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癒
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なお
ふりがな文庫
“
癒
(
なお
)” の例文
まったくけろりと
癒
(
なお
)
ったんです。一体どうしたんでしょう。病気が癒ったのか、それとも僕は最初から結核ではなかったかも分らん。
誤診
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「きのうは
終日
(
ひねもす
)
、山をあるき、昨夜は近来になく熟睡した。そのせいか、きょうは
寔
(
まこと
)
に気分がよい。
風邪
(
かぜ
)
も本格的に
癒
(
なお
)
ったとみえる」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何でもはア此の近辺の者で
彼
(
あ
)
の人に掛って
癒
(
なお
)
らねえのはねえと云う、
宅
(
うち
)
も小さくって良いお
出入場
(
でいりば
)
も
無
(
ね
)
えようだが、城下から頼まれて
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「こいつはほんの引っ掻きだ。小刀でスーとやったんだろう、薬を塗ったり、
晒木綿
(
さらしもめん
)
で巻いたりしているが、もうすっかり
癒
(
なお
)
っている」
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「可哀そうな病人でございます。
癩病
(
らいびょう
)
、
脱疽
(
だっそ
)
、
労咳
(
ろうがい
)
、
膈
(
かく
)
、到底
癒
(
なお
)
る見込みのない病人達でございます」これが松虫の返辞であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
彼の病気は短くて二三日長くて一二週間で大抵は
癒
(
なお
)
った。それで彼は彼の病気を馬鹿にしていた。他人の自分はなおさらであった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「医者は要らぬ、ただ、静かなところで暫く休ませてもらいたい、誰も来ないところへ入れて置いてくれさえすれば、やがて
癒
(
なお
)
る」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天神様の境内は
大層
(
たいそう
)
な人出でした。
飴屋
(
あめや
)
が出ています。つぼ焼屋が出ています。切傷の
直
(
す
)
ぐ
癒
(
なお
)
る
膏薬
(
こうやく
)
を売っている店があります。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
やがて
洗
(
なが
)
し
場
(
ば
)
に出て洗い
桶
(
おけ
)
を持って来るときは、お湯に
逆上
(
のぼ
)
せてふらふらしたが、額を冷水で冷したり、もじもじしているうちに
癒
(
なお
)
った。
快走
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして、十二月になって芳郎の病気が
癒
(
なお
)
ると、今度は喜美代の母が病気になったので、二人の結婚はまた春と云うことになった。
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「この男ですよ。入ったときは、実にひどい痔でしてナ、ところが私の例の治療法で、予期しないほど早く
癒
(
なお
)
ってしまいました」
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手術をすれば、たぶん
癒
(
なお
)
るであろうが、青木の親たちは、手術は
惨
(
むご
)
いから忍びないと言って、成行に
委
(
まか
)
すことにしたのであった。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
リウマチスなんて、老人の
罹
(
かか
)
る病気みたいで、気の利かぬこと夥しいが、いずれしかし、
癒
(
なお
)
ることは癒ると思うから、心配しないで欲しい。
偽悪病患者
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
奉公人どもは気味を悪がって誰も寄り付かないので、主人と自分とが代る代るに看病しているが、なかなか三日や四日では
癒
(
なお
)
りそうもない。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
またもしまだ気分が
癒
(
なお
)
らないと云うようなら、ミドランドの若い電気技師に、電報を打とうと謎をかけてやれば、もう即坐に全快だろうよ。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
蜂に刺されるとリウマチスが
癒
(
なお
)
るという云い伝えが英国辺りで昔から行われているので、その真否を試すために材料を集めている人がある。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
第二には病後の
恢復期
(
かいふくき
)
や衰弱の予防のために滋養物を多く与える事です。第三には食物の成分を変化させて病気を
癒
(
なお
)
す事です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
血の道という病気は次の子供が生れると
癒
(
なお
)
るといわれているとおり、いねはもとのからだに戻り、眉間の立皺はとれていた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
あいていられるでしょう。けして、たいしたことはありませんの、すぐ
癒
(
なお
)
りますわ。災難なんて部類にもはいらないくらいよ
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
つまり、病気の
三昧
(
さんまい
)
に入ることです。そうすればかえって病気は
癒
(
なお
)
るのです。いや快くならないまでも、病気に安住することができるのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
すべて顎の外れた患者を
癒
(
なお
)
すのに、患者が「今顎をはめられるナ」と思うと、思わず顎の筋肉を緊張させるものなのです。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
御自分でも
癒
(
なお
)
るとばかり信じていた死の床の枕上には、紙の白いままのノートが幾冊か重ねられてあったという事でした。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一つには峻自身の
不検束
(
ふしだら
)
な生活から、彼は一度肺を悪くしたことがあった。その時義兄は北
牟婁
(
ムロ
)
でその病気が
癒
(
なお
)
るようにと神詣でをしてくれた。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
殆んどもう病人は
癒
(
なお
)
りかけているものと思い込んでいたらしいのに、まだそうして寝たきりで居るのを見て、父はすこし不安そうな様子だった。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
と申しますのは、まず第一に
摩利信乃法師
(
まりしのほうし
)
が、あの怪しげな
陀羅尼
(
だらに
)
の力で、瞬く暇に多くの病者を
癒
(
なお
)
した事でございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
病気をも
癒
(
なお
)
してやらねばならぬと思っているのに、もし、自分のこの
体
(
てい
)
たらくを見知っている者があって、自分を痴愚とも酔狂ともいわば言え
