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とうとう
ふりがな文庫
“
滔々
(
とうとう
)” の例文
滔々
(
とうとう
)
たる青年
輩
(
はい
)
が処世の門出に多く身を誤まり、借金の淵に沈み、安身立命の地を得ないのも過半は外見張り主義に原因しています。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
滔々
(
とうとう
)
と弁じ立てるのだが、その日は法水が草稿を手に扉を開くと、
内部
(
なか
)
は三十人ほどの記者達で、身動きも出来ぬほどの
雑沓
(
ざっとう
)
だった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ために、
滔々
(
とうとう
)
と、軟弱な
弊風
(
へいふう
)
があったことも否めません。自力
聖道門
(
しょうどうもん
)
が、絶対力を
礎
(
きず
)
いたのは、そういう時代の反動でございました。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老人が得意の劇評は
滔々
(
とうとう
)
として容易に尽くるところを知らざる勢いであったが、それがひとしきり済むと、老人は更に話し出した。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それから三木は壇上に立って
滔々
(
とうとう
)
二時間、その間交替々々と付け紙が五分おきに壇上へ持ち込まれるが、三木は振り向きもしない。
春宵因縁談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
▼ もっと見る
彼は
滔々
(
とうとう
)
と、たしかに物知りらしく、まくしたてた。私は、夜がだんだん更けて眠くなってくることをときどきほのめかしてみた。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
滔々
(
とうとう
)
たる世間並みのおきてになっているが、
跛足
(
びっこ
)
の子が跛足であり得ること、兄が跛足なるが故に、弟も跛足という常識はありません。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
流るるごとき長州弁に英国仕込みの論理法もて
滔々
(
とうとう
)
と言いまくられ、おのれのみかは
亡
(
な
)
き母の上までもおぼろげならずあてこすられて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
音楽はひとりでに
滔々
(
とうとう
)
と流れ出してきて、いかなる感情を表現してるのか彼自身でも知らなかった。彼はただ幸福であるばかりだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この頃
伯林
(
ベルリン
)
の
灌仏会
(
かんぶつえ
)
に
滔々
(
とうとう
)
として
独逸
(
ドイツ
)
語で演説した文学士なんかにくらべると倫敦の日本人はよほど不景気と見える。(五月二十三日)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
滔々
(
とうとう
)
たる天下その師弟の間、厳として天地の如く、その弟子は
鞠躬
(
きくきゅう
)
として危座し、先生は
茵
(
しとね
)
に座し、
見台
(
けんだい
)
に向い、昂然として講ず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
浴槽は入口の近くにあって、五、六坪もあろう、中を二つに仕切ってあって、湯は中央のあたりに、竹樋から
滔々
(
とうとう
)
と落ちている。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
之に
勢
(
いきおい
)
づいた山田は感激に満ちて
滔々
(
とうとう
)
と述べた、如何に無道徳で、如何に残酷で、如何に悲惨であるかを、実例を引き引き
巨細
(
こさい
)
に訴えた。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
譚は僕の問を片づけると、老酒を一杯
煽
(
あお
)
ってから、急に
滔々
(
とうとう
)
と弁じ出した。それは僕には
這箇
(
チイコ
)
這箇
(
チイコ
)
の外には一こともわからない話だった。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この頃私は「生きんがため」という声を聞けば一生懸命になるんだ。耳を澄ませば
滔々
(
とうとう
)
として寄せ来る唯物論の大潮の遠鳴りが聞こえる。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
という調子で
滔々
(
とうとう
)
と述べ立てると、前国会議員の某は、
頻
(
しき
)
りに頭を左右に
掉
(
ふ
)
って不同意の態度を示した。すると直ちにその頭を指さして
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「心得ておる。世を挙げて
滔々
(
とうとう
)
と
遊惰
(
ゆうだ
)
にふける折柄、喧嘩を致すとは天晴れな心掛けと申すのじゃ。もそッと致せ。見物致してつかわすぞ」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
