“穀(こく)” の例文
すなわち前には回転せぬ棒をもって打っていたのが、これに由(よ)って始めて腰を曲げずに、藁やその他の穀(こく)を打つことができたのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
相場(さうば)が下(さ)げ氣味(ぎみ)の時(とき)にやうつかりすつと損物(そんもの)だかんな、なんでも百姓(ひやくしやう)して穀(こく)積(つ)んで置(お)く者(もの)が一等(とう)だよ、卵拾(たまごひろ)ひもなあ、赤痢(せきり)でも流行(はや)つて來(き)てな
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日蓮上人、為兼卿(ためかねきやう)、遊女初君(はつきみ)等(とう)の古跡(こせき)もたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち気運(きうん)順(じゆん)を失(うしな)ひ、年(とし)稍(やゝ)倹(けん)して穀(こく)の価(ねだん)日々に躍(あがり)、人気(じんき)穏(おだやか)ならず。
ここ数年、五穀(こく)のみのりも思わしくありません。加うるに、この春は、天下に悪疫(あくえき)が流行し、江南江北も、東西二京も、病臭(びょうしゅう)に埋まっております。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五両と三両纏(まとま)った、穀(こく)の代を頂いたんで、ここで泊込みの、湯上りで五合(ごんつく)極(き)めた日にゃ、懐中(ふところ)も腕車(くるま)も空(から)にして、土地(さと)へ帰らなけりゃならねえぞ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
風雨(ふうう)、寒暑(かんしょ)、五穀(こく)の豊凶(ほうきょう)、ありとあらゆる天変地異(てんぺんちい)……それ等(ら)の根抵(こんてい)には悉(ことごと)く竜神界(りゅうじんかい)の気息(いき)がかかって居(お)るのじゃ……。
吾輩は決して無意味の活動をするんじゃない。吾輩は人間の為に穀(こく)も搗(つ)くのだ、粉(こな)も挽(ひ)く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
どぜうがよろしいと勧める人があるので食ひ続けて居るのを、一度わからずやの僧侶に見つかつて、人間は板歯で野菜穀(こく)もつを食ふやうに出来てゐる。どぜうなど食ふは殺生(せっしょう)のみか理に外(はず)れてゐる。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
今(いま)から穀(こく)の用意(ようい)もしなくては成(な)らぬと思(おも)ふと自分(じぶん)の身上(しんしやう)から一俵(ぺう)の米(こめ)を減(げん)じては到底(たうてい)立(た)ち行(ゆ)けぬことを深(ふか)く思案(しあん)して彼(かれ)は眠(ねむ)らないこともあつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日蓮上人、為兼卿(ためかねきやう)、遊女初君(はつきみ)等(とう)の古跡(こせき)もたづねばやとおもひしに、越後に入りてのち気運(きうん)順(じゆん)を失(うしな)ひ、年(とし)稍(やゝ)倹(けん)して穀(こく)の価(ねだん)日々に躍(あがり)、人気(じんき)穏(おだやか)ならず。
だが元々、藩士の性骨(しょうぼね)は、この五穀(こく)豊饒(ほうじょう)で風光のもの和(やわ)らかな瀬戸内の潮風や中国の土だけに出来上ったものじゃない。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
支那(シナ)の歴史の中で、東晋(とうしん)の恵帝(けいてい)は古今独歩の闇君(あんくん)と認められているが、或る年天下大いに飢え、万民穀(こく)乏(とぼ)しと侍臣(じしん)が奏上した時に、そうか米が無いか
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ナイル、ユウフラテの畔(ほとり)に、木片で土を掘って、野生の穀(こく)を蒔(ま)いて居た原始的農の代から、精巧な器械を用いて大仕掛にやる米国式大農の今日まで、世界は眼まぐろしい変遷を閲(けみ)した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
わしも其(そ)ん時(とき)や嚊(かゝあ)に死(し)なれた當座(たうざ)なもんだからさう薄情(はくじやう)なことも出來(でき)ねえと思(おも)つて、そんでも一晩(ばん)泊(と)めて、わしも困(こま)つちや居(ゐ)たが穀(こく)もちつたあ遣(や)つたのせ
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
○余越後の夏に遇(あひ)しに、五穀(こく)蔬果(そくわ)の生育(そだち)少しも雪を畏(おそれ)たる色なし。山景野色(さんけいやしよく)も雪ありしとはおもはれず、雪の浅き他国に同じ。五雑組(ござつそ)に(天部)百草雪を畏(おそれ)ずして霜を畏る。
百姓たちは、田にあって働ければ、五穀(こく)を産む手をもっておるのに、その暇をつぶして、わしの如き、無禄(むろく)の隠士の住居(すまい)を繕(なお)すに集まって来てくれておる。——勿体ないことである。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
○余越後の夏に遇(あひ)しに、五穀(こく)蔬果(そくわ)の生育(そだち)少しも雪を畏(おそれ)たる色なし。山景野色(さんけいやしよく)も雪ありしとはおもはれず、雪の浅き他国に同じ。五雑組(ござつそ)に(天部)百草雪を畏(おそれ)ずして霜を畏る。
「でも、田舎(いなか)へ逃げて、お百姓の穀(こく)を喰いつぶしているよりはましじゃろが」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こゝを以て家居(いへゐ)の造(つく)りはさら也、万事(よろづのこと)雪を禦(ふせ)ぐを専(もつはら)とし、財(ざい)を費(つひやし)力(ちから)を尽(つく)す事紙筆(しひつ)に記(しる)しがたし。農家(のうか)はことさら夏の初より秋の末までに五穀(こく)をも収(をさむ)るゆゑ、雪中に稲(いね)を刈(かる)事あり。
五穀(こく)は成就(じょうじゅ)
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)