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
すると彼は、いかにもりっぱな親切とやさしさとを
籠
(
こ
)
めて彼女を眺めてやった。病気は
癒
(
なお
)
ると言いきかして、愛せられることを承諾してやった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
スグ
癒
(
なお
)
ってしまうのに! と、その時も
儘
(
まま
)
ならぬひとり息子の身の上を、どんなに
小五月蠅
(
こうるさ
)
く感じたか知れませんでした。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
潤三郎がお兄様のことを書いたのは『
明星
(
みょうじょう
)
』の紀念号からですが、その時はまだ病気が
癒
(
なお
)
り切らず、鈴木
春浦
(
しゅんぼ
)
さんが来て筆記せられたのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
たとえば
療法
(
りょうほう
)
にも
信仰
(
しんこう
)
だの
加持祈祷
(
かじきとう
)
だのを混合する。もちろん病気によってはいわゆる
気
(
き
)
の
病
(
やま
)
いもあるから、心の持ちようで
癒
(
なお
)
る病気もあろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それと同時に、誰がいうとなく黒壁の権現に
詣
(
まい
)
るものが多かった。えやみや足なえ憑きものの類が、ふしぎに願をかけると
癒
(
なお
)
るということだった。
天狗
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
もっともただの神経の病気で、いまにきっと
癒
(
なお
)
ってしまうだろう、と彼はすぐつけ加えたが。その病気は多くの不自然な感覚となってあらわれた。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
「わッはは、こうしておかば当分槍も使えぬと申すものじゃ。元通りに
癒
(
なお
)
らば、もそッと正しき武道に精出せよ。京弥! 菊のところへ帰ろうぞ」
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「わたくしも、せめてこの一月なり
自宅
(
うち
)
に戻って楽々としていたら、このような病い、じきに
癒
(
なお
)
ろうと思いますが——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
何
(
なに
)
が
滅相
(
めっそう
)
なことじゃ、わらわがまいって、
浜村屋
(
はまむらや
)
の
病気
(
びょうき
)
を
癒
(
なお
)
して
取
(
と
)
らせるのじゃ。——
邪間
(
じゃま
)
だてせずと、そこ
退
(
の
)
きゃ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私は毛布を頭から被って
耳朶
(
みみたぶ
)
の熱するのを我慢して早く風を
癒
(
なお
)
そうと思って枕や、
寝衣
(
ねまき
)
がびっしょり
湿
(
ぬ
)
れる程汗を取った。これで明日は癒りそうだ。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
転地なんぞしたって
癒
(
なお
)
るもんか。社の者も
頻
(
しき
)
りと心配して旅行しろというが、海や山よりは町の方が好きだ。なアに、僕の病気は何でもない、小説を
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
癒
(
なお
)
ってからも一年位手が震えて父は何も仕事は出来なかった。それで仲御徒町の時の貧乏は実にひどいものだった。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
木之助の病気は
癒
(
なお
)
った。が以前のような曇りのない健康は帰って来なかった。以前は持つことの出来た米俵がもう木之助の腕ではあがって来なかった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
あれほどの病気もすっかり
癒
(
なお
)
ってしまったとは思えないが、見たところピチピチして軽く弾んでいる。角がとれ、愛想の良くなったことは驚くばかりだ。
道
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
馬鹿にして居る者もあるが、信ずる者が多い。信ずる者は、吉さんの
言
(
ことば
)
で病気も
癒
(
なお
)
り、なくなったものも見出す。此辺での
長尾
(
ながお
)
郁子
(
いくこ
)
、
御船
(
みふね
)
千鶴子
(
ちづこ
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
『そんなら早く
癒
(
なお
)
さなけりゃいかんでしょう、医科を
卒
(
で
)
られたんだから、自分で静脈注射も出来ませんか……』
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
でも、ほとんどもう
癒
(
なお
)
ったようだね。あとはほんのちょっぴりだ。(彼の頭に
接吻
(
せっぷん
)
する)わたしがいなくなってから、またパチンとやりはしないだろうね?
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「母親さん、母親さん、すっかり御病気を
癒
(
なお
)
して来て下さいよ。私は東京の方で御待ち申しますよ……
真実
(
ほんと
)
に、母親さんの側に居て
進
(
あ
)
げたいんですけれど」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
風邪
(
ふうじゃ
)
がやっと
癒
(
なお
)
ったばかりで、まだ
咳
(
せき
)
をして居る人の、訪問を受けたときなどは、自分の心持が暗くなった。
マスク
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その年ひどく流行した
麻疹
(
はしか
)
に感染して、一応はどうやら
癒
(
なお
)
ったものの、病毒が廻って全身に
吹出物
(
ふきでもの
)
を生じた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
するとピリ/\ッという震動が糸から竿に伝って脳天まで達します。これが好い心持です。電気治療以上ですな。レウマチスなんか即座に
癒
(
なお
)
ってしまいます。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それじゃどうかそう願いたいといってそこへまあ滞在する中に薬の
利目
(
ききめ
)
か眼の痛みも少し
癒
(
なお
)
って参りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
僧は薬とその肉を調合して三つの丸薬を作って、日に一回ずつ飲ましたが、三日してその丸薬がなくなると、連城の病気は物をなくしたように
癒
(
なお
)
ってしまった。
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
それよりも自分の腸胃のまだ
癒
(
なお
)
っていないことを家の者に知られて、東京行を引止められるかもしれないのが恐ろしくて、腹を
圧
(
おさ
)
えて
呻
(
うめ
)
きながら我慢していた。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
癒
常用漢字
中学
部首:⽧
18画
“癒”を含む語句
平癒
治癒
癒着
快癒
腹癒
癒合
御平癒
御癒
全癒
肚癒
御快癒
快癒迅速
除癒
自癒力
祈平癒呈
癒合双体
残欠治癒
恢癒
快癒期
回癒
...