草木さうもく)” の例文
見性けんしやうしたに、うれしさのあまり、うらやまあがつて、草木さうもく國土こくど悉皆しつかい成佛じやうぶつおほきなこゑしてさけんだ。さうしてつひあたまつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
草木さうもくおよ地上ちじやうしもまばたきしながらよこにさうしてなゝめけるとほ西にし山々やま/\ゆき一頻ひとしきりひかつた。すべてをつうじて褐色かつしよくひかりつゝまれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼女は暇さへあれば何時いつも沼のほとりにたゝずんだ。彼女ほどに熱情的な愛着を以つて草木さうもく禽獣きんじうに親んだ者はなかつた。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
之をアイヌ間に存する口碑にちやうするに、コロボックルは土を堀り窪めて低所ていしよを作り、木のみきえだを以て屋根の骨とし、之を草木さうもくの葉にて覆ひて住居とせしものの如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
草木さうもくも、人間も、あらゆる感情も元のままだ。愛だとかなんだとかいふ美しい感情も元のままだ。それに己だけは亡くなつてしまふ。何があつても、見ることが出来ない。
人間にんげん鳥獣てうぢゆう草木さうもくも、混虫類こんちゆうるゐみんなかたちこそかはつててもおんなじほどのものだといふことを。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
準備をしてゐる久しい間には、折々をり/\成功の時の光景がまぼろしのやうに目に浮かんで、地上に血を流す役人、脚下にかうべたゝく金持、それから草木さうもくの風になびくやうにきたする諸民が見えた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
氣※きかう工合ぐあひや、草木さうもく種類しゆるいなどでると、亞弗利加アフリカ沿岸えんがんにもちかやう氣持きもちもする。
教会けうくわい草木さうもくまた動物どうぶつの如き自然物しぜんぶつにあらず、草木は時期じきさだめてはなむすび、小児せうに時期じき経過けいくわすれば成人せいじんして智力ちりよく啓発けいはつに至るべし、しかれども教会けうくわい人為的じんゐてきなり、復興ふくこうせんとほつせば明日めうにち
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
ひとしれず草木さうもくの種を研ぐとても
幼き妹に (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
草木さうもくの値を知るのだ
愛の詩集:03 愛の詩集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
草木さうもくねむりにすくなくとも五六十にちあひだは、彼等かれらまれ冬懇ふゆばりというてむぎ畦間うねまたがやすことやはやしあひだ落葉おちばたきゞもとめることがあるにぎぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
思ふにコロボツクルは是等の石器せききを用ゐて草木さうもくつぶ食用しよくえうつくりしならん。石皿のけつして適切てきせつには非ざれど、き名をおもひ付かざればしばら通稱つうしやうに從ふのみ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
その亭の庭にも草木さうもく茂み
おそろしく潔癖けつぺきしも見窄みすぼらしい草木さうもく地上ちじやうにじりつけた。人間にんげんりたものはでもはたでも人間にんげんりて到處いたるところをからりとさせる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わが草木さうもくとならん日に
父の墓に詣でて (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
わが草木さうもくとならん日に
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)