万引にも三分の理、変質の左翼少女
滔々
(
とうとう
)
と美辞麗句、という見出しでございました。恥辱は、それだけでございませんでした。
灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
然れども、今日の子弟にして政治・法律の二学に
赴
(
おもむ
)
き、
滔々
(
とうとう
)
として所在
皆
(
み
)
なこれなるは、決して偶然に出るにあらざるなり(喝采、拍手)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
阿部が一流の弁舌で
滔々
(
とうとう
)
と説明を始めると、面倒くさそうに口をつぐみ、家内が印を持っているからと、うるさそうに出て行ってしまった。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
脳髄に関する演説を
滔々
(
とうとう
)
と、
身振
(
ゼスチュア
)
まじりに初めるのであるが、そのうちに自分の演説に感激して、興奮の
絶頂
(
クライマクス
)
に達して来ると
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかもそれは記者の問いに対する筆者の答えとしてではなく筆者自身が自発的に
滔々
(
とうとう
)
と弁じたような形式で掲載されていた。
ジャーナリズム雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
奴、
何
(
ど
)
んなことを
吐
(
ぬか
)
すだろうかと、私は好奇心があった。
滔々
(
とうとう
)
と弁じている。
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説いている。口は学生時代から達者で
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
滔々
(
とうとう
)
たる
濁水
(
どろみず
)
社会にチト変人のように窮屈なようにあるが、
左
(
さ
)
ればとて実際
浮気
(
うわき
)
な
花柳談
(
かりゅうだん
)
と
云
(
い
)
うことは
大抵
(
たいてい
)
事細
(
ことこまか
)
に
知
(
しっ
)
て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お手本や師伝のままを無神経にくり返してただ手際よく
毛孔
(
もうく
)
の無いような字を書いているのが世上に
滔々
(
とうとう
)
たる書匠である。
書について
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
やがて
滔々
(
とうとう
)
と読みはじめた。大好きな「川中島合戦」の一節だった。元よりうろおぼえの口から出任せではあったけれど。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
その後十吋の『ワルツ=変ニ長調(作品六四の一)』のレコード(DA七六一)では、とうとう演奏を始める前に
滔々
(
とうとう
)
と口上を述べてしまった。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
と、彼は
滔々
(
とうとう
)
万言、聴衆に大なる慰安を与えようとした、けれどもこの提案は、何人も歓迎しなかった、即ち彼らの多くは、皆口々にいって曰く。
太陽系統の滅亡
(新字新仮名)
/
木村小舟
(著)
しかも天下の大勢は益々
滔々
(
とうとう
)
たる大流となつて秀吉の統一をのぞむ形勢にあるのだから、この大流に逆ふことや最も愚。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
主人はここにおいて落雲館事件を始めとして、
今戸焼
(
いまどやき
)
の
狸
(
たぬき
)
から、ぴん助、きしゃごそのほかあらゆる不平を挙げて
滔々
(
とうとう
)
と哲学者の前に述べ立てた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
連歌俳諧も
謡
(
うたい
)
も
浄瑠璃
(
じょうるり
)
も、さては町方の
小唄
(
こうた
)
の類にいたるまで、
滔々
(
とうとう
)
としてことごとく同じようなことをいっている。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いつもごみばかりの
川
(
かわ
)
には、
滔々
(
とうとう
)
として
急流
(
きゅうりゅう
)
がうなり、なみなみと
水
(
みず
)
があふれて、そのうえ、いろんなものが、
後
(
あと
)
から
後
(
あと
)
から
流
(
なが
)
れてくるからでした。
台風の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼が祖国に対する反逆の嫌疑を拒否したときの高潔ないきどおり、みずからの名誉を擁護したときの
滔々
(
とうとう
)
たる弁説。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
と、水は直ぐこの家の一つ東の辻まで来ていて、山手から海の方へ、———北から南へ、
滔々
(
とうとう
)
たる勢で流れている。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ヤレ月の光が美だとか花の
夕
(
ゆうべ
)
が何だとか、星の夜は何だとか、要するに
滔々
(
とうとう
