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ことば
ふりがな文庫
“
辞
(
ことば
)” の例文
旧字:
辭
小村は
蟇口
(
がまぐち
)
から一枚の紙幣をつまみ出して相手に握らせた。放浪者はひどく辞退していたが、熱心な小村の
辞
(
ことば
)
に動かされてしまった。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
理は道理の理——これを言明するの
辞
(
ことば
)
の意味を理解する能力のある者は、この言明に同意せざるを得ないものを公理というのであるが
マルクス主義は科学にあらず
(新字新仮名)
/
山川健次郎
(著)
「ねえ金さん、それならお気に入るでしょう?」とお光は笑いながら言ったが、亭主の前であるからか
辞
(
ことば
)
使いが妙に改まっている。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
あらゆる謝罪の
辞
(
ことば
)
をならべたが——巌流は耳がないように、見向きもせず、
仲間
(
ちゅうげん
)
に
絞
(
しぼ
)
らせた手拭で、顔など拭いて平然としていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いさめの道を知らで
辞
(
ことば
)
をあらくして人にさからい、みだりにいえば人怒りて必ず聞きいれず。人に益なくしてわが身のわざわいとなる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
わたくしは京水を説き、其父文孝堂玄俊、其伯父錦橋、錦橋の妻沢、錦橋の養嗣子霧渓等に及び、これがために多くの
辞
(
ことば
)
を費した。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
古来日本国の上流社会にもっとも重んずるところの一大主義を
曖昧糢糊
(
あいまいもこ
)
の
間
(
かん
)
に
瞞着
(
まんちゃく
)
したる者なりと評して、これに答うる
辞
(
ことば
)
はなかるべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
以前から善く聴きなれている「
業突張
(
ごうつくばり
)
」とか「
穀潰
(
ごくつぶ
)
し」とかいうような
辞
(
ことば
)
が、彼女のただれた心の
創
(
きず
)
のうえに、また新しい痛みを与えた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
かどわかして逃げたと、みんなそう信じている。よく聞いてみると、なるほどそう信ぜられても弁解の
辞
(
ことば
)
がないほど、すべてが符合するのだ
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
などと
辞
(
ことば
)
をかけたり水を汲んでやったり致しますが、妙なもので若い女が
手桶
(
ておけ
)
を持って
行
(
ゆ
)
くと「姉さん汲んで上げましょう」と云いますが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其詩や
辞
(
ことば
)
を
行
(
や
)
る
自在
(
じざい
)
にして、意を立つる荘重、孝孺に期するに大成を以てし、必ず経世済民の真儒とならんことを欲す。章末に句有り、曰く
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
世に売れている人たちの仕事場などに比べては見る
蔭
(
かげ
)
もないほどの
手狭
(
てぜま
)
な処、当り前ならば、こっちから
辞
(
ことば
)
を低くして訪問もすべきであるのを
幕末維新懐古談:46 石川光明氏と心安くなったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
さればボーモントおよびフレッチャーの『金無い智者』にも不思議に好景気な人を指して、精魂が鼠か妖婆の加護を受くるでないかという
辞
(
ことば
)
がある。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
土人などはそういって
咎
(
とが
)
められると非常に
辞
(
ことば
)
を低うし内々
賄賂
(
わいろ
)
でもやるのかどうか
仕舞
(
しまい
)
には通って行ってしまうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そういう質問をする毎に、「まだ定まっていないのです」と、謙遜の
辞
(
ことば
)
を以て答えられる。この方面でもアマチュアを以て、自ら任じて居られるらしい。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いや、船のことは、わたしにまかせておいてください。あなたは、ロンドンに入港してのちの歓迎にこたえる
辞
(
ことば
)
など今から考えて置かれるがいいでしょう」
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
天地自然の哀切なるものに応へようとする挨拶の
辞
(
ことば
)
さへ見失つてしまふ普段の愚かさを愧ぢたのであつた。
痩身記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
殊
(
こと
)
に私をば娘のやうに思ひ、
