裏山うらやま)” の例文
「……裏山うらやまへ入ると、ふきぐらいあるかもしれないし、ひょっとすると、川には岩魚いわななんかいるかも知れないわ。……ともかく、出かけてみるこったわ」
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
兩人りやうにんすそところが、とこよこ一間いつけん三尺さんじやくはりだしの半戸はんとだな、した床張ゆかばり、突當つきあたりがガラスはきだしまどで、そこが裏山うらやまむかつたから、ちやうどそのまど
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
去年きょねんも、この月半つきなかばにやまりたのだが、今年ことしは、いつもよりふゆはやいらしい。」と、主人しゅじんは、って、まど障子しょうじけて、裏山うらやまほうをながめました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつもとはことなり、その修行場しゅぎょうば裏山うらやまから、おくおくおくへとどこまでも険阻けんそ山路やまみちりました。
この裏山うらやま禪頂ぜんちやうは、昔は僧侶がよく行をやつたところで、山中到る處に今でも猶その禪頂小屋の殘つてゐるのを見る。私の知つてるだけでも、唐澤、女峰、志津などがある。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
あの死骸しがいつけたのは、わたしにちがひございません。わたしは今朝けさ何時いつものとほり、裏山うらやますぎりにまゐりました。すると山陰やまかげやぶなかに、あの死骸しがいがあつたのでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
夫婦ふうふして仲睦なかむつまじくおちやをのんでゐると、そこへきじを一つくわえてきて、おいてきました。それは裏山うらやま神樣かみさまからでした。なにいてありました。みると
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
人の知らぬ小太郎山こたろうざんの峡をぬけて、おくへ奥へと二ほどはいった裏山うらやま、ちょうど、白姫しらひめみね神仙しんせんたけとの三ざんにいだかれた谷間たにまで、その渓流にそった盆地ぼんちの一かくそま猟師りょうし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月影つきかげは、夕顏ゆふがほのをかしくすがれるがき一重ひとへへだてたる裏山うらやま雜木ざふきなかよりさして、浴衣ゆかたそで照添てりそふも風情ふぜいなり。
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やがてのんべえ は樹深こぶか裏山うらやまのおみやまへにあらはれました。そしてべたにひざまづいて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
裏山うらやまは、くもれて、あきがあたたかそうにらしていました。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ドドーンと、裏山うらやまの上で、不意にとどろいた一発の狼煙のろし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほどたつて、裏山うらやま小山こやまひとした谷間たにあひいはあなに、うづたかく、そのもちたくはへてあつた。いたちひとつでない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このまえははぐまとぐまのあそんでいた、裏山うらやままでやってきました。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
奥方様おくがたさま。』……はなさけない。すこ裏山うらやまちかつたとおもふと、をんなこゑまじつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)