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つらあて
ふりがな文庫
“
面当
(
つらあて
)” の例文
旧字:
面當
そんなら、僕への
面当
(
つらあて
)
に死んだんやないか。そんな水臭いことてあるかい……。商売上のことは、そらお前にはいちいち云へへん。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
もう一度石に
喰
(
くい
)
ついても
恢復
(
なお
)
って、
生樹
(
なまき
)
を裂いた己へ
面当
(
つらあて
)
に、早瀬と手を引いて
復讐
(
しかえし
)
をして見せる元気は出せんか、意地は無いか。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その様子がどう見ても何か訳がありさうに思はれたので、女は前後の考なく、男への
面当
(
つらあて
)
にふいと外へ出てしまつたのだといふ話でした。
畦道
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それから皆が相談して「トルストイ」に何か進物をしようなんかんて「トルストイ」連は
焼気
(
やっき
)
になって政府に
面当
(
つらあて
)
をしているという通信だ。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と散々にあやまったのでヤット源次だけは盃を引いたが、他の者は、その源次へ
面当
(
つらあて
)
か何ぞのように、無理やりにお作を押し
除
(
の
)
けてしまった。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
近く新劇「鶏頭」を巴里への
面当
(
つらあて
)
に羅馬、ミラノ、ゼノア、フィイレンチェの四箇所で同時に上場しようとして居たのに
台風
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
こんな時、彼は車掌の依頼に応じない乗客達に、
面当
(
つらあて
)
として自分
丈
(
だけ
)
は、グン/\中央部へ突進するのが、好きであつた。
我鬼
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ですから、昨夜ルキーンとの結婚を拒んだのも、私には父に対する
面当
(
つらあて
)
としか思われません。実は昨夜こうなんです。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
叔父は武家奉公は面倒だから
町家
(
ちょうか
)
へ
往
(
ゆ
)
けと申しまして
彼方此方
(
あちらこちら
)
奉公にやりますから、私も
面当
(
つらあて
)
に駈出してやりました
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然し隠居をしても、濶達な重豪は、自分に
面当
(
つらあて
)
のようなこの政策に、激怒した。そして直ちに、秩父を切腹させ、斉宣を隠居させ、斉興を当主に立てた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
あまり日数が経つので、私はとうとう気を腐らして、頑固な編輯整理に対する
面当
(
つらあて
)
から、芥川氏の同意を得て、その原稿を未掲載のまま撤回することにした。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
死んでいる、死んでいる。
防寨
(
ぼうさい
)
で生命を投げ出したのだ、このわしを恨んで。わしへの
面当
(
つらあて
)
にそんなことを
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
番地の附いている名刺に「十一時三十分」という鉛筆書きがある。金井君は自分の下等な物に関係しないのを臆病のように云う同国人に、
面当
(
つらあて
)
をしようという気になる。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
帰って来たおゆうが、一つは
姑
(
しゅうとめ
)
や父親への
面当
(
つらあて
)
に、一つは房吉に
拗
(
す
)
ねるために、いきなり
剃刀
(
かみそり
)
で髪を切って、庭の井戸へ身を投げようとしたのは、その晩の夜中過であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一つには、腑甲斐ない俺を励ますつもりもあったろうし、俺に対する
面当
(
つらあて
)
もあったろうが、その狂言に自分から引っかかっていった。もう立派な病気で、時々その発作を起した。
神棚
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私の母は
口惜
(
くや
)
しさに
慄
(
ふる
)
えながら、やけ気味に、
面当
(
つらあて
)
に、私をその場で無茶苦茶にひっぱたいた。私は痛さにヒイヒイ云って泣いた。しかし、源公のおふくろは、
止
(
と
)
めもしなかった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「アアア、それだから、アアア、ほんとうにお前さんは頼りにならないといふの。何も
面当
(
つらあて
)
がましく出る出るつて言ふ必要もないだらうに。行先もない宿無しが、何で簡単に出られるものか」