日頃
(
ひごろ
)
の厚き
情
(
なさけ
)
は海山にも
喩
(
たと
)
へ難きほどに候へば、なかなか
辞
(
ことば
)
を返し候段にては
無之
(
これなく
)
、心弱しとは思ひながら、涙の
零
(
こぼ
)
れ候ばかりにて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「その方は儒書を読んでおりながら、自分の身を検束することを知らないで、みだらな
辞
(
ことば
)
を吐いて、我が官府をそしるとは、何事だ、その方を
犁舌獄
(
りぜつごく
)
へ下すからそう思え」
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼
重井
(
おもい
)
の変心を機として妾を
誑惑
(
たぶらか
)
さんの下心あるが如くなお落ち着き払いて、この
熱罵
(
ねつば
)
をば微笑もて受け流しつつ、その
後
(
のち
)
も
数〻
(
しばしば
)
訪
(
と
)
い寄りては、かにかくと甘き
辞
(
ことば
)
を
弄
(
ろう
)
し
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
この答に対して彼は「
本当に
(
インディード
)
!」というより他に
辞
(
ことば
)
がなかった。誠に当時の米国人(今もなおしかり)の日本の基督信者に対する態度はたいていかくのごときものであった。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
答うべき
辞
(
ことば
)
を知らざるように、老婦人はただ
太息
(
といき
)
つきて
頭
(
かしら
)
を下げつ。ややありて声を低くし
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
兄が
此様
(
このやう
)
に
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
し
辞
(
ことば
)
を鄭寧にして
物
(
もの
)
を頼んだ事は無いので、貢さんは気の毒に思つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
夫はこれほどの
志望
(
こころざし
)
を
担
(
にな
)
うに、
毫
(
すこし
)
も不足のない器量人であると、日頃の苦悩も忘れ果て、夫の挨拶の
辞
(
ことば
)
の終りに共に
恭
(
うやうや
)
しく頭をさげると、あまりの嬉しさに夢中になっていたために
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
希臘
(
ギリシャ
)
の昔ゼノが足の
疾
(
と
)
きアキリスと歩みの
鈍
(
のろ
)
い亀との間に成立する競争に
辞
(
ことば
)
を託して、いかなるアキリスもけっして亀に追いつく事はできないと説いたのは取も直さずこの消息である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さも毒々しい
辞
(
ことば
)
で書き連ねて、匿名でその子供の親に送ったものがありました。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
エヘン、そんならその古語、すなわちこれは『
易経
(
えききょう
)
』に在る
辞
(
ことば
)
だが、「其臭如蘭」と云うこの蘭は
抑
(
そもそ
)
も何か。それは正に菊科植物に属する Eupatorium 属中のフジバカマよ。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
安藤は告別の
辞
(
ことば
)
の中で「三年一万九百日」と誤つて言つた。その女教師は三年の間この学校にゐたつたのだ。それ以来
年長
(
としかさ
)
の生徒は何時もこの事を言つては、校長を軽蔑する種にしてゐる。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
隗の帽子は巡回して渠の前に着せるとき、世話人は
辞
(
ことば
)
を
卑
(
ひく
)
うして
挨拶
(
あいさつ
)
せり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
現身
(
うつせみ
)
の常の
辞
(
ことば
)
とおもへども
継
(
つ
)
ぎてし聞けば心
惑
(
まど
)
ひぬ (同・二九六一)
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
滔々
(
とうとう
)
数千言を費して、丁寧親切にクリトーンに
対
(
むか
)
って、正義の重んずべきこと、法律の破るべからざることを語り、よりてもって脱獄の非を教え諭したので、さすがのクリトーンも
終
(
つい
)
に
辞
(
ことば
)
なくして
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
翁の作に芭蕉を
移辞
(
うつすことば
)
といふ文あり、その
終
(
をは
)
りの
辞
(
ことば
)
に
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
辞
(
ことば
)
の過ぎたるかな」と。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
洞源和尚に
辞
(
ことば
)
もない。
疑獄元兇
