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諦
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あき
ふりがな文庫
“
諦
(
あき
)” の例文
咎立
(
とがめだて
)
をしようと
云
(
いっ
)
ても及ぶ話でないと
諦
(
あき
)
らめて居ながら、心の底には丸で
歯牙
(
しが
)
に掛けずに、
云
(
い
)
わば人を馬鹿にして居たようなものです。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私は
諦
(
あき
)
らめて——私の身さへ退けば八方圓く納まるだらう、大川へ身を投げて死んでやるから——と口惜しまぎれに駈け出しました
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「うん、あいつも
可哀相
(
かわいそう
)
だけれども仕方がない。つまりこんなやくざな
兄貴
(
あにき
)
をもったのが不仕合せだと思って、
諦
(
あき
)
らめて貰うんだ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女の
頭蓋骨
(
ずがいこつ
)
の中に隠し場所が登録されているに違いないこと、さればわれらは
諦
(
あき
)
らめた風態を装ってここをひきあげ、ひそかにかの女を監視すること
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし
生憎
(
あいにく
)
彼の心は少しも喜びに躍っていない。むしろ何か義務に対する
諦
(
あき
)
らめに似たものに充たされている。
早春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
負
(
ま
)
けても
宜
(
い
)
いのさ、
夫
(
そ
)
れは
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いと
諦
(
あき
)
めるから、お
前
(
まへ
)
は
何
(
なに
)
も
爲
(
し
)
ないで
宜
(
い
)
いから
唯
(
たゞ
)
横町
(
よこてう
)
の
組
(
くみ
)
だといふ
名
(
な
)
で、
威張
(
ゐば
)
つてさへ
呉
(
く
)
れると
豪氣
(
がうぎ
)
に
人氣
(
じんき
)
がつくからね
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いくら考えても、又
諦
(
あき
)
らめても既に忘れかかっていながらむすこの暮れ沈んでゆく姿が見えてならなかった。
童話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
鎌倉時代、
室町
(
むろまち
)
のころにかけては、
寂
(
さび
)
と渋味を加味し、前代末の、無情を観じた
風情
(
ふぜい
)
をも残し、武家
跋扈
(
ばっこ
)
より来る、女性の、深き執着と、
諦
(
あき
)
らめをふくんでいる。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
当に想念を起し、正坐し西に向ひて、日を
諦
(
あき
)
らかに観じ、心を堅く住せしめ、想を専らにして移らざれ。日の
歿
(
ぼつ
)
せむとするや、形、鼓を懸けたる如きを見るべし。
山越しの阿弥陀像の画因
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
子もなく夫にも死に別れたその女にはどことなく
諦
(
あき
)
らめた静けさがあって、そんな関係が生じたあとでも別に前と変わらない冷淡さもしくは親切さで彼を遇していた。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
ともかく決して面白くもないが、万事を
諦
(
あき
)
らめて、私はやむをえず心斎橋筋をそれでも歩いて見る。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
諦
(
あき
)
らめを肯定し、溜息を肯定し、何言ってやんでいを肯定し、と言ったようなもんだよを肯定し——つまり全的に人間存在を肯定しようとすることは、結局、途方もない混沌を
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
呼んで頂戴……。ね、私、
諦
(
あき
)
らめちやつたの。時々、かうして逢つて貰へばいゝ事よ。ね、その方がいゝわ。——さつきの唄みたいなのが、私達の間柄だつたンだつて判つたわよ……
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
母は三十四で
最早
(
もはや
)
子は出来ないものと
諦
(
あき
)
らめて居ると、馬場が病で没し、其妻も間もなく夫の後を
襲
(
おそう
)
て
此
(
この
)
世を去り、残ったのは
二歳
(
ふたつ
)
になる男の子、これ
幸
(
さいわい
)
と父が引取って自分の
児
(
こ
)
とし養ったので
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「じゃ、
諦
(
あき
)
らめてじゃねえ、この石神に預けたとして、引揚げようか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼のことは殆んど思い
