)” の例文
以て親と思ふの孝心かうしんいさぎよく母に暇乞いとまごひなし五兩の金を路用にと懷中して其夜は十三淀川よどがはの船に打乘うちのり一日も早くと江戸へぞくだりける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だがこの時以来、彼女はひたすら一日も早く甥に妻帯させて、初孫の守をしたいものだと、ただ一にそのことばかり考へるやうになつた。
唯一に素直に、心の底の美しさが匂ひ出たやうに、静かな美しい眼をして、人々の感激する様子を驚いたやうに見て居た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「驚くよ、まさに一言もないところだ。餘人は知らず萬屋善兵衞、三の川で渡し守からお剩餘つりを取る老爺だ。自分で首などを吊る人間ぢやない」
欧洲戦争此来このかた死人が殖えたので、今では三の川の船渡ふなわたしが大分だいぶん儲かるといふ事だ。株を買ふなら今のうちである。
扨は瀧口殿が事思ひ給うての事か、武骨一の瀧口殿、文武兩道にひいで給へる重景殿にくらぶべくも非ず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
脚絆きやはんきれまゝあさあしくゝけた。れも木綿もめんつた頭陀袋づだぶくろくびからけさせて三かは渡錢わたしせんだといふ六もんぜにれてやつた。かみあさむすんで白櫛しろぐししてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞ亂暴らんぼう品川しながはへもあしくれどさわぎは其座そのざり、夜中よなかくるまばして車町くるまゝち破落戸ごろがもとをたゝきおこし、それさけかへさかなと、紙入かみいれのそこをはたきて無理むりとほすが道樂だうらくなりけり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
正直一、唯手堅い一方の釜貞は、時流に悠然として己が職分を守つてゐたが、水清ければ魚棲まず、孤高をてらふ釜貞への註文は日に尠くなつてゆく所へ持つて来て、同じ土地の新八
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あんまり一で、あんまり烈しいわ。
ばしと書いてりませう。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたしももとより一もの。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「正直一の男でございます。自分が曲つたことをしない代り、人の曲つたことも容赦ようしやしないといつた」
御望み有るは大きな御了簡違れうけんちがひと申ものなりと思ひ切て忠義一の心より主人五兵衞を種々しゆ/″\樣々さま/″\と申いさめ當家御相續の御養子に候へば持參金の儀は御止りありてたゞ其人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「安いかも知れません。でも三の川は今だに渡し銭を六文しきや取りません。先生が今頃死なすつても、それだけお払ひになれば直ぐにもお渡しします。安いもんでさ。」
喧嘩けんくわではい、とて流石さすがひかねてくちつぐめば、でもおまへ大層たいさうらしく飛込とびこんだかられは一喧嘩けんくわかとおもつた、だけれどしようさん今夜こんやはじまらなければれから喧嘩けんくわおこりッこはいね
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
若旦那はそんな事までは氣が廻らず、一に私を怨んで、明日はいよ/\親類會議を開いて、自分が追ひ出されるときまると、日頃の氣象では何をやり出すかわかりません。
ば後になし歸ると聞しとらもんも歸らぬ旅にゆくそらの西の久保より赤羽あかばねの川は三としらかべ有馬ありま長家も打過て六堂ならねどふだつじ脇目わきめふらず急ぎしか此程高輪たかなわよりの出火にて愛宕下通りあたらし橋邊まで一圓に燒原やけはらとなり四邊あたり曠々くわう/\として物凄ものすごく雨は次第に降募ふりつのり目先も知ぬしんやみ漸々やう/\にして歩行あゆみける折しもひゞかね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もつとも、友達が惡かつた。伜は根が正直一で、世の中を何んにも知らず、懷ろ子に育つてゐるところへ、私が若い後添へを迎へると、それをまた、他からそゝのかす者があり——」
今頃は三の川で夜櫻を眺めて居るぜ、危ねえ話だ
「正直一の方で御座います」