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大坂の石山本願寺も、
三好笑岩
(
みよししょうがん
)
と
松井友閑
(
まついゆうかん
)
を使者として、ともあれ、友好的な
辞
(
ことば
)
と、贈り物を供えに来た。信長は、その人々にも
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしは
前
(
さき
)
に蘭軒を叙し
畢
(
をは
)
つた時、これに論賛を附せなかつた如くに、今叙述全く終つた後も、復総評のために
辞
(
ことば
)
を費さぬであらう。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
空々しいような
辞
(
ことば
)
をかけて、茶をいれたり菓子を持って来たりして、何か言出しそうにしている父親の傍に、じっと坐ってなぞいなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
大「いや是は恐入ったことで……斯様な御心配を戴く
理由
(
わけ
)
もなし、お
辞
(
ことば
)
のお礼で十分、どうか品物の所は御免を
蒙
(
こうむ
)
りとう、
思召
(
おぼしめし
)
だけ頂戴致す」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
例の仙太とお照なり。二人はひしと抱合いたるまま、互いに
辞
(
ことば
)
もなく、ひたぶる運を天に任す折から、何者とも知れず、やにわに戸板に取附きて
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
斯
(
か
)
くまでに
酷言
(
こくげん
)
せずともなどといささか不平もありながら、さりとて何と答弁の
辞
(
ことば
)
もなくして甚だ苦しきことなるべし。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一に私意を以て
邪詖
(
じゃひ
)
の
辞
(
ことば
)
を出して、
枉抑
(
おうよく
)
太
(
はなは
)
だ過ぎたり、世の人も心
亦
(
また
)
多く平らかならず、
況
(
いわ
)
んや
其
(
その
)
学を
宗
(
そう
)
する者をやと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
辞
(
ことば
)
を厚うし、身を
謙下
(
へりくだ
)
っても後学のために見ておきたいと思っていたところでありましたが、神尾があんまり
我物顔
(
わがものがお
)
に思わせぶりをするものだから
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
英語の
中
(
うち
)
に
美
(
うま
)
い
辞
(
ことば
)
がある、日本の詩や歌にも美いのがあるけれども、私は今日卒業なされる方々にお別れの言葉として、私のごく好きな詩の一句がある
人格の養成
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
また「同一のものが同時に二つの場所にあり得ない」というのがある。これも同一・同時、二つの場所という
辞
(
ことば
)
がわかれば、この言明に同意せざるを得ない。
マルクス主義は科学にあらず
(新字新仮名)
/
山川健次郎
(著)
想ひを寄せる勇士の頭上にふりかけながら彼等の
勲
(
いさほし
)
を乞ひ希ふ「
首途
(
かどで
)
の泉」として、また、凱歌を挙げて引きあげて来た戦士が、「市の歓迎の
辞
(
ことば
)
」を享ける表象として
山彦の街
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
私もさう御迷惑に成る事は望みませんです、せめて満足致されるほどのお
辞
(
ことば
)
を、唯
一言
(
ひとこと
)
で宜いのですから、今までのお
馴染効
(
なじみがひ
)
にどうぞ間さん、それだけお聞せ下さいまし
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
膚
(
はだえ
)
艶に
辞
(
ことば
)
潔く妙相
奇挺
(
きてい
)
黒白短なく、肥痩所を得、才色双絶で志性金剛石ほど堅い上に、何でも夫の意の向うままになり、多く男子を産み、種姓劣らず、好んで善人を愛し
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
退社といふ
辞
(
ことば
)
が我ながらムカムカしてる胸に
冷水
(
ひやみづ
)
を浴せた様に心に響いた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
翌
朝
(
てう
)
の新聞は
何
(
ど
)
れも決闘
場
(
ぢやう
)
の写真を
挿
(
はさ
)
んで
種種
(
いろ/\
)
と激賞の
辞
(
ことば
)
を並べて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
すべて至尊に対し奉ると同様の尊敬の
辞
(
ことば
)
を用いているのである。
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
辞
常用漢字
小4
部首:⾟
13画
“辞”を含む語句
返辞
讃辞
辞儀
言辞
辞退
別辞
台辞
世辞
遁辞
措辞
弔辞
楚辞
空世辞
諛辞
辞義
悼辞
辞柄
固辞
美辞
辞別
...