諦
(
あき
)
らめ、折々思い出しても、ただ身の上を案じているに過ぎなかったのだが、最近になって、ああして手紙を寄越されて見ると、梅三爺は市平を呼び寄せたいような気がした。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その木像まで刻むと
云
(
いう
)
は恋に親切で世間に
疎
(
うと
)
い
唐土
(
もろこし
)
の天子様が
反魂香
(
はんごんこう
)
焼
(
たか
)
れた
様
(
よう
)
な
白痴
(
たわけ
)
と悪口を
叩
(
たた
)
くはおまえの為を思うから、実はお辰めに
逢
(
あ
)
わぬ昔と
諦
(
あき
)
らめて奈良へ修業に
行
(
いっ
)
て、
天晴
(
あっぱれ
)
名人となられ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
諦
(
あき
)
らめよ、わが心。なれが
禽獣
(
きんじゅう
)
の
睡
(
ねむ
)
りを眠れ。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
まわり合せだと
諦
(
あき
)
らめるだよ。さあ帰るべ。
天狗外伝 斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
すでにお延の方を
諦
(
あき
)
らめなければならないとすると、津田は自分に必要な知識の
出所
(
でどころ
)
を、小林に向って求めるよりほかに仕方がなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのうちにお孃樣の縁談がきまつて、隣村の大地主の嫁になるとわかり、私は何も彼も
諦
(
あき
)
らめるより外は無いとわかりました。
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近ごろでは
諦
(
あき
)
らめたようすで、そんなことがあっても、相変らず紀平らしいな、こう云って苦笑する程度だが、以前はよく怒って意見をしたものであった。
つばくろ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
情熱的
(
パッショネート
)
ななかに、悲しい
諦
(
あき
)
らめさえみせているので、感じやすいわたしは自分から、すっかりつくりあげた
人品
(
ひとがら
)
を「
嫦娥
(
じょうが
)
」というふうにきめてしまっていたのだった。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まわり合せだと
諦
(
あき
)
らめるだよ。さあ帰るべ。
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
僕はしぶしぶ
諦
(
あき
)
らめた。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
要するにその男はお時の用事を津田に取次いでくれなかったらしいので、彼女はとうとう
諦
(
あき
)
らめて、電話箱を出てしまった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし仕事をする気力はもうなく、漫然とカード箱をいじったり椅子にかけてもの思いにふけったりした、そして十二時を過ぎたとき、とうとう
諦
(
あき
)
らめて寝に帰った。
四年間
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
諦
(
あき
)
らめといふことを知らないから、御近所に氣兼をしい/\、四半刻も外の戸を叩いて居りました。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
念佛まをせば極樂へ——
處生苦
(
しよせいく
)
を
諦
(
あき
)
らめて、念願は一日も早く
彌陀
(
みだ
)
の
淨土
(
じやうど
)
へ引き取つてもらひたいといふのが
念佛衆
(
ねんぶつしゆ
)
であるなら、
穢土厭離
(
ゑどおんり
)
、
寂滅爲樂
(
じやくめつゐらく
)
の思想は現世否定である。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さう
云
(
い
)
ふ
譯
(
わけ
)
でね、まことに
宗
(
そう
)
さんにも、
御氣
(
おき
)
の
毒
(
どく
)
だけれども、
何
(
なに
)
しろ
取
(
と
)
つて
返
(
かへ
)
しの
付
(
つ
)
かない
事
(
こと
)
だから
仕方
(
しかた
)
がない。
運
(
うん
)
だと
思
(
おも
)
つて
諦
(
あき
)
らめて
下
(
くだ
)
さい。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしはもう
諦
(
あき
)
らめかけていたのですよ、もうこれでゆくさきを看とって呉れる嫁はあるまい、そう思っていました、そこへあなたのはなしを聞きましたの、あきつさん
日本婦道記:萱笠
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いえ、それは
諦
(
あき
)
らめました。——それよりは、清作さん、あなたは公儀の隠密」
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
