“今生:こんじょう” の例文
“今生:こんじょう”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治18
夢野久作4
芥川竜之介3
直木三十五2
国枝史郎2
“今生:こんじょう”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 東洋思想 > 日本思想1.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.1%
文学 > 日本文学 > 戯曲1.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
今生こんじょうの思いをとげた気がしたよ。妻子の顔を見るなどは、ここでは、ぜいたくなことだった。皆には何かすまないのう」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さいなあ。今生こんじょうの思い出に今一度、見たいと思うてはおりまするが、今の体裁ていたらくでは思いも寄りませぬ事で……」
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今の一歩一歩が、死の府へ向っているのか、なお、今生こんじょうの長い道へ歩んでいるものか——そんなことすら思ってもみなかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、高氏には、昨夜からの思案の末であった。——ゆうべ俊基との今生こんじょう一ぺんの機縁に、二つの遺言ゆいごんを託されている。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわば「両雄の胸にかくされた私のじょう」は——今生こんじょう相容あいいれぬ敵——と尊氏を呼んでいた正成の方にもあった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし今生こんじょうこれきりと知る生別を本心でもない偽りの怒面どめんで子を追いやるには忍びなかった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今生こんじょうのわかれとは異なことをいう。それでは重ねて予の意にそむくというものではないか」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今生こんじょうのお別れもはや間もないことなれば、ひと言、殿のお耳へ達しておいたほうがよかろうと医師、御家士方の仰せのままに、急いで、これまで
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御足労、痛み入りますが、今生こんじょうのごあいさつをね、ちと申しあげたい儀もございますので、お矢倉の上までお運び願いとう存ずる
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのすべてが、秀吉を戸主と仰ぎ、秀吉を柱とたのみ、朝に蔭膳かげぜんそなえ、夕に武運を祈り、今生こんじょうの箇々小さなる命をまとめて、
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(おそらく、職にある日のうちにと、今生こんじょうの別れを、それとなく告げに来るものであろう)
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「愚かなことを。来世を願うよりも今生こんじょうに楽しもう。貂蝉、今にきっと、そなたの心に添うようにするから、死ぬなどと、短気なことは考えぬがいい」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「中途で弾き止めた清元の『山姥やまうば』、今生こんじょうの思い出にえとうござる」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(——ひょっとしたら、今生こんじょうの別れとなるかもしれない。むりもない。いじらしい)
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或いは今生こんじょうこの世で逢えないのかも知れません……といってわたしは、それを悲しみは致しませんよ、今生に逢えなければ後生ごしょうで逢いましょう、ね
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
正季もまた、腹巻を解いて、手に短刀を抜く。そして兄の顔を横に見た。今生こんじょうの別辞から今日までの思い出が、微かに笑うかとも見えるその顔の中にあった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よく来たな。有王! おれはもう今生こんじょうでは、お前にも会えぬと思っていた。」
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これが今生こんじょうの見納め、断絶の思いくるしく、泣き泣き巡礼、秋風と共に旅立ち、いずれは旅の土に埋められるおのが果なきさだめ、手にとるように、ありありと
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
と、左へ云って、暗に、今生こんじょうの別れを、多年召し使って来た老人どもへ云った。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たった今、会うて参りました。今生こんじょうの拝顔も成り難けれど、輝元様以下、元春様にも、隆景様にも、くれぐれよしなにとのお言伝ことづてにござりました」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、それが今生こんじょうの別れであろうとはペインは夢にも思わなかったのである。