)
たる詩人の
文字
(
もんじ
)
は、あれは道楽です。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
滔々
(
とうとう
)
数千言
(
すせんげん
)
、
備
(
つぶさ
)
に其の人となりを尽す。
中
(
うち
)
に記す、晩年
益
(
ますます
)
畏慎
(
いしん
)
を加え、昼の
為
(
な
)
す所の事、夜は
則
(
すなわ
)
ち天に
白
(
もう
)
すと。愚庵はたゞに
循吏
(
じゅんり
)
たるのみならざるなり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
沖縄島に
尚巴志
(
しょうはし
)
という一英傑が起って三山を一統した時に、久しく断絶していた本国との連絡は回復せられ、日本及び支那の思潮は
滔々
(
とうとう
)
として沖縄に入り
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
「街の斧博士」「時の敗者」等を発表した
十一谷義三郎
(
じゅういちやぎさぶろう
)
もまた、その質実な、根気のよい、手堅い作風において、
滔々
(
とうとう
)
たる即興的小説の型を破った作家である。
昭和四年の文壇の概観
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
が、
何人
(
なんぴと
)
も
滔々
(
とうとう
)
と限りなく続くドイツの大軍を見ては、不安と恐怖とにとらわれぬわけにはいかなかった。
ゼラール中尉
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「さあ、暴れ出したぞ、
滔々
(
とうとう
)
として尽くることなしだ! こいつ手でも抑えてやらなくちゃいかんわい」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
椰子や芭蕉や
棗
(
なつめ
)
の木などにこんもりと囲まれた広庭は彼ら土人達の会議所であったが、今や酋長のオンコッコは、一段高い岩の上に立って
滔々
(
とうとう
)
と雄弁を
揮
(
ふる
)
っている。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そうして
滔々
(
とうとう
)
となにか
饒舌
(
しゃべ
)
りだした。悠二郎はこいつはいいと思った、云ってることはやっぱりちんぷんかんだが、同じちんぷんかんなら聞いてるだけのほうが楽だ。
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
総
(
すべ
)
ての歴史の流れと共に俳句の歴史も
滔々
(
とうとう
)
として四百年の昔より今日まで続いておる。われらもまたその中にある。子規が恐れ、われらがまた恐れる所の新人
出
(
い
)
でよ。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
荒涼とした港々のあらい人気をこの
鑿
(
のみ
)
一丁でこじあけて来たという猛々しい言葉であった。意識したり、あるいは無意識のうちに
滔々
(
とうとう
)
とすべりだして来る悪口である。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そこには南方に当って半天に
鑚
(
そそ
)
り立った高山があった。その山の麓には谷川が
滔々
(
とうとう
)
と流れていた。
美女を盗む鬼神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
いまだかつて念頭に
懸
(
か
)
けざるは、
滔々
(
とうとう
)
たる日本婦女皆これにして、あたかも
度外物
(
どがいぶつ
)
の如く自ら卑屈し、政事に関する事は女子の知らざる事となし
一
(
いつ
)
も顧慮するの意なし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
まず四人同道で
伊勢
(
いせ
)
参宮
(
さんぐう
)
のために京都を出る時に、道すがら三人の者がそれぞれ詩や歌を
詠
(
よ
)
むと、道無斎がそれを聞いて、
滔々
(
とうとう
)
として次のごとき説法を始めるのである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
滔々
(
とうとう
)
として天地と共に流れている
卓犖不覊
(
たくらくふき
)
の大河の流れと知られ、歪めば歪んだなりに直く、切ない痛苦は痛苦のままにして、息詰まるほどの快楽でもございましょう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
夜中に何心なく
便所
(
はばかり
)
へ下りて見ると、いつの間にか他の一人のお客が女将とよろしく収っていたという話をば弁舌
滔々
(
とうとう
)
と
宛
(
さなが
)
ら自分が目撃して来たもののように
饒舌
(
しゃべり
)
立てた。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すると初めの声が、それはシルヴァーの声だということが私にはその時わかったが、また話し始めて、永い間
滔々
(
とうとう
)
としゃべり続け、ただ時々別の声が口を出すだけだった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
滔
漢検1級
部首:⽔
13画
々
3画
“滔々”で始まる語句
滔々滾々
滔々乎
滔々蕩々