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一喝
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いっかつ
ふりがな文庫
“
一喝
(
いっかつ
)” の例文
一喝
(
いっかつ
)
して首筋を
掴
(
つか
)
みたる様子にて、
場
(
じょう
)
の内外
一方
(
ひとかた
)
ならず
騒擾
(
そうじょう
)
し、表門警護の看守巡査は、いずれも
抜剣
(
ばっけん
)
にて非常を
戒
(
いまし
)
めしほどなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
平次が
一喝
(
いっかつ
)
するのと、八五郎が跳びつくのと一緒でした。首筋を
掴
(
つか
)
んで物蔭からズルズルと引出したのは、留守番に来ていた伝助。
銭形平次捕物控:102 金蔵の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は足音あらく赤犬のそばにつめより、「こら。」と
一喝
(
いっかつ
)
をくらわした。ふしぎなことに、私の口からは「ワン。」という声がもれた。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
その
一喝
(
いっかつ
)
こそ、塙
隼人
(
はやと
)
の壮年時代から、鍛えぬかれたところである。「悪の仲間」をして戦慄せしめた、威力と正義の宣言である。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余りの軽薄さに腹を立てて
一喝
(
いっかつ
)
を喰わせることもあるが、大体において、後世
畏
(
おそ
)
るべしという感じを子路はこの青年に対して抱いている。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
富岡老人
釣竿
(
つりざお
)
を
投出
(
なげだ
)
してぬッくと
起上
(
たちあ
)
がった。
屹度
(
きっと
)
三人の方を
白眼
(
にらん
)
で「大馬鹿者!」と大声に
一喝
(
いっかつ
)
した。この
物凄
(
ものすご
)
い声が
川面
(
かわづら
)
に鳴り響いた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
見向きもせずにぬッと立ちはだかって、ぬけぬけと語るそういう連中に向い、最後の威たけだかな
一喝
(
いっかつ
)
をくらわせねばならぬ必要を感じた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
今、おれをその下請のルンペンに見立てやがったのだ、ということを米友が覚ったから
一喝
(
いっかつ
)
しました。米友から一喝されても、その野郎はなおひるまず
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
父の
一喝
(
いっかつ
)
に
逢
(
あ
)
って、
這々
(
ほうほう
)
の
体
(
てい
)
で、逃げ帰った杉野
子爵
(
ししゃく
)
は、ほんの
傀儡
(
かいらい
)
で、その背後に
怖
(
おそ
)
ろしい悪魔の手が、動いていることを感ぜずにはいられなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
おれの
一喝
(
いっかつ
)
で夢からさめたとき、自身でもまたやったかとおっかながって、おぞ毛をふるっていたじゃねえか
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
署長は「では何もかも言うのですぞ」と
一喝
(
いっかつ
)
して置いて、まず工場主から夫人失踪前後の模様を聴取した。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
其処
(
そこ
)
だ!」と海野は
一喝
(
いっかつ
)
して、はたと
卓子
(
ていぶる
)
を
一打
(
ひとうち
)
せり。かかりし
間
(
あいだ
)
他の軍夫は、しばしば同情の意を表して、
舌者
(
ぜっしゃ
)
の声を打消すばかり、
熱罵
(
ねつば
)
を極めて
威嚇
(
いかく
)
しつ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「駄目です」と私は気が立っていたから言下に
一喝
(
いっかつ
)
した。「もうこの
諍
(
あらそ
)
いはあなた方の諍いではありません。私とあの会社との諍いです。私は重大な侮辱を受けた。 ...
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「役目を捨ててなにごとだ、見苦しいぞ」惣兵衛の
一喝
(
いっかつ
)
は決定的だった、「この場の
詮議
(
せんぎ
)
は追てする、みな持場へかえれ、みだりに騒ぎたてると、
屹度
(
きっと
)
申しつけるぞ」
薯粥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「そんな古いものが役に立つものか」と何にも知らない主人は
一喝
(
いっかつ
)
にして迷亭君を
極
(
き
)
めつけた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
一喝
(
いっかつ
)
すると「それでもデッキの方で誰か一人でもいいんですから」と泣きそうな顔をする。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、一応は、身体に触るといけないからといって、いさめたのですけれど、廣介の
一喝
(
いっかつ
)
にあって、たちまち
一
(
ひと
)
すくみになり、
唯々
(
いい
)
として主命に服する外はありませんでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
太郎は、
草履
(
ぞうり
)
を脱ぐ
間
(
ま
)
ももどかしそうに、あわただしく
部屋
(
へや
)
の中へおどりこむと、とっさに老人の右の手をつかんで、苦もなく
瓶子
(
へいし
)
をもぎはなしながら、怒気を帯びて、
一喝
(
いっかつ
)
した。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
喜楽の女将の
一喝
(
いっかつ
)
にあえば、多くの芸妓は縮みあがってしまう勢いがあった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そんなにあわてて騒ぐに及ばないと
一喝
(
いっかつ
)
した。そうしてその一喝した自分の声にさえ、実際は恐怖心が揺いだのであった。雨はますます降る。一時間に四分五分ぐらいずつ水は高まって来る。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
話下手
(
はなしべた
)
ということはどうにもしようがない。花袋はそれをどうとったのか、「死が因襲であろうはずはない」と例の性急な口つきで声を励ました。鶴見はこの和尚の
一喝
(
いっかつ
)
を喫してたじろいだ。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
最前からの
山冷
(
やまびえ
)
にて手足も凍え、其の儘に
打倒
(
うちたお
)
れましたが、女の一心、がばと起上り、
一喝
(
いっかつ
)
叫んでドンと入れました
手練
(
しゅれん
)
の
柔術
(
やわら
)
、一人の舁夫はウームと
一声
(
ひとこえ
)
、倒れる
機
(
はずみ
)
に其の場を逃出しました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と老師は
一喝
(
いっかつ
)
しひょいと指を一本出し、太郎の眼前へぴたりと据えた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ひとりでやれ!」と奥から
