郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
太鼓の音、大砲のとどろき、ラッパの響き、歩兵隊の歩調を取った足音、騎兵の茫漠たる遠い疾駆の音、などが聞こえてくるかと思われた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
キャラコさん:02 雪の山小屋 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
後醍醐の愛は、すこぶる茫漠たるもので、お心の内がわは分らないが、表面は三人の妃のたれへも平等にふるまわれていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、恋もなく滅んでしまった青春を考えると、たまらない寂しさにとらえられた。薄暗い茫漠たる悲しみだった……。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
鮮麗な秋の空、目立たぬほどの積雲が、海上二マイルばかりのところに茫漠としている。今日も終日、海上も無事だし、明日のこともまず心配はない。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
時刻はもう二十分くらい経っていたろうか、春の日もそれほど永からぬこの日の夕ぐもりが、しだいに茫漠たる生田川のほとりを幾すじかの筋目を見せながら包んで行った。
八五郎は茫漠とした顔を挙げました。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
しかし、心の迷いがあるから、茫漠としたものへあせる気がうごいているから。という自省はその時お千絵にはなかった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そればかりか、不用意のうちに現われる彼の希望の茫漠として支離滅裂なことにむしろ驚かされるくらいであった。
カラマゾフの兄弟:01 上 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
どうしても茫漠として当りがつきませんでしたが、とにかく、これだけのことをお知らせ申しておいて、また出直しを致そうかとこう考えて、大急ぎで飛んで参ったんでございます
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)