斬り捨てに。突き捨てに。——次へ次へ今生こんじょうの限り敵にまみえよ。ゆめ、殊勲てがらを人に見せんと思うな。見よがしの殊勲てがらは、すでに殊勲にてはなきぞ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しっかりと——抱いておもらい。これが——これが、今生こんじょうでの——」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
今から思いますとこの時こそ夫の姿の今生こんじょうの見納めでございました。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
(一目、主君の最期に、今生こんじょうの名残りを得させたまわれ——)
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有王 今生こんじょうでふたたびお目にかかれるとは。あゝありがたい。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
そうして「今生こんじょうの命は一切衆生しゅじょうに施す」という。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
道元は答えた、「利他の行も自利の行も、ただ劣なる方を捨てて勝なる方を取るならば、大士の善行になるであろう。今生こんじょうの暫時の妄愛は道のためには捨ててよい」(随聞記五)。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
今から思いますとその時が今生こんじょうのお別れで御座いました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そこで云う、今生こんじょう唯一の希望のぞみを申せ! ……左門
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
『意外なことを仰しゃいます。母上や弟とも、すでに、今生こんじょうの別れをして参ったのではございませぬか。父上の死を見すてて、何でここから引っ返せましょう。拙者は、帰りません』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、やがて話が終ると、甚太夫はもうあえぎながら、「身ども今生こんじょうの思い出には、兵衛の容態ようだいうけたまわりとうござる。兵衛はまだ存命でござるか。」と云った。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この手に——もう一度、今生こんじょうの思出に、もう一度。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蘭丸は何ということもなく、信長のその横顔をじっといつまでも仰ぎ見ていた。信忠もうしろに来てたたずんでいたが、その人のあるも忘れて眺めていた。あたかも今生こんじょうの名残のように。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今生こんじょうにて今一度竜顔を拝し奉らんために参内仕りて候ふと申しもあへず、涙を鎧の袖にかけて、義心其の気色に顕れければ、伝奏いまだ奏せざる先にまづ直衣ひたたれの袖をぞぬらされける。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
二伸、今生こんじょうの拝顔も怖らくは今日を限りと覚え候、お情けには、武士を捨てたる野良犬の後をお尋ね下さるまじく、さらばご息災を蔭に祈りて、無恥の酔言を書き捨てて茶屋よりこのまま消え去り申すべく候
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月こそ変れ、先君内匠頭の命日である上に、今生こんじょうの名残りというので、大石内蔵助を始め十余名の同志は、かねての牒合しめしあわせに従って、その日早く高輪泉岳寺にある先君の墓碣ぼけつに参拝した。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
昨夜は、ご芳志ほうしの馳走に、妻子、兄弟、老臣、それらの女房子どもまでを一殿にならべ、皆楽しく、今生こんじょうの思い出など語らいあい、明日あすの別れをも告げおうて、心ゆくまで名残りを惜しみました。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
象を留むるにたちまち地に没せり、門外に踊り出で、彼を乗せて還った、彼害を怖れ仏に詣り出家すると、象また随い行き、諸僧騒動す、仏象護に教え象に向い、我今生こんじょうぶん尽きたれば汝を用いずと言わしむると
今生こんじょうのお別れに——」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はや乱軍とみえまする。かかるうちにはからずも、おすがたを拝し得たのは、尽きせぬ今生こんじょうの御縁。多年、御厚恩をこうむりましたが、入道も今日は、長のおわかれを告ぐる日と存じます。御武運、お久しくおわせ」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吾輩不幸にしてシナリオだの支那料理だのいうものを製造した事がないから様子がよくわからないが、まだ夜が明ける迄には、だいぶ時間が余っているから、今生こんじょうのふざけついでにそのシナリオなるものを一つやっつけてみよう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「けれど。