一喝
(
いっかつ
)
。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
天城四郎はといえば、本堂にあって、
経櫃
(
きょうびつ
)
の上に
傲然
(
ごうぜん
)
と腰をおろし、彼の姿を見ると突っ立って、頭から
一喝
(
いっかつ
)
をくらわした。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
一喝
(
いっかつ
)
しました。ここでこの野郎と言った意味はなんだかよくわかりませんが、今まで気のつかなかった疑問が、一時に解け出したような狼狽の仕方で、米友が
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
酷
(
むご
)
くも
袂
(
たもと
)
を振払いて、再び
自家
(
おのれ
)
の苦悩に
悶
(
もだ
)
えつ。
盲人
(
めしい
)
はこの
一喝
(
いっかつ
)
に
挫
(
ひし
)
がれて、
頸
(
くび
)
を
竦
(
すく
)
め、肩を
窄
(
すぼ
)
めて
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けしきばみながらどやどやと木刀小
太刀
(
だち
)
ひっさげて駆け迫ってきた門人どもに
莞爾
(
かんじ
)
とした
笑
(
え
)
みを送ると、
叱咜
(
しった
)
したその
一喝
(
いっかつ
)
のすばらしさ! すうと胸のすくくらいです。
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
然しこの広告が富岡先生のこの世に放った最後の
一喝
(
いっかつ
)
で不平満腹の先生がせめてもの
遣悶
(
こころやり
)
を
知人
(
ちじん
)
に
由
(
よ
)
って
洩
(
も
)
らされたのである。心ある同国人の二三はこれを見て泣いた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私も祖父から
一喝
(
いっかつ
)
をくらって縮みあがった覚えがある。小学校の三年生のとき、貯蓄奨励の意味でポストの恰好をした貯金箱を実費で購入して生徒に
頒
(
わ
)
けてくれるという
企
(
くわだて
)
があった。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「どうしたかッ」大江山警部は、ギョッとふりかえって、
一喝
(
いっかつ
)
した。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
坊ばは相変らず「ばぶ」と
一喝
(
いっかつ
)
して直ちに姉を
辟易
(
へきえき
)
させる。しかし中途で口を出されたものだから、続きを忘れてしまって、あとが出て来ない。「坊ばちゃん、それぎりなの?」と雪江さんが聞く。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小男は偽探偵の
一喝
(
いっかつ
)
に遭って、一縮みに黙り込んでしまった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母親はそう言って亭主を
一瞥
(
いちべつ
)
し、富次に向っては
一喝
(
いっかつ
)
した。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
休之助の
一喝
(
いっかつ
)
は痛烈であった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
木原伝之助は
一喝
(
いっかつ
)
しました。
銭形平次捕物控:131 駕籠の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
躍りかかって、
有無
(
うむ
)
をいわせず縄を打とうとした判官末貞の部下も、振向いた僧の
一喝
(
いっかつ
)
と、その眼光にはっと足をすくめて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
取舵
(
とりかじ
)
!」と
雷
(
らい
)
のごとき声はさらに
一喝
(
いっかつ
)
せり。半死の
船子
(
ふなこ
)
は
最早
(
もはや
)
神明
(
しんめい
)
の
威令
(
いれい
)
をも
奉
(
ほう
)
ずる
能
(
あた
)
わざりき。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主膳が、怒鳴りつけるように
一喝
(
いっかつ
)
したその調子が変ですから、鐚があわてて、逃げ腰になりました。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
といわぬばかりにぎょうてんしたのを、つづいてまたピタリと胸のすく
一喝
(
いっかつ
)
——
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
『黙れ! 生意気な』と老人は底光りのする目を怒らして
一喝
(
いっかつ
)
した。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
巡査部長の
一喝
(
いっかつ
)
で、若い警官たちはグッと唇を
噤
(
つぐ
)
んだ。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
老練だな、と不死人は見たので、ついに暴言を承知で「……おいッ、何とかいえ」と、
一喝
(
いっかつ
)
を放ってみたのである。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
米友に
一喝
(
いっかつ
)
された女中たちは、
怖気
(
おぞげ
)
をふるって雨戸を締めきってしまいました。それがために米友も、張合いが抜けて喧嘩にもならずにしまったのは幸いでありました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
変化
(
へんげ
)
出でよ、
一喝
(
いっかつ
)
で、という宵の内の意気組で居たんです。ちっとお差合いですね
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
のぼせ返って聞きもしないことをまくしたてたものでしたから、鋭い
一喝
(
いっかつ
)
。
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
モレロの
一喝
(
いっかつ
)
で、ラルサンは首をちぢめた。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
信長が、
一喝
(
いっかつ
)
した時、日吉のうしろから追いすがった士の一人が、
襟
(
えり
)
がみを
把
(
と
)
って、彼の体を、大地へ
抛
(
ほう
)
りつけた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一喝
(
いっかつ
)
して追い飛ばしてくれようと身構えた時に、それは茂公ではないことが直ちにわかりました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
姦婦
(
かんぷ
)
」と
一喝
(
いっかつ
)
、
雷
(
らい
)
の如く
鬱
(
うつ
)
し
怒
(
いか
)
れる声して、
外
(
と
)
の
方
(
かた
)
に呼ばはるものあり。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“一喝”の意味
《名詞》
禅宗で悟りを得させるための叱咤。
大声で咜ること。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
喝
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