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薄青
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うすあを
書状は
薄青い状袋へ這入つてゐた。北海道にゐる
父から三千代へ
宛たものであつた。三千代は状袋の
中から長い手紙を
出して、代助に見せた。
交へてくすんだ
穢い
莢が
白く
割れて
薄青いつやゝかな
豆の
粒が
威勢よく
跳ね
出してみんな
幹の
下に
潜り
込んで
畢ふ。
が、たとへば
薄青い
樹の
蔭の
清らかなる
境内を、
左に、
右には
村の
小家に
添つて、
流れがさら/\と
畔を
走る。
鏽銀の
鐘よりは
一条の
絹薄青く
下りて
光る。
洗つては
乾し/\
屡それが
反覆されてだん/\に
薄青く、さうして
闇の
夜をさへ
明くする
程純白に
曝された。
妻楊枝位な
細い
茎の
薄青い
色が、
水の
中に
揃つてゐる
間から、
陶器の模様が
仄かに
浮いて見えた。
まだ、
其の
頃は、
海ある
方に
雲の
切れた、
薄青い
空があつた。それさへいまは
夢のやうである。
此方へ
向いて
居る
二つの
臼の
腹が、まだ
先の
軟かな
夏蕎麥の
莖で
薄青く
染まつたのが
見えて
居る。
既に
膝に
乘つて、
噛り
着いて
居た
小兒は、
其なり、
薄青い
襟を
分けて、
眞白な
胸の
中へ、
頬も
口も
揉込むと、
恍惚と
成つて、
最う
一度、ひよいと
母親の
腹の
内へ
安置され
終んぬで
其の
灯が、
背中から
淡く
射して、
真白な
乳の
下を
透す、……
帯のあたりが、
薄青く
水に
成つて、ゆら/\と
流れるやうな、
下が
裙に
成つて、
一寸灯の
影で
胴から
切れた
形で、
胸を
反らした
先に——七
里半の
峠を
越さうとして
下りた
一見の
知己が
居た、
椅子の
間を
向うへ
隔てて、
彼と
同じ
側の
一隅に、
薄青い
天鵝絨の
凭掛を
枕にして、
隧道を
越す
以前から、
夜の
底に
沈んだやうに