……けれどね、城太さん。わたしはいつぞや瓜生山で、武蔵様とお目にかかった時、これが今生こんじょうの最後だと思って、ありッたけな心のうちを話してしまいました。武蔵様も、生きては再び会わないと仰っしゃいました」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なお、それにもまして、良人が自分たち妻子へ姿をみせに来たことの裏には何か「……今生こんじょうのこともこれきりだぞ」としているものがありそうな気がして、こわいそぞろな予感に、わけもなく胸をしめつけられもするのであった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある金持かねもちは、たくさんのおかねうまんでひとらぬに、みなみくにして、今生こんじょうおもあさはや旅立たびだちをしたのでありました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その当日も、今生こんじょうの見おさめによそながら暇乞いを、と云うような心にはとてもなれなかったので、娘も乳母も小さくなって、家の中にちゞこまっていたが、後から聞けば、一番の車には父、二番の車には安国寺、三番の車には小西摂津守の順序で
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
身に徳があれば刀刃とうじんも段々に折れることでございましょう、徳がなければ刃を待たずしても亡ぶるものでございます。前世の果報が尽きた時に、今生こんじょうの終りが来るのでございますから、死ぬも生きるもおのれのごう一つでございます。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこで尽きたからそれで死ぬのです……今生こんじょうの善根が、他生たしょうの福徳となって現われぬということはなく、前世の禍根が、今生の業縁ごうえんとなってむくわれぬというためしはございませぬ……十善の戒行かいぎょうしゅした報いが
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「妻のとがは私の科、今生こんじょうにて、一度はお詫び申さねばと、都から見え隠れにおあとを慕い、やっと、こよい本意を遂げたような次第。何とぞ……この上はただ、ゆるすとの、御一言を……。それさえ伺えば、いつ死んでも惜しからぬ頼春の身にござりますれば」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとい今生こんじょうでは、いかなる栄華えいがを極めようとも、天上皇帝の御教みおしえもとるものは、一旦命終めいしゅうの時に及んで、たちまち阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄にち、不断の業火ごうかに皮肉を焼かれて、尽未来じんみらいまで吠え居ろうぞ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
人を討つに、己のみが助かろうとは思わぬから、或いは、これが今生こんじょうの別れかも知れぬ。父に別れ、母に別れ、小太に別れ——今又、わしと別れて心細いであろうが、かかる運命になった上は是非もない——ただ——如何なる苦しみ、悲しみが押寄せようとも、必ず、勇気を失うなよ。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
是らは只今生こんじょうの事のみをおもんぱかり、旦暮あけくれ妻子眷属さいしけんぞく衣食財宝にのみ心を尽して自ら病を求める、人には病は無いものじゃ、思う念慮ねんりょが重なるによって胸に詰って来ると毛孔けあなひらいて風邪を引くような事になる、人間元来もと病なく
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「……コレ……祖父の命令いいつけじゃ。立たぬか。伯父様や伯母様方に御暇おいとま乞いをせぬか。今生こんじょうのお別れをせぬか。万一このもつれによって、黒田と島津の手切れにも相成れば弓矢の間にお眼にかかるかも知れぬと、今のうちに御挨拶をしておかぬか、ハッハッハッ。立て立て……。サッ……立ていッ……」
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
もはや最後も遠からず覚えそうろうまま一筆ひとふで残しあげ参らせ候 今生こんじょうにては御目おんめもじのふしもなきことと存じおり候ところ天の御憐おんあわれみにて先日は不慮のおん目もじ申しあげうれしくうれしくしかし汽車の内のこととて何も心に任せ申さず誠に誠におん残り多く存じ上げ参らせ候
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「お帰りの時のお顔色、お出ましの時のお顔色、そればかりを見ておりまして、御留守の間には、旅仕度を、只今もこれにて、腹巻を縫うておりましたが、未練ながら、これが、今生こんじょうでの、お別れになるかと思いますと、生きているのも果敢はかなく覚えますが、然し、武士の妻として、いつでも、御出立出来るように、用意は——」
寛永武道鑑 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
母が身ももはやながくはあるまじく今日きょう明日あすを定め難き命に候えば今申すことをば今生こんじょう遺言いごんとも心得て深く心にきざみ置かれたく候そなたが父は順逆の道を誤りたまいて前原が一味に加わり候ものから今だにわれらさえ肩身の狭き心地ここちいたし候このたびこそそなたは父にも兄にもかわりて大君おおぎみ御為おんため国の為勇ましく戦い
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)