諦
(
あき
)
らめよく言切ったそうである。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
けれども其甲斐もなく先達て御
出
(
いで
)
の
時
(
とき
)
、とう/\
御父
(
おとう
)
さんに断然御
断
(
ことわ
)
りなすつた御様子、甚だ残念ながら、今では仕方がないと
諦
(
あき
)
らめてゐます。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
だがまだ
諦
(
あき
)
らめきれないとみえ、
納戸
(
なんど
)
のほうへいってなにか
掻
(
か
)
きまわしていた。そのうちに天床から大きな石でも落ちたように、がらがらずしんめりめりと
凄
(
すさ
)
まじい物音がした。
泥棒と若殿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
平次は好い加減に
諦
(
あき
)
らめて、水下駄を突つかけて外へ出て見ました。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
運だと思って
諦
(
あき
)
らめて下さい。もっとも叔父さんさえ生きていれば、またどうともなるんでしょうさ。小六一人ぐらいそりゃ訳はありますまいよ。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いしは飲んだ、
諦
(
あき
)
らめたのか、それとも力が尽きたのか、保馬の飲ませるだけ飲んだ。
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
諦
(
あき
)
らめて居たんでせうよ。下總から出て來て、江戸の眞ん中で
草鞋
(
わらぢ
)
を
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれどもその
甲斐
(
かい
)
もなく先達て御出の時、とうとう御父さんに断然御断りなすった御様子、甚だ残念ながら、今では仕方がないと
諦
(
あき
)
らめています。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まあこれも遊びとしては
粋
(
いき
)
なものだと、
諦
(
あき
)
らめをつけることはできた。
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
嫁入りも婿取りも
諦
(
あき
)
らめて居ると、江戸で五番とは下らぬ大町人室町の清水屋總兵衞の伜總太郎が見染めて、
人橋架
(
ひとはしか
)
けて嫁にくれるか、それがいやなら、持參金一萬兩で聟に來ても宜いといふ話だ。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一間
(
ひとま
)
置いて隣りの人は自分で死期を自覚して、
諦
(
あき
)
らめてしまえば死ぬと云う事は何でもないものだと云って、気の毒なほどおとなしい往生を遂げた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これなら、戻って呉れないほうがいいと、
諦
(
あき
)
らめていた。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「お松は名題の浮氣者だ。清次と夫婦約束までしたのに、近頃お村と張合つて、
原庭
(
はらには
)
の才三といふ色師に熱くなつて居るからよ。同じやうにお松に氣があつても、清次は百松のやうに
諦
(
あき
)
らめられなかつたんだ」
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして何時の間にか離れ離れになった人間の心と心は、今更取り返しの付かないものだから、
諦
(
あき
)
らめるより外に仕方がないという風にふるまった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次は
諦
(
あき
)
らめた樣子で家の中へ入つて行きました。
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
よし信じておらんでも、融通の利かぬ性質として、到底実業家、金満家の恩顧を
蒙
(
こうむ
)
る事は
覚束
(
おぼつか
)
ないと
諦
(
あき
)
らめている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次までが
諦
(
あき
)
らめたことを言ふのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうして堕落は酒の影響だからどこへどう避けても人間としてとても
逃
(
のが
)
れる事はできないのだと沈痛に
諦
(
あき
)
らめをつけたと同じような変な心持であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“諦”の解説
諦(たい、sa: सत्य, satya、サティヤ、pi: सच्च, sacca、サッチャ)とは、仏教において真理や悟りを意味する語。
(出典:Wikipedia)
諦
常用漢字
中学
部首:⾔
16画
“諦”を含む語句
諦視
御諦
諦観
諦念
妙諦
要諦
真諦
諦悟
掲諦
諦觀
諦聴
波羅僧羯諦
波羅僧掲諦
波羅掲諦
忍諦
苦諦
羯諦
第一義諦
諦念主義
集諦
...