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ドーッとすぐあとで楽屋から笑い声がぶつけられてきた、
面当
(
つらあて
)
がましく。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
私も腹を立てていたので、私の目の前で妻が薬を出したのを見て、私への
面当
(
つらあて
)
にそんな真似をやるのか、勝手にしろと思っていました。処が狂言ではなく、妻はそれを一と息に呑んでしまったんです。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
是れも
聊
(
いささか
)
か
面当
(
つらあて
)
だと互に
笑
(
わらっ
)
て、朋友と
内々
(
ないない
)
の打合せは出来た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
面当
(
つらあて
)
に、死んでやるんです」と、おそろしい力でもがいた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少しは米吉への
面当
(
つらあて
)
でしょう。
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう、お
前
(
めえ
)
たちにゃ限らねえ。世間にゃそうした
情無
(
なさけね
)
え了簡な奴ばかりだから、そんな奴等へ
面当
(
つらあて
)
に、河野の
一家
(
いっけ
)
を
鎗玉
(
やりだま
)
に挙げたんだ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その態度がお重には見せびらかしの
面当
(
つらあて
)
のように聞えた。早く嫁に行く先をきめて、こんなものでも縫う覚悟でもしろという
謎
(
なぞ
)
にも取れた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神様にしても、こんな事位で三度々々さうお礼を言はれては、何だか
面当
(
つらあて
)
がましく聞えない事もなからう。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
又は周囲に対するテレ隠しや、相手に対する
面当
(
つらあて
)
などの意味も含まれていない事は無いと考えられます。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「各々方、今夜はお別れでござる。我々に無礼を働く鳥取藩士への
面当
(
つらあて
)
に、明日は潔い最期を心掛けようではござらぬか。各々方が、平生の覚悟を拝見しとうござる」
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
是れでお瀧は茂之助へ
面当
(
つらあて
)
ヶ
間
(
ま
)
しく、わざとつい一里と隔たぬ
猿田村
(
やえんだむら
)
の
取附
(
とりつ
)
きに
山王
(
さんのう
)
さまの森が有ります、其の鎮守の
正面
(
むこう
)
に空家が有りましたからこれを借り、
葮簀張
(
よしずばり
)
の
掛茶店
(
かけぢゃや
)
を出し
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
虎
(
とら
)
のように女に夢中になれば、少なくとも
獅子
(
しし
)
のように戦えるんだ。それは女から
翻弄
(
ほんろう
)
された一種の
復讐
(
ふくしゅう
)
だ。ローランはアンゼリックへの
面当
(
つらあて
)
に戦死をした。われわれの勇武は皆女から来る。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
すると爺さんは逃げ
後
(
おく
)
れたまま立っている人たちへ
面当
(
つらあて
)
がましく
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
見くびって、
面当
(
つらあて
)
の
匿
(
かくま
)
い
立
(
だ
)
てを致すと見える
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我
(
が
)
は愛を
八
(
や
)
つ
裂
(
ざき
)
にする。
面当
(
つらあて
)
はいくらもある。貧乏は恋を
乾干
(
ひぼし
)
にする。
富貴
(
ふうき
)
は恋を
贅沢
(
ぜいたく
)
にする。功名は恋を犠牲にする。我は未練な恋を踏みつける。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生意気に道学者に難癖なんぞ着けやあがって、
汝
(
てめえ
)
の
面当
(
つらあて
)
にも、娘は河野英吉にたたッ呉れるからそう思え。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ささ。それが
左様
(
さよう
)
手軽には参らぬ。与九郎奴の追放は薩藩への
面当
(
つらあて
)
にも相成るでな」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「そんだら、はあ、丁度
俺
(
おら
)
が娘聟の持地とおつつかつつだと見えるだね。」
農夫
(
ひやくしやう
)
は面と向ふ折には、こつぴどく
面当
(
つらあて
)
