あんど
)
して、其の夜は
神仏
(
しんぶつ
)
へ
願
(
がん
)
掛けて、「
八百万
(
やおよろず
)
の神々よ、
何卒
(
なにとぞ
)
夫文治郎に
逢
(
お
)
うて
敵
(
かたき
)
を討つまで、此の命を
全
(
まっと
)
うせしめ給わるように」と
瞬
(
またゝ
)
きもせず
夜
(
よ
)
の明くるまで祈って居りました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「嘘は一つつくとそれを
全
(
まっと
)
うするために幾つもつかなければならないと言うが、
真正
(
ほんとう
)
だね。君のが
破
(
ば
)
れるといけないから、矢っ張り早稲田の友人の家へ行った帰りに偶然
出会
(
でっくわ
)
したことにして置くぜ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
蒲団
(
ふとん
)
をかぶって女中になりすまし、一命を
全
(
まっと
)
うした。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「先生は、生命を
全
(
まっと
)
うされますか」
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恒景、教えられた如くすれば、果たしてその年、疫病諸村に充ち、家畜鶏犬までもみな
斃
(
たお
)
れ、ひとり恒景の家のみ難なく寿を
全
(
まっと
)
うしたという。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吾党の男女は、独立自尊の主義を以て修身処世の要領と
為
(
な
)
し、之を
服膺
(
ふくよう
)
して、人たるの本分を
全
(
まっと
)
うす
可
(
べ
)
きものなり。
修身要領
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
、
慶應義塾
(著)
死の勝利——つまり世に
謂
(
い
)
う情死によって、二人は恋への生命を永遠に
全
(
まっと
)
うした積りなので御座いましょう。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼に犯罪ある、自然主義あるにあらずや、ビスマーク、ビューローを以てするも現カイゼルを以てするも、到底徳育の効果を
全
(
まっと
)
うするは不可能の事たるや、
明
(
あきら
)
かである。
教育の最大目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しからずして、ただその品位を保ち、その
本生
(
ほんせい
)
を
全
(
まっと
)
うせしめんとするは
譬
(
たと
)
えば車なくして陸を行き、舟なくして水を渡らんとするが如く、永くその目的を達する
能
(
あた
)
わざるなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
とすると、明智は今の大爆発に、万に一つも命を
全
(
まっと
)
うすることは出来なかった筈である。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
八丈
(
はちじょう
)
の島で
種姥
(
たねうば
)
といい、または「
櫓
(
ろ
)
かこみにょこ」とも謂って、大津波の折に櫓を抱いて、たったひとり命を
全
(
まっと
)
うしたと伝えられる女性などは、その時身ごもっていて後に男の子を生んだ故に
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
明治二十五年芳年は多数の門人を残して能くその
終
(
おわり
)
を
全
(
まっと
)
うせしが
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おわりを
全
(
まっと
)
うしなければ、今までのご勉強がお役に立ちません。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
垣
(
かき
)
の梅花を楽しんだり、老後は菊の花でも作って、しごく平凡にまた平和に天寿を
全
(
まっと
)
うしたろうにと思われる。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さて此の首尾を
全
(
まっと
)
うした愛想話が客にどういう効果を与えたか老獪にちょっと
此方
(
こちら
)
を
窃
(
ぬす
)
み視た。
ガルスワーシーの家
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
氏の
為
(
た
)
めに
謀
(
はか
)
れば、たとい今日の文明流に従って
維新後
(
いしんご
)
に
幸
(
さいわい
)
に身を
全
(
まっと
)
うすることを得たるも、
自
(
みず
)
から
省
(
かえり
)
みて
我
(
わが
)
立国
(
りっこく
)
の
為
(
た
)
めに
至大至重
(
しだいしちょう
)
なる上流士人の
気風
(
きふう
)
を
害
(
がい
)
したるの罪を引き
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そして警察のランチが近づかぬ内に、舟の中で助手の園田を絞め殺し、例の仮面をかぶせておいて、いきなりガソリンを爆発させ、君自身は素早く海の中へ飛び込んで、命を
全
(
まっと
)
うしたのだ。……
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いや先生、ご胸中はお察しいたしますが、いかに世が末になっても、罪なき者が罰せられて、悪人や奸吏がほしいままに、
栄耀
(
えいよう
)
を
全
(
まっと
)
うすることはありません。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蓋
(
けだ
)
し人として理財商売の考あらざれば、
到底
(
とうてい
)
その品行を
全
(
まっと
)
うすること能わざるものなり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
戦後、山野にお隠れになって、天寿を
全
(
まっと
)
うされ、その家柄は、累代つづいてきた。神社もある。御遺蹟の数々もある。随臣たちの家々もいまもって残っている。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東洋和漢の旧筆法に従えば、氏のごときは
到底
(
とうてい
)
終
(
おわり
)
を
全
(
まっと
)
うすべき人にあらず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
全
(
まっと
)
うしないほど大なる罪はない。その兵の無駄は
幾何
(
いくばく
)
か。幾万の霊に何と謝すべきか。——ましてこの蛮界に王風を布くに、
一隅
(
いちぐう
)
の闇をも余して引揚げてはすべてを無意味にする
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
能
(
よ
)
く吾々長老の遺志を継ぐべしと信ずれども、全体の気品を維持して固有の面目を
全
(
まっと
)
うせしむるの一事は、特に吾々先輩の責任にして、死に至るまで之を勤るも
尚
(
な
)
お足らざるを恐るゝ所のものなり。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
功名を
全
(
まっと
)
うせんとするときは富貴を
棄
(
す
)
てざるべからざるの場合あり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
木曾の
野洲川
(
やすがわ
)
に大きな勢力を持っているばかりでなく、また兵法の達人であるばかりでなく、
乱波
(
らっぱ
)
(
忍者
(
しのび
)
)の上手で、この男が殺そうと
狙
(
つ
)
けねらった人間で天寿を
全
(
まっと
)
うしている者はかつてなかった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おまえの祖父は、二君に仕えぬ節操をもって、この野小屋にかくれ、おまえの父は、その人の晩節を
全
(
まっと
)
うさせるために、百姓に甘んじて、若い時代を、孝養に送り、そして、おまえを残して死んだ。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あるいは江戸市西北の未開の
曠野
(
こうや
)
にかくれて天寿を
全
(
まっと
)
うせしか?
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勝すなわち
全
(
まっと
)
うすべし
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
全
常用漢字
小3
部首:⼊
6画
“全”を含む語句
全然
全体
完全
健全
全快
全身
全速力
全部
全體
全濡
大英百科全書
安全
全力
全裸
全治
安全弁
全々
全貌
全豹
全焼
...