を言はないでは置かない同じ口で、自慢さうに娘聟の噂を始めた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼様な奴だから三十両か四十両の
端金
(
はしたがね
)
で手を切って、お前を
家
(
うち
)
へ連れて行って、身体さえ丈夫になれば立派な処へ縁附ける、
左
(
さ
)
も無ければ
別家
(
べっけ
)
をしても
宜
(
い
)
い、
彼奴
(
あいつ
)
に
面当
(
つらあて
)
だからな、えゝ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
歇私的里性
(
ヒステリーしょう
)
の細君に対して、どう反応するかを、よく観察してやる代りに、単なる
面当
(
つらあて
)
のために、こうした不自然の態度を彼女が彼に示すものと解釈して
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何じゃ——(
八百半
(
やおはん
)
の料理はまずいまずい、)はあ、
可厭
(
いや
)
な事を云う、……まるで
私
(
わし
)
に
面当
(
つらあて
)
じゃ。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
チャイナ号の向い合わせに
繋留
(
かか
)
っていたアラスカ丸の船長……
貴下
(
あなた
)
が
発見
(
みつけ
)
て拾い上げた……チャイナ号へ
面当
(
つらあて
)
みたいに小僧の頭を
撫
(
な
)
でて、慰め慰め拾い上げて行った……という話なんです。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あなたは私が家にいるのを面白く思っておいででなかったでしょう。だから私が家を出ると云うのに、
面当
(
つらあて
)
のためだとか、何とか悪く考えるのがいけないです。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それに、
貴下
(
あなた
)
が
打棄
(
うっちゃ
)
っておいでなすったと聞きました、その
金剛杖
(
こんごうづえ
)
まで、
一揃
(
ひとそろい
)
、驚いたものの目には、何か
面当
(
つらあて
)
らしく飾りつけたもののように置いてある。……」
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
空
(
むな
)
しき家を、空しく抜ける
春風
(
はるかぜ
)
の、抜けて行くは迎える人への義理でもない。
拒
(
こば
)
むものへの
面当
(
つらあて
)
でもない。
自
(
おのず
)
から
来
(
きた
)
りて、自から去る、公平なる宇宙の
意
(
こころ
)
である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だけどもねえ、身でも投げて死んじまうと、さも
面当
(
つらあて
)
にしたようで、どんなに心配を懸けるか知れないし、愛想を尽かされると、死んでからも添われないと悪いから。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それには用意がなければならず、覚悟もしないじゃ出来まいが、自分へ
面当
(
つらあて
)
なら破れかぶれ。お千世へだけの事だったら、陰で
綻
(
ほころび
)
を縫うまで、と内気な女が思直す。……
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「連れて行っても好いですが、あんまり
面当
(
つらあて
)
になるから——なるべくなら
穏便
(
おんびん
)
にした方が……」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
兄妹
(
きょうだい
)
として云えば、自分とお重とは余り仲の
善
(
い
)
い方ではなかった。自分が外へ出る事を、まず第一に彼女に話したのは、愛情のためというよりは、むしろ
面当
(
つらあて
)
の気分に打勝たれていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御老体にして見れば、そこらの
行
(
ゆき
)
がかり上、
死際
(
しにぎわ
)
のめくらが、
面当
(
つらあて
)
に形を
顕
(
あら
)
わしたように思召しましたろうし、立入って申せば、小一の方でも、そのつもりでござりましたかも分りません。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実を云うと自分は相当の地位を
有
(
も
)
ったものの子である。込み入った事情があって、
耐
(
こら
)
え切れずに
生家
(
うち
)
を飛び出したようなものの、あながち親に対する不平や
面当
(
つらあて
)
ばかりの
無分別
(
むふんべつ
)
じゃない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鳥羽の鬼へも
面当
(
つらあて
)
に、芸をよく覚えて、立派な芸子になれやッて、姉さんが、そうやって、目に涙を一杯ためて、ぴしぴし
撥
(
ばち
)
で
打
(
ぶ
)
ちながら、三味線を教えてくれるんですが、どうした因果か
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
当
常用漢字
小2
部首:⼹
6画
“面”で始まる語句
面
面白
面影
面目
面持
面喰
面倒
